起業家インタビュー「アドバンスト マテリアル ジャパン株式会社 中村繁夫」

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アドバンスト マテリアル ジャパン株式会社 代表取締役社長 中村繁夫
世界のレアメタル争奪戦はまだまだ続いていく。探検商社として産業立国・日本の立場を守り抜く

前向きな向こう傷は山師の勲章
大儲けと大損を繰り返しながら、山師としての勝負勘を身に付ける

アドバンスト マテリアル ジャパン株式会社 代表取締役社長 中村繁夫
  蝶理株式会社では様々な商材を扱いましたが、最も力を入れたのはレアメタル(希少金属)資源の開発です。今、皆さんが使っているパソコン、テレビ、携帯電話、ハイブリッドカーなど、レアメタルがなければつくることができません。ゆえに、レアメタルは「産業の米」と呼ばれ、日本が産業立国として生きていくためには必須といえる資源なのです。私はレアメタル資源を追い求め、中国、ロシア、中央アジア、カナダ、南アメリカ、アフリカ、オセアニアなどなど、世界中を飛び回り、その資源開発業務に心血を注いできました。山師という言葉を辞書で引くと、「鉱山の発掘や鉱脈の発見・鑑定をする人」とあります。ただし、鉱山開発は大きなギャンブルです。資金協力者と顧客を見つけ、リスクを最小限に抑えながら、命がけで勝負する。そこにロマンを感じる人間が、本物の山師であるといえるでしょう。

  私はどんな時も逃げることなく、常に前のめりになってレアメタル開発の仕事に取り組んできました。大きな成功としては、1997年頃、カザフスタンとのスポンジチタン取引が挙げられます。欧米市況でスポンジチタンの価格が一気に暴騰し、この波は必ず日本にも及ぶと判断。社長にも副社長にも許可を取らずに、一発で75億円もの商売を決めたのです。それまで一度に買っていたスポンジチタンは1000トン程度、6億円ほどの商売でしたから、これは通常の10倍の取引。結果、私が予測したとおり市況は跳ね上がり、会社に7、8億円の利益をたったひとりでもたらすことができたのです。ある役員からはかなりの顰蹙を買いましたが、社長は「合理的な判断である。やり方がやんちゃだっただけ」と擁護してくれました。

  もちろん、成功だけではなく大失敗した経験もたくさんあります。大阪の有名な石油商の泉井純一という人物がからみ、三菱石油と三井鉱山の訴訟にまで発展した石油業者間転売事件。当時の私は石油部の部長を兼務しており、業績の上がらないこの部を何とかしなければと必死になっていたんです。泉井氏の口利きで蝶理が間に入り、この空売りの仲間入り。あっという間に取引額が7億8000万円まで膨れ上がった頃、ある取引先がいきなり倒産。6億円は何とか回収できましたが、1億8000万円は不良債権となって丸損です。私は責任を感じて辞表を用意しました。が、何と手形の落ちた2日後に、泉井氏から振り込まれるはずがない1億8000万円が振り込まれたのです。私は彼の男気に助けられたんです。

探検商社の船出
55歳でリストラに遭うも、勝負を決意。MBOで人材と事業を引き継ぎ探検を継続!

アドバンスト マテリアル ジャパン株式会社 代表取締役社長 中村繁夫
  わずか20年前の商社には、そんな切った張ったの商売に勝負をかける山師たちがたくさんいました。前向きな向こう傷は問わない文化があり、失敗したらその倍を稼げばいいという世界でしたから。命までは取られないと勝負し続ければ度胸もつきます。山師にとっては本当にいい時代だった。しかし、1990年代に土地バブルがはじけ、2000年初頭にITバブルが崩壊し、商社も儲からなくなってきた。銀行の貸し渋りも始まった。蝶理もご多聞にもれず経営が傾いて、事業の切り売りを決断。当時、レアメタル部門の年商は170億円で利益も出ていましたが、その分、莫大な資金を必要とするんです。それもあって、レアメタル部門は外に出すと。55歳でリストラ勧告に遭うわけです。私にとってはまさに青天の霹靂でした。

  さて、これからどうするか……。悩みましたが、結論としてはやはり勝負です。そもそも、入社した時から独立を考えながら仕事をしていましたし。そこでMBO(マネージング・バイ・アウト)という手法を使って会社から事業部門を買い取り、独立する道を選ぶことにしました。十数名いた部下たちに聞くと、全員がついてきたいと言います。そんな彼らと血判状を交わし、「俺たちは沈み行くタイタニック号を捨て、大きな宝を探す海賊船に乗り換えるんだ」と。私は退職金をすべてつぎ込み、さらに家を担保に個人保証もつけて融資を受けました。そして2003年、アドバンスト マテリアル ジャパン(AMJ)を設立し、代表取締役社長に就任。世界のレアメタルを追い求める探検商社の歴史が幕を開けたのです。

  探検とは自己責任でリスクを背負うけれども、自らの好奇心と社会貢献という志を持って、まだ誰もなし得ていないことに果敢にチャレンジすることです。ただのサラリーマンがいきなり経営者になったわけですから、すべてが新しい挑戦です。営業として約30年間トップで走り続けてきましたが、経営者になってからの6年間のほうが成長実感ははるかに高い。探検志向を持たず安全な勝負をしているだけでは、挙げられる利益もごくわずか。AMJでは私を含め社員全員が探検志向を持ち、多少の損失があっても、最後にそれを上回る利益を出せばいいと考え、前向きな向こう傷を厭わず挑戦を続けてきました。社員二十数名、スタート時には47億円だった売り上げは、1年目で79億円、2年目で135億円、3年目には270億円、4年目には何と340億円に達しました。

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