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KiKidoblog
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2006/06/18のBlog
【ポルトガル一イラン戦2一0】
デコ復帰で快勝 ポルトガル「1次突破」40年ぶり
ポルトガル、40年ぶりの1次リーグ突破 イランに勝利
試合結果

ワールドカップサッカーの1次リーグは、第1戦目が終わった2戦目があたりが一番面白い。それは、日本代表のように思いがけず初戦に負けたチームがリーグの中で上位を目指して、文字どおりの”一生に一度”の決戦をしかけてくるからだ。”がけっぷちに追い込まれた人間の執念”、”リングコーナーに追い詰められたボクサー”、”傷を負ったトラ”のような、無心の反撃が出てくるからである。

今日のこのイランも今の日本と同様に初戦を負けてこの試合に負ければ後がない。そういう試合であった。イランはドイツ・ブンデスリーガで活躍している選手達を中心に優勝候補のポルトガル相手に非常に素晴らしいゲームをしたといえるだろう。

しかし、アル・ダエイを欠き、ハシェミアン1人ではさすがに得点を取るまでには行かなかった。徐々にポルトガルのペースになり、足がとまった後半に中央が空いた位置からとうとうデコにロングシュートを決められた。それからは歴戦の強者のフィーゴを中心にゲームを支配され、痛恨のPK。それを21歳のクリスチャン・ロナウドに決められて試合が決まった。

それにしてもこのクリスチャン・ロナウドは面白い。技を見せようと、良いところを見せようと焦るばかりに中々うまくいかない。結果に結びつかない。しかし、フィーゴから譲ってもらったPKを決めてから、人が変わったかのようにリラックスし、再三再四の左サイド突破を試みた。同じ事の繰り返しだが、自分の役割に徹するというプロの姿勢が見え始めた。これは、ポルトガルにとって大きな収穫だろう。若い選手が大会の中で自信を持ち成長する。これが次の大会に生きるからだ。

かつて、1970年代に当時ワールドカップで優勝した西ドイツ代表のフランツ・ベッケンバウワー(このドイツ大会の組織委員長)やゲルト・ミュラーやシュワルツェンベックを擁していたバイエルンミュンヘンが日本の国立競技場で日本代表と試合したことがある。私は知人と3人で今でいう朝から会場で待って入るという徹夜組で見に行った。まだ我々は18歳くらいで若かった。

この試合で、後半から左サイドに若い金髪の補欠選手が入り、後半ずっと左サイド突破を繰り返し繰り替えし執拗に狙っていた選手がいた。当時は、1人もくもくとハーフタイムもアップしているこの選手のことは私はまったく名前も知らなかったし、それほどうまいとも思えなかったが、後々理解したところでは、これがまだ若い頃のルンメニゲだったのである。駆け出しの頃のルンメニゲのプレーだったというわけである。このルンメニゲは後に西ドイツの主将へと育って行った。

今日のクリスチャン・ロナウドのプレーはその若き日のルンメニゲを彷佛させるようなプレーであった。おそらく、こういった経験を積み重ねてポルトガルの次世代を引き継いでいくのだろう。

我々日本人が理解しなくてはならない事は、この強豪ポルトガルですら、決勝トーナメント進出するのは、40年ぶり。あのボビー・チャールトン率いるイングランドが初優勝した1966年のイングランド大会で伝説のエウゼビオを擁してこれもアジア初で決勝トーナメント進出した北朝鮮に大逆転勝ちしたポルトガル代表以来のことであるということだ。これほどまでに1次リーグ突破は難しいのである。

今夜の日本一クロアチア戦は、そのイングランド大会で北朝鮮がイタリアとしたような死闘を繰り広げない限り、勝つ事は無理というものなのである。一世一代の”死闘”を期待したいものである。
2006/06/17のBlog
【メキシコ一アンゴラ戦0一0】
エースの不在響く 無得点のメキシコ
ゴールは渡さない アンゴラ意地の互角
試合結果

キーパーが1人でチームを救う。そんな試合がサッカーにはままある。

私が1975年の山梨県高校新人戦初優勝を目出した準決勝の桂高校戦で、敵のゴールキーパーと味方のゴールキーパーの違いで勝負が決まってしまった。こちらのシュートはことごとく敵キーパー藤井に弾かれ、こっちはキーパーの3つのミスで3失点。そして敗退。サッカーとはこういうものだ。

このメキシコ一アンゴラ戦もまさにそういう試合であった。前半はほぼ互角であったが、後半からメキシコペースとなり、アンゴラに1人退場者が出た後はメキシコの疾風怒濤の攻めに変わる。それをアンゴラのキーパーが最後の砦となって防ぐ。そういう試合だった。

このアンゴラ代表のキーパーのジョアンリカルドはフリーターだという。失業中で家の手伝いをしながらサッカーをしているというのだ。ぜひ次の試合もジョアンリカルドには活躍して欲しいものだ。
【アルゼンチン一セルビア・モンテネグロ戦6一0】
アルゼンチン・メッシは史上5番目の年少得点
最初で最後は悲しい末路 完敗だったセルビア
試合結果

”歴史は作られる”。まさにこの言葉通りの試合だった。

アルゼンチンの伝統的な戦い方に、”前半の最初から相手がまだ本調子になる前に3点差をつけて一気に勝負を決める”というやり方がある。この試合は、このアルゼンチンの典型的な速攻にしてやられてしまった観ありである。

サッカーでは3点差は安全圏。前半でほぼ勝負がついたので、後半はだれていたが、監督が、エースのサビオラを休ませ、若手のテベスを入れ、さらにはまさにファンサービスでワールドユース優勝の立て役者、”マラドーナの再来”あるいは”マラドーナの後継者”と呼ばれるメッシを入れて来た。

メッシは、「バック・ツー・ザ・フューチャー」のマーティーに似ているかなり小柄な選手であった。この”メッシの歴史”のための、引き立て役にセルビア・モンテネグロの選手達はされてしまったようだ。もはやだれもセルビアの選手の顔を見ない。大観衆は世紀の天才メッシの一挙手一投足に見入っていた。

私もずっと見ていたが、メッシは実に柔らかい動きで、動き出しが早く、緩急の差のある選手だと思う。いつもやたらめったら動くわけではないが、その時々の”急所”を瞬時に見抜き、最適な動きをするというタイプの選手のようである。

また新たなるサッカーの歴史が作られた。

それをこの目で見ることができた我々は幸運だったと言えるだろう。次のオランダとの戦いは楽しみな試合となった。

さて、このアルゼンチンの選手達は決して”大きくはない”。むしろセルビア・モンテネグロの選手達の方がずっと大型である。メッシ、サビオラ、テベスなどみな160cm台の小柄な選手である。メキシコの選手たちも小粒である。この点日本選手たちと大差はない。

私は、この試合を見ていて、やはり”早いパス回し”と素早いワンツーなどの”ダイレクトのパス交換”。こうした”組織プレー”が大型チーム相手には適しているということだ。この意味で、この試合は、日本がクロアチアに勝利するための非常に良い教材になったはずである。

身体にチャージされる前にパスを出す。ダイレクトでどんどん正確にパスを回す。そうやってボールの支配率を増す。相手ゴール前でワンツーでシュートに入る。このアルゼンチンと同じような戦い方をすれば日本にもクロアチアに対する勝機はあると言えるだろう。

ところで、セルビア・モンネグロは、クロアチア同様に、アメリカ大会以前は、ユーゴスラビア代表としてワールドカップ出場した。ストイコビッチはその時の原動力であった。それが、クロアチアとセルビア・モンネグロに分かれ、今度はさらにセルビアとモンネグロと分かれるという。サッカーの強豪国がまた1つ増えるのか。あるいは、3つの弱小国になるのか、この辺は分からない。日本も3つ4つに分裂して、北海道代表、本州代表、九州代表、四国代表で出られたら良いのだが。イギリスはイングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズに分けれているのだから。サッカーのために国を分かつなんて実にクールだね。


【オランダ一コートジボワール戦2一1】
早い2点リードに落とし穴 オランダ、薄氷の勝利で16強
善戦評価に「負けは負け」 コートジボワール
試合結果

この試合もやはりオランダのホームゲームの観あり。オランダの選手はかなり汚いファールをしていたが、全くといって良い程ファールを取られなかった。こういった”手で押す”、”服を引っ張る”などの汚いファールが、微妙なところでコートジボワールの選手のプレーに響いていた。この意味では、オランダ選手の方が”一枚上”であった。

また”オランダ人特有の行動”もあった。南アフリカ共和国が、長らく人種隔離政策を行ってきたが、この国の白人はほとんどがオランダ出身である。このオランダ人が、原住民である黒人に対して白人優位で非常に”高圧的”かつ”傲慢”な態度を取ってきたことは有名である。実は、こういった国民性がオランダのサッカーにも出るのである。

それは、相手に対して”高圧的に罵る”ということである。熱くなりカッカするとオランダ人は相手に食ってかかる、という特徴がある。そして逆に相手が切れて報復すると大袈裟に倒れて相手を退場に持ち込む。こういう手段を伝統的に良く使う。アメリカ大会の時のオランダ一アルゼンチン戦で、オランダの背の高いゴールキーパーがエースのオルテガに頭の上からしつこく罵ってオルテガが怒って頭突きをし一発退場となったことがある。この時と同じように相手に食ってかかり、口で罵るというのをオランダ人は実に良くやるのである。この試合でもこれをやっていた。

この”カッカする”という気性がなければ、オランダはもっと早い時期にワールドカップ優勝したのではなかろうか。どうもカッカしてみすみすチャンスを失うという傾向がオランダにはあるように見える。

しかし、西アフリカの強豪コートジボワールには、オランダ人気質をうまく利用するまでの経験がまだ足りなかったといえるだろう。

ちなみに、”コートジボワール”とは”象牙海岸”という意味とのこと。
2006/06/16のBlog
最近、日本一オーストラリア戦で主審の”誤審”がちょっと話題となっているようだ。主審が、日本の得点は誤審だったとか、日本のPKを取らなかったとか、こういったことに対して、ヒステリックに怒っていたり、この時とばかりに威勢を上げているものがいる。生物学者の柳田先生などもその1人のようだ。

しかし、ワールドカップ・ドイツ大会が始まるしばらく前に私は
”予想、予想、予想”
にこう書いていた。

”残念ながら私の予想ではアジア勢は1次リーグ敗退である。ひょっとすればスイス、トーゴはそれほどでもないので、韓国が予選突破するかも知れないとは思う。というのも、ワールドカップの歴史に基づいて予想しているからである。

ワールドカップの歴史では、ヨーロッパ開催はヨーロッパ勢が優勝、南米開催は南米が優勝。たった唯一の例外がスウェーデン大会でペレが鮮烈にデビューしたブラジルが優勝というものである。サッカーというスポーツは圧倒的にホーム有利なのである。かつて最強と唱われた神様ジーコのチームですら予選敗退したのである。だから今回の最強ブラジルですら優勝はかなり難しいのである。なぜならたった1つのレッドカードやPKで試合が決まってしまうということもあるからだ。PK戦で敗退という場面もあり得る。審判がいくらフェアにやるといってもやはりヨーロッパ寄りになるだろう。前回の日韓大会はアジア開催でアジア有利にしてくれたのである。2050年までにもう一度日本でワールドカップ開催でもない限り、Jリーグの川淵さんがいうような日本が優勝ということはあり得ないと私は感じる。プロサッカーは相手チームと戦う以上に審判とも戦う必要があるのである。ほとんどの人(選手もファンも)はこれを忘れる。”

この中の最後に

”プロサッカーは相手チームと戦う以上に審判とも戦う必要があるのである。ほとんどの人(選手もファンも)はこれを忘れる。”

と指摘しておいたが、こんなことはこれまでのサッカーの歴史を見れば誰にでも分かる事で、いまさら勝敗がついた試合後に騒いでどうなるというものではない。だからこそ、サッカーの試合では何が起こるか分からないから、試合中は注意して心してかかれ、という意味で私はわざわざ指摘したのである。

しかし、私が指摘したように、日本人のほとんどは例のオーストラリア戦でこれを忘れたのである。

サッカー選手というものは、試合中に審判の”癖”や”目論み”や”計画”、そして”性格”まで見抜かなくてはならない。この主審やラインズマンは、自分達の味方なのか、敵なのかと、そういったことまで見抜くだけの”マリーシア(知恵)”が必要なのである。

選手はどうしてもエキサイトしてしまうために、これを忘れる。そして、アメリカ大会のブラジルのレオナルド、イングランドのベッカムやアルゼンチンのオルテガなどが報復行為の一発退場で勝敗が決まり敗退したように、”はやる気持ち”や”熱い気持ち”が勝敗を決めてしまうのである。

やはり”かっこいい”やつは”クール”なんだよ。クールに行こう。クールに。
【イングランド一コスタリカ戦2一0】
空飛ぶシュート クラウチがピタリ
イングランド決勝T進出 トリニダード・トバゴ下す
試合結果

トリニダード・トバゴは、最後の10分まで何とか優勝候補のイングランドと互角に渡り合っていた。が、しかし、疲れの見えた最後の最後にとうとうクラウチのヘディングシュートで決められ、直後にジェラードの止めの一発が決まって万事休す、という試合であった。最後の最後に”地力”の差が出た試合であった。それにしても、ランパードの不調はイングランドにとっては先行き不安かもしれない。シュートがことごとく外れ、チャンスを潰してしまっているからである。

さて、トリニダード・トバゴという国の歴史は結構面白い。こういう歴史を知っておかないと、このイングランド一トリニダード・トバゴの一戦の価値は分からないと言えるだろう。

トリニダード・トバゴは、トリニダード島とトバゴ島の2つからなり、これらは共に1498年にコロンブスによって発見された。それ以後、トリニダード島はずっとスペインの領土であり、トバゴ島はフランスの領土であった。それが、1797年にトリニダード島が、イギリス植民地となり、1802年にトバゴ島もイギリスの植民地となった。1888年にトバゴ島とトリニダード島は合併し、トリニダード・トバゴとなり、長らくイギリスの植民地となった。それが、1962年 8月31日にイギリスから独立したという実に若い国のようである。

ちなみに、トリニダード島の”トリニダード(trinidad)”とは、スペイン語でキリスト教の「三位一体」の意味であるという。島に3つある山をそう名付けたことに由来する。一方のトバゴ島の”トバゴ”とは、音の響きの通り「タバコ」の意味で、先住民のインディオが吸っていたタバコの意味であるらしい。したがって、”トリニダード・トバゴ”とは、「三位一体・タバコ」という意味であるらしい。実に面白い話である。

ところで、コロンブスが植民地の女を陵辱し子供を作りまくったという話は有名だが、もちろんそんなことは、スペイン人もフランス人もイギリス人もやっただろう。こうして強い優性遺伝のヨーロッパ人遺伝子と島民や奴隷として連れ去られたアフリカの黒人やインド人たちで混血して誕生したのが現代のトリニダード・トバゴ人であると考えられるだろう。

この意味では、先祖と子孫の戦いと見ることもできる。あるいは、植民地時代に支配者となった国と支配された国の戦いということと見ることもできる。肌の色に違いはあるが、体型や顔かたちに似ているところがあるのは、こういった歴史のせいであろう。

果たしてこの一戦をどういう気持ちでトリニダード・トバゴの選手たちは戦ったのであろうか。聞いてみたい気もする。


【スウェーデン一パラグアイ戦1一0】
苦境救った貴重な一撃 スウェーデンのユングベリ
シュート16本、枠内は3本 パラグアイ決定力不足響く
試合結果

この一戦も最後の最後までもつれた試合だったが、後半終了真際にスウェーデンの”スウェーデンらしい”攻撃でついにユングベリがヘッドで決めた。

パラグアイは前の試合でも明らかだったが、今のフォワードのバルデスではまず勝つのは無理だろう。日本の高原や柳沢といっしょでボールがゴールの枠内に飛ばない。全部があっちこっちへ行ってしまう。きちんとキックの体勢を作ってから蹴るという練習が足りないか、あるいは”慌て者”の性格であわててやみくもに蹴ってしまうのだろう。あるいはあまり賢くなく、いつも同じ事をくり返してしまうのであろうと思う。

これと比べると、今大会はロングシュートが結構決まっているが、今日決めたイングランドのジェラードにしても、ベッカムにしても、他の国々のロングシューター、例えばブラジルのロベルトカルロスにしても、共通の性格、つまり、”クールな性格”の持ち主であるように見える。このことからも、シュートは”熱くなって”も入らず、むしろ”クールに”決めるべきものであるということが分かる。


ところで、最近の欧米では日本語でいう”かっこいい”を”クール”と表現するが、この試合で決勝点を入れたスウェーデンのユングベリは、”超クール”な選手という。なんでも、ユングベリは下着のモデルにもなっているとかで、身体には自信があるらしい。

「最もセクシーな選手」はユングベリ ドイツ誌調査

”ドイツのファッション雑誌ブンテ(電子版)は15日、サッカーのワールドカップ(W杯)に出場している「最もセクシーな選手」にスウェーデンのユングベリ選手が選ばれたと伝えた。”

どうやら、ドイツ人女性は”ハゲ”はあまり気にならないらしい。

ちなみに、2位はポルトガルのクリスチャン・ロナウド。3位はイングランドのベッカムとイタリアのデルピエーロ。
【エクアドル一コスタリカ戦3一0】
31歳FWデルガド、エクアドル躍進の原動力に
守備の弱さを露呈 2連敗で敗退のコスタリカ
試合結果

いやー、強い。南米代表のエクアドルがここまで強くなっているとは思わなかった。ドイツを苦しめたポーランドにも快勝し、コスタリカにも危なげなく快勝。

この原動力は、右サイドのメンデスだろう。早い突破とベッカム並みの正確無比なセンタリングで、相手守備陣を翻弄する。トップのデルガドはこのセンタリングに合わせるだけで得点できる。

デルガドは言う。

「僕らはもっとできる。うまくプレーしているし、全員が一生懸命だから」
「イングランドとはやってみたい。自分たちはどんなチームとも対等に戦える」

次のエクアドル一ドイツ戦も実に楽しみな試合となった。
[ 18:55 ] [ WCドイツ大会 ]
それにしても、ずーーと昔からスポーツマンの間で囁かれて来たように、国際試合の最初の国家演奏における”君が代”斉唱は今一つだと私は思う。どうもこれは力が入らない。”君が代”斉唱は、あくまで優勝したり、入賞したあとに”おごそかな気持ち”になる場面では適しているが、これから”いざ出陣”という前に”君が代”ではテンションが下がる。ほんとに止めて欲しいものだ。何とかならないものか。少なくとも、試合前の特別バージョンが必要だと私は考える。

それと比べて、
”ラーーララーラーラーラーラララー ラッラーラーラーラッラララーー”
で始まる今大会のドイツ国歌は素晴らしい。

さすがに、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが、1797年に神聖ローマ帝国皇帝フランツ2世に捧げた、「神よ、皇帝フランツを守り給え」(後に編曲され弦楽四重奏曲『皇帝』第二楽章にの主題になる)のメロディーに、1841年にアウグスト・ハインリヒ・ホフマン・フォン・ファラースレーベン (August Heinrich Hoffmann von Fallersleben) がヘルゴラント島で詠んだ詩を付けたもの、というだけのことはある。それがその後に、ナチス・ドイツの象徴となり、長らく禁止されていたが、東西ドイツの統合を機に復活したものである。

一応それをここに紹介させてもらうとしよう。

【ドイツ国歌】

”統一と正義と自由を
父なる祖国ドイツの為に
その為に我らは挙げて兄弟の如く
心と手を携えて努力しようではないか
統一と正義と自由は
幸福の証である
その幸福の光の中で栄えよ
父なる祖国ドイツ
その幸福の光の中で栄えよ
父なる祖国ドイツ”


一方、
”タタ タッター タッター タータタ タタタタッター タータターー”
フランスの国歌『ラ・マルセイエーズ』も素晴らしい。フランス代表のジダンの『マルセイユ・ルーレット』は、まさにフランス国歌と重なる。

【フランス国歌】

”いざ進め 祖国の子らよ
栄光の日は やって来た
我らに対し 暴君の
血塗られた軍旗は 掲げられた
血塗られた軍旗は 掲げられた
聞こえるか 戦場で
蠢いているのを 獰猛な兵士どもが
奴らはやってくる 汝らの元に
喉を掻ききるため 汝らの女子供の

(コーラス)
武器を取れ 市民らよ
組織せよ 汝らの軍隊を
いざ進もう! いざ進もう!
汚れた血が
我らの田畑を充たすまで”

ついでに、ワールドカップの優勝候補の国々の国歌も以下に並べておこう。

ブラジル国歌

”イピランガの川岸から聞こえる
鳴り響く勇者達の雄叫び
祖国の空に自由の太陽が光輝く

力強き腕(かいな)で勝ち取りし平等の誓い
おお 自由よ その胸の中へ
我等の魂は死をも厭わない

愛しき 崇拝すべき祖国よ
万歳!万歳!

ブラジル そこは鮮やかな夢と
愛と希望の光が振り注ぐ大地
清き微笑が漂う美しき空
南十字星がまばゆく光り輝く

生まれながらにして強く美しく
恐れ知らずの巨人よ
汝の未来は偉大なものとなろう

<コーラス>
おお 愛しき祖国 ブラジル 
数多(あまた)の中で最愛の国よ
汝は我等の優しき母
愛しき祖国 ブラジル!”

イギリス国歌

”おお神よ我らが慈悲深き女王(国王)陛下を守りたまふ
我らが気高き女王(国王)陛下よとこしへにあれ、
神よ女王(国王)を守りたまへ:
君に勝利を幸を栄光をたまはせ
御世の長からむことを:
神よ女王(国王)を守りたまへ”

アメリカ国歌

”1.
おお、見えるだろうか、
夜明けの薄明かりの中
我々は誇り高く声高に叫ぶ
危難の中、城壁の上に
雄々しく翻(ひるがえ)る
太き縞に輝く星々を我々は目にした

砲弾が赤く光を放ち宙で炸裂する中
我等の旗は夜通し翻っていた
ああ、星条旗はまだたなびいているか?
自由の地 勇者の故郷の上に!”


スペイン国歌

世界でも稀な歌詞無しの国歌。

アルゼンチン国歌

”衆諸よ 聖なる声を聞け
「自由を 自由を 自由を!」
聞け 鎖の壊れる音を
見よ 気高い自由が王座に就くさまを
南部諸州が連帯し
誉れ高き王位を今こそ示さん
そして世界の自由の民が応える
「アルゼンチンの偉大なる民よ、敬礼!」
「アルゼンチンの偉大なる民よ、敬礼!」
そして世界の自由の民が応える
「アルゼンチンの偉大なる民よ、敬礼!」

<コーラス>
名誉よ永遠なれ
我等は勝利の術(すべ)を知っている
栄冠と共に生きよう
さもなくば名誉ある死を誓わん! ”

クロアチア国歌

”1.
麗しき我が祖国
恐れを知らない 恵み豊かな国
古(いにしえ)の祖先の栄光
常しえに祝福されんことを

我等の唯一の栄光
我等の唯一の存在
我等が愛する祖国の地よ
我等が愛する祖国の山々よ

2.
サヴァ川、ドラヴァ川、流れ続けよ
ドナウ川よ、勢い衰えることなく
深く碧い海よ 世界に告げよ
クロアチア人は祖国を愛していると

太陽の光が土地に振りそそぐその時にも
オークの木が強い風にしなるその時にも
愛する者が天に召されるその時にも
心臓が鼓動を続けるその時にも”

オーストラリア国歌

”1.
オーストラリアの同胞たちよ
喜ぼうではないか 我々は若くて自由だ
苦労して手に入れた黄金の地と富
海に囲まれた我が国は、
美しく豊富で貴重な 自然の恵みにあふれている。
歴史の中でとこしえに歩まん
進め 美しきオーストラリアよ!

喜びのメロディにのせて歌おう
進め 美しきオーストラリアよ!

2.
輝きを放つ南十字星の下で
我が国の名を世界中に知らしめるため
我々は誠実に努力を続けよう
海を渡りて来たりし者達のため
限りなく広がる平原を分かち合おう
勇気を持ちて団結しよう
進め 美しきオーストラリアよ!”

-----------
さて、最後に批判するだけではいけないので、我が国の国歌”君が代”の戦闘モードバージョンを我々は”発案”しなくてはならない。

私の個人的趣味としては、高校野球で有名な千葉の銚子商業の校歌(相馬御風作詩、東儀鉄笛作曲):

”幾千年の昔より
海と陸との戦いの
激しきさまを続けつつ
犬吠崎は見よ立てり”

のように、意味深くて簡潔でそれでいて勇壮な歌詞とメロディーの国歌がベストだろうと思う。

そこで、例えば、これを少し捩って、

”幾千年の昔より
海と陸との戦いの
激しきさまを続けつつ
大和魂ここにあり”

のような国歌はどうだろう。別に戦争復活させるわけではないし、右翼になれ、というわけでもない。試合前に意気揚々となるような国歌を作るべきだという意味である。

今回のワールドカップでは、これまでとうって変わり、ヨーロッパチームはみなお互いに肩を組んで国歌を唱っている。ヨーロッパが優勝しようという意気込みが見える。

いずれにせよ、日本人が試合前に肩を組み合って勇壮に唱い、試合の戦闘モードに入って行けるような素晴らしい国歌が必要である。私は、国会議員や政治家が、愛国心、愛国心教育と叫んで見たり、憲法改正と言う度に、そんな下らんことを言う前に、まずは本来の国歌を作り直すべきだと思う。
【ドイツ一ポーランド戦1一0】
ドイツ、1一0でポーランドに競り勝つ サッカーW 杯
試合結果

いよいよ、1次リーグ2戦目に入った。再びグループAが始まり、ドイツ一ポーランド戦。

この試合は、かつての第二次世界大戦の時のナチス・ドイツのポーランド侵攻を思い出させるような、”疾風怒濤(シュトゥルム・ウント・ド ラング :独 Sturm und Drang)”を思い起こさせるゲームであった。

優勝候補ドイツは、1人退場で少なくなりハンディキャップのあるポーランドを、いたぶるかのように、前後左右から徹底的に攻め続けた。それでもポーランドは、かつての”西部戦線異常なし”のように、身を呈して捨て身の防御で最後の最後まで、ドイツ軍侵攻を食い止める。しかし、ロスタイムの最後の最後にとうとう首都ワルシャワを侵攻され陥落した。

とまあ、こんなその昔の第二次世界大戦の歴史すら彷佛される、近代稀に見るビッグゲームであった。死闘というそのものであった。

いやー、久しぶりに良いものを見せてもらった。両チームには心から感謝したい。

この必至のポーランドと比べれば、オーストラリア戦のふがいないこと。”サムライブルー”の名が廃る。これって、”ブルー(ウツ)になったサムライ”という意味ではないよな。とにかく、結果はともあれ、仮に負けたとしても、黒沢明監督が熱愛した武田信玄公の「影武者」で描かれた、長篠の戦いの武田軍のように、”勇猛果敢”に最後まで戦って欲しいものである。この心意気が世界中の国民を感動させるのだ。

私と同じ山梨甲府生まれの中田英寿には、この”武田の血”もどこかに流れているいるはずだからである。
【スペイン一ウクライナ戦4一0】
無敵艦隊豪快 新星起用で圧巻の4発
スペイン、4一0でウクライナに快勝 サッカーW杯
試合結果

いよいよ最終組のグループHの出番となった。

スペインの”無敵艦隊”ついに登場。シェフチェンコのウクライナ兵を撃沈。まさに、そんな感じのゲームだった。スペイン”非常に強し”の印象あり。

シェフチェンコのウクライナも旧ソ連のサッカーそのもので、スピード感あるチームという印象を持っていたが、それをも上回っていたのが、世界一厳しくかつスピード豊かなスペインリーグ(リーグ・エスパニョーラ)で揉まれているスペインであった。

最初の2得点は、コーナーキックとフリーキックというセットプレーからのかなりラッキーなゴール。しかし、ウクライナのゴールキーパーがもう少しうまければもっと緊迫した試合になっただろうが、あまりに下手だった。3点目もラッキーなPK退場のゴール。この主審は、明らかにスペイン寄りであった。これは、一発退場ほどひどくはなかった。圧巻は4点目の高速パスワークでフェルナンド・トーレスの豪快なシュートだった。まさに、撃沈させるとどめの1発であった。

やはり涼しい国からやってきたウクライナの選手には、この”暑い”会場は消耗したようだ。その点、スペインに歩があった。

ところで、一方、ホスト国のドイツはドルトムントという、非常に”涼しい”場所で試合が組まれているというから、ここにも”徹底的に”母国を愛するドイツ国民の国民性が感じ取られて非常に面白い。ブラジル、イングランド、スペイン、イタリア、アルゼンチン、オランダなどのライバル国は、とてつもなく”暑い”会場でまさにデッドヒートをくり返される。その間ドイツは決勝まで涼しい場所で消耗せずに戦えるという寸法である。

すでに入念に「ドイツ優勝」への”仕込み”ずみなのであろう。だんだんその仕組みがはっきりしてきたと言えるだろう。

【サウジアラビア一チュニジア戦2一2】
チュニジア追いつき、サウジアラビアと引き分け W杯
試合結果

1次リーグの最終マッチは、”アジアの雄”サウジアラビアと”アフリカの雄”チュニジアという、1クラス下のレベルどうしの熱戦となった。それもそのはず、サウジは12年振りの1勝、チュニジアは78年大会からの28年振りの1勝を目指す。おそらく、日本もこのレベルのチームならかなり勝率が高いだろう。

サウジは最後の最後まで、実に試合運びをしていた。が、最後に突き放したと思ったその5分後のロスタイムでサウジの左サイドからのセンタリングをヘッドで決められた。まさに”ドーハの悲劇”を彷佛させるような一発であった。リードして残り数分をどう過すか、というのが、”マリーシア”の見せ所だが、それができないのが、このクラスのチームと言えるのかも知れない。

ところで、それにしても今大会は、ボールがゴールポストやバーに良く当る。これも、新しく採用された”ツルツル”ボールのせいなのだろうか。なかなかボールが枠に入らないように感じる。蹴った選手もボールが振らつくために自分が蹴った軌道と少しずれたところに飛んでいくのだろう。

サウジもポストに弾かれなければ勝負はついていたのかも知れない。
いやはや私が「【793】 ”戦い”はすでに始まっている! 2006/05/24(Wed)」の中で

”ワールドカップ・サッカーでアウェーの戦いとは、こういったことを意味するのである。選手の周り中が敵になる。白人種は勝利のためには全く手段を選ばず徹底的かつ組織的に対処してくるのである。そういうお国柄、民族性なのである。”

と予想していた通り、ホスト国のドイツのメディアは、最有力ライバルのブラジルを酷評、中傷し始めたようである。

ブラジル代表のロナウドを手厳しく報道 ドイツ各紙

「ずんぐりなロナウド」
「太っちょロナウド、あざ笑われる」
「観衆の論議の的はロナウド。何と動きの鈍いことか。丸っこいスーパースターよ」
「驚いた」一ギュンター・ネッツァー
「この試合はまさにロナウドにとってどん底への道」一ウェルト
「芸術性の低い試合内容だった。『魔法のカルテット』と呼ばれる4人も試合らしい試合はしていない」一ウェルト
「1一0はだれにも感動を与えない結果」一ビルト

我々日本人特有のメンタリティーからすれば、そこまでやってまで勝ちたいのか、という気になるが、ヨーロッパの白人遺伝子というのは、そういうものなのである。これが、かつて数学者の岡潔博士が「欧米人は業が深い」と評した特性である。

しかし、この誹謗中傷合戦の中でもタフに勝ち抜く以外に優勝はあり得ない。これが、ワールドカップのホームとアウェイの違いというものなのである。
【ブラジル一クロアチア戦1一0】
ブラジルがクロアチア下し、本大会8連勝 W杯F組
試合結果

王者ブラジルついに登場。そのベールをはがす。

やはり、ブラジルサッカーは強かった。クロアチアもチェコのように素晴らしいチームだが、やはり最後には決定力や個人技の差がものを言う。”カルテット・マジコ”のアドリアーノ、ロビーニョ、カカ、ロナウジーニョの4人組が揃うと手に追えないという感じであった。試合結果は1一0だが、実際には、5点くらいは取れたのではないか、という王者の試合だった。

果たして本当に”ロナウジーニョの大会”になるのだろうか?

日本は得点王争いの最大のサービス国にならないことを祈るのみ。カカ、アドリアーノのハットトリックの立て役者が日本だったら恥ずかしすぎる。

とにかく、神様ジーコの評判を落とす事だけはして欲しくない。実際、ジーコのチーム日本に対するブラジル人の”怒り”は留まるところを知らないという感じである。
[ 18:44 ] [ WCドイツ大会 ]
ビリッチ・インタビューにも書いたが、日本には天才がいない。チームに天才がいない状況でどう戦うか。それは、かつての日本企業が行ったように、”組織力で戦う”しかない。

そこで、ジーコ監督が選んだ現状のメンバーでどういうチームを組むべきか。私の個人的趣味では以下のメンバーがベストだろう。

FW:高原直泰 中田英寿
MF:中村俊輔
MF:三都主アレサンドロ 遠藤保仁 稲本潤一 小笠原満男
DF:中田浩二 宮本恒靖 中沢佑二 
GK:楢崎正剛

高原直泰は、体力がないので、後半、玉田、大黒、巻に変えるべきだろう。ボランチは、遠藤保仁と稲本潤一のwボランチ。右サイドバックは、加地や駒野より小笠原の方が良いように見える。トップ下は、中村俊輔。もうあとは中田英寿をトップに上げてシュートさせるほかないだろう。

果たしてジーコはどうするか。川口、茂庭と駒野は使って欲しくないところだね。
さて、背水の陣に陥ったジーコジャパン、次のクロアチア戦をどう戦うべきか。
これに関して面白い記事があった。
「運命」また日本が相手サッカー・元クロアチア代表に聞く

岡田ジャパンが、1998年W杯フランス大会でクロアチアと対戦した時のディフェンダー、スラベン・ビリッチ氏(37)のインタビューである。この試合は、シュケルの得点で1一0でクロアチアが勝利した。日本は、アルゼンチン、ジャマイカにも負けて3連敗で1次リーグ最下位で敗退した。日本の置かれた状況がその時に似ているということから、スラベン・ビリッチ氏(37)へのインタビューということになったようだ。

【スラベン・ビリッチ氏インタビュー】
「中村だけでは厳しい」

2大会ぶりに日本とクロアチアが対戦する

 「運命だね。あの時は同組にアルゼンチンという本命がいて、ブラジルがいる今回の組と似ている。日本には1一0で勝ったが、我々に大きなチャンスは少なく、引き分けてもおかしくない試合だった」

当日は猛暑だった

 「試合開始時にはピッチ上の気温は43度あった。条件面では、サッカー人生で最も困難な試合だった。耐久力では日本が勝っていたが、(GKの)ラディッチが日本の決定的なチャンスを防いだ。シュケルの決勝点も相手GKが止められたかもしれなかった。私たちには少しの運もあった」

当時の日本代表は

 「小さいけれど速いFWに、GKの川口も興味深かった。規律を持った良いチームで、そこに最大のスターの中田(英)がいた」

日本はその後、進歩したと感じるか

 「もちろん。海外から最高級の監督が来ている。代表監督もジーコだ。才能ある国民であり、働く国民だし、聞く耳も持っている」

98年と現在のクロアチア代表を比較して

 「しっかりとした守備で簡単に失点しない点は当時と似ているが、現代表は創造性や攻撃における個々の質に欠ける。98年には一人で試合を決められる天才がいた。日本戦のようなこう着状態でシュケルが単独で試合を解決したように」

クロアチアはドイツ大会でどこまで行けるか

 「難しい組だ。初戦のブラジル戦に負ければ残る2試合に勝たねばならなくなる。クロアチアにとって、“何かをしなければ”という状況に陥るのは理想的ではない。ただグループリーグを突破すれば、そこからは一発勝負で何でも起こりえる。だからサッカーは人気のあるスポーツなんだ」

日本の弱点は

 「まずは高さ。セットプレーは高さのあるクロアチアが得意だ。そして予測できないようなプレーから得点を生める天才的な選手が少ない。中村は良い選手だが、W杯レベルの大会で、彼一人で試合を解決するまでにはいかないだろう」
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私がこのインタビューで特に印象を持ったのは、ビリッチが『日本には勝負を1人で決められる天才がいない』と指摘していることである。つまり、元クロアチア代表のストライカー、シュケルのような天才がいない、という指摘である。

これは、おそらく、普通の日本人(サッカー指導者)の感覚からすれば、非常に驚くはずである。もっともサッカーを知らない人はそうは思わないだろうが。なぜなら、小笠原、小野、中田英寿、中村俊介、柳沢など、日本の少年サッカーチームや高校サッカーチームを指導して来た指導者たちの間では、10年20年の”天才”と言われて来たからである。にもかかわらず、ビリッチは断言した、という意味だからである。

クロアチアのビリッチにとって天才とはロマーリオやベベト、シュケル、古くはペレ、マラドーナ、ゲルト・ミュラーのような選手の意味である。今大会では、ロナウジーニョ、カカなどである。こういった選手が日本にいないとビリッチは言っているのである。

その昔、日本にJリーグがなかった頃も日本の少年サッカーは国際的に結構強かった。しかし、中学、高校、大学、一般と進むに連れてチームは弱くなった。これと似た傾向が今もあるということだろう。小学校や中学校や高校では天才と唱われるが、それが成人するとワールドクラスのトップレベルには辿り着かない。

ここに日本の教育制度の最大の問題点がある。サッカーはこういった問題点が誰の目にも比較的分かりやすく出るが、これは、多くのサッカー選手や監督が言って来たように、(例えば、ドゥンガ、ジーコ、ベンゲル監督)日本の教育制度一般の特徴なのである。科学教育であれ何であれ、この問題は日本社会のあらゆる分野に共通する深い問題なのである。たまたまそれがサッカーだと分かりやすいということなのである。だから、私は10年ほど前に「物理学界はJリーグに学べ!」を日経サイエンスに投稿したというわけだが、この10年というもの、一向に変わってはいないのである。

どうやれば、天才を育てられるか?
どうやって真のエリートを育むか?

これが、これからの日本の教育界の”悲願”となるだろう。
【韓国一トーゴ戦2一1】
韓国、交代策がずばり、逆転でアジア勢初勝利
韓国が逆転勝ち、トーゴに21 サッカーW杯G組
試合結果

アジアの”雄”韓国登場。ライバル国の日本が”みじめな惨敗”を喫していたので、韓国は気持ちよくプレーしていたという感あり。

アフリカのチーム、トーゴは、初出場。前評判もそれほど高くなく、ワールドカップ本戦前のいくつかの試合であまり良いところなく負けて来た。この意味では、グループGの弱小チームである。

そういう弱いチームに対しても確実に勝利することが大事であるが、韓国は一度は1点リードされ劣勢に立たされても冷静に勝機をうかがっていた。後半になっての同点フリーキック、そして途中出場のアン・ジョンファンの決勝点は、韓国の底力を見せるものであった。

しかし、トーゴもさすがにアフリカチームで身体能力には素晴らしいものがあり、かつて初めてワールドカップに出場したナイジェリアやガーナを彷佛させるものがある。こういうチームは波に乗れば自信を持ってとてつもない力を発揮するということがあるので、なかなか手強い相手と言える。

アフリカの黒人は元来おおらかで勝負にはあまり気にしないところがある。そこが、勝負や勝利にこだわり過ぎるヨーロッパの白人とは違う気質であるが、アフリカ人が勝負にこだわるようになると、本当に将来の強敵になることだろう。

【フランス一スイス戦0一0】
フランススイスは引き分け サッカーW杯G組
試合結果

ついに、フランス登場。しかし、結果は”ああ、やっちゃった”という感じであった。

ジダンは相変わらず良い感じのプレーをし、再三再四のチャンス、決定機を演出していた。が、トップのアンリが相変わらずシュートが枠に行かない。何かに”のろわれている”としか思えない。フランスは、前回の日韓大会も無得点で終わったが、優勝した前々回のフランス大会でも、アンリのシュートはなかなか入らなかった。

スイスは、チェコに似た実に素晴らしい好チームであった。事実予選では、2度フランスと戦い、0一0、1一1と引き分けだったという。この試合も0一0の引き分けで、フランスの手の内を知り尽くしているという感じがした。

この意味では、スイスはフランスの天敵かも知れない。今後の戦い次第では、韓国とスイスが1次リーグ突破という可能性も出て来た。フランスは、次の韓国戦が勝負となるだろう。

それにしても、この試合、日本一オーストラリア戦のように、主審はスイスよりで、ゴールエリア内のハンドも見のがすなど、フランスは辛酸を舐めさせられたようだ。これも、ドイツ大会ゆえのこと。ライバルのイタリアには、”八百長疑惑”でゆさぶり。フランスには、審判で対抗。そして、最大のライバルのブラジルには”主将カフーのパスポート詐欺事件”でゆさぶる。

これが、以前私が「【793】 ”戦い”はすでに始まっている! 2006/05/24(Wed)」 で書いたように、”白人種は勝利のためには全く手段を選ばず徹底的かつ組織的に対処してくる”という意味なのである。

ところで、テレビで見たところ、観客席にフランス大会でフランスが優勝した時のジャケ監督が見に来ていた。試合後の”心配そうな顔”が特に印象に残った。日本人に知られているフランス人監督は、このジャケ監督、トルシエ監督、そしてベンゲル監督である。
【チェコ一アメリカ戦3一0】
「味方のパス信じ全力疾走」徹底 チェコ、連係会心
主軸ドノバン、シュートなし アメリカ
試合結果

東欧のサッカーの伝統を一身に受けたチェコ、ついに発進。

私は、個人的には、ブラジルサッカーよりもこのチェコのサッカーに「全員で守備し全員で攻撃する」という”サッカーの神髄”を感じる。サッカーの基本は、「サッカー場でバスケットボールをすることだ」というのが、ヨーロッパ伝統のサッカースタイルである。細かくパスをつなぎ、全員の集散とバランスの取れた位置取り、こういったサッカーの基本がすべて出来ていたのが世界ランク2位のチェコであった。アメリカは強豪であったが、チェコのサッカーの前に”睨まれたカエル”状態であった。

特に、エースのネドベドはまさに”サッカーの教科書”という感じであった。決してブラジルのロナウジーニョのような”はでなプレー”や難しい技はないが、基本に忠実なプレーの組み合わせで相手チームを追い詰めていく。

バスケットボールもそうで、簡単なパス交換をして敵陣にボールを運び、シュートレンジに入ればシュートする。ただそれだけで、必ずしもダンクシュートのような難しい技は必要ない。

サッカーもこれと同じなのだ。しかし、これが日本のサッカー界ではほとんど理解されていない。また、少年たちも、簡単なキックで正確なシュートを打つ事よりもカッコ良い技を好む傾向がある。確かに、高度な技は個人技収得の練習にはなるが、それが試合で生きるということはあまりない。それよりは、ゴールの枠内に正確なシュートを打つ事や味方への正確なショートパスやロングパスを蹴けることができるようにすることのほうがよほど大事なのである。

優勝候補チェコついにその姿を現した。それにしてもネドベドの運動量はすごかった。攻守に渡りフィールド全体をくまなく動き回った。中田もここまでは動けなかった。

一方のアメリカも非常に良いチームで、今一歩のところで得点シーンというのもあったが、チェコの分厚い中盤と守備陣の前に一歩も前に進めなかったという印象を受けた。チェコのサッカーは、まるでサッカーの”チェス”のようなち密なサッカーであった。アメリカは完全にチェコに”つめ”られてしまった。

【イタリア一ガーナ戦2一0】
してやったり イタリア、うまい速い
仕上げ不足、「仕方ない」 ガーナ監督
試合結果

グループCは”死のリーグ”といわれているが、このグループEもまた”死のリーグ”である。アフリカの強豪ガーナ、優勝3回のイタリア、世界ランク2位のチェコ、そして世界ランク8位のアメリカ。

イタリアはその”ミスターフィジカル”と呼ぶに相応しい身体能力のチームガーナに横綱サッカーをやった。チェコのサッカーとも違う、スピーディーな電撃サッカーである。かつてロッシをフォワードに持った時のイタリアに近いチームが戻って来た。一瞬のミスも見のがさない電撃的サッカーである。今回はかつてのロッシの代わりをイアクインタが行っている。伝統の”カテナチオ”に加えて、電撃フォワードが戻って来た時のイタリアは強い。疾風怒濤の攻めをする。結果的にはガーナが良いところなく負けてしまった感じである。

今回のイタリアは、非常に良いチームで、私の個人的な<a href=" http://www.doblog.com/weblog/myblog/19256/2570797#2570797">優勝予想</a>もあながち間違っていないかも知れない。
【日本一オーストラリア戦1一3】
日本悪夢、後半39分から3失点 サッカーW杯
サッカーW杯日本初戦、豪に1一3 中村の先制点守れず

いやー、残念。日本が”勝てる試合”とみな思ったことだろう。前半の中村のセンタリングを主審がキーパーチャージを取らなかったので、日本の得点になってしまった。これを日本の”幸運”と思い、日本が勝てると思うのが、いわゆる「日本人特有のメンタリティー」というものなのである。

一方、私はそうは思わなかった。というのは、1一0で折り返したハーフタイム終了後、日本の選手達はてくてくと歩いて入場する間、オーストラリアの選手達が全員走って入場する姿に気付いたからだ。まだまったく試合を捨てていない強烈な印象がこのハーフタイムの入場シーンに見て取れた。私は、これは後半ヒディンク監督は何か策を仕込んだな、という印象を持った。

後半、何度か日本にチャンスがあったが、高原のシュート、福西のシュートなど、決定的なシュートが外れていく内に徐々にオーストラリアのペースになっていく。

後半35分、残り10分でもうすぐ日本の勝利が見えて来た頃、ヒディンク監督が動く。ヨーロッパリーグで活躍している、ケーヒル、長身のケネディ、アロイジと投入。ケネディの頭に合わせる単純なパワープレーで、一気にムードがオーストラリアに傾く。

そして、後半39分、ついに川口の不用意な飛び出しでキーパー不在のゴールにケーヒルのシュートが突き刺さる。同点。それから、あっという間に、ケーヒルのミドルシュートで逆転され、最後にアロイジの突破で息の根を止められた。

この試合の日本の問題点は何か?

というと、これには、キーパーの問題と選手の問題がある。

ゴールキーパーの川口は、私はここ10数年ずっと見て来ているが、川口の最大の弱点は、「1試合通して集中力が維持できない」という欠点がある。特に大事な緊張する試合ほどそういう傾向が現れる。「1試合の内に平均して3回はサイドに流れるミスキック」をし、「平均1回は不用意で”中途半端な”飛び出し」をする。だから、2点以上取らない限り川口の場合には勝利をつかむのは難しい。

この典型的な欠点が、同点の原因を作ってしまった。あそこは、もう少し我慢すべきであった。中途半端な飛び出しは動揺の証拠で、一番後ろのキーパーが動揺し始めたらバックラインは浮き足立つ。

もう1つの選手の原因とは、俗にいう”厄病神”、つまり、”ツキのない選手”のことである。どうして特定の選手が厄病神となってしまうのかは私は分からないが、とにかく現実にそういった選手はいる。このジーコジャパンでは、茂庭と駒野である。

茂庭はユースの頃から見ているが、大事な試合で必ずミスをして負けるという”厄病神”的選手である。一方の駒野もあまりツキがない。自信がないのかもしれないが、何かが原因で”へま”をし負ける、というタイプの選手である。個人的に見れば、両者ともに結構うまいのだが、試合となるとどうも逆に”厄病神”になってしまうのである。

私は、ディフェンダーの田中誠が怪我で帰国し茂庭に替わったこと、今度は現地入りして、ドイツ戦で加地が駒野に替わった時、”いやーな予感”がした。ましてや茂庭には出てほしくないと思っていたところへ、なんと坪井が負傷で退場し茂庭が出て来た。何という皮肉。茂庭自身は何という棚ぼた式の幸運と思っていただろうが、私から見れば、”不吉な予感”でしかなかったのである。

結局、これが当り、茂庭が途中出場してから、ディフェンスのコンビネーションが崩れて、まったく機能しなくなり、結局投入した茂庭をまた下げで大黒を入れるという馬鹿げたことをジーコはしなくてはならなかった。

この直接の原因は、茂庭は日韓大会の時の韓国のイ・ミンソンと同じようなタイプの選手だからだ(韓国はこのイ・ミンソンのへまでドイツに負けた)。つまり、味方がボールを取って前線に送ったり、あるいは自分がボールをフィードすると、そのボールに気を取られて自分のポジションのバランスやマークする相手の動きを忘れてしまうからである。一言で言えば、ボールに釣られてしまう選手なのである。ふらふらと前に中途半端に上がるから本来自分がいるべき場所ががらがらとなり、後先になって追い掛けるが追い付かないというプレーをする。これがチームにとっては”厄病神”となる。

駒野は、精度の悪いミスセンタリングでチャンスを潰し、身体が小さいので怖がって”逃げた”ディフェンスをする。これが、駒野の”厄病神”の原因である。オーストラリア戦の最後のアロイジの突破を生んでしまったのである。

当面の最善策としては、茂庭と駒野を使わないこと。これしかない。左サイドは茂庭ではなく、トルシエジャパンで経験している中田コウジを使い、右サイドに中沢、中央に宮本、左サイドバックをアレックス、右サイドバックを小笠原にして、急遽修正すべきであろう。

いずれにしても”厄病神”がチームにいては勝てない。

やはりヒディンク監督の方がサッカー監督としてはジーコ監督より経験があり、ずっと上なのである。監督経験の差が試合結果になって出たということだろう。監督のインタビューにそれが出ている。

●ジーコ監督 
「1一0でリードを守るサッカーができなかった。試合運びにミスがあって、追加点も奪えなかった。相手も必死。勢いもあって逆転された。残念な結果だ。ただうちもいい部分もあった。次に備えたい」

○ヒディンク監督(豪) 
「暑く、乾いたグラウンドにもかかわらず、選手はよくやった。傲慢(ごうまん)な言い方ではないが、交代がうまくいった。日本を分析し、中盤で勝たなければいけないと思っていた」
【メキシコ一イラン戦3一1】
メキシコ、イランを3一1で破る
37歳ダエイ、衰え隠せず イラン、メキシコに完敗
ブラボ、初出場元ボクサー さらり2得点
イラン守備 弱点さらす

この試合の印象は、まさに”世代交代”。”アジアの大砲”アル・ダエイも若いメキシコのスピードについて行けなかった。

それにしても、失点のほとんどがイランの左サイドからのクロスでやられた。メキシコのこの右サイド突破を計ったのが、ボクサー出身のブラボーである。今日2得点。ディフェンダーのオソリオのオーバーラップも凄まじいものがあった。

しかし、前半序盤のイランのハシェミアンのヘディングシュートが決まっていれば、展開はかなり変わったものになっただろう。イランは運がなかった。

アジアの強豪を一蹴したメキシコも相当に強いチームである。

【ポルトガル一アンゴラ戦1一0】
ポルトガル、1一0でアンゴラ下す W杯
迷彩フィーゴ突破 好調パウレタが決めた

今大会は、”サッカーがうまくてもダメなんだよ。私の場合はね”のCMで有名なクリスチャン・ロナウド(背番号17)が出ているので、果たしてどんなプレーをするか、と注目していたが、ポルトガルはやはり伝説の男フィーゴのチームであった。

この試合のフィーゴは、レアル・マドリードにいた頃よりずっと動きに切れがあり、さすがにフィーゴを思わせるものがあった。再三再四のチャンスにクリスチャン・ロナウドがシュートするが、バーやキーパーに弾かれた。フィーゴの素晴らしいプレーと比べると、クリスチャン・ロナウドのプレーはトリッキーな”技”に溺れて、周りとの連係プレーがほとんどなかった。一言、”若い”というところであった。

我が家の息子たちの印象では、クリスチャン・ロナウドは、『スターウォーズ』のアナキン・スカイウォーカーに似ていて、かなり自分勝手な悪童に見えたようで、大笑いしていた。「ジェダイの戦士」のヒィーゴの前で、欲求不満の高まるアナキン・ロナウドのような感じであった。実に面白かった。
後半ベンチに下げられ、不満げに試合を見るロナルド

一方のアンゴラも身体能力、個人技に冴え、1つ間違えば、ポルトガルも失点を食らうところであった。今や世界のサッカーはほとんど差がなくなりつつあり、強豪国と言えども、本気でやらなければ勝つ事は難しい。そんな時代に突入した。
【アルゼンチン一コートジボワール戦2一1】
リケルメが2得点に絡む アルゼンチン白星発進
コートジボワール首都に歓声 アルゼンチンに1点差惜敗
試合結果

3日目、”死のリーグ”、グループCの初戦。南米の優勝候補筆頭の1つ、アルゼンチンが登場。

2点差までは、アルゼンチンがアルゼンチンらしい攻めで優位に試合を進めたが、コートジボワールの得点シーンは凄かった。超人的なスピードでアルゼンチンもまったくついて行けなかった。

それにしても、トリニダード・トバゴ(Republic of Trinidad and Tobago)にしてもコートジボワールにしてもスピード、身体能力や個人技ではもはやけっしてひけを取る事はない。むしろ強豪国を勝っているほどである。しかし、まだ問題があるとすれば、ゲームプランや戦術的な面だが、それも見たところではそれほどの差はなくなりつつある。後は、自信や経験の差というところだろうか。

【オランダ一セルビア・モンテネグロ戦1一0】
攻撃はつらつ、挑戦開始 ロッベン鮮やか決勝点
一瞬のすき突かれ失点 速攻通じなかったセルビアM
試合結果

オランダ一セルビア・モンテネグロ戦は、”長身チーム”の戦いとなった。極めて大型化したチームの戦いでサッカーそのものの面白さもあるが、K1のような肉体のぶつかり合いというような面での1対1の対決が面白かった。

そんな中でも、オランダのロッベンは、これまでのオランダ選手の綺麗なプレー、エレガントなプレースタイルと比べれば、無骨な感じがするが、スピードで突進していくというスタイルは、昔の西ドイツの選手を思わせる面白さがあった。

得点シーンでは、セルビア・モンテネグロのディフェンダー陣がロッベンのスピードに完全に取り残され、追い付く事ができなかった。イングランドのルーニーやオーウェンのようにスピード豊かな選手である。不思議な事に、こういったスピード豊かな選手たちは皆”小柄”である。

日本は、高原、柳沢、玉田、大黒などの小粒なフォワードであるために、オランダのロッベンやイングランドのオーウェンなどの動きを学んで、スピード突破するというのも1つの手であると言えるだろう。特に、オーストラリアやクロアチアのような大型チームには、このオランダの得点シーンが参考になるだろう。

一方、セルビア・モンテネグロの攻撃は全体的に”切れ”がなく、ミロシェビッチも前評判ほどの動きはなかった。最大のチャンスでも仲間どうしで邪魔しあう格好となり、ツキもなかった。しかし、優勝候補のオランダとほぼ互角の戦いができるチームで、非常に強いチームであるということは間違いない。第2、3戦の星の潰しあいとなる試合は本当に文字どおりの”死闘”となることだろう。
2006/06/11のBlog
【イングランド一パラグアイ戦1一0】
イングランド、オウンゴールが決勝点に サッカーW杯
パラグアイ、「曲者ぶり」示したが決定打出ず

2日目、グループBの初戦。ついに優勝候補、ベッカムのイングランド登場。


この試合も見たが、前半最初は、これぞプレミアリーグの”高速サッカー”という感じで、開始4分でベッカムのフリーキックからオウンゴールとなり、あっと言う間の得点であった。いったい何点入るのか、という疾風怒濤の攻めだった。



しかし、それを何とかパラグアイがしのいで行く内に、攻め疲れたイングランドにたびたびほころびが出て、”あわや”のシーンが何度も出て来た。しかし、あまりにパラグアイのツートップの精度が悪くて救われたと言える。おそらくこのバルデスでは得点は無理だろう。ゴール前で慌ててしまい、無理してシュートを打つので、みすみすチャンスを逃しブレーキとなった。イングランドはバルデスに救われた。後半途中出場のクエバスの方がずっと良かった。この選手をもっと早くから使っていれば、もっと面白いゲームになったのではないかと思う。

一方、イングランドは、ジェラード、ランパードの中盤が非常に良い動きをしていたが、ジェラードのシュートはかなり精度が悪かった。やはり初戦の緊張感のせいだろう。試合中盤からいわゆる”イングランド伝統”のキック&ラッシュのラグビーサッカーに変わり果ててしまい、これでは優勝は無理だろう、という感じである。もっとち密なサッカーをしなくては優勝はできない。


北欧の強豪スウェーデンは、終始初出場の小国トリニダード・トバゴを圧倒したが、トリニダード・トバゴの選手の身体能力の高さでしのぎにしのいだ、というゲームであった。戦術、個人技、身体のどれをとってもスウェーデンが勝っていたが、それをトリニダード・トバゴのねばりと身体能力で捨て身で守り抜く。その姿が実に感動的であった。退場者1人を出しても最後まで攻めの気持ちも捨てなかったのは、ぜひ日本も見習って欲しいところである。
2006/06/10のBlog
ジーコジャパンより一足先に日本人主審がワールドカップデビューを果たした。

日本人審判が活躍 上川主審と広嶋副審

開幕戦のドイツ一コスタリカ戦の後のポーランド一エクアドル戦で、上川徹主審(43)と広嶋禎数副審(44)が韓国の金大英副審(43)とともにワールドカップでビューを果たし、好判定を見せた。W杯で日本人が一緒に主審と副審を務めたのは初めてという。(ちなみに、この試合は2一0でエクアドルが勝った。)

かつてアントラーズにジーコがいた頃、94年1月16日のJリーグチャンピオンシップの川崎一鹿島の第2戦で”ジーコのつば吐き事件”というのがあった。覚えている人もいるだろう(忘れてしまった人は、例えば、「つば吐き」に見た執念:井上真参照)。

これは、主審の高田さんが、ペナルティーエリア内の”オブストラクション”という間接フリーキックとなる反則にペナルティーキックを与えてしまったために、怒ったジーコがPKの前にボールにつばを吐き、退場を命じられたというものである。ペナルティーキックはペナルティーエリア内の直接フリーキックとなる”危険な”反則に対して行われるものだからである。ちなみに、主審が手を上げるのが間接フリーキックの場合で、直接フリーキックの場合には何もしない(ただし反則の場所は示す)。

が、日本のマスコミのだれ1人これを指摘するものはなかった。当時、もっとも人気チームであったヴェルディに主審が勝たせたくてサービスをしたように私には見えた。この時の試合では、読売のオフサイドはオフサイドにならず、ことごとくヴェルディ側に審判が立ち、挙げ句の果てに訪れたのがこのPKであった。フェアーな紳士で世界的に有名な神様ジーコも、これにはついに感情が爆発し”ぶち切れた”のであった。

ちなみに、こういった時に”自身の感情を権威の前で示す事ができるものこそ本物の人物だ”と西洋では考えられているということを指摘しておこう。こういう場合、日本人は、”衆目の前や権威の前では醜態をさらすことをはしたなく感じる”という日本人特有のメンタリティーがある。しかし、これは残念ながら、世界の常識に通じない。逆に、”臆病者(=チキン)”と見なされるのである。自分が”誰の目でみても正しいと信じられる”のであれば、それを主張するために自分の感情を爆発させるのが世界の常識なのである。ドゥンガしかり、ストイコヴィッチしかり。

これからワールドカップがどんどん進んで行くが、この点を覚えておくと、西洋人の行動様式が理解できるから試合をもっと面白く見られるはずである。

さて、私の記憶では、この時の高田さんが、メキシコ大会の時に初めて主審をしたのではなかったかと思うが、それ以来のことである。この高田主審は退場者(レッドカード)や警告(イエローカード)を良く出すことで有名で、そればかりか読売出身のために読売ヴェルディ寄りも有名な主審であった。

私は上川徹さん、この人のNHKの番組を見ていたので、このアマチュアレフェリー時代の高田主審よりははるかにプロらしい、非常にフェアな主審という印象を持った。今朝のポーランド一エクアドル戦でも、あの有名な”上川スマイル”連発で、実に”見事に”あらくれ男どもをコントロールしたようだ。実に素晴らしい快挙だと私は思う。ぜひさらに上の試合でも彼が主審をできることを期待したい。
いよいよワールドカップサッカー・ドイツ大会が始まった。

開幕戦は、ホスト国のドイツとコスタリカ。結果は、4一2でドイツが一蹴した。
誕生日に2得点、独を快勝に導いたクローゼ
試合速報

やはりドイツは強かった。終始試合をコントロールし、オフサイドトラップの失敗で2失点を食らったが、エースのクローゼの渋い2得点とフリンクスのロングシュート、シュナイダーとシュバインシュタイガーの豊富な運動量が光った。

見た感じでは、シュバインシュタイガーがもっとも危険な選手であるようだ。左右に動き回り、昔のブライトナーのようにしぶとい動きをする。そして、抜け出ると、正確にトップのクローゼに送る。特に、シュナイダーとシュバインシュタイガーが並んだ時がもっとも危険である。シュナイダーとシュバインシュタイガーそしてクローゼで2点目を決めた。

それにしても、180cm台のクローゼが小さく見える程、ディフェンダー陣が大きい。メルテザッカーの横に並んだクローゼが子供に見えた。このディフェンダー陣に空中戦で勝つ事は難しい。

したがって、ドイツ一日本戦の時の柳沢一高原のパスで相手の裏をつく方法が有効となるが、コスタリカの2得点はまったくそれと同じような展開で得点した。ここに現ドイツ守備陣の弱点がある。

この直接の原因は、4一4一2のフォーメーションのうち、右サイドバックのフリードリッヒがラインの上げ下げでいつも遅れを取り、1人だけ残って正確なオフサイドトラップがかけれないからである。高原の時も今回の2得点もいつも引きぎみにいるフリードリッヒが相手フォワードとかぶって微妙なオフサイドを取る事ができなかったことが原因である。

いっそのこと、3一5一2に変えて、右サイドバックのフリードリッヒと左サイドバックのラームをもっと前よりにすれば、3人でラインの上げ下げが統率できて安定するかも知れないが、ドイツはドイツ伝統の4一4一2のフォーメーションで戦うだろう。

しかし、ドイツは良く動くなあ。さすがに伝統のコンチネンタルサッカーが今も生き生きとしている。バラックが不在でもここまでやるのだから、ドイツもやはり立派な優勝候補の1つであろうネ。
2006/06/09のBlog
[ 08:57 ] [ サッカーJリーグ ]
磐田の山本監督が辞任 成績不振「身を引く」

いよいよワールドカップ・ドイツ大会が”華やかに”開幕直前となったが、その一方で、上の記事が”それとなく”載っていた。

日本のヤング世代の監督やコーチを勤め、しばらく前に名門ジュビロ磐田の監督に就任していた山本昌邦監督が、”成績不振”を理由に監督辞任したというニュースである。

しかし、私はそうなることは、”ずーーと以前から”分かっていた。というのも、中田英寿時代からそれを率いていた山本監督の指揮振りをずっと観察して来たからである。
【231】 U23日本代表アテネ行きおめでとう:山本監督に望むこと 2004/03/22(Mon)
【349】 サッカー五輪代表大丈夫?:山本ジャパンのていたらく 2004/07/26(Mon)
世界ユース日本、首の皮1枚で決勝トーナメント進出
アテネ・オリンピック関連

元名古屋グランパスの監督その後イギリスプレミアリーグの名門アーセナルの監督となった知将ベンゲル監督の本「勝者のエスプリ」、あるいはアメリカ大会で優勝したブラジルチームの主将ドゥンガの本「セレソン」などで、かならずと言って良いくらいに”日本人監督”の話が引き合いに出る。もちろん、”悪い典型”としてである。

実は、この時の日本人監督の典型とは、加茂監督であったり、この山本昌邦監督のことだったのである。

私は最初の「【231】 U23日本代表アテネ行きおめでとう:山本監督に望むこと 2004/03/22(Mon) 」でこう書いていた。

『(4)”代表の試合は選手を試す場ではない。”
私が、ジーコ監督と違って、山本監督のやっていることで一番理解できないことが、これである。山本監督は、平山選手、最近では東京ヴェルディの森本選手に触手を伸ばしているという。こういう若くて才能ある選手を発掘して良いチャンスを与えるのは大切なことである。しかし、それは、十分な練習と経験を積んでから、というものであるだろう。』

『ところが、この山本監督は、長いことU15、U17、U20のコーチをしていたために、どうやらU23レベルになっても、この時の習性が抜けず、相変わらず若手選手を発掘してはチャンスをやるという”仕事”が自分の仕事である、と錯覚しているように見える。これでは、U23は国と国の対決であるオリンピック代表である、という事実や、U23代表の中からその4年後にはワールドカップ代表チームの核になる選手が育つということを無視していることになるだろう。』

『山本監督には、Jリーグのどこかのチームにいる一スカウトのような行為は止めてもらいたいものである。もっと年齢的に適切で、サッカーに対して真摯に取組み、肉体的にも精神的にもタフで、マリーシア(単なる生真面目でなく知恵の働く)があり、アウェーに強い選手を代表に選んでもらいたいものである。ファンタジスタは日々のプロリーグでのサービス精神のためのものであり、オリンピックやワールドカップは、堅実なプロの中のプロの祭典なのである。私はそう思うのである。』

おそらく、山本監督は、この路線そのままでJリーグの強豪のジュビロ磐田でもやってしまい、成績不振を招いたのだろうと私は理解している。ジュニア発掘、ジュニア育成と、トップチーム運営との間には大きな差がある。また、ベンゲル監督、ドゥンガ選手やジーコ監督など海外のサッカー先進国の人間が指摘して来たように、”日本人特有のメンタリティー”はサッカーでは邪魔になることはあっても良い方向に働く事はない、のである。結局、山本監督に典型的に見られる日本人的メンタリティーがサッカー監督という特殊な職業においては不利に働いたということだろうと私は見ている。

”勝つと思うな、思えば負けよ”、”勝って兜の緒を絞める”というように、うまくいっている時ほど厳しくなるというベンゲルやドゥンガの嗜好は、かつての日本のサムライのものであり、”勝負の世界”の鉄則なのである。この”男の鉄則”を忘れたものは、ピッチから去る他はない。
2006/06/08のBlog
いよいよワールドカップドイツ大会開幕が明日になった。

「誘惑に惑わされるな!」ジーコ監督、熱弁5分超

この記事によると、ジーコ監督は、23人のメンバーに、どんな態度で臨むべきか、”檄(げき)”を飛ばしたという。

ところが、チーム内は、浮き足立ったグループと厳しさをかもし出すグループに2分してしまったというのだから、ジーコ監督も大変だ。


ここにきて、1997年に名古屋グランパスのベンゲル監督が「勝者のエスプリ」で言ったこと。


1998年にドゥンガが「セレソン」で言ったこと。



などが、再び現実味を持ってしまったということである。全く”困った国民性”だ。まあ、日本人の遺伝子に組み込まれた性格だからいたしかたないが、それを克服するのは、我々日本人はそういう気質があるのだ、と自覚する事である。

この点については、2年前に私が「サムライサッカーを目指せ」で書いたおいたので、ぜひご一読を。この中の「いま必要なのは謙虚さだ」を読んで欲しい。(【7】 セレソン:闘将ドウンガの日本人論 2003/09/12(Fri)も参照のこと。)ちなみに、今回の日本代表のことをだれかが”サムライブルー”と名前を付けたようだが、日本のサッカーの方向性として一番最初に”サムライサッカーを目指せ”と言ったのはこの私である。これは2004年からこの本としてネット上に掲示して来たからだ。

この中で、半年後にワールドカップフランス大会をひかえたドゥンガはこう言っていた。

”【いま必要なのは謙虚さだ】
そして最後に彼はきたるべきフランスワールドカップのことを議論する。ここでワールドカップに初出場が決まった程度で浮かれるなと指摘。オリンピックでブラジルに1勝したくらいで浮かれ、ワールドカップで優勝などと考えるな。日本人に必要なことは現実を見据えた謙虚な気持ちであると彼は言う。むしろ、これまでに犯した数多くのミスをチェックし、試合直前まで用意周到に最大限の準備をせよというのが、このフランス大会前のアメリカ大会で優勝を遂げたブラジルの闘将ドウンガの日本人へのアドバイスだった。
最後に彼は言う。
「それは、ワールドカップがただサッカー界最大のイベントだからではない。ワールドカップが日本という国を世界に知らせる絶好の場だからだ。もしワールドカップがなければ、ブラジルのことを知らない人は多かったはずだ。その重要性を日本代表の選手たちはまだ理解していない。」”

これをつい最近の出来事に置き換えて見れば、こうなるだろう。

”直前の練習マッチでドイツに引き分けたくらいで浮かれ、ワールドカップで優勝などと考えるな。日本人に必要なことは現実を見据えた謙虚な気持ちである。むしろ、これまでに犯した数多くのミスをチェックし、試合直前まで用意周到に最大限の準備をせよ!”

まさに、ブラジル人のジーコ監督はドゥンガと同じことを感じていたのである。だからこそ、選手達を集めてミーティングを行いこういったのであろう。

「ドイツ戦(5月30日)で騒がれているが、誘惑に惑わされないで、今までやってきたことを忘れず一生懸命やってほしい」

ジーコ監督は主将のDF宮本(G大阪)に

「もう一度、チームを締め直してくれ」

と懇願したというわけだ。

ところで、「こんな試合をしていたらW杯で負けてしまう」と感じたグループはもちろん中田英寿を中心としたグループだろう。この中には、恐らくサントス、高原、中村などが入っているだろう。

一方、「まだ時間があるから実感がない」と楽観視するグループというのはだれか?

私の個人的想像では、今回初出場となっている選手たち、玉田、大黒、巻、茂庭などが入っているだろうと思う。

要するに、海外で苦労した経験があったり、前回出場を逃したりして厳しさを味わった選手達が前者のグループで、逆に楽に代表入りしたり棚ぼた式に代表入りした選手達が後者のグループに入っているはずである。

特に大黒については今朝の日本一ドイツ戦:大黒不調のそのわけは?に書いたように、フィギュアスケートの荒川静香さんとの交際(交流?)が囁かれているので、私生活面でかなり浮き足立っているように見える。実際、今度のTBS系のワールドカップキャスターに彼女が抜てきされた。このことからも2人の間には何かありそうな気配がある。なぜなら荒川さんがサッカーとはこれまで一度も聞いたことがないからである。大黒選手は、ドイツ大会を私物化しないことをただ祈るのみである。果たして玉田や大黒を入れたおかげで日本チームは分裂の危機なんてことにならなければ良いが。

ジーコ監督も苦労が絶えないネ。
今回、「とある件で東京都内へ行く用事があって」と昨日書いた用件とは、こんなことである。日本の歴史上初めてのことであるので、それを記念してここにちょっとメモ代わりに紹介させてもらおう。

しばらく前に以下のようなボブスレー関連のエッセイ:
日本のボブスレー、”氷上のF1”参戦決定!
日本のF1メーカーよ、ボブスレーに参戦しよう!
”ボブスレー開発”協力者求む!
他国のボブスレーチーム
を書いていたところ、そのオリンピックのボブスレー強化コーチ、現総監督のジャンボさんから、どうしたら日本のボブスレー競技を強くできるかという問い合わせをもらったのである。


ところで、私は、柘植先生の「反秀才論」に関して、「柘植の『反秀才論』を読み解く」という本を書いた関係で、しばらく前から柘植先生の大親友で航空宇宙や流体力学の専門家の方と知り合いになっていた。

昔の東大の航空宇宙流体力学というと、戦前では戦艦大和やら零戦やら日本を代表する最先端技術を名実共に担って来た、文字どおりの”俊優”たちが集った場所なのである。抜群の数学力と秀でた物理的直感なくして実際の戦争で勝つに足る実用技術は生み出せなかったのである。こういった戦前の大秀才や天才や反秀才たちが、将来物理学者になると言えば、戦前は航空流体力学分野だったのである。

戦後、アメリカ軍により、そういった軍事技術の推進者であった学者たちは、これらの場から追いやられて組織は解体されてしまった。航空宇宙流体の理論をやっていた人々は、名前を変えて、大学の応用数学者になったり、別の分野の専門家となったり、あるいは、民間企業に勤めたりせざるを得なかった。実験や製作を行っていた実験学者たちも野に下り、民間企業で自動車、新幹線、YS11、ジェット機、ロケットやタンカーなどの開発に向かったのである。そして、見事に日本は戦後の復興を技術立国として成し遂げたというわけである。

私が知り合いとなった人はそういった日本の栄光の歴史の立て役者の1人であった。したがって、その方の知人や友人もそれぞれにこういった戦後日本の再興を果たすのに大きな役割を果たした人々で、真の実力を持つ人々なのである。


たまたま、私がこういう昔の東大(今の東大ではない)の俊優を知っていたので、私は日本のボブスレーチームに、私がかねてから考えて来たように、「ボブスレーという競技は科学的にやらないと絶対に好成績を収めることはできない」から、科学者や工学者たちに協力してもらうように、と参考意見を言って、その方を紹介してあげたのである。すると、学者の方々も日本のボブスレーの”惨状”を理解し、皆さん無償で協力してくれるということになり、今回日本の歴史上初の「第1回ボブスレー工学研究会」を駒込で行う事になったのである。

というわけで、私もその歴史的イベントに生き証人として参加すべく自腹で自費参加したというわけである。そしてこれから、みんな手弁当で頑張り、次のオリンピックまでに何とか純国産のボブスレーを作って参戦できるところまで行こうという結論と相成った、ということである。ちなみに、これまで日本のボブスレーチームの使用して来たボブスレーは、ドイツの何年か前の旧式モデルの払い下げで、それでも600万円もする。私が乗せてもらったボブスレーはソルトレイク・オリンピックに参戦した時のもので、今回トリノ・オリンピックに参戦したボブスレーよりはるかに性能や状態が良いものであるという。


ここだけの話、今の日本ボブスレーチームにはお金がない。ボブスレー1台600万円以上もかかるのに、年間の総予算は500万円程度である。これでは純国産のボブスレー開発も難しい。学者たちの尽力で設計図ができたとしても、製作ができない、ということになってしまいかねない。この問題をクリアーするためには、資金面での改善が必須である。

ここを見ている、お金持ちの皆さん、ぜひ寄付をしてくださいネ。

”ボブスレー日本”が将来オリンピックで入賞できるように、寄付をしていただけるとスタッフのみんなも非常に喜ぶだろう。

果たして、いつの日か冬期オリンピックのボブスレー競技に日の丸を上げる日は来るのだろうか?

何とかして、悲願達成を果たしたいものである。協力を惜しまないという方々はいつでも御連絡くださいヨ。
2006/06/07のBlog
[ 10:29 ] [ 紀行文 ]
私は今回とある用事で何年か振りに東京都内に行く事となった。用事の場は駒込にあったが、ここは1990年から92年の3年間私と妻が住んでいた場所であった。1990年10月にアメリカユタから4年ぶりに帰国し、弟のマンションにしばらく住まわせてもらい、その後富士通に就職が決まった後、大通りに面した駅から5分程度の場所のマンションを借りたのだった。最初の子供が生まれたのもこの場所で、ここからずっと先にある東京医科歯科大で長男は産声をあげた。私はドア1つ隔ててずっと様子を伺っていたのである。

この頃の駒込は実に活気があったように感じていたが、今回訪ねてみると、日昼それも日曜日なのに、実に閑散としていた。もっともすでに住宅街と化して住む人が日昼は部屋に引き込んで出てこなかっただけなのかも知れない。いずれにしても、我々が住んでいた15年前とは六義園界隈も閑散とした雰囲気であった。

一方、やはり10数年前の同じ頃、目白のビアホールに行って知人達と飲み会をしたことがあった。その時の印象は、線路沿いの一角だけがサラリーマンで賑わっていて、それ以外は学習院大学しかないというような閑散とした印象しか持っていなかった。

ところが、今回ホテルが目白駅から学習院大の反対方向にあったために、その界隈を歩いて見る機会があったが、その昔の印象とはうって変わって、目白は若者達が自由に闊歩する実に活気のある街へと変わっていた。まずは、これに驚いた。また、徳島阿南のこの辺では絶対に見かけないような美形の美人達も闊歩し、中年の私の目を楽しませてくれた。

私は、最近、「大和民族=古代イスラエル人(失われた10部族)説」を勉強したこともあり、日本人のルーツというものにも非常に関心が高まっているために、道歩く人々の顔や骨相や鼻の形からヒップラインや手足の長さのバランスなど男性から女性からしげしげと眺めるという癖がついている。そうしておいて、この人は南方原住民系出身だなとか、こやつは北方ツングース民族系だなとか、この女性は西アジア系ルーツの子孫だろうとか想像しては楽しんでいるというわけである。だから、私と出会えば、おそらく身体から頭から身体の内部に至までジッと観察されている印象を人は持つに違いない。きっと相手は変な野郎にしげしげ睨まれたという錯角や印象を持つだろう。

こんな感じで目白界隈を歩いて感じたことは、やはり日本人の中にはコケイジアン(=白人)的要素を持った人が少なからずいる、ということである。わし鼻、細長い鼻、鼻筋の通った鼻を持つ、かなり色白の人々である。こうした人々は結構目もともすっきり二重であることが多い。しかし、不思議と小柄である。女優では、沢口靖子さんタイプ、タレントでは佐藤珠緒さんタイプである。こういったタイプの女性を東京では結構見かける。男性でもそうである。

問題は、こういった遺伝子が近代日本の開国後、あるいは室町以降の西洋人渡来以降の遺伝子から来たものなのか、あるいはそれよりずっと以前の3000年以上昔の邪馬台国の時代、大和民族から継承されて来たものなのか、という点である。要するに、戦国時代頃に西洋人が日本に来て、日本の女性を現地妻として適当に種を付けたものが、西洋人特有の強い優勢遺伝のために日本民族の中でも消されずに生き残った形質なのか、あるいは、西洋人が来るずっと前から、そういった白人的な民族が日本に存在したのか、という問題なのである。

私の個人的推測では、後者であろうと考えている。それは、室町以降日本にやって来た西洋人が手記や記録などを本に後々した際に、決まってアジアの中で日本が一番住みやすかったというような印象を述べ、その理由の一番のものに、何か自分と顔かたちが似ているということをあげるものがほとんどだからである。特にユダヤ系の西洋人はこれが特異なほどに強く、アインシュタインもかつて日本に何か郷愁のようなものすら感じたほどである。

最近まで、なぜアインシュタインが日本をあれほどまでに愛したのかその理由は見当たらなかったが、日本の神道が古代ヘブライ教のしきたりと非常に似たものであり、日本の太古の大和文化ほど古代ユダヤ(特にユダヤとイスラエルに分かれたうちのイスラエル)の文化に似ているというたくさんの事実が浮かび上がってきた昨今では、やっとその理由が私には分かったのである。

大和(ヤマト)の響きは、”ヤー・ウマト(=ヤホヴェの民)”と同じであり、カタカナこそ日本語のもっとも古い文字であり、それが古代ヘブル語由来のアルファベットと90%一致しているという事実。大和言葉と古代ヘブル語の5000にも及ぶ同音同意語。京都の祇園祭と古代イスラエルのシオン祭の類似。神道の楽器と古代ユダヤ教の楽器の類似。神道儀式と古代ユダヤ教儀式の類似。こういった数々の類似が大和民族と古代イスラエルの失われた10部族の共通点を指し示している。(ヨセフ・アイデルバーグ「日本書紀と日本語のユダヤ起源」)。

日本人の中に「古代イスラエルの失われた10部族」の末裔を探し出す試みほど面白いものはなく、巷で流行っている「ダビンチ・コード」などよりさらに面白い希有壮大な物語である。

イエス・キリストが生誕する1000年以上も前、古代ユダヤは北のイスラエルに住む10部族と南のユダヤに住む2部族に分裂。古代イスラエルの民はアッシリアに滅ぼされ、アッシリア捕囚となりヨルダン川東方に連れ去られた。そこを逃げ延び西アジアで開墾した古代10部族は気候変動による砂漠化のために、アラブ人の住む西に戻る事はなく東へ東へと北方アジアルートで進む。約800年の年月をかけておよそ3000年前に日本の一歩前の朝鮮半島に辿り着く。そして最後に対馬経由で日本列島に到着。神の約束の地、飛鳥に邪馬台国を作る。飛鳥(アスカ)とは、古代ヘブル語で居住地という意味である。古代ヘブル語は日本語の大和言葉の原形となり、古代ヘブル語のアルファベットはカタカナに変わる。古代ユダヤ教は原住民と共有できる神道に変わり、古代ユダヤの伝統は脈々と神道の神社や天皇家に伝わる。

こうして数千年の歴史の間に、カナンの地から西に移ったユダヤ人(古代2部族)は西洋化し、東に移ったイスラエル人(古代10部族)は東洋化した。それが、3000年後、明治維新を経て、日本人と西洋人が再び世界史の中で出会う。西に散ったユダヤ人は、西洋人特有の強い優勢遺伝子の中で姿形は変わっても自分のユダヤルーツを絶やさないように努力し、ユダヤ教を熱烈に保存した。一方、東に散った古代イスラエル人は、古代ヘブライ教をアジア的なものに変え、現地に溶け込むほどにマイルドなものとなり、神道に変わった。そして、最初のヤホヴェの一神教から八百おろずの神の多神教民族へと変身した。しかし、アジア人の弱い劣勢遺伝子のために、現在でもその昔の面影がそのまま残る。アジアの中の西洋的な風貌の民族、大和民族として残った反面、宗教的にはもっともおおらかな民族へと変化したのである。

もしこんなストーリーが本当であったとすれば、道歩く人々の顔をしげしげと眺める他ないではないか。あなたの中の古代10部族の遺伝子はどこにある。お前の鼻はどこから来た。なぜあなたは中央アジア、西アジア的な食べ物のヨーグルトが好きなのか。

山の手線に乗っている間、疲れ切ったサラリーマン達の顔を見つめながらこんな希有壮大な物語の根拠探しをしていたのである。俺も暇だなー。
2006/06/03のBlog
今から4年ほど前、私は「#1605 隕石衝突とフラーレン 2002/05/09」というエッセイを書いていた。これは、 拙著「フラーとカウフマンの世界」にもまとめたが、その中で”隕石衝突”と生物の大進化の関係について以下のようなことを書いていた。

”まあ、いつ起こったかまとめると、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー→ クラゲ、藻
あ)先カンブリア時代、6億年前ーーーーーーーー→ アノマノカリス、ナメクジ魚、コノドント(うなぎの先祖) 
い)オルドビス紀とシリル紀の境、4億4千万年前→ オーム貝、無顎魚類(やつめうなぎ)
う)デボン紀と石炭紀の境、3億6千万年前ーーー→ 有顎魚類(めくらうなぎ)、昆虫、植物
え)ベルム紀と三畳紀の境、2億5千万年前ーーー→ 両生類、は虫類、恐竜
お)白亜紀と第3紀の境、6500万年前ーーーー→ は虫類、恐竜(恒温)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー→ ほ乳類、鳥類、

もちろん最後の(お)が恐竜絶滅の原因になった大隕石の衝突。

これを眺めると、確かに

ア)海の植物から海の単純動物へ、
イ)海の単純動物から魚類へ、
ウ)魚類から両生類ヘ、
エ)両生類からは虫類ヘ、
オ)は虫類からほ乳類へ

と生物の5つの大進化と対応しているように見えるねー!”

今日の次の記事
南極に巨大クレーター、海洋生物9割絶滅の隕石跡?
によると、(え)の『ベルム紀と三畳紀の境、2億5千万年前』に起こったと考えられる巨大隕石の衝突場所が分かったというニュースである。なんと、その場所は、南極大陸であった。

米オハイオ州立大のR・フォンフリーズ教授を中心とするグループが、上空からレーダーで測定した地形と衛星による重力データを重ね合わせた結果、重力が周囲より強い区域が直径約300キロにわたって広がり、それを直径約500キロの円形の尾根が囲んでいる。つまり、直径約500キロの円形クレーターが南極大陸の氷の下に眠っていたというのである。この大きさから推測して、隕石の大きさは直径約50キロ。そして、この衝突が衝撃となって深部のマントル物質が上昇してきた跡があり、これが原因でゴンドワナ大陸(太古の超大陸の一つ)が分裂したのではないかと推測しているという。

一方、(お)の『白亜紀と第3紀の境、6500万年前』に起こった”恐竜絶滅”の直接の原因となった巨大隕石の衝突は、メキシコのユカタン半島沖合にある直径約300キロのクレーターである。この隕石の大きさは直径約10キロであると考えられている。したがって、南極の隕石は、はるかに大きい。

これらのことから、(え)の『ベルム紀と三畳紀の境、2億5千万年前』の巨大隕石衝突は、両生類を絶滅させ、は虫類や恒温動物の恐竜へと進化を促した。そして、その次の(お)の『白亜紀と第3紀の境、6500万年前』の巨大隕石衝突は、は虫類や恐竜を滅ぼし、我々ほ乳動物族や鳥類へと進化を促した、と考えられている。

では、もしこのように生物大進化の起爆剤が巨大隕石衝突であったと仮定できるとするのなら、
(あ)『先カンブリア時代、6億年前』、
(い)『オルドビス紀とシリル紀の境、4億4千万年前』、
(う)『デボン紀と石炭紀の境、3億6千万年前』
の場合の巨大隕石の痕跡であるクレーターはどこにあるのだろうか?

巨大隕石衝突跡地を探索するというのも面白いかも知れない。あなたも挑戦してみたらどうか?まだ、3つも残っているのだから。

ところで、あと約120年後(2122年)にこの地球に大接近し、15日ほど周期がずれると、地球に衝突するかも知れないといわれている彗星がある。スウィフト・タットル・木内(きうち)彗星と呼ばれるものである。この時の衝突場所はインド洋であると予測されている。(浅川嘉富著「謎多き惑星地球」徳間書店)

これが、もし起これば、今度は

か)120年後の未来ーーーーーーーーーーー→ 鳥類、ほ乳類、人類
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー→ 新人類、???

というような生物大進化を促すのだろうか? 今いる多くの生物は絶滅し、人類よりもっと知能の高い、しかも進んだ文明を作る事のできるヒューマノイド型の生物が現れるのだろうか? 

あるいは、今の人類が牛や馬など他のほ乳動物を食って生きているように、今度は、今の人類を飼育し、我々を食ってしまうというような、超人間が出てくるのだろうか? 我々がいくらあがいても勝ち目のないような新人類が誕生し、我々人類は適当に飼われてその間は楽しく暮らすがいつかは食われるという運命が待つというような時代が来るのだろうか? 

きっとわれわれ日本人は食う方に進化するのではなく、食われる方に進化するんだろうネ。ただただ、巨大隕石衝突が外れてくれ、と祈るばかりである。
[ 17:05 ] [ ジョーク ]
笑いは百薬之長。以下はジョーク。信じない事が肝心。

最悪の大統領にブッシュ氏」によれば、

”【ワシントン2日共同】米キニピアック大(コネティカット州)が実施した世論調査結果によると、第二次世界大戦後の「最悪の大統領」に現職のブッシュ大統領が選ばれた。CBSテレビなどが2日伝えた。

 戦後の米大統領11人のうち最悪なのは誰かとの質問に対し、ブッシュ氏との回答は34%に上った。2位はウォーターゲート事件で辞任したニクソン氏で17%。「最高の大統領」はレーガン氏が28%でトップとなった。

 調査は選挙人登録をしている約1500人を対象に5月下旬に行われた。”

というように、戦後最悪のアメリカ大統領はジョージ・ブッシュ現大統領だった。そこで、日本国内ではどうかということになり、世論調査をしたところこんな結果になったという。

”【東京3日共同】東京大学(東京都)が実施した世論調査結果によると、第二次世界大戦後の「最悪の首相」に現職の小泉純一郎首相が選ばれた。読売テレビなどが3日伝えた。

 歴代の首相の内、戦後の日本の首相27人のうち最悪なのは誰かとの質問に対し、小泉純一郎氏との解答は、54%に上った。2位は女性スキャンダルで辞任した宇野宗佑氏で23%。「最高の首相」は日中友好条約を行った田中角栄氏で32%でトップとなった。

 調査は選挙権を持っている約1500人を対象に6月上旬に行われた。”

やはり、イナバウワーの荒川静香さんとのツーショットの公私混同事件が尾を引いたようだ。
[ 12:41 ] [ 訃報・追悼 ]
ノーベル賞受賞のレイモンド・デービスさん死去

2002年に小柴昌俊博士らとともにノーベル物理学賞を受賞した、ニュートリノ研究の第一人者、米国の研究者レイモンド・デービス博士が5月31日にアルツハイマー病による合併症で死去。享年91歳。

御冥福をお祈りしたい。
2006/06/02のBlog
”Fatal disease”とは、日本語で”死の病”、”不治の病”というような意味の言葉であろうか。

アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、クロイツフェルト一ヤコブ病

こういった病気は、脳の中に”異常な折れ畳みをしたタンパク質”が凝集してプラークと呼ばれるねばねばした物質になり、これが脳細胞を壊死させる事で生じる、と今考えられている。

この他にも、いわゆる”自閉症”という病気の中には、子供の脳内にたまった有機水銀などの重金属が悪さをして細胞骨格を変性させて脳細胞を壊死させる、というシナリオもあり、キレート剤を使って子供の脳から重金属を除去すると、軌跡のように自閉症から回復するという治療法も確立されている(自閉症児とキレート剤、そして海草の酢の物参照)。

あるいは、脳内ではなく、脊髄や関節内に異常なタンパク質が蓄積して生じると考えられるものに、筋ジストロフィーやリュウマチがある。

このように、脳や脊髄、神経細胞から関節など、およそ動物のすべての細胞内で異常に蓄積したタンパク質は細胞を壊死させて身体に悪いことをする。それゆえ、科学者達は何とかしてその原因を突き止め、治療法を見つけようと頑張る。

こういった場合、我々物理学者は、なぜこういった”異常な折れ畳み”が起こるのかを解明したいと思いがちだが、それがすぐに病気の治療法に結びつくとは限らない。なぜなら、折れ畳みの過程が分かったとしても、今度はどうやったらそれを阻止できるか、という問題に答えなくてはならないからである。往々にして、後者の問題に答える事は、原因を探ることよりはるかに難しいことが多い。

その昔、20世紀の前半に結核は『不治の病』と呼ばれていた。最初は、”悪い風邪”のように考えられたが、次第に風邪(インフルエンザ)とは異なり、細菌によって感染することが分かるようになった。原因が分かると、ある程度の”予防法”は見つかるが、実際に罹ってしまった人々を助ける事はできない。

この解決は、現在でいう、抗生物質が発見されるようになって、初めて解決される事になった。ペニシリンの発見である。ペニシリンは青かびの中から見い出された。このように、有効な治療法が偶然のセレンデピティーによって発見される事は非常に多い。

このような発見は、理詰めで理論的に考えていくという方法ではなかなかできない飛躍をもたらす。どうしてうまく行くのか分からないが、病気が治るからである。この手の現象は後々もっと科学が発展してからその本質が理解されるというのが常である。だから、物理化学者のような理詰めの原因からアプローチしてその解決法を探るという方法も大事だが、同時に偶然やってみたらうまく行ったというような発見法的方法もまた非常に重要なのである。この意味で、こういう発見的方法を無視したりないがしろにしてはならない。

最近、いくつかこういった発見法的方法で”不治の病”に対する有効な方法が見つかって来たようなので、そういったものをいくつか紹介しておこう。

脳神経細胞の死滅を阻止するアミノ酸化合物合成奈良先端大

奈良先端科学技術大学院大の谷原正夫教授(高分子化学)らが、脳の神経細胞の死滅を止めるアミノ酸化合物の合成に成功、「TNFRP」と命名した。動物実験で作用を確認しており、パーキンソン病やアルツハイマー病などの治療、予防への応用を目指す。

細胞死を抑えるたんぱく質発見、神経変性疾患に効果?

病気などで異常になった細胞は「自殺」する仕組みになっているが、この細胞死を遅らせるたんぱく質を、東京医科歯科大と科学技術振興機構のチームが見つけた。このたんぱく質を使えば、長い年月をかけて病状が悪化していくアルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患の進行を遅らせる可能性があるという。

ホヤにアルツハイマー予防効果の「プラズマローゲン」

海に生息するホヤなどに含まれる脂質の「プラズマローゲン」がアルツハイマー病を防ぐ効果を持つ可能性が高いことが、東北大大学院農学研究科の宮沢陽夫教授(食品学)らの研究でわかった。

この他にも、アルツハイマー病、パーキンソン病には、テトラサイクリン系の抗生物質のミノマイシンが効くという話もある。あるいは、クロイツフェルト一ヤコブ病には、マラリアの特効薬であるクロロキンが有効という話もある。

まあ、しかし、どんな物質、どんな薬にも良い方向では治療薬、悪い方向では副作用というものがあるので、ケースバイケースで治療を行うほかないということだろう。今後の研究の進展を期待したい。
2006/06/01のBlog
武野正三氏死去 京都工芸繊維大名誉教授

5月29日午前8時12分、胆管がんのため京都市上京区の病院で死去。享年76歳。

私は大分前にこの武野博士から「DNAのソリトンモデル」の論文をもらったことがある。非常にユニークな論文で、武野さんの研究は、しばらく前に亡くなられた右衛門佐重雄博士の研究と同様に非常に優れたものである(右衛門佐重雄さん死去)。

最近の解説には次のものがあるようだ。
生体高分子は何故ヘリカルな構造をしているのだろうか
これを見れば、武野博士がどんなタイプの研究者であったか一目瞭然と言えるだろう。

御冥福を心からお祈りしたい。