【バンコク22日柴田建哉】帰国した日本人の父親(31)を懸命に捜す姿がタイで話題となっていた中部ピチット県のケイゴ君(9つ)は22日、所在が確認された父親と国際電話で話した。念願の肉声を聞いたケイゴ君は「うれしかった」と笑顔を浮かべた。
電話はバンコクの日本大使館で非公開で行われ、約50分間にわたって近況などを語り合った。同席した伯母(35)によると、父親は「仕事の都合がつけばタイに行きたい」と話し、ケイゴ君は「お父さんと話すために日本語を勉強する」と答えたという。
ケイゴ君の父親はタイ人女性と結婚、バンコクで暮らしていたが5年前に離婚して帰国した。ケイゴ君は生後まもなく祖父母宅に預けられ、父親の記憶はない。ただ今年4月に病死した母親から生前、「お父さんは戻って来る」と聞かされていたため、父親の写真を持って、訪れる観光客に消息を尋ねていた。
日タイ両外務省の調査で今月中旬、父親の所在が判明。「タイで会いたい。来られないなら声を聞きたい」とのケイゴ君の希望がかなった形だ。
タイの報道ラッシュは続いており、ケイゴ君がバンコク入りした21日から密着取材。この日の日本大使館にも100人近い報道陣が集まった。
また21日には18歳少女が在チェンマイ日本総領事館を訪れて「連絡が途絶えた日本人の父親を捜してほしい」と依頼。地元紙によると、日本人父親が帰国したという10歳少年も「ケイゴ君のことを知ってお父さんと会いたくなった」と調査を求める意向という。
=2009/05/23付 西日本新聞朝刊=