漢検:志望者が3割減 40校が団体受検中止や中止検討

2009年5月23日 2時30分 更新:5月23日 2時30分

 財団法人「日本漢字能力検定協会」(京都市)の不透明な運営が発覚後、初めて実施される今年度の第1回検定(6~7月)の志願者が、前年比7割と大幅に減る見通しであることが分かった。高校の団体受検中止や大学入試での優遇見直しの動きもあり、さらに前理事長らが逮捕された背任事件に発展。日本最大規模の検定への逆風が強まっている。

 検定は各年度3回行われ、昨年度の第1回の志願者は約90万人だった。漢検の志願者は01年度の約180万人から順調に増え続け、昨年度は約289万人だった。

 例年240万人前後が志願する英検を上回り、国内最大規模の検定となったが、今後も団体受検中止が続けば、年間での大幅な志願者減は必至となる。

 生徒に漢検をすすめて団体受検していた高校でも見直しの動きがあり、毎日新聞が今月、団体受検していた全国の公私立高校約110校を取材したところ、「不祥事の社会的な影響を考慮した」などと中止したり、中止を検討する高校が約40校に上った。

 一方、「ファミリー企業などの問題はあるが、検定自体に不正があったわけではない」「ほかに読み書きの力を付ける検定はない」と利用を続ける高校も多い。

 大学入試でも、札幌国際大や近畿医療福祉大など4大学が漢検利用の取りやめや見直しを検討している一方、「試験そのものに問題はない」(大正大)、「受験生に不公平となるし、5月に受験要項を公表しており、利用は止められない」(帝塚山大=奈良市)として静観する大学も目立つ。

 文部科学省は4月、一連の問題を受けて検定後援を取り消した。一時は検定も延期すべきだとの考えを示したものの、新体制になったことから容認姿勢に転換した。首都圏の私立高や大学からは「文科省の後援もあって導入したようなもの。信用できる検定なのか責任をもって示してほしい」との声が上がっている。

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