1等・前後賞合わせて3億円が当たる「ドリームジャンボ宝くじ」(第560回全国自治宝くじ)が今月18日から発売中だ。来月5日まで販売が続くが、購入した人は同月16日の抽選を待ち遠しく感じていることだろう。
ただし幸運を競い合うライバルの数も多い。発売開始当日には、東京・銀座の人気売場には午前8時半の発売開始を前に何百人もの人が列を作った。不況の時代でも、いや不況だからこそ宝くじに関心が高まっている。
とばく行為が禁止されている日本でも堂々と賭け事を楽しむことができるのが宝くじなどの公営ギャンブルだ。競輪・競馬・競艇・オートレースの4競技の2007年、年間売上の合計は約5兆900億円で毎年減少傾向にあるものの、同じ娯楽分野である映画・音楽業界全体の売上(07年・約5300億円)と比べると10倍近くの市場規模を保っている。
競馬などでは全体の売上のうち、レースに当たった人の懐へ入っていくお金は75%と決まっている。この払い戻しの割合は「還元率」といい、法律で定められたものだ。
還元率はギャンブルの種類によって異なり、競輪や競馬などは75%、宝くじは約45~50%である。一方、胴元が得る部分を俗に「テラ銭」というが、還元率が高く、このテラ銭の低いギャンブルほど良心的といえる。その意味では宝くじは非常にテラ銭の高い、割の合わないギャンブルだということになる。未成年の参加を禁止している競馬などに比べ、宝くじの購入には年齢制限はなく間口は広いが、その割には儲けることが難しいのだ。
売上から当選者への「払い戻し」や開催経費などを引き、残った金額が胴元の収益となるが、宝くじの場合、売上の4割近くが胴元の収益となるので胴元の地方自治体にとっては税金とともに貴重な収入源となっている。
しかし当たる確率が低いとわかっていても、宝くじを買う人があとをたたないのはなぜだろうか。
宝くじは「一等3億円」のように一攫千金を狙うことができる。人は還元率などの数字を客観的に考えるよりも、夢を追うのが好きなのかもしれない。事実、宝くじでは当選者の数が少なく当たる確率が低くても、1等の金額が大きければ大きいほど人気を呼ぶのだ。
【関連記事】
・なぜ最終レースの馬券売上額は大きいのか 競馬と株式投資、負ける人々の共通点とは
・ラスベガスでギャンブルの本質を理解 投機は合法的に若者が不労所得を得る手段だ
・「なぜ人は株式投資にはまるのか」 その仕組みはギャンブルと一緒だ
・1000円カット専門店の秀逸ビジネスモデルを解剖 5000円の美容院より儲かる理由