めがひっとのメディア論 by RJQ.JP
  2009年5月23日記載 最新記事リストの戻る
  モスキート音で若者退治、足立区の公園でユニーク実験
  市販されるねずみ駆除装置の原理は超音波を発生する機械である。人の耳が感じることができる周波数は20kHzまでとされ、ねずみ駆除装置で発信される音は20kHz以上の超音波を使用することにより、人の耳では無害だが、ねずみにとって不快音のためその場から逃げ出す生理的原理を応用した商品である。

人は年を重ねると聴力は徐々に減退する。最も聴力が良いのは10代までで、20代を超えた頃から徐々に聴力の衰えがはじまる。衰え開始時期は肌年齢と同一カーブを描く。ここでいう衰えとは、実生活に影響を及ぼす劣化という次元の話ではなく、普段ほとんど気にするレベルではない超高音域帯が徐々に聞こえづらなくなる次元の話である。

人が感じることのできる限界周波数20kHzの音を聞き分けできる人は10代でもさすがにわずかだが、18kHzあたりなら健康の耳を持った10代ピークの高校生ならほぼ全員が音を感じることができると言われている。

音を低音から高音まで発信することができるPC用フリーソフトがある。ここで紹介するのは「可聴周波数域チェッカ」というソフト。このソフトを利用すればどの音域まで聞こえるかをテストすることができる。静かな部屋でPCにアンプを経由して20kHz以上の音を出すことができるスピーカに接続している環境がある人は一度試して欲しい。自分がどこまで聞こえるかを直接確かめることができる。

早速試してみた。結果は36歳という年齢で既に14kHz程度までしかまともに聞こえなかったのである。14kHz限界付近では相当ボリュームを上げないと聞き取ることができない。人の限界値が20kHzとされる中で14kHzあたりまでしか既に聞こえないという現実を突きつけられると想像以上にショックが大きい。時間と共に年齢による身体的衰えを感じてしまう。

さて22日付け朝日新聞記事によると、若者にしか聞こえない高音域を利用した実験が東京足立区内の公園で行われた。目的は深夜の公園で騒ぐ若者退治である。実験の結果は効果てきめんで若者はすぐに公園から出ていったと記事に書かれていた。

若者しか聞こえない音域(18kHz近郊)を発信させ蚊の羽の音に近い高音域を公園内に発信させることで、若者にしか聞こえない不快音(モスキート音)を聞かせることでその場から離れたくなる心理を応用し、また一方で中高年の方たちには、全く音が聞こえない年齢特性の違いを利用した、ねずみならぬ深夜徘徊の若者退治に乗り出す実験だ。

動物と共に直接害を与えず、退治させる方法を人に向けたユニークな実験は面白い。ただ私がその公園に行っても不快に感じないというのは、うれしいのか、悲しむべきか。少々複雑な心境である。
   

最新記事リストの戻る

 検索(コラム内全検索)

フリーワード
カテゴリ 準備中
 
 RJQモバイルサイト


http://rjq.jp/m/
本コラムはモバイルサイト
でもご覧いただけます

 本コラムに関する意見

メールのみ受け付けます
SPAM対策のため直接リンクしてません

 管理者メンテナンス専用

(C) Copyright 1997-2009 by RJQ.JP All Rights Reserved
 - Diary and Column System Ver.1.0 by infobuild -