国際捕鯨委員会(IWC)の正常化に向けた議論は、結論を再び持ち越した。捕鯨国と反捕鯨国との溝は依然深いが、話し合う雰囲気は出てきた。日本は調査捕鯨の理解を広げる努力が大切だ。
一度もつれ合った糸はそう簡単にはほどけないということなのだろう。機能不全に陥っているIWCの正常化を目指した作業部会だったが、期待が大きかった分、失望感も深い。
作業部会は五月中旬までに「合意案」をまとめ、来月二十二日から開かれるポルトガル・マデイラ島での年次総会で承認する予定だった。結論が一年後に先送りされたことで、今総会では正常化の議論は盛り上がらない見通しだ。
IWCはもともと鯨類資源の適切な管理を目的とする団体だが、一九八二年に商業捕鯨の一時停止(モラトリアム)を決定し八六年から実施に踏み切った。日本も撤退したが同時に南極海でミンククジラなどの調査捕鯨を始めた。
以後、捕鯨国と反捕鯨国との対立は深刻化する一途。ようやく昨年の総会で正常化を目指す作業部会が設置されたばかり。政府筋も「二十年以上対立してきた国々が短時間で和解するとは思えない」と、冷静に受け止めている。
とはいえ両陣営の話し合いは徐々に前進している。日本側は作業部会で調査捕鯨縮小を提案した。捕獲頭数を増やし続けてきたこれまでの方針を転換するものだ。
反捕鯨国側も頭数削減には一定の理解を示したという。だが米、英、オーストラリア、ニュージーランドなどの反捕鯨国は、日本の調査捕鯨は科学的調査に名を借りた商業捕鯨として最後まで調査捕鯨禁止の旗を降ろさなかった。
日本は正常化に向けた取り組みを放棄してはならない。
南極海での鯨類はナガスクジラなど一部を除き順調に回復している。発展途上国などの将来の食料問題を考えれば鯨類の持続的利用は真っ先に挙げられるテーマだ。また北西太平洋ではクジラによるサンマやイワシなどの大量捕食が問題となっている。これらは調査捕鯨で判明したことだ。
一方、水産関係者によると動物性タンパク質を増やすには、畜産よりも漁業生産のほうが二酸化炭素(CO2)排出量は十分の一以下で済むという。地球環境問題からはこの指摘は無視できない。
日本はこれらの「世界共通語」を積極的に活用し、反捕鯨国との和解に取り組んでもらいたい。
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