起業家インタビュー「アドバンスト マテリアル ジャパン株式会社 中村繁夫」

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アドバンスト マテリアル ジャパン株式会社 代表取締役社長 中村繁夫
現代の山師が率いる、レアメタル専門商社。設立5年、社員二十数名で340億円を稼ぐまで
パソコン、薄型テレビ、携帯電話、ハイブリッドカー、軍事兵器など、ハイテク機器に使用され、現代の生活になくてはならない物質がある。ニッケル、コバルト、マンガン、タングステン、インジウム、タンタルなど、地球に69種類あるといわれる「産業の米」。レアメタル(希少金属)である。日本は世界のレアメタルの25%を消費する世界一の消費国だが、そのほとんどを海外からの輸入に頼っているのが現状だ。産業立国ニッポンのポジションを守るために、立ち上がった“現代の山師”がいる。それが、アドバンスト マテリアル ジャパンの社長を務める中村繁夫氏。中国、ロシア、中央アジアのレアメタル開発輸入をはじめ、現在はアマゾン、キューバ、モンゴル、ベトナム、北極圏カナダなど世界の資源を開発中だ。「国がやるべき仕事ではないかとも思いますが、日本のために私たちができることはどんどん挑戦していきたい」と豪快に笑う中村氏。今回は、そんな中村氏に、青春時代からこれまでに至る経緯、大切にしている考え方、そしてプライベートまで大いに語っていただいた。

●このインタビューは前編・後編と2回に分けて掲載する。

中村繁夫をつくったルーツ(1)
宗教と商売が交差する家庭で育った少年は、個性的な奇行癖と放浪癖の持ち主

アドバンスト マテリアル ジャパン株式会社 代表取締役社長 中村繁夫
  私は団塊と呼ばれる世代で、京都市生まれ。父方も母方も、お寺に関係する筋でしてね。お坊さんや仏道を目指す書生さんが頻繁に出入りする、いわゆる抹香くさい家庭環境で育ちました。母の実家は京都駅の前で仏壇店を経営していまして、宗教と商売、両方の空気を吸いながら成長していったと。ちなみに父は京都の衛生協会初代理事長を務めた人で、老舗割烹や飲食店を管理する立場でしたけど、お中元やお歳暮など付け届けはすべて送り返してしまう堅物。子ども心ながらに、もったいないなと思っていました。そんな生真面目な父も、かなりの飲んべえではありました(笑)。当時はまったく意識していませんでしたが、今思えば自分の倫理観や道徳観は家風によって醸成されたんだなと感じています。

  子どもの頃の私は、奇行が多かったようです。地蔵盆というお祭りの日は、朝から晩まで木組みされた舞台に登って夜に行われるのど自慢大会まで歌を歌い続ける。もう、歌い出したら止まらなかった。今も歌うのが大好きで、昨晩もカラオケ行きました(笑)。あとは、放浪。友だちを引き連れて、山に登ってウロウロ。計画性がないから山中で迷って、川沿いをたどって帰ってくるのが夜の10時、11時になったり。警察が出動して大騒ぎになったこともありました。たとえばこんなことも。米軍のMP(ミリタリーポリス)が接収していた植物園に、深夜、カブトムシやクワガタムシを取りに行ってたんです。塀の下に穴を掘って侵入するんですが、確実に不審者じゃないですか。見回りの憲兵に見つかって逃げ出したら、後ろから拳銃で撃たれた。本当に当たらなくて良かった(笑)。

  子どもの頃から、まだ見たことのない場所を探検するのが好きだったんですね。小学校の高学年になると自転車で琵琶湖を一周し、中学に入ると山登りを本格的に始めてワンダリングに凝った。京都の北山は日本海の福井まで続いていて、植物、森林観察を楽しみながら鞍馬山から花背峠を通って滋賀の比叡山まで足を延ばしたり。そんな感じで、毎週土日は山登りに出かけていました。山で出会う京都大学の山岳部や探検部のお兄さんたちがかっこ良くてね。山小屋で酒を酌み交わしながら、哲学論を語り合うわけです。そんな彼らに憧れて、私は世界の文学全集を読みふけるようになりました。

中村繁夫をつくったルーツ(2)
山登りの趣味が高じて、大学で木材工業を研究。世界の森林を見るために放浪の旅へ出かける

アドバンスト マテリアル ジャパン株式会社 代表取締役社長 中村繁夫
  高校は京都府立洛北高等学校に進学しています。数多くの著名人を輩出した高校で、第一次南極観測隊の副隊長兼越冬隊長を務め、日本初の8000メートル級登山であるマナスル登山計画時にはネパール政府との交渉役として活躍された西堀栄三郎さん(故人)もそのひとり。私は社会人になって東京で生活を始めましたが、西堀さんが洛北高校同窓会の名誉会長をされていて、20代、30代当時、よくお話をさせていただきました。冒険と探検は違う。命を懸けて挑戦するという意味では同じかもしれないが、冒険はスリルや博打を味わう感覚の行為で、何度でも繰り返すことができる。一方探検とは、人の役に立つために、人が過去やったことがないことをすること。そして、一度なされた行為はもう探検とは呼ばない。など、西堀さんからはたくさんの影響を受けました。

  高校時代も放浪の趣味は続けていて、植物や森林への興味がますます高まっていきました。そして、大学は静岡大学の農学部木材工業学科へ。主な研究は、紙パルプの収率改善です。たとえば100kgのパルプから45kgの紙ができるとします。その割合をいかにして高めるかという。そんな研究に没頭していました。もちろん、遊びもたくさんしましたけど(笑)。あと、大学に入った頃から、海外を放浪してみたいという思いがふくらんでいったんです。戦前にブラジルに移住した叔父がいましてね。小さな頃、毎年の盆正月に彼が我が家にやって来て、いろんな話をしてくれてたんですよ。その話がとても面白くて、いつもワクワクしながら聞いていました。その影響も大きかったと思います。

  日本国内限定の小さな人間関係だけでは飽き足りなくなり、世界中の人たちとの交流を通じて、もっとスケールの大きな人間になりたい。世界の森林現場をこの目で見てみたいという思いもありました。結果、世界の五大陸を踏破するという夢が生まれ、数年かけてそのための周到な計画を立てることにしたんです。実は大学4年次、国内の大手製紙会社から内定をもらっていました。ですが、夢実現のためにその話をお断りし、とりあえずは大学院へ進学。そして準備が整ったタイミングで休学し、ついに海外放浪の旅へと出かけることになるのです。その時、私は22歳。大阪では万博が開催され、世界との距離が少しだけ狭まった感覚が国内に広まっていました。

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