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社会

「段階的」対応を堅持 新型インフル、井戸知事に聞く 

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新型インフルエンザの対応などについて語る井戸敏三知事=兵庫県庁

 神戸市で国内初の新型インフルエンザ感染が発生してから一週間が経過した。増え続ける感染者に、兵庫県をはじめ各自治体は対応に追われた。県の対策本部長として、感染拡大防止などを指揮した井戸敏三知事に、これまでの取り組みや浮かび上がった課題などについて聞いた。(聞き手・小森準平)

 -ここまでの対応を振り返って。

 「県内の一部の高校でインフルエンザがはやっていたようだが、季節性と受け止められていた。水際での検疫など国内流入阻止が図られており、新型の感染を疑わなかったのは仕方なかったともいえるが、初動は少し遅れた。その後は県の対策計画を弾力的に運用するなどして実態に合った対応ができたと考えている」

 -足りなかったと感じている点は。

 「感染者が次々に増えたため、それぞれが『どこで感染し、どこで発症したか』という動きを分析する余裕がなかった。濃厚接触者への確認などがもう少し早くできなかったか、という思いはある」

 -県の決定を待たずに休校措置を独自に先行させた市町もある。

 「県は当初、校区ごとにエリア規制を徹底したが、厚生労働省から行動範囲が広い中学生・高校生については一律に休校するようアドバイスを受け、小学校も含めて全県規制に踏み切った。その後、当初の規制エリア外で感染者が出なかった地域については『全県規制で交流を止めたから』と見ることもできる。ただ、市町ともう少し議論した上での対応が必要だったとは思う」

 -国との連携はうまくいったのか。

 「海外の様子などを見ていろいろ想像はできても、毒性について十分に分かっていたわけではない。国は情報を持っていたはずで病状や、『こういう点に注意したらどうか』という的確な情報をもう少し早く提供してほしかった」

 -神戸市の感染確認を県は報道で初めて知った、という問題もある。

 「当初、国は情報伝達について『国と保健所設置市』という関係にしてしまっていた。だが、防災や危機管理は地域全体の問題。すぐに改善されたが、保健所設置市に出す情報は必ず県にも出す、ということが必要だった」

 -自ら会見に出るケースが多かったが。

 「危機管理はリーダーが前面に出なくてはいけない。対策本部長が会議の概要を説明し、きちっと姿勢を示すべきだと考えている。それで説明責任を果たし、情報を県民に発信して理解してもらうことが、不安の解消にもつながると思う」

 -感染経路はどこまでたどれている。

 「高校生間のルートはある程度たどれたが、地域で散発的に出ている方々との接点がよく見えない。最初に感染が確認された生徒は簡易検査では陰性だったが、医師が念のため遺伝子検査に検体を出したら該当した。その時点で既にかなり広がっていた可能性は否定できない」

 -今後の対応方針は。

 「秋以降に危惧(きぐ)される『第二波』も視野に、事態が落ち着けばしっかり検証する。一方、発熱相談、発熱外来、感染症指定医療機関-と段階を踏む現在の対応はできる限り堅持する。病院が物理的に対応できなくなってからあわてないよう、入院を受け入れる医療機関を新たに指定して設備の支援をするなど準備も進め、感染拡大の阻止に努める」

 -風評被害も深刻だ。

 「これだけ人の交流が激減するとは。予想をはるかに超えていた。今の時期はともかく、少し落ち着いたら、神戸、兵庫に全国から来てもらえるようなイベントや行事を地道に重ねていく。感染者や濃厚接触者の健康観察を徹底しているという情報を発信し、『来たら感染する』などという誤解を解く努力をしたい」

(5/24 09:25)


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