シルエットといえば影絵とか影法師と訳せるが、元は輪郭の内側を黒く塗りつぶした横顔の肖像画のことをいった。広辞苑によれば、十八世紀のフランスの大蔵大臣シルエットの名に由来する。
この人は徹底した緊縮財政論者で、極端な節約を提唱したそうだ。肖像画も例外でなく「そんなものは黒影だけで十分」というのが彼の言い分だった。結局周囲の不評を買い、職を退いたと伝えられる。
与謝野馨財務相が国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を二〇一一年度に黒字化する財政健全化目標に関し、予定通りには到達できないとの見解を示した。達成は七―十年程度遅れそうという。
補正予算の財源として国債を追加発行することなどによる。財務相は併せて、政府が来月とりまとめる「骨太の方針二〇〇九」で健全化の新目標を設定する考えも示した。財政再建派とされる与謝野氏としては苦しいところだろう。
景気対策はもちろん大切だが、一方に今年三月末で八百四十六兆円に達した国の大借金がある。つけは子や孫の代へ回っていかざるを得まい。
お金が必要な時も野放図はいけない。支出の一方で財布の中身は常に考えておかなくては。多くの人が一面での戒めを感じたからこそ、シルエットの名は歴史に残ったのだと思う。