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2009年5月22日記載 |
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NHKオンデマンド、普及テコ入れには海外配信拡充が近道 |
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NHKオンデマンドサービスはIPTVの普及のキーとして注目してきた。既にサービス開始してから早5ヶ月が経過したが、利用者ペースは当初の目標値からかけ離れて普及とは程遠い足踏み状態が続いている。今後もしばらく利用ペースが上がる見込みは少ないだろう。
一時期、NTTグループが地上デジタル放送の同時再送信をIPネットワーク上でサービス展開することによって、これまで競争相手がなく地域独占であったケーブルテレビ事業者を脅かす存在として大きな話題となった。将来のケーブルテレビ事業の崩壊の危機としても危惧された。ところが現時点において全くそのような不安はゼロに等しい。加入者の更なる拡大は厳しいのは確かでも当面安定的にサービス提供続けていける雰囲気がケーブルテレビ事業者間で復活しはじめてきている。
IPによる放送サービスは、通信設備によっても膨大なデータトラフィック量増加に直結し、技術的にも高い壁を突破しなければならないのに加え、消費者にとっても受け入れがたいハイソなサービスという意識もある。現に地上テレビ放送を視聴するだけなら、アンテナを建てて電波で受信するのが最も簡単な方法だし、無理に同時再送信IP配信でテレビ放送を視聴する意味も少ない。
その点、放送の同時再送信というサービス提供という考えから切り離して、過去の放送アーカイブを自宅にいながら有料で再配信を行うサービスを行うVODに特化すると、どうしても通信網の技術が必要とされる。NHKオンデマンドサービスは、そうした視点においてもIPTVの普及の可能性を秘める重要なサービスとして注目してきたわけなのである。
個人的にNHKオンデマンドサービスには全く興味がない。今後も会員登録する気も全くない。なぜなら番組単価が高いからだ。DVDなどの映画ソフトのレンタル料金と比較しても、NHKオンデマンドサービスの配信料金が高いとする意識が先に立つ。そもそも高いと感じる理由はどこからくるのだろうか。
NHKオンデマンドサービスは過去の放送済コンテンツの再配信サービスだ。本来ならNHK受信料だけで自由に録画も視聴もできたはずの過去の放送済コンテンツを、改めてお金を出して購入するには抵抗がある。テレビ番組は無料だとする日本人の意識がある中で、放送済の番組を1番組あたり200円から300円という設定は高く感じてしまう。
テレビ放送されていない2時間前後の映画コンテンツを視聴する場合、DVDレンタル代金で300円程度も出せば見られる。映画などのDVD映像コンテンツはテレビ放送では視聴できないというお金を払う以外視聴する方法がないのに対し、過去に放送されたコンテンツを再び視聴するという目的でDVDレンタル代に類似する高い金額設定は、よほどの思い入れのあるコンテンツでない限り気軽に手を出しづらいと考えるのが自然ではないだろうか。つまりIPTVだから普及しないという技術的問題以前に別の課題が本サービスに潜んでいると判断する。
ではどうすれば普及できるのだろうか。ひとつに料金の抜本的値下げがあるが、日本人の海外在住向けサービスの拡充に普及のポイントが潜んでいると見る。なぜなら国外で生活している人たちは日本の放送を常に見たいと思っている。しかし本来の手段では日本のテレビが視聴できない。その点IPなら基本的に世界各国で映像を受け取れることができる。
コンテンツ料金設定が現行のままであっても十分視聴してくれるのではないだろうか。もし私が仕事の関係で海外に在籍することにでもなれば、お金を出してでも日本の放送コンテンツを視聴したいと思うだろう。そのためにまずPC向けサービスの拡充がある。特に他国語のブラウザに対応した配信環境の整備を行うべきだ。その上、料金支払い方法も柔軟で且つ多角化も同時に進めるべきである。
国内での需要拡大への期待は当然であるが、まずIPだからこそできる市場、即ち潜在的にコンテンツ配信を望んでいる市場に着目させ、日本の放送番組を視聴する手段が限られている人たちをターゲットしたサービス展開に目を向けることが、NHKオンデマンドサービスがやるべき最初の課題ではないだろか。 |
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