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KiKidoblog
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2006/06/28のBlog
【決勝トーナメント1回戦第7試合】
【F1位ブラジル一E2位ガーナ戦3一0】
偉業達成に人懐こい笑み ロナウド、29歳の円熟期
王者に真っ向勝負で散る 初出場で16強のガーナ
試合結果

”現世界王者”vs”若手世界王者”の戦い。

これが、サッカー王国ブラジルとサッカー新興国ガーナのゲームであった。”持ち前のスピード”と”驚異的な身体能力”が持ち味のガーナが、世界ランク1位のブラジルにどこまで通じるかが試合の見どころだった。

結果は、ブラジルの3-0の勝利で、”若い”ガーナを一蹴したのだったが、ガーナの決定的チャンスが幸運に恵まれていれば、2点は入ったかも知れない。

一方、ブラジルのロナウドは、通算15ゴールとなってボンバー(爆撃機)と言われた西ドイツのゲルト・ミュラーの通算14ゴールを初めて抜いた。ペレ、マラドーナなどと並ぶ偉大な選手となった。

ブラジルは、ブラジル独特のスローなリズムでボールを支配して相手のスピードを消し、逆に正確なパスで裏を取って得点をするという攻撃で来たようだ。どのチームもこの戦法の餌食となってしまう。ここが、キーパーやディフェンダーから一気にトップへボールを送るイタリアとは違う、ブラジル独特のところである。ガーナもこれでやられてしまった。

ガーナは、やはりパスしてはトラップ、トラップしてはパスという、ワンクッションおいたパス回しのために、こうした単純な攻撃ではすべてブラジルの選手に読まれてしまう。ここを、メキシコやアルゼンチンのように、早いダイレクトパス交換で崩すという方法に変えないと、強豪国には勝てないだろう。

ところで、この試合の影の功労者は、トップのアドリアーノであった。カカからロナウドへの絶妙なパスをアドリアーノをマークしていたディフェンダーがロナウドにチェックに行けないように完璧にスクリーンしていた。これは、バスケットボールで良く使う方法だが、この”スクリーンプレー”という基本プレーでしっかりロナウドを横でサポートしていたのである。このおかげで、ロナウドはするするとディフェンダーの間を抜けてフリーでキーパーと1対1になれたのである。

この試合の影の功労者のもう1人は、線審だろう。2点目のアドリアーノの得点は明らかにオフサイドであったが、あまりにパスワークとスピーディーな攻撃だったので、線審がフォローできなかったようだ。3点目もオフサイドぎりぎりのプレーだった。

ブラジルは伝統的に早いパス回しでボール支配率で相手を上回って勝つというチームである。ガーナはボール支配率でそのブラジルを上回っていたのだからすごい。末恐ろしいチームである。もしガーナが、ダイレクトパスや横からのセンタリングや速攻などの戦術を覚え、ドイツのようなコンチネンタルサッカーに目覚めたのなら、次回のアフリカ大会ではガーナは優勝候補筆頭に来るチームと言えるだろう。この他にも、カメルーン、ナイジェリアなどもあるので、次回はアフリカチームはとてつもない脅威となるだろう。
2006/06/27のBlog
【決勝トーナメント1回戦第6試合】
【G1位スイス一H2位ウクライナ戦0一0PK0一3】
大会史上初無失点で敗退 スイス
堅実強運ウクライナ8強
試合結果

シェフチェンコのウクライナ、G1位のスイスにPK戦で競り勝つ。

”ウクライナ”と名前は変わったものの、これぞ旧ソ連サッカーと言えるかも知れなない。徹底的に”勝負”にこだわる。この試合もウクライナは、フランスと引き分けた強豪スイスと互角以上に戦った。最初はスペインに良いところなく負けたので、1次リーグ突破もできないのでは、という感じだった。しかし、この試合では、オーストラリアと同様に、非常に”指揮のとれた良いチーム”に変身していたから驚く。さすがに、かつてのソ連の英雄、100m10秒台で走ったと言われる、”俊足”ブロヒン監督が率いるウクライナである。

一方、スイスも今大会”無失点”という鉄壁のディフェンスを披露した。本当にここで終わってしまうのは非常に残念なチームである。スイスは今Jリーグが真似をしているという「ストライカープログラム」を作ってここまで成長したらしい。フランスにも互角。どことやっても負けない地力は将来ヨーロッパの脅威となる可能性がある。今後を楽しみにしたい。

しかし、PKを3連続ではずした、というのか、3連続でど真ん中を狙った、というのは、あまりにも正直過ぎた。PKは、左右の可能性に加えて真ん中の3種類の可能性がある。ヨーロッパの選手は意外にも真ん中を狙う人が多い。日本ではゴン中山がこのタイプだ。あまりサイドを狙う技がないので、豪快に真ん中にズドンと蹴るのである。たいていはキーパーは左右のどちらかに飛ぶのでこれでもうまく行くというわけだ。

初出場ベスト8は、審判のヘルプがあったとは言え立派である。

ラッキーウクライナ、恐るべし。
【決勝トーナメント1回戦第5試合】
【E1位イタリア一F2位オーストラリア戦1一0】
イタリア、PKでオーストラリア破り8強入り W杯
悔やみきれないPK与える 豪、信じられない結末
試合結果

いやー、この試合も”しびれる試合”であった。

前半早々は、イタリアの速攻で一気に3-0になるチャンスがあった。しかし、予選リーグから絶不調のトーニがことごとくミス。そうこうする内にオーストラリアのペースになり、反撃を食らう。しかし一進一退で前半終了。

後半オーストラリアがイタリアのリズムに慣れた頃、イタリアにレッドカード一発退場者が出る。それから一気にオーストラリアペースになる。受けに回ったイタリアは”伝統のカテナチオ”で堅守。このまま行けば、オーストラリアがいつか得点するという時期に、トッティ登場。これで少しイタリアのペースが戻る。後半終了直前にイタリアが最後の攻撃を加える。ゴールの左サイドから突破してゴール前に向かう時にオーストラリアの痛恨のPK。トッティがこれを決めて試合終了。最後の最後にあっという間の決着だった。


”アズーリvsヒディンク監督”というよりは、”サッカールーズvsリッピ監督”という感じ(ちなみに、”アズーリ”はイタリア代表の愛称、”サッカールーズ”はオーストラリア代表の愛称。ついでに”セレソン”はブラジル代表の愛称)。

断然に優勢になったオーストラリアという巨人”ゴリアテ”をローマ兵がどのようにして退治するかという観あり。最後の最後に、1ローマ兵が1人切り込んでついに巨人”ゴリアテ”に深い傷を負わせ、ローマの王子トッティが巨人に最後の止めを指した。

旧約聖書の「ダビデ王と巨人ゴリアテ」の物語をも彷佛させる試合であった。

名将ヒディンク監督は、優勝候補の大本命の1つのイタリアとここまで良い試合をさせたのだから凄い。強豪イタリアに密着マークでほとんどゲームを作らせなかった。イタリアを実に良く研究していたのではないかと思う。正直、ここまでやるとは思っていなかった。1次リーグでブラジルの次に入るべき好チームであったと言えるだろう。”無脳”で”無策”のジーコジャパンとは大違いだった。

しかし、守りに入ったイタリアは強い。主導権はオーストラリアにありながら、オーストラリアが攻めてを欠くようにうまくコントロールしていた。オーストラリアは、”攻めさせられていた”。

この当りが守備に入るとまったく”受け身”になり、パニックになってしまう日本とは違っていた。それが”攻撃的守備”というものである。一見ずっと攻められっぱなしのようで、決定的場面を作らせない。いつもカウンターアタックを狙っている。そういう守備である。これが最後に出た。やはり最後は”伝統の力”というのだろうか。

ところで、最後のPKは、もしワールドカップがオーストラリアで行われていたなら、逆にシミュレーションのイエローカードが出たかも知れない。やはり、この試合もヨーロッパの大会、イタリアの”ホームゲーム”だった。

”ホームゲームデシジョンに泣いたヒディンク”

ヒディンク対イタリアの因縁の対決は、イタリアに軍配が上がった。
[ 09:18 ] [ WCドイツ大会 ]
ジダンが壊した扉保存へ 独のサッカー競技場

この記事は面白い。

フランスと韓国は、6月18日に1次リーグG組の対戦をドイツ東部ライプチヒのサッカー競技場で行った。試合は1-1で引き分けたが、ジダンは今大会2度目の警告を受けて退場、次の試合は出場停止。

どうやらジダンはこの”警告への不満”を扉にぶつけ、ライプチヒのサッカー競技場のドアを壊したらしい。

ライプチヒのサッカー競技場の関係者は26日までに、この”ジダンが壊した扉”を修理せずに保存することにした、という。

「国際サッカー連盟(FIFA)に弁償してもらおうとも思ったが、熟慮の結果、サッカー史上、最も偉大な選手の1人に蹴られてへこんだ扉は保存することにした」
2006/06/26のBlog
ジーコ監督が退任会見 W杯采配「判断適切だった」


”ジーコよ、20億円返せ!”と私は言いたい。

私は、すでに「ジーコ監督は、「まだ未成熟」! 」に書いたように、ジーコの言う事はもはや何も信じない。信じられない、と言うべきか。欧州のメディアの前と日本のメディアの前と言っている事が180度変わっているからだ。まあ、ジーコは”二枚舌”の人物ということだろう。こういう人でなければ、サッカーをやりながら、サラ金『レイク』のコマーシャルに出るという事はなかろう。

この会見とドイツ大会中のジーコの発言を比べると面白いので、そうした観点からコメントしておこう。

ジーコ:「ワールドカップ(W杯)では成績を残せなかったが、日本は4年間で成長した。レベルがあがったことは胸を張って言える」

コメント:よくも日本人の前でしゃーしゃーとこんなことが言えるものだ。欧州ではジーコはこう言ったという。

「プロ意識、持続力、勝ち抜く精神力に欠けている。何よりも、まだ成熟していない。4年前はそういった不足をホームの利点でカバーした」

ジーコ:「世界の力は伯仲している。大会前に3連勝も3連敗もあるといった。最大限の努力をしたつもりだ」

コメント:3試合すれば、3連勝と3連敗の間にあるのは当たり前だろうが。ジーコよ、お前は日本人をバカにしきっているのか。

ジーコ:「自分が知りうるすべてを使ってチームを導いてきたつもりだ。悔いることも恥じることもない。全身全霊を打ち込めた」

コメント:悪いのは選手であり、日本サッカーの環境であり、自分のせいではないと、あなたはいつもそう言って自分を悪ものにせずに逃げる。それは、小さい頃からサッカーだけして育った”サッカーエリート”の甘えだ。現実に、勝利の前でさじをなげたのはお前だ。

ジーコ:「力のある選手はそろっていた」「安定した力を出せるようになれば本物になる」

コメント:選手達が誰1人自分本来の力を出せなかったのは明白。選手達が安定した力を出せるようにするのが、監督の仕事であり、それが努めだ。それができる監督が本物の監督だ。あなたは偽物だったということだ。

ジーコ:「世界の強豪との差で痛感した点は「体格差」だ。」

コメント:それは、おかしい。アルゼンチン、メキシコ、ポルトガルなど日本より小粒な選手が多くても立派に上位に進出した。体格差は必要だがそれが十分ではない。アルゼンチンのメッシもテベスも160cm台、メキシコの選手達も日本人なみだ。そういうお前も170cm前後のはずだ。ペレもマラドーナもそんなものだった。

ジーコ:「W杯での采配については、自分の判断は適切だった」

コメント:試合に負けたのは、体格差ではなく、戦術や選手起用などサッカーの問題で負けたのだ。お前はそれを認識すべきだ。

ジーコ:「相手監督は背の高い選手を入れて、ロングボールを多用していた。小野を入れたのは、中田英を前に出せるからだ。中村は試合の流れを変えるパスやFKがあるので残した。小野にも中盤でパスを散らして欲しかった。大黒にはこれまで彼に救われた試合があった。特別な指示はしなかった」

コメント:ジーコよ、嘘を言うな。私はこの試合はビデオで何度も見たが、小野も中田も前に行って守らなかった。だから、ディフェンスが駒野1人になり、アロイジに抜き去られて失点したのだ。ケーヒルのシュートもそうだ。だから、小野に前線に上がれと支持したのはお前のはずだ。

ジーコ:「反省点はない。監督はその時点で判断しなければいけない。監督として全権を任された責任もある。選手のせいにしたことはない」

コメント:ジーコよ、嘘をつくな。お前は、欧州でこう言った。「プロ意識、持続力、勝ち抜く精神力に欠けている。何よりも、まだ成熟していない。4年前はそういった不足をホームの利点でカバーした」「(Jリーグの)10年ほどの短い期間で、伝統ある欧州のレベルに持っていくのは無理」。もし選手のせいにしていないというのであれば、だれのせいか?日本人のせいということか。また、自分の失敗に反省がなければ進歩はない。いつもお前はそうやって逃げる悪い癖がある。早く直すべきだ。

ジーコ:「日本選手がどんな強い相手にも劣等感を持たないでプレーできるように、自信を与えた」

コメント:今度のドイツ大会で逆に日本選手に大きな”心のダメージ”や”劣等感”を与えたのはお前だ。この傷は将来に響き、前回大会までの日本人の自信を見事に打ち砕いた。この責任はお前にあり実に重い。

ジーコ:「残念だ。決勝トーナメントに出るチームとは明らかに差があった。経験豊富な監督の下でも体格差があると強くならない」

コメント:ジーコよ、嘘をつくな。私はこれまでの全試合を見て来た。韓国は、紙一枚の差でトーナメント進出を逃しただけだ。審判のヨーロッパびいきのために負けたに過ぎない。他の多くの国々も、白人国家、ヨーロッパ中心主義者が審判に混じっていたために負けたのだ。お前はまだ全部試合を見ていないはずだ。

ジーコ:「(高さで競り合うような)FK、CKを相手に与えないようにしてきた。豪州戦では、ロングボールを繰り返されて穴ができて点を取られた。体格の問題は克服すべきだ」

コメント:ジーコよ、問題を摺り替えるな。ヘディングはポジション取りやタイミングで幾らでも勝てる。日本は体格差で負けたのではない。サッカーの質が低く、運動量やスピードがなくて負けたのだ。それは、身体の小さなメキシコやエクアドルやアルゼンチンが証明したはずだ。日本サッカーを”スペクタクルなサッカー”に仕上げられなかったのは、お前のせいだ。百歩譲って体格差の問題が事実だとしよう。しかし、日本には、平山、掘越など190cmを超える若手もいる。そういった大型選手を選ばなかったのは、お前だろ。

こんなわけで、すべての責任はジーコ、お前にあるのだよ!
もう二度と日本へ来るな、ジーコ! お前の顔は見たくない!
[ 16:45 ] [ WCドイツ大会 ]
笑いは百薬之長。以下はジョーク。笑うことが肝心。

【ブラッター会長の口が滑った】

ワールドカップ・ドイツ大会のパーティーは、サッカーの話題で盛り上がっていた。
会場にはたくさんの昔の有名プレーヤーもいたのだが、FIFAのブラッター会長は、酒を飲んで良い調子となり、思わずこんなことを口走ってしまった。

『サッカーには有名選手がたくさんいる。
それぞれに特徴があり、たいへん個性的だ。
ペレはサッカーが大好き。
ジョージ・ベストは酒が大好き。
マラドーナは薬が大好き。
ジーコはお金が大好き。
ベッケンバウワーは女が大好き。
そして、わしは地位が大好き。』

会場でそれを聞いた人々は笑うに笑えなかったとか。



【日本サッカー協会の検定テスト】

日本サッカー協会は、サッカー人気を高めるべく、ある作戦に出た。
サッカー協会公認の「サッカー常識検定テスト」を行い、サッカー
ファンに公式な資格を認定しようというのである。

この問題集にはこんな問題が載っているとか。

問題1:次のリズムの国歌を持つ国はどこか。
(ア)”ラーーララーラーラーラーラララー ラッラーラーラーラッラララーー”
(イ)”タタ タッター タッター タータタ タタタタッター タータターー”
(ウ)”チャチャ チャッチャッチャッチャッチャーチャチャー”
(エ)”ターターターターターターター ターターター ターターター”
(オ)”ラーラーラーラーララー ラーラーラーラーララー”

問題2:次のリズムの応援歌を持つ国はどこか。
(ア)”ターターーーターターーーー タターーータターーー”
(イ)”タータタタタタ タタンタ タンタン”
(ウ)”ターーーターターターー ターーーターターターー”
(エ)”タータータータター ターターターター”
(オ)”ターーーターーターーーターー ターータタターーー”

ちなみに、
問題1答え:(ア)ドイツ、(イ)フランス、(ウ)メキシコ、(エ)日本、(オ)イングランド。
問題2答え:(ア)イングランド、(イ)韓国、(ウ)オランダ、(エ)アルゼンチン、(オ)ドイツ。
【決勝トーナメント1回戦第4試合】
【D1位ポルトガル一C2位オランダ戦1一0】
史上最多4人退場 オランダ監督「主審が試合台無しに」
ポルトガル、終盤DFに5人並べ逃げ切る
試合結果

今や”サッカー後進国”のロシア、ロシアの主審がこの試合を台無しにした、とは、オランダのファン・バステン監督の談。

合計16枚のイエローカード。4つのレッドカード。負傷退場者も多く、クリスチャン・ロナウドも負傷退場した。これぞ”ワールドカップサッカー”、”死闘”というのか、まさに”戦闘”風景さながらであった。


日本人の我々には、ポルトガルとオランダの国民性の違いや文化や歴史の違いはあまり分からない。しかし、この試合を見る限り、ポルトガルとオランダはサッカーを超えて何か仲が悪いのではないか、という気にすら思えてくる。それほどまでに”激しい”試合であった。

1次リーグ予選で私は「グループC:アルゼンチンのメッシ初登場!」でこう書いていた。

『また”オランダ人特有の行動”もあった。南アフリカ共和国が、長らく人種隔離政策を行ってきたが、この国の白人はほとんどがオランダ出身である。このオランダ人が、原住民である黒人に対して白人優位で非常に”高圧的”かつ”傲慢”な態度を取ってきたことは有名である。実は、こういった国民性がオランダのサッカーにも出るのである。

それは、相手に対して”高圧的に罵る”ということである。熱くなりカッカするとオランダ人は相手に食ってかかる、という特徴がある。そして逆に相手が切れて報復すると大袈裟に倒れて相手を退場に持ち込む。こういう手段を伝統的に良く使う。アメリカ大会の時のオランダ一アルゼンチン戦で、オランダの背の高いゴールキーパーがエースのオルテガに頭の上からしつこく罵ってオルテガが怒って頭突きをし一発退場となったことがある。この時と同じように相手に食ってかかり、口で罵るというのをオランダ人は実に良くやるのである。この試合でもこれをやっていた。

この”カッカする”という気性がなければ、オランダはもっと早い時期にワールドカップ優勝したのではなかろうか。どうもカッカしてみすみすチャンスを失うという傾向がオランダにはあるように見える。』

この試合は、まさに”私の分析が正しい”ことを証明してくれたようなものだ。


1400年代の大航海時代に、一番最初に7つの海を超えて世界に出て行ったのは、ポルトガル人であった。ポルトガル人はアフリカやアラブに近いせいか、比較的人種的に寛容なところがあり、世界中のどこへ行っても現地人の女性が好きだった。だから、そこら中で交配して子孫を残した。

一番有名なのがブラジルである。ブラジル人は、ポルトガル人と奴隷制度で拉致されたアフリカの黒人、そしてもともと南米にいたモンゴル系のインディオとの混血である。だから、ブラジルの母国語はポルトガル語であり、ブラジル人の顔つき、体つきも比較的小柄な西洋人のポルトガル人に似ている。アメリカのハワイも一番最初に来たのはポルトガル人だったという。日本へもそうで種子島にやって来た。

その次に世界に渡ったのが、”無敵艦隊”のスペイン人であった。無敵艦隊とは、まだ蒸気機関がイギリスで発明される前の帆船技術の粋を尽した艦隊のことで、世界最強であった。スペインは、メキシコ、アルゼンチンなどなど、ポルトガルが食い残した場所をどんどん植民地化した。北米アメリカももともとはスペインの領土であった。

このスペインは、7つの海を支配し、世界中を支配しただけでなく、ヨーロッパ全土も支配統治していたのである。これがスペイン帝国であった。

このスペイン大帝国にヨーロッパでしぶとくゲリラ戦法で植民地化に抵抗して来たのが、オレンジ公のオランダであった。

このオランダと同盟したのが、イギリスであった。英蘭は、”海賊組合(ユニオン・ジャック)”を作り、ポルトガルやスペイン艦隊をことごとく海賊戦法で乗っ取っていった。そこにイギリスで蒸気機関が発明され、船にも応用されるようになり、帆船からなる”スペインの無敵艦隊”時代から”イギリスの黒船”時代へと制海圏は移っていった。そして、ついに”スペイン継承戦争”(本当の意味の、第一次世界大戦)が起こり、スペインはこれに敗北。英米の”黒船時代”に移る。

7つの海を蒸気機関の黒船で支配したオランダとイギリスは、スペイン帝国のもっていた植民地をどんどん根こそぎして行った。そして北米はイギリスのものとなった。

しかし、どういうわけか、北欧のバイキング、俗に言う、アングロサクソン、あるいは金髪碧眼のアーリア系人種は、現地人との交配を嫌う性質があり、ほとんど現地人の女性たちとは交わらなかったようだ。

一般に色の白い人は、背が高くて、人見知りが激しく、内気で神経質でアレルギーになりやすく、免疫系が弱い。一方、色黒の人は小柄で人懐っこく、好奇心があり、開放的で免疫系が強い、ということが科学的に知られている。このことが原因したのかどうかは分からないが、北欧の白人は植民地支配しても現地人と交わらず、いわゆる”白人至上主義”を生んだ。

この意味では、南アメリカに進出したオランダ人、北米に進出したイギリス人、オーストラリアやニュージーランドに進出したイギリス人などみな、もともとは人種差別の国、”白人至上主義”の国である。

ワールドカップサッカーを見ると、西洋のこの植民地支配の歴史と重なって何か実に面白いと私はいつも思う。

中南米は、スペインやポルトガルの移住者や子孫の国。北米やオーストラリアは、イギリスやオランダなどのヨーロッパの白人の移住者や子孫の国。アフリカは、フランス人の移住者や子孫の国。こうした国々がサッカーというスポーツを通じて戦う。したがって、その昔の”怨念”や”復讐心”が芽生えるのだ。

ポルトガルやスペインを目の敵にした北欧の人々。オランダのオレンジ公ウィリアムは、スペイン・ポルトガルなどラテン系をひどく嫌った。

こんな西洋史の宿敵どうし、”仇同士の戦い”なのだから、それはもう激しくなるのはしかたない。”先祖の恨み末代まで”というのは、今も現実に存在する。

こういったことを考えさせる試合であった。まさしく”スペイン継承戦争”を思わせる”死闘”であった。正直、死人が出なくて良かった。良かった。


ところで、サッカーの試合そのものは、”ワールドカップ優勝請負人”のフェリペ・スコラリ監督の”注文通り”の試合運びとなった。この意味で、フェリペ・スコラリ監督は、実に賢いようだ。この試合の真の英雄は、オランダのスピードランナーのロッペンを封じ込めた黒人選手のミゲルだろう。俊足ロッペンに全く負けなかった。1試合ごとにポジション配備や選手起用を変えるのがフェリペ・スコラリ監督の作戦であり、知将ぶりを示している。これが監督経験というもので、ジーコにはない才能であった。ジーコもフェリペ・スコラリ監督に弟子入りして勉強しない限り、どこで監督をしてもまた失敗するだろう。
【決勝トーナメント1回戦第3試合】
【B1位イングランド一A2位エクアドル戦1一0】
オーウェン離脱、中盤5人の新システムに イングランド
エクアドル、イングランドと互角の戦い FK一発に泣く
試合結果

写真:右側が”スーパータックル”のA・コール選手。


いやー、非常にスリリングなナイスゲームだった。

ゴールキーパーの”スーパーセーブ”という言葉がある。クロアチア戦の川口のPK阻止のようなものだ。

が、この試合は、前半10分エクアドルのC・テノリオのシュートを阻止した、イングランドのディフェンダーA・コールの”スーパータックル”の一言に尽きる。もし、この”スーパータックル”がなければ、恐らく2一0でエクアドルが勝利しただろう。それほどまでに、戦局を変える一発の”スーパータックル”であった。

かつて第二次世界対戦の時、ナチス・ドイツはイギリス上空の制空権を獲得するために、ドイツの戦闘機メッサーシュミットで飛来した。それを果敢にロンドン上空で迎え撃ったのが、イギリス空軍の戦闘機スピットファイアーであった。大型で馬力のある重戦闘機メッサーシュミットを、軽快に小回りが効くスピットファイアーが退けた。そして、徐々に制空権はイギリスに移り、次第にその制空権をドイツにまで拡大していったという。

この試合のA・コールの”スーパータックル”は、まさに”戦闘機スピットファイアーのごとく”、であった。味方の絶体絶命のピンチをどこからともなく疾風怒濤の早さですっ飛んで来て、大スライディングタックル、寸前のところでセーブした。

それもちょっと足に当っただけでボールがバーに当り跳ね返って外に出るというスリリングなものだったから、”しびれる”。


次第にイングランドペースに変わり、徐々に劣勢を優勢に変え、反撃する。そして最後にベッカムのフリーキックで絶妙に得点。ポストぎりぎりに決めた。これでは、さすがのキーパーも防ぐ事は出来ない。

イングランドにはイギリス空軍譲りの”疾風のごとき防御”があるようだ。

得点が決まれば、あとは中盤に5人をおいてエクアドルに隙を与えず、カウンターアタックもさせず、横綱相撲。実力の違いを見せつけた。

しかし、私が「グループA:”狡猾なドイツ、エクアドルを食う” 」に

”ところで、エクアドルにとって次に戦う相手としてイングランドとスウェーデンを選ぶとすれば、”バイキングの国”スウェーデンよりは”紳士の国”イングランドの方がやりやすい。だから私はこの負けは計算された負けだと思う。”

と書いたように、イングランドはドイツやスウェーデンよりはフェアプレーに徹していた。さすがに紳士の国である。

”おお神よ 我らが慈悲深き女王(国王)陛下を守りたまふ”
国歌、国歌、国歌 参照)

と唱うイギリス人は、その名に恥じないプレーをしたと私は思う。

ところで、日本には、私が生まれた故郷の「甲斐の国」の武田信玄がいるが、この信玄公の代名詞”風林火山”とは次のような意味である。

疾(はや)きこと風の如く
徐(しず)かなること林の如く
侵(おか)し掠(かす)めること火の如く
動かざること山の如し

この風林火山のような日本サッカーを作れ、というのが、私の昔からの夢であり、それを2年以上前に拙著「サムライサッカーをめざせ」で書いたのである。私のイメージする”サムライサッカー”とは、武田信玄の”風林火山”のイメージそのものである。

ツートップは、”風の如く速くあれ”、
ディフェンダーは、”林の如く静かでクールであれ”、
ミッドフィールダーは、”火の如く攻撃し敵のボールをかすめ取れ”、
最後にゴールキーパーは、”山の如くゴールを守れ”。

今度NHKが”風林火山”をリバイバルするようなので、ぜひ日本のサッカー人たちもこれを見て、その何たるかを勉強してもらいたいものだ。
2006/06/25のBlog
ジーコ監督「まだ未成熟」 ドイツ紙が掲載

この短かめの記事は、ジーコの非常に面白いところが出ていると思う。だから、ちょっとコメントしておこう。

これは、ドイツの雑誌が、1次リーグ敗退した韓国と日本に対するジーコ監督の意見を求めたものらしい。

最初、タイトルを見ると、「ジーコ監督「まだ未成熟」 ドイツ紙が掲載」とあったので、ドイツ誌が”ジーコ監督が監督として「まだ未成熟」”という意見を書いたのか、と思って読んでみると、実はジーコ監督が、日韓のサッカーが共に「まだ未成熟」と分析したというお話であった。

ジーコ監督は両国を分析して言う。

「プロ意識、持続力、勝ち抜く精神力に欠けている。何よりも、まだ成熟していない。4年前はそういった不足をホームの利点でカバーした」

そして、日本のサッカーの現状を分析して、こう言う。

「(Jリーグの)10年ほどの短い期間で、伝統ある欧州のレベルに持っていくのは無理」

さらにジーコはこう言った。

「両国の国民的スポーツは野球で、今後はサッカーへ移行するだろうが、もう少し時間がかかるかもしれない」


いやはや、ジーコもジーコ。非常にがっかりした。

私は、ジーコがサラリーマン金融「レイク」のコマーシャルに出た頃から、さすがの”神様ジーコ”もお金には弱いんだな、と思っていた。しかし、1980年代後半の住友金属時代から日本サッカー界でプレーして、鹿島アントラーズになっても立派にプレーし、日本のJリーグ初期を支えた外国人一流プレーヤーとして非常に関心を持って来た。そして、鹿島アントラーズを強豪チームに育てた功績は計り知れず、その1点を持ってしても日本代表監督になるだけの素質と資格を持つと考えて来た。きっと人間的にも素晴らしい人物なのだろうと想像して来た。

しかし、今回のこの記事にあるジーコは、それとは別の側面を見せたようだ。

いくらなんでも、まだ大会中に日韓のサッカーを分析して、こんな意見を言っていたというようでは、実際の勝負に勝てるはずがない。私が「日本代表が”負けた”わけ:フットサル化?」に

”結局、私の個人的観点から言えば、今回日本代表がふがいなく負けた理由は、”戦術のせいで負けた”のでもなく、”1対1で負けた”のでもない、”肉体的身体能力で負けた”のでもない、”決定力不足で負けた”のでもない。要するに、中田英寿だけが「今の日本代表は1次リーグ突破できる力がない」と気付いていたように、すでに”試合以前に負けていた”のである。戦術うんぬん、メンバーうんぬん、する以前の問題、つまり”心掛けの問題”で負けたのである。私に言わせれば、この点では、ジーコはヒディンクに負けたのである。ジーコもさじを投げていたのに、日本人にはそれがないかのように演出していた。これはジーコの犯罪である。”

と書いていたように、本当に”ジーコは、さじを投げていた”のである。まあ、あまりやる気がなかったのである。あるいは、初戦に負けてやる気が失せたのかも知れない。

確かにジーコの言ったことや分析したことは正しい。がしかし、それは何を今さらという話で、今になって初めて分かったことではない。最初にジーコが日本にやって来た20年ほど前から分かっていたことである。ジーコは、その頃からずっと同じ事を言っていたからである。だから、ジーコはそういったことを承知の上で日本代表監督を受諾したのだろうと私は思っていた。

では、なぜ1次リーグ敗戦したばかりの時期にこんなコメントをジーコが送ったのか?

私の考えでは、ジーコの”監督売り込み作戦”の一貫だろうと思う。ジーコは日本代表監督の後、ヨーロッパのクラブチームの監督になりたいと言っている。したがって、私はアジアのサッカー、世界のサッカーに詳しいという印象をヨーロッパの記者に示す必要がある。そこで、こんな”とろい”コメントを言ったのだろう。

ここが、私がジーコの”ビジネスマン”的なところで、私がちょっと理解できないところなのである。今回”監督交代劇”のありそうなこの時期に何の前触れもなくわざわざ日本にやってきた、サッカー監督ビジネスマンのトルシエと実に似ている。

しばらく前に「ワールドカップ代表監督ってどんな人たち? 」で私は

”ところで、この記事では、「ジーコは監督経験がない」と言われているが、実は1998年のフランス大会の時の名将ザガロ監督の横で監督補佐を行っていたのが神様ジーコであった。この時はブラジルは連破ならず準優勝となった。ただブラジル人の間では、「ジーコは監督経験がない」というよりは「ジーコにはツキがない」と見なされているらしい。「優勝に縁がない」と。神様に良い事がないというのは不可思議な話だが、ジーコにはどこかに人の良さというものがあって、勝負師になれない、非情にはなれない、というところがあるのかも知れない。この点では、ジーコよりは小泉純一郎首相の方が”非情”の勝負師魂があると言えるだろう。というのも先祖(祖父)は「入れ墨大臣」の異名を取った仁侠道出身者だったわけだから。とにかく、ジーコ監督には頑張ってこの点を払拭してもらいたいものだ。”

と書いていたが、これが全く正しかったようだ。

「ジーコにはツキがない」

この最初の記事で、この理由が分かった気がするのだ。つまり、ジーコは苦しくなるとさじを投げる。こういう気質がある。ここが、優勝経験のあるドゥンガ、ロナウド、ロナウジーニョ、あるいはフェリペ・スコラリ監督、パレイラ監督などとは異なる。

かつて、ジーコが鹿島アントラーズでプレーし、読売ヴェルディと優勝決定戦をしていた時、審判がことごとく敵ヴェルディの味方をした。そして、ペナルティーエリア内のオブストラクションに対して痛恨の”疑惑のPK”が起こった時、ジーコはつばを吐いた。審判への侮辱として退場になった。そして試合も負け、優勝はならなかった。こういう有名な出来事があった。

私はこれに対して、ジーコは審判の不公正なジャッジに対する”ジーコの怒り”で当然と今日までは受け止めて来た。確かにジーコの行動は責められない。そうしてジャッジに対する無言の抗議を行うこともあり得るからだ(ジーコジャパンより一足先に日本人主審がデビュー! 参照)。

しかし、また別の視点から見れば、ジーコはまたそうやって”優勝を逃した”のでもある。優勝をもう少しで手に入れることができたもう一歩のところで、”唾を吐いて優勝を諦めた”と見る事もできるのである。つまり、いつもジーコは、自分が負けそうになると、その現場から逃げる。自分のふがいなさや能力不足を自分自身で受け止めず、それらを誰かのせいや何かのせいにして自分は良い子で済ませたい。そう思って逃げる。そういうタイプの人物だと見ることもできる。今日のこの記事のコメントで、私はジーコのそういう別の一面に気付く事が出来たということなのだ。

これが、ブラジル人の間で「ジーコにはツキがない」と言われる意味なのだろうと私は今日初めて理解したのである。

そして、ジーコは、このワールドカップ・ドイツ大会の日本代表監督という立場にあっても、その敗戦の理由をすべての責任が自分にあると受け止めるのではなく、敗戦の理由を”日本サッカーの未成熟”のせいだと、再び他人のせいにしたのである。私はそう思う。

この意味では、ジーコは日本サッカーを「プロ意識、持続力、勝ち抜く精神力に欠けている。何よりも、まだ成熟していない。4年前はそういった不足をホームの利点でカバーした」と分析したのだが、実は、この内容の意味はすべてジーコ自身に向けられるべきことであったのである。つまり、神様ジーコは、サッカー選手としては神様のようではあったが、監督として人間としては、それほどでもなかった。”ごく普通の人であった”、ということである。

それゆえ、ジーコ自身が、

「プロ意識、持続力、勝ち抜く精神力に欠けている。何よりも、まだ成熟していない。4年前はそういった不足をホームの利点でカバーしたが、自分にはそれができなかった」

ということなのである。日本には、

”敗軍の将、何も語らず!”

という格言があるが、日本人の加茂監督はこれに従った。がしかし、ブラジル人のジーコは自分をひいきしてくれた日本サッカーのせい、選手のせいにしたのである。これでは、日本代表監督の給料は20億円とも言われるらしいが、金のために監督をしたと言われてもしかたあるまい。

結局、この記事には「ジーコ監督「(日本サッカーは)まだ未成熟」」とあるが、実際には、

「ジーコ監督は(人間としても監督としても)”まだ未成熟”」

だったということだ。

いやー、実に残念だった。20億円は高くついたと見るべきだろう。今度の監督は、あらゆる面で成熟した”大人”の監督を選択すべきだろう。
【決勝トーナメント1回戦第2試合】
【C1位アルゼンチン一D2位メキシコ戦2一1】
スーパーゴールで決着 アルゼンチンが延長戦制す
メキシコ、「スペクタル」 組織の力で強豪苦しめる
試合結果

延長戦まで進んだこの試合も非常に良い試合だった。ドイツ一スウェーデン戦よりもはるかに面白かった。ともに中南米のチームだけに手の内を知りつくし、選手どうしの特徴も十二分に知っていたように見えた。

結果的には、最後の最後に地力の勝るアルゼンチンがマキシ・ロドリゲスの1発で決着をつけたが、メキシコの中盤から厚みがあるサッカー、素早いサッカーは、確かに”スペクタクル”であった。

私はメキシコ人は体格的には日本人とほとんど同じくらいなので、このメキシコのサッカーを日本は範に取るのも悪くはないと思う。

これまでJリーグを見れば分かる事だが、日本はヨーロッパスタイルか、南米スタイルかのどちらに範を取るべきか迷って来た。今の日本サッカー協会のお偉方の時代には、旧西ドイツのサッカーを範に取った。だから、元来日本サッカーはドイツ流の”コンチネンタルサッカー”を目指して来たのである。

それが、近年、南米のブラジルがサッカー界を席巻して来たために、Jリーグの監督や選手でも、ブラジル出身者を主として活用して来たのである。しかし、ブラジルサッカーは世界ランク1位の世界最高のサッカーである。だから日本人がそう簡単に真似できるものではない。その歴史も文化も民俗背景も人種的にも全て異なるからである。

しかし、ブラジルに比べたら、メキシコは民族的にも体格的にも文化的にもまだ日本人に近い。そして、”やろうとしているサッカー”も日本のものに近いのではないかと私は感じるのである。

日産が前身である横浜マリノスは、その出発当時からアルゼンチンサッカーと深く関わって来た。ディアズなど、アルゼンチンの優秀選手達を迎えて来た。横浜マリノスのスピーディーな攻撃的サッカーは、アルゼンチンサッカーなのである。

これに対して、ジュビロ磐田や鹿島アントラーズは、ブラジルサッカーを範に取った。住友金属が前身の鹿島アントラーズは、神様ジーコで成功した。鹿島を強豪に育てた功績を考慮してジーコジャパンが誕生したわけだ。一方のジュビロ磐田は、アメリカ大会(1994)で優勝した闘将ドゥンガとその当時のフェリペ・スコラリ監督(2002年のブラジル優勝監督で現ポルトガル監督)がブラジルサッカーを伝えた。ドゥンガの薫陶を一番に受けたものが、ボランチの福西である。

他には、三菱が前身の浦和レッズは、ブッフバルト監督(1990年イタリア大会で優勝)に見るように、最初からドイツのコンチネンタルサッカーである。ジェフ千葉も、1990年イタリア大会で優勝したドイツのリトバルスキーが指揮した。そして今は旧ユーゴスラビアのオシム監督が指揮している。今回、次期日本代表監督の候補であるという。

この他には、トヨタが前身の名古屋グランパスは、フランス人のベンゲル監督が指揮して強くした。このベンゲル監督やトルシエ監督は、ジダンでフランス大会で優勝した時のジャケ監督から強い影響を受けている。日韓大会のトルシエ日本は”フラットスリー”が代名詞だったが、これはフランスサッカーの原点でもある。

このように、日本サッカーは、Jリーグの各チームごとに、あるいは、日本代表のチームごとにさまざまな国々のサッカーを取り入れている。良く言えば、”ハイブリッド”、悪く言えば、”雑食”で”混乱した”サッカーである。

Jリーグには”百年構想”というものがあるが、それがどの国のサッカーを目指すのか、どのようなサッカーを目指すのか、”1つの一貫した理念”が必要である。チームの中で1人はブラジルサッカーをし、別の1人はイングランドサッカー、また別のだれかはドイツサッカーというようにバラバラでは困る。ここに、現在の日本サッカーが置かれている厳しい現実がある。

これまでは、ドーハの悲劇の時代から始まり、オランダ(オフト監督)、日本(岡田監督)、フランス(トルシエ監督)、ブラジル(ジーコ監督)と変わって来た。次回は、仮にオシム監督が率いるとして、それが今度はユーゴスラビア流に大変革するというのでは困る。日本サッカーにはそれなりの一貫性が必要である。

ドイツ流に決めるなら100年かかってもこれで続けるべきである。あるいは、アルゼンチンサッカーならこれにすべきである。ブラジルスタイルならブラジルでずっと行くべきである。お隣の韓国は、ヒディンク監督からオランダスタイルで行く決心をしたようである。

どうやら日本サッカーは、その進路をどう取るべきかの大選択の時期に来たようである。

こんなことを考えさせられる好ゲームであった。
【決勝トーナメント1回戦第1試合】
【A1位ドイツ一B2位スウェーデン戦2一0】
ドイツ、8強一番乗り 2一0でスウェーデン下す
12分で2失点、退場、PKミススウェーデン悪夢
試合結果

いよいよ今日から決勝トーナメントが始まった。初戦はドイツ一スウェーデン。

いやー、ドイツが勝ったとはいえ壮絶な試合だった。

序盤、スウェーデンはドイツの先制攻撃に受け身になってしまった。中央突破をまともに食らった。

1発目は、クローゼへのパスをクローゼがディフェンダーの間を突破するが、キーパーが跳ね返したリバウンドボールを21歳のポドルスキーが詰めて得点。

2発目は、やはりクローゼへのパスをクローゼが左へ切り込みディフェンダー3人を引き連れてその右の空いたスペースにクロスして走り込んだポドルスキーにショートパス、それを中央から得点。

ところで、昨年、滋賀の野洲高校が、”高校サッカーに革命を!”や”セクシーサッカー”なる標語を掲げて日本の高校チャンピオンになったが、その”野洲高校が真似た”というが、このドイツサッカーであった。まさに高校サッカーで野洲高校がやっているような、ヒールパスのプレー、左右のロングパスからの展開、高速ドリブル、スライディングシュート、スライディングタックルのオンパレードであった。きっと野洲高校の選手達は一層大喜びしていることだろう。”生きた教科書”だからだ。ぜひ日本のサッカー少年達はこのドイツサッカーの真似をしてほしいところ。

前半は、あと何点入るのか、という展開であったが、ドイツがハードアタックや汚いプレーをくり返していたので、比較的紳士的に入ったスウェーデンも徐々に熱くなってきた。前半後半にルチッチが2枚目のイエローカードで退場したのが痛かった。ルチッチは、クローゼをマークしていたが、つききれずに失点してしまった。

特に後半からスウェーデンが、報復的プレーでハードタックル、ハードチャージをくり返し、バラック、シュバインヒタイガーなど、もろにぶっ潰しに来た。次第に1人少ないスウェーデンのペースになり、PKをもらったが、これをラーションが見事にはずして万事休す。流れが再びドイツに移って試合終了。

この試合の主審はブラジル人とのこと。最初は少しドイツよりかなと見ていたが、次第に何となくこの主審の目論みが見えて来た。たぶん、ドイツよりにジャッジすることにより、スウェーデンの選手が熱くなり、スウェーデンの選手がより一層激しくドイツの選手に体当たりするようになる。そしてドイツの主力メンバーに怪我人が出れば儲けもの。おそらくこんな感じのゲーム運営であった。実際、後ろからの”汚い”ハードアタックにはほとんどイエローカードが出なかった。

審判も人の子、そうやって自国が少しでも有利となるように苦心しているということだろう。審判に言わせれば、”お互い様”という事なのかも知れない。
2006/06/24のBlog
[ 16:19 ] [ WCドイツ大会 ]
さて、1次リーグが終了し、ベスト16が出揃った。いよいよ今日から決勝トーナメントが始まる。かなり昔はワールドカップは、ベスト16から始まり1次リーグ、そして2次リーグを行ったようだ。

ワールドカップが始まるちょっと前に、私は「”予想、予想、予想” 」で優勝予想をした。

この中で1次リーグについて私はこう書いていた。

”残念ながら私の予想ではアジア勢は1次リーグ敗退である。ひょっとすればスイス、トーゴはそれほどでもないので、韓国が予選突破するかも知れないとは思う。というのも、ワールドカップの歴史に基づいて予想しているからである。

ワールドカップの歴史では、ヨーロッパ開催はヨーロッパ勢が優勝、南米開催は南米が優勝。たった唯一の例外がスウェーデン大会でペレが鮮烈にデビューしたブラジルが優勝というものである。サッカーというスポーツは圧倒的にホーム有利なのである。かつて最強と唱われた神様ジーコのチームですら予選敗退したのである。だから今回の最強ブラジルですら優勝はかなり難しいのである。なぜならたった1つのレッドカードやPKで試合が決まってしまうということもあるからだ。PK戦で敗退という場面もあり得る。審判がいくらフェアにやるといってもやはりヨーロッパ寄りになるだろう。前回の日韓大会はアジア開催でアジア有利にしてくれたのである。2050年までにもう一度日本でワールドカップ開催でもない限り、Jリーグの川淵さんがいうような日本が優勝ということはあり得ないと私は感じる。プロサッカーは相手チームと戦う以上に審判とも戦う必要があるのである。ほとんどの人(選手もファンも)はこれを忘れる。”


どうだい。私の言った通りだっただろ。あなたが”生き証人”だ。私に予言者としての特殊な能力があるのかどうか、それは分からない。しかし、”残念ながら私の予想ではアジア勢は1次リーグ敗退である。”と私が予言したように、アジア勢はすべて散った。

まあ、驚く程のことはない。私に予言能力があるわけでもない。サッカーの歴史と常識感覚さえあれば、だいたいだれでも当るものなのだ。

私は1次リーグ突破をこう予想した。

”【1次リーグ】
まずは、1次リーグ予選突破。

【Aグループ】1位ドイツ、2位ポーランド
【Bグループ】1位イングランド、2位スウェーデン
【Cグループ】1位アルゼンチン、2位オランダ
【Dグループ】1位メキシコ、2位ポルトガル
【Eグループ】1位イタリア、2位チェコ
【Fグループ】1位ブラジル、2位クロアチア
【Gグループ】1位フランス、2位スイス
【Hグループ】1位スペイン、2位ウクライナ”

この中ではずれたのは、
【Aグループ】の2位ポーランドがエクアドル、
【Eグループ】の2位チェコがガーナ、
【Fグループ】の2位クロアチアがオーストラリア
だけ、あとは順位が入れ代わるもののみ。結果はこうであった。

【Aグループ】1位ドイツ、2位エクアドル
【Bグループ】1位イングランド、2位スウェーデン
【Cグループ】1位アルゼンチン、2位オランダ
【Dグループ】1位ポルトガル、2位メキシコ
【Eグループ】1位イタリア、2位ガーナ
【Fグループ】1位ブラジル、2位オーストラリア
【Gグループ】1位スイス、2位フランス
【Hグループ】1位スペイン、2位ウクライナ


したがって、私の決勝トーナメント予想は、

【決勝トーナメント1回戦】
(1)A1位ドイツ一B2位スウェーデン
(2)C1位アルゼンチン一D2位ポルトガル
(3)B1位イングランド一A2位ポーランド
(4)D1位メキシコ一C2位オランダ
(5)E1位イタリア一F2位クロアチア
(6)G1位フランス一H2位ウクライナ
(7)F1位ブラジル一E2位チェコ
(8)H1位スペイン一G2位スイス

であったが、今回は次のようになった。

【決勝トーナメント1回戦】
(1)A1位ドイツ一B2位スウェーデン
(2)C1位アルゼンチン一D2位[メキシコ]
(3)B1位イングランド一A2位[エクアドル]
(4)D1位[ポルトガル]一C2位オランダ
(5)E1位イタリア一F2位[オーストラリア]
(6)G1位[スイス]一H2位ウクライナ
(7)F1位ブラジル一E2位[ガーナ]
(8)H1位スペイン一G2位[フランス]

私は5月に勝者は、

(1)ドイツ、(2)アルゼンチン、(3)イングランド、(4)オランダ、
(5)イタリア、(6)フランス、(7)ブラジル、(8)スペイン

と予想したが、果たしてこれが当るかどうか。

(3)イングランド→エクアドル
(6)フランス→スイス
(8)スペイン→フランス

となる可能性が高い。やはりここまで来ると、世界ランキング通りの結果になるような気もする。しかし、どれも好対戦となり、”熱戦”、”死闘”となる予感がする。

果たしてどこが勝ち上がるか。実に楽しみな試合である。
さて、今回の日本代表のサッカーを分析しておこう。

かつて、私が
【高校サッカー県予選決勝】
徳島商業3回戦突破ならず!
などでまとめておいたように、最近の日本人のサッカーには”際立った特徴”が見て取れるようになってきたと私は考えている。それは、日本のサッカーが”フットサル”化してきたのではないか、ということである。

そこでは、私はこのように書いていた。

”しかし、徳島商業と阿波の両校に言えることは、試合中に選手が足をつらせる場面が多く、走り込みが足りないことを物語っていた。また、お互いに当たりが弱い。特に、パスコースの読みとトラップの時へのタックルやアタックがほとんどなく、お互いに自由にボールにプレーできた。これを私は”徳島のサッカーはフットサルのようだ”と言っているのである。相手に自由にボールコントロールさせてはサッカーではない。

(あ)相手にボールがわたる前に出ていってボールをカットする。
(い)トラッピングをさせない。
(う)シュートは身体でブロックする。
(え)最後までボールを追い続ける。
(お)サイドからスライディングタックルでボールを奪う。

こういった基本が両チームともまだまだ甘いように感じた。徳島県人特有の”甘さ”や”人の良さ”や”やさしさ”が出ていた試合であったと私は見る。これでは、全国大会に出ても九州や関東のチームにはまず勝てないだろうと思う。なぜなら、関東のチームはもっともっと”激しく”、せちがらいプレーをするからである。”

今回の日本代表は、そこで私が指摘していた徳島の高校生と全く同じ問題を抱えていたから驚く。つまり、日本代表は”ワールドカップサッカー”ではなく、”ワールドカップフットサル”をやっていたのである。

同じアジア代表のイラン、サウジアラビア、韓国などのどの国々と比較しても、運動量で見劣りした。サッカーは、技術が下手なら、あとは動き回るしかない。技術がだめでも運動量で走り勝つことは可能だからである。韓国は伝統的にこれを目指して来た。しかし、運動量や体力だけでは1次リーグ突破できず、これではだめだということになった。そこで、個人技や身体能力を備えるようになって、日韓大会で4位入賞を果たしたのである。日本は、身体でも小粒な上、運動量も小粒である。これでは、サッカーに勝てない。

私が今回のサッカーで一番驚いたのは、最後の試合の後半途中で出て来た大黒である。入ったばかりでフレッシュな選手で動き回らなくてはならないのに、全く走らなかった。まるで3一0で勝っているチームのトップのように歩いてボールを待っていた。これでは点はとれないし、勝つこともできない。他にも高原、柳沢、玉田、中村などまったく走りまわれなかった。大方てくてく歩いていた。走り回っていたのは、中田英寿だけであった。

これほどまでに運動量のないチームをジーコはどうやれば作れるのだろうか。これが私には理解できない。おそらく、ジーコは選手の”自主性”を重んじたために、選手はジーコが言ったことを理解せず、何も自主トレしてこなかったに違いない。ジーコは、試合後のインタビューで「日本選手にないのは、プロフェッショナリズムだ」と分かったようなことを言って逃げていたが、こんなことはオフト、加茂、岡田、トルシエ監督の時代からずっと分かっていた事である。何を今さらという観ありだ。一言で言えば、ジーコは”手抜き”したのである。選手の”持久力アップ”や”体力強化”を怠ったのである。

中田英寿のようにプロ魂があれば、自分でキャンプを張り肉体改造行うだろうが、いつも群れて芸能人と夜遊びする日本のスポーツ・芸能界では、これは難しい。吉本のヤベ、テレビ芸能化したスポーツ人間の世界との交流は、日本のサッカーにとってデメリットにはなっても、メリットにはならない。選手達の尻を蹴って無理矢理にでも走らせる必要があったのである。しかし、ジーコはこれを怠った。その結果が、まったく走り回れない日本代表となったのである。この点では、1998年以前の日本代表の方がはるかに走り回ったのである。”ドーハの悲劇”の時代の日本サッカーの方がずっとましであった。

私も阿南高専サッカー部を1年半指導してみて分かったことだが、若い選手、特に20才前後の選手というのは、3日ほど走らないでいると、体力はほとんどゼロに落ちる。かといって、毎日走らせると、すぐに足が痛いとか筋肉痛になる。走らないと体力は付かないが、走るとすぐに痛がるという実に難しい年齢なのである。

かつて鹿島アントラーズにいたブラジル人のサントス選手は、毎日十分な睡眠を取り、毎朝起きるとすぐに10kmのランニングは欠かした事がない。午前中は、プールで水泳し、特に25m潜水訓練して肺活量の維持に努めた。筋トレも行う。そして、午後はクラブでサッカーの練習をする。これを毎日繰り替えしてきたという。今回ブラジル代表のロナウジーニョも毎日3時間の基礎練習を欠かさないという。もちろん、これがジーコの想定する”プロフェッショナル”なサッカー選手像である。

しかし、今の日本のプロ選手でこれを行っているものは皆無である。ここに日本代表の問題点がある。時間があれば、芸能人とつるんで都会で遊び回る。飲酒・喫煙もするだろう。もちろん夜遊びもする。柳沢、小笠原、大久保、久保などは、門限破りの常習犯で、ジーコに大目玉を食らったことは有名だ。こういうことをしても試合でそれを感じさせないほどの結果を出せばまだ許される。しかし、結果も出せないのだから始末が悪い。

結局、私の個人的観点から言えば、今回日本代表がふがいなく負けた理由は、”戦術のせいで負けた”のでもなく、”1対1で負けた”のでもない、”肉体的身体能力で負けた”のでもない、”決定力不足で負けた”のでもない。要するに、中田英寿だけが「今の日本代表は1次リーグ突破できる力がない」と気付いていたように、すでに”試合以前に負けていた”のである。戦術うんぬん、メンバーうんぬん、する以前の問題、つまり”心掛けの問題”で負けたのである。私に言わせれば、この点では、ジーコはヒディンクに負けたのである。ジーコもさじを投げていたのに、日本人にはそれがないかのように演出していた。これはジーコの犯罪である。

現在のサッカーでは、主審ですら1試合(90分)で最低12km走る体力が要求される。ダッシュ力では、50m8秒を20本。これができないものはワールドカップから去った。

では、選手ならどうかと言えば、当然これより体力がなくてはならない。1試合(90分)で最低20km走る体力。50m7秒を20本。100m13秒を20本。このくらいの走力は必須だろう。

我々普通の中年でも10km40分で走る。私なら、今でも1時間みっちり泳げる。30分ノンストップクロール、50mクロール。100mバタフライ、50m×2バタフライ、500m平泳ぎ、200m個人メドレーが、私の日課である。これで正味だいたい1時間。プロサッカー選手なら、これにサッカー練習。午前(個人練習)3時間、午後(組織練習)2時間は必要だろう。

ジーコの練習風景を見ていて、私は日本代表が目に見えて体力が落ちて行ったように見える。おそらくこういった基本練習はまったくしていなかったのだろうと思う。プロサッカー選手であれば、ミニトライアスロン程度ならいつでも参加できるようにしておくべきである。

考えてほしい。

今回参加したサッカー選手達には190cmはおろか200cmをゆうに超える選手たちがいる。バスケットボールの選手にも、大相撲の横綱にもなれる体格である。その選手達がフィールドを90分間以上ジャンプしたりヘディングしたり蹴ったりダッシュしたりしているのである。日本のキックボクシングのK1選手達はたった3ラウンド15分程度のスポーツだ。おそらく大型サッカー選手のほうがK1選手より強いかも知れない。それほどに大きくタフである。

こうした選手達とやってスピードで勝るためには、走力で勝るほかないのである。今回の日本代表には、”走力がなかった”。走らないサッカーはフットサルだ。チャージしないサッカーはフットサルだ。

”日本サッカーはフットサル化した。”

それによって、ワールドカップサッカーでは惨敗したのだ。これは必然である。日本がブラジルほど強くなるまで、日本では”フットサル禁止令”を出したほうが良いと私は個人的には考えているのである。それほどまでに、サッカーとフットサルは違うのである。バスケットとバレーボール程違うのである。
【ウクライナ一チュニジア戦1一0】
初出場のウクライナ、チュニジア下し決勝T進出決める
チュニジア、3大会連続で1次L敗退
試合結果

これまた東欧のウクライナのホームゲーム”ディシジョン”であった。”アフリカの雄”チュニジアが散った。

まったく互角の戦いでチュニジアは非常にレベルの高い良い戦いをした。がしかし、東欧とは言え、やはり”白人の国”ウクライナ。”自分の足でつまづいたシェフチェンコ”にシミュレーションのイエローカードではなくPKが与えられた。これが決勝点となってウクライナが決勝トーナメントに進出した。

まあ、韓国戦とチュニジア戦ともに”後味悪い”試合となってしまったが、これが何度も言う”白人特有の気質”なのである。あれだけフェアにやるように審判の講習会や合宿まで開いて精鋭審判40人ほどを選別したにもかかわらず、やはり野球のWBCの”ボブ・ザ・ボーク”のボブ・デービッドソンのような判官びいきの審判が少なからず潜んでいるのである。あるいは仕組まれているのだろう。

この調子だとヨーロッパチームが優勝するまでこんなことが続くのかも知れない。が、それがワールドカップである。日本人はこれが現実だと早く認識すべきである。


【スペイン一サウジアラビア戦1一0】
スペイン、セットプレーで決勝点
サウジ、12年ぶりの白星ならず 「中東の雄」も敗退
試合結果

こっちも似たようなもの。ホームチームの有利さで、無敵艦隊スペインが危な気なく勝利した。”アジアの雄”サウジアラビアも善戦したが、補欠選手主体のスペインにかなわなかった。
【フランス一トーゴ戦2一0】
フランス、2大会ぶりに決勝Tへ
試合結果

このリーグ弱小のトーゴ相手に、王者フランスが”生き返った”。まるで一度死んで復活するゾンビのようだ。勝てないが負けもしなかったフランスがトーゴに勝って勝点5で決勝トーナメントに進出した。

この試合は、トーゴは驚異的な”身体能力”と”個人技”で善戦したが、やはりゴール前の詰めの厳しさやシュート力の差が出たようだ。フランスはジダンを欠いていたが、むしろその方が良かったようで、たくさんのシュートチャンスを作りトーゴを圧倒した。アンリは決定力がワールドカップでは今1つなので、10本くらい打ってやっと1点程度である。そのアンリにも1発が出て、アフリカ代表のトーゴに快勝した。

しかし、この試合の真の覇者は両者にいたアフリカの黒人であった。フランスのアンリにしてもマケレレにしてもビエラにしてももともとはアフリカ系の選手。本来ならチュニジアとかトーゴとかアフリカ代表として戦うべき選手達である。アフリカ選手は、昔の宗主国なら比較的楽に移民できるので、フランス代表として頑張るか、アフリカ代表として頑張るかは本人次第。あるいは親次第というところ。

イングランド、ドイツ、ポルトガルなど、強豪国といえどもアフリカ人パワーは留まるところを知らない。日本にもアレックスというブラジル人がいるが、日本も移民、混血児の身体能力を生かす他ワールドクラスには届かないという面も確かにある。ハンマー投げの室伏選手を見ても分かるように、力自慢の東欧の血が日本人に混じっただけで、世界チャンピオンにまで行く。

この意味で、日本人も本当にサッカーを強くしたければ、アフリカ系、ヨーロッパ系との混血が必要なのかも知れない。

本当かどうかは定かではないが、その昔、古事記の時代に、朝鮮半島から渡来した”長髄彦(ながすねひこ)”と呼ばれる人物がいたというお話がある。長髄彦は、当時の日本人よりスネが長く長身であったことから、その名が付いたと言われる。この時代のもう1つの秘書「竹内文書」や「上記(うえつふみ)」という謎めいた本には、古代世界には、黒、白、赤、黄、青の五色の人がいたという話があり、それが弊立(へいたて)神宮に伝わる「五色人面」であるという。この”長髄彦”の時代の話に次のようなものがある。

ある時、5色の猿が日本に流れ着いた。5色の猿は日本でしか生きられないので、何とか現地での食料や住む場所を村びとから欲しがった。村びとは、5色の猿を追い返そうと思い、普通は何ヶ月もかかる土木作業を2日で行えと無理難題を突き付けた。5色の猿はしかたなく条件を飲み作業を始めたが、その作業を徹夜でやり遂げ、見事に2日で済ませてしまった。

このように、太古の時代から海外の人種の身体能力は日本人を上回っていたらしい。がしかし、これは21世紀の今もって事実なのである。この差は、混血以外にはあながいがたい。

こんなことを考えさせる試合であった。


【スイス一韓国戦2一0】
韓国、スイスに敗退 決勝T逸す
未明のW杯街頭応援168万人 韓国の願い届かず
試合結果

いやー、ワールドカップサッカーは”厳しい”。1勝1敗1分の勝点4でも決勝進出できない。

一方のこの試合は、韓国が勝てば、何とか韓国がトーナメント進出が決まるという大事な試合であった。しかし、結果は、スイスの勝利となり、韓国もまた1次リーグ敗退。アジア勢は全滅した。

やはり、スイスにとってドイツ大会はホームゲームであった。韓国はオフサイドでチャンスをもがれ、スイスのオフサイドはオフサイドにならず得点。これぞホームの有利さであった。日韓大会で韓国が味わった”幸運”を今度はスイスが味わった。そんな試合であった。

アウェーゲームは本当に厳しいものなのだ。
2006/06/23のBlog
【オーストラリア一クロアチア戦2一2】
豪州が2位通過 急襲キューウェル
豪がクロアチアと2一2で引き分け、決勝Tへ
試合結果

まさに”ヒディンク・マジック”。その実力がありながら長い事ワールドカップ出場を逃していたオーストラリアが、クロアチアと一進一退の死闘を繰り広げ、最後に引き分けに持ち込み、初の決勝トーナメント進出を決めた。


ヨーロッパでの戦いは、やはり同じ白人のオーストラリア人にとっては”有利”に働いたようだ。自分達の先祖の国での戦いは、言葉も分かるし、文化も似たようなもの、顔かたちも体つきも似たようなもの、何から何まで自国と大差はない。オーストラリア人にとってドイツは”ホームの戦い”なのである。ここが、日本代表とは違う。

日本の場合には、まず言葉が分からない。中田英寿以外はろくに英語も分からない。ましてやイタリア語もスペイン語もポルトガル語もドイツ語も分からない。町並みも何から何まで日本とは違う。人の顔つきも体つきも違う。文化も食事も全く違う。まるで「ガリバー旅行記」の巨人の国に来てしまったかのようだ。これでは、”平常心”を保つ事すら難しい。これが”アウェーの戦い”の難しさなのである。

ヒディンク監督は、サッカー後進国や新興国のワールドカップ出場”請負人”と言われるが、おそらく監督を請け負う時にヒディンク監督は、各大会でこうした”アウェーの戦い”や”ホームの戦い”の違いを明白に認識しているのではないか、と私は想像している。日韓大会で指揮した韓国チームは”ホームの戦い”であった。そして今度のドイツ大会のオーストラリアも言わば”ホームの戦い”のようなものである。ホームゲームの有利さをうまく”勢い”として利用しているのである。

結果的に、オーストラリアの成績は「1勝1敗1分」となった。これは、日本が目指したものであったが、”最低限の勝点”をあげたオーストラリアが偉い。

次はイタリアとの対戦となったが、かなり面白い戦いとなるだろう。
【ブラジル一日本戦4一1】
W杯に涙の「別れ」 中田英、ピッチに倒れる
ジーコジャパン、力尽きる 玉田、先制ゴール実らず
試合結果

試合終了。ピッチに倒れた中田。中田英寿が”泣いた”。

中田はこれまで年代別のすべての国際大会に代表として出場した日本人唯一なのである。U15、U17、U20、U23 (アトランタ・オリンピック)、ワールドカップ・フランス大会(1998)、ワールドカップ・日韓大会(2002)。

これらすべての試合をこれまで私は観察してきたが、どんな敗戦をしても”中田は泣かなかった”。”笑顔の中田”、これが中田の中田らしい”新人類”的なところであった。

そして今回のワールドカップ・ドイツ大会。ついにその中田が”泣いた”のである。私には”その時の中田の気持ち”が実に良く分かる。

かつて私が自伝の一部「2章 小中高時代:私がスポーツから学んだ事 」でこう書いていた。

”一一一 試合後、なぜか知らないが止めどもなく涙が溢れてきて、たぶん30分ほど第2試合の横で泣いていた。何度も止めようと思ったが、止まらなかった。 そこにどこからともなく藤井君が来てなぐさめてくれた。たぶん、これでサッカーは終わりだなと思ったからだろう。この時程純粋に涙を流したことは一度もなかった。”

こういった時の”涙”とは負けたことが悔しくて出てくるのではない。確かに悔しい。しかし、自然となぜか溢れ出てくるものなのだ。止めどなく溢れ出る涙。

これは、私がかつてそうであったように、”もうサッカー人生は終わりだな”と心の奥底で見極めたことから来る涙だと私は理解している。そう、中田選手は自身最後のワールドカップの”人生をかけた戦い”が終わったのである。だからこそ、涙が溢れ出る。甲子園球場で高校野球選手たちが見せる涙と同じ類いの涙である。


一般に”西洋人選手は泣かない”と言われる。しかし、それは嘘だ。チェコのネドベドもどんな大選手たちも生涯一度っきりの戦いで破れ去った時には泣いている。人目もはばからず大泣きしているのだ。日本の中村俊輔も泣いていた。それが自然なことなのだ。

しかし、泣かないでいられる選手も日本代表にはたくさんいた。これが私は信じられない。

この試合の分析はまた後程にして、後はまだ無敗で決勝トーナメント進出の望みがあるアジア勢”最後の砦”韓国に頑張ってもらうほかない。

”テーハミンゴ”の大声援を送ろうではないか!!

中田英寿、心からご苦労様。ありがとう中田!
【イタリア一チェコ戦2一0】
イタリア、チェコの脅威は「知り尽くした男」 W杯
試合結果

勝ったチームが決勝進出と、どのチームにも決勝T進出の可能性のあった大混戦の”死のリーグ”と化したグループE。しかし、優勝候補のイタリアが実力を見せ、”不世出の天才”ネドベドのチェコを撃沈した。

さすがに、”ローマ帝国”の子孫。試合巧者とはこのイタリアのようなチームを言うのだろう。伝統の”カテナチオ(鉄壁の守備)”も健在だった。

チェコもネドベドを中心に再三再四イタリアを崩しにかかったが、最後の決定力の差、ずる賢さの差が出て、チェコ守備陣の一瞬の”すき”を突いて2得点に結び付けた。

これが、私が「”戦い”はすでに始まっている! 」で次のように指摘した意味なのである。

”予想、予想、予想”で私はイタリア優勝を予想した。それは、前評判が高くなっても良さそうなほどに今年のイタリアリーグはレベルが高く絶好調なのに、至って”静か”な空気が漂っているからである。

最近のイタリア代表のサッカーは矢のように素早いボール回しと的確なシュートで一昔前のイタリアとは思えないほどの美しいサッカーに変貌を遂げた。トップスピードで走りながらまるでバスケットボールのようにパス交換できるという私好みのサッカーに代わった。

それゆえ、前評判高いブラジルやアルゼンチン、フランスやイングランドの影で密かにとてつもないことをやらかそうと計画を練っているのではないか、と私は直感しているのである。ギリシャ神話の「トロイの木馬」のような作戦を練って、ローマ兵は戦いの場を決戦ドイツ、ゲルマニカのドイツへと心馳せているのだろうと推察するからである。”

イタリア恐るべし。


【ガーナ一アメリカ戦2一1】
初出場ガーナが米国下し決勝Tへ 今大会アフリカ勢初
試合結果

こちらも勝った方がトーナメント進出のかかったグループEもう一方の試合。やはり”潜在能力”、”過去の実績”、”驚異的身体能力”のガーナが、単に個人技に頼るのではなく、組織力でもアメリカを圧倒して快勝した。

勝負に勝つには、1対1で勝つこと。この鉄則通り、アメリカの守備陣から1対1でボールを奪ったガーナが先制。後は一進一退でほぼ互角。勝負時の”厳しさ”の差が勝敗となった試合であった。ガーナは、初出場で初の決勝トーナメント進出という快挙を成し遂げた。次は王者ブラジルとの一戦。

ガーナ恐るべし。

ところで、このグループEとグループFの戦いは、イタリア一オーストラリア、ブラジル一ガーナという、”4強対新興国”の対戦、あるいは”ヨーロッパ一オーストラリア”、”南米一アフリカ”という4大陸間の戦いとなった。

実に意味深い。これぞサッカーがワールドスポーツと言われる所以である。ともに”初顔合わせ”だと思うが、身体能力と”勢いに乗る”新興大陸の挑戦と見ることもでき、イタリア、ブラジルともにかなりの苦戦を強いられる可能性もある。見ごたえのある試合となることを期待したい。
2006/06/22のBlog
“大和魂見せよ”日本サッカーの父クラマーさんゲキ

この記事は面白い。

今のJリーグの発起人、川淵さんや釜本さんや杉山さんらを育てた、”日本サッカーの父”、クラマーさんが、最終戦前に日本代表チームに”檄(げき)”を飛ばしたという。

「息子たちよ。君たちには大和魂があるのではなかったか。ゴールへの執念を見せなさい」

「初戦は絶対に落としてはいけなかった。豪州に敗れ、その後の方程式が狂ってしまった。クロアチア戦では、負けるのが怖くて、思い切ったプレーが出来ていなかった」

「ゴール付近になると途端に憶病になり、落ち着きを失う。自信が欠如している表れだ」

「今の日本は、1人が動揺するとチーム全体に連鎖反応が広がる。動揺した選手を周りが助けてあげないといけない」

「私の故郷で日本戦が行われるのは感慨深い。だが肝心なのは、日本が勝つこと。特別な日になることを期待しているよ」

さすがにクラマーさん、この2戦の”要点”を見事に突いている。ここで、クラマーさんがいった意味はかつてドゥンガも言った「日本人特有のメンタリティー」のことである。

「日本人特有のメンタリティー」とは、”恥ずかしがり屋”とか”引っ込み思案”とか、そういうものではない。”失敗を恐れ、逆にもっとひどい失敗をしてしまう”という致命的な気質のことである。私が自分の人生で見て来たところでは、日本人の99%にこの特徴がある。この特徴を持たない日本人は極めて例外的に少ない。

クロアチア戦の柳沢のミスショットこそ、この典型なのだ。シュートがゴールを外れる事を恐れて思いきり蹴らず、アウトサイドキックでちょこっと蹴る。それが逆に大きく外れる。

あそこは豪快にかっこよく、ズドーンと蹴るべきなのだ。例えそれで空振りして失敗してもこっちの方が相手には脅威なのだ。

日本代表はとにかく一生懸命やればそれでよく、”豪快なプレー”をして欲しい、と私は思う。結果は二の次だ。
この試合は、アルゼンチン人のリカルド・ラボルペ監督が率いるメキシコとブラジル人のルイシ・フェリペ・スコラリ監督(日本ではこの人をフェリペ監督と呼んでいたのに、今回はスコラリ監督と呼ぶとまるで別人のように聞こえるからよろしくない。日本のマスコミの気ままさにも限度があろう)が率いるポルトガルの戦いとなった。つまり、”アルゼンチンサッカー対ブラジルサッカーの戦い”であった。

内容はほぼ互角だったが、結果はPKをブラボーがはずしたためにリズムを崩してポルトガルの勝利に終わった。

ポルトガルは2連勝で1位確定のために主力を休めた。しかし、フィーゴなどのベテランは主軸として残り、後は若手を中心にした。これは、アルゼンチンも行った定石の1つである。おそらく、明日早朝に行われる日本一ブラジル戦でブラジルもこれと同じ事を行ってくるはずである。

メキシコのサッカーが非常に素早いサッカー、ショートロングのコンビネーションサッカーに変わって来たのは知っていたが、それがこのラボルペ監督の指導の成果であるとすれば、メキシコにアルゼンチンサッカーが浸透して来たことの証しだろう。

それまでは、どちらかと言えば、メキシコサッカーは”個人技”に頼るブラジル的な南米的なサッカーであった。個人技的なサッカーをヨーロッパ流の組織的サッカーに変えるのは並み大抵のことではない。

かつての1970年代以前のアルゼンチンもそうで、最初はブラジル的南米的なサッカーでドリブルやシュートに頼るものであった。これでは、組織プレーに徹するヨーロッパのコンチネンタルサッカーには勝てないので、大変革に取り組んだのがルイス・セサル・メノッティ監督であった。25歳のパサレラを主将に、そしてアルディレスを中盤の要にして、徹底的にクールに攻める方式に変えたのである。さらに欧州で活躍している選手たちにも自己中心主義からワールドカップ中心主義に変えた。そして1978年のアルゼンチン大会で初優勝を遂げた。

私の個人的に見るところでは、ラボルペ監督はかつて1970年代にメノッティ監督がアルゼンチンで行ったことをメキシコで今行っていると考える事ができるのである。なぜなら、一気に”若手中心に切り替えた”からである。このチームに昔のメキシコの有名選手はいない。

”大改革は世代交代とともに行う”

これが、アルゼンチンのメノッティ監督、フランスのジャケ監督の行ったことなのである。それを良い教訓として真似したのがメキシコのラボルペ監督であり、日本のトルシエ元監督であったのである。

一方、フェリペ監督は、日韓大会でブラジルに行ったことを今ポルトガルに対して行っていると考える事ができる。これはかなりサッカー王国ブラジル流である。

”世代間のバランスこそ最重要だ”

ということである。だから、ベテランと中堅と若手の良いバランスを考え、いつも次世代の選手も代表に呼ぶというやり方をブラジルは行う。これをフェリペ監督は今ポルトガルに対して行っているということである。だからベテランのフィーゴも若手のクリスチャン・ロナウドも混在する。

これは当然のことで、かつてのアルゼンチンやフランスや今のメキシコのように”大変革”、”大改革”が必要なチームならともかく、すでに”王国”として自分の形が完成したチームでは、世代交代、世代刷新は必要いからである。

ところで、こう考えてみると、残念ながら、監督としてはまだ若いジーコ監督はこのいずれも日本で行ってはいないと見ることができる。トルシエ監督は、それまでの日本サッカーを捨て、一気に若手を中心に据えた。だからある程度成功した。しかし、ジーコ監督は、まだ日本サッカーが確立したわけでもなく、引き続き”大変革”が必要な国であるにもかかわらず、中田中心のベテラン・中堅中心にチームを組んでいる。

奇しくも決勝トーナメントでは、アルゼンチンサッカーを目指すメキシコと本家アルゼンチンの戦いとなってしまった。

果たしてどちらが勝利するか。実に面白い一戦となった。


【イラン一アンゴラ戦1一1】
はつらつプレーで初得点 アンゴラ、荒廃に負けず
ダエイ無得点で去る 37歳のイランの英雄
試合結果

27年間”内戦状態”だったアンゴラ。”フリーターゴールキーパー”ジョアンリカルドのいるアンゴラ。真摯にサッカーをプレーするアンゴラ。”大五郎ヘア”のロコのいるアンゴラ。

そのアンゴラの奇跡の決勝トーナメント進出が、ヘディング対ヘディングの応酬で1対1となり、目前で夢と消えた。ほんとに惜しいゲームだった。


南米、ヨーロッパのサッカーのレベルからすれば、1ランク落ちるアフリカの”雄”とアジアの”雄”どうしの戦いで、実に白熱した戦いとなった。悪く言えば、”どんぐりの背比べ”。現状では、アジアとアフリカのサッカーレベルとはこんなものである。

日韓大会では”FIFAのサッカー普及世界戦略”のためもあり、アジアやアフリカ勢の躍進を印象づけた。しかし、ドイツ大会前にFIFA会長が”今大会はそうはならない”と明言したように、やはり南米とヨーロッパの戦いとなりそうである。

こうしてみると、日本は極東だなあー。南米やヨーロッパは地球の裏側に位置する。欧州に50人くらい日本のサッカー選手がいれば、日本もワールドカップで上位に入る事ができるかも知れないが、現状では欧州は遠すぎる。

そんなことを考えさせるゲームであった。
【オランダ一アルゼンチン戦0一0】
オランダとアルゼンチン、0一0引き分け
試合結果

この試合は、お互いに決勝トーナメントのために主力選手を温存するために”若手”中心にメンバーを組んで戦う、一種の親善試合。テストマッチという感じであった。特に、引き分けでも1位確定のアルゼンチンはまったく無理をしていなかった。

というのも、このグループCの対戦相手はグループDであり、グループDはポルトガルが1位確定しているが、2位がメキシコかアンゴラかまだ確定していなかったからである。下手に頑張って主力が怪我でもすれば、イングランドのように次の試合に響くからだ。

結果的には、オランダ一ポルトガル、アルゼンチン一メキシコという、ヨーロッパ勢どうし、南米勢どうしという皮肉な結果となった。

この試合そのものは、アルゼンチンのメッシやテベスなど若手が入って結構良いゲームで面白かった。若手中心でも全く戦力が衰えないのは、ブラジルと同じで、層が厚いことを示している。才能の宝庫アルゼンチンの観あり。

たぶん、アルゼンチン一メキシコは決定力の差でアルゼンチンが勝つだろうが、オランダ一ポルトガルは”死闘”になるだろう。どちらかと言えば南米的なポルトガルはオランダは苦手ではないかと思うが、どちらが勝ってもおかしくないゲームで実に楽しみな一戦となった。


【コートジボワール一セルビア・モンテネグロ戦3一2】
コートジボワール、セルビア・モンテネグロに逆転勝ち
試合結果

逆にこの試合は、かつてストイコビッチ率いたユーゴスラビア代表としてクロアチア・セルビア・モンテネグロの”連合軍”として出ていたチームも、今や昔の物語。かつての面影はなく、セルビア・モンテネグロの層の薄さを示していた。やはりクロアチアに良い選手を持っていかれたのが響いているのだろう。2点をリードしていても、1人退場者が出ただけで、立て続けに3点を入れられて負けてしまうというのが、この現実を物語っている。

ところで、たいした人口もない3つの国々がそれぞれ1つの代表を出せるというのは”犯罪的”ですらある。セルビアとモンテネグロが分かれたら、もうこの2つの国はワールドカップに出場できないのではないだろうか。やはり、この地域は、連合軍が適しているのではないだろうか。

一方、”象牙海岸”の国、コートジボワールは非常に良くやったと思う。”奴隷制度”発祥の国々の中で冷静によく最後まで戦った。

しかし、驚異的な身体能力を持ち、多くの選手がヨーロッパで活躍しているアフリカの国々もワールドカップではなんと弱いことか。1次リーグで”1勝”が良いところである。

この現実はどこから来るのか。この辺にサッカーというスポーツの”奥深さ”がある。
2006/06/21のBlog
【イングランド一スウェーデン戦2一2】
イングランドFWオーウェン、ひざひねり、精密検査へ
最後に失点、主力は負傷 後半戦不安のイングランド
イングランド、スウェーデンと分ける 双方が決勝Tへ
試合結果

”激戦”とはまさにこの試合のようなものを言うのだろう。実に激しいゲームであった。

しかし、紳士の国のサッカー選手よりバイキングの国のサッカー選手の方がより頑健でタフであった。そんな感じがした。もちろん、イギリスもバイキングの子孫なのだが、さすがに勇猛果敢さでは本家には及ばない。

このおかげで”38年ぶりの勝利”もまた引き分けに終わってしまった。

イングランドにとって優勝候補の地元ドイツとだけは当りたくなかったのだろう。本気モードでいったためにオーウェンを負傷で欠いたのは痛い。

結果的に、ドイツに負けはしたものの見事に主力を温存できたエクアドルとドイツ戦は避けたものの主力を怪我で失ったイングランドでは、どちらが有利かと言えば、エクアドルではないか。イングランドにとっては厳しい試合となりそうである。

一方、イングランドに最後の最後に引き分けたスウェーデンは血気盛ん。今度はドイツと”死闘”を繰り広げることとなった。これは、文字どおりの死闘を予感させる激しい試合になりそうだ。

”北欧バイキング魂vsゲルマン魂”

果たしてどんな試合になるのだろうか。死人が出ないことを祈るのみ。


【パラグアイ一トリニダード・トバゴ戦2一0】
「勝利は最低限の結果だ」 パラグアイ、意地を見せる
最後に失点、主力は負傷 後半戦不安のイングランド
小国の奮闘、観客も味方に トリニダード・トバゴ
試合結果

”大健闘トリニダード・トバゴ”

これが今回のトリニダード・トバゴに対する花向けの言葉だろう。強豪スウェーデンに引き分けは立派の一言。

中南米どうしの戦いとなったこの試合ではさすがに地力の差が出た。お互いに手の内を知り尽くしているために、パラグアイに歩があった。

しかし、チラベルトがいた頃のパラグアイのような”決定力”がこのチームにはなかった。もし”決定力”さえあれば、予選突破も夢ではなかっただろう。

年とったとは言え、大統領にも推薦されたことのあるチラベルトが後方にいた方が良かったのではないか。チラベルトの叱咤激励こそ”決定力”の原動力だったのではないか。なぜかそんな気がした。

それにしても、今大会のパラグアイのトップの下手さは群を抜いていた。
【ドイツ一エクアドル戦3一0】
ドイツ、A組1位で決勝Tへ エクアドルに3一0 W杯
力強さ影潜めたエクアドル 決勝Tへテストも独に完敗
試合結果

”いやー、相変わらずドイツは強い”

新聞記者同様にほとんどの人はそう思っただろうと私は思う。確かにドイツはうまかった。クローゼの2点目は素晴らしい。しかし、私はこう思った。

”狡猾なドイツ、エクアドルを食う”
”いやー、相変わらずドイツは汚い”
”これぞナチスドイツのサッカーだ”
”まるで「勝利への脱出」という映画そのものだ”

この試合の影の功労者は、主審とラインズマンの3人の審判である。エクアドルへのイエローカード、レッドカードに値するような”うす汚く、非常に危険な反則”を全く取らなかった。反則を取らないのだからいくらでも反則できる。これでは、さすがのエクアドルも”戦意喪失”するだろう。

が、実はドイツは大昔からワールドカップではこの戦法を伝統的に使って来たのである。というのは、ドイツチームはこう考えるからだ。

”南米チームはハードアタックに弱い”
”美技や個人技を求めるあまり汚いプレーをされると戦意喪失する”

この試合もドイツはクリンスマン監督からこの指示を受けたのだろう。現ドイツ大会委員長のフランツ・ベッケンバウワーもヨハン・クライフ率いたオランダをこの手で潰したのである。日韓大会の決勝でもブラジル選手の足を削りに行ったが、さすがにヨーロッパ経験の長いブラジル選手達はもっと上手だった。ことごとく悪質プレーを予想して見事に防御をして避けていたのである。このブラジルレベルに行かないと、まともに悪質タックルやチャージの餌食となる。

また、観客の8、9割がドイツの応援団というホームはまさにアウェーの戦いを強いられる。

”ホームチームの反則を取らない”

フランス大会の時、ジダンのヘッドの2回ともジダンをマークしていたブラジル主将ドゥンガをジダンが手で突き飛ばしたファールだったのだが、それを審判が見逃したからフランスが優勝できたのである。

日韓大会では、日本と韓国などのアジア選手にホームゲームのメリットを審判たちがくれたのである。どうしてこうなるのかは私は知らない。FIFAの指示なのか、あるいは裏金が動くのか、あるいはそれら以外の何かがあるのか、良く分からないが、実際に審判はホームチームに有利に動くのである。

実はこれがヨーロッパの白人気質の典型的なもので、これが”ホームゲームの恐ろしさ”なのである。これに打ち勝ったのは1958年のスウェーデン大会のペレのブラジルしかないのである。

ところで、エクアドルにとって次に戦う相手としてイングランドとスウェーデンを選ぶとすれば、”バイキングの国”スウェーデンよりは”紳士の国”イングランドの方がやりやすい。だから私はこの負けは計算された負けだと思う。



【ポーランド一コスタリカ戦2一1】
ワンチョペ、苦い代表引退試合 コスタリカのスターFW
ポーランド、最後は白星
試合結果

両者1次予選敗退が決定しているチームどうし。1勝を目指した試合。

中南米の国コスタリカ もさすがにヨーロッパさなかのドイツでは、ポーランドにも勝てなかった。ポーランドにとってはホームゲームのようなものだからだ。

このゲームも、ヨーロッパチームの激しさの前に中南米チームの技のサッカーが散った。

”ワールドカップサッカーとは戦争のようなものだ”

とは、千葉のオシム監督の言葉。しかし、これが現実でヨーロッパの選手は、一世一代の名誉をかけて突進してくる。この”厳しさ”、”激しさ”、”狡猾さ”の前では、中南米もアフリカもアジアもまだまだ青い。

もし再び世界が植民地主義の時代に戻ったとしたら、今の日本なら確実に植民地支配されるだろう。やはりヨーロッパ人が植民地支配するだろう。ヨーロッパ恐るべし。

こんなことを感じさせるゲームであった。

2006/06/20のBlog
【ウクライナ一サウジアラビア戦4一0】
ウクライナ4発、W杯初勝利 サウジアラビアを圧倒
試合結果

”アジアと欧州、アジアと南米の間にある壁”

まさにこの言葉通り、イランに続き、アジアのもう1つの”雄”サウジアラビアも予選敗退した。残るは日本と韓国のみとなった。しかし、実質的には日本は沈没したから、残るは韓国のみというところ。この韓国とて最終戦をあなどれば予選突破は難しい。これが、世界のサッカーの現実である。

あれほどスペイン相手に良いところなく負けたウクライナが、アジアでもっともレベルが高いサッカーを伝統的に行うサウジアラビア相手に大人と子供の差を見せつけた。これほどまでにヨーロッパのサッカーとアジアのサッカーとは差があるのである。

ヨーロッパ、南米にまだ近いのはアフリカである。しかし、このアフリカですら、アフリカ人特有の驚異的な身体能力を持ってしてもほとんどが予選敗退したのである。それだけでは勝てない。

では、身体能力もなく、戦術もそれほどでもなく、個人技もそんなに優れていないアジアはどうすれば良いのか。韓国のように”神憑かり”な幸運でもなければ、まずは勝つ事は難しい。今強豪国と言われている国々もそう言われるようになるのに10年、20年とかかっているのである。これが、世界のサッカーの現実なのである。

本当にアジアは、”エース・ストライカー”、”ゲームメーカー”、”鉄壁のディフェンダー”などの言葉で呼ばれる”天才プレーヤー”を発掘し育てて行かなくてはならない。同時に、アフリカチーム同様に、戦術面を徹底的に教育していく他はない。

欧州・南米とは、まだまだ大きな差がある。そんなことを考えさせられる試合であった。


【スペイン一チュニジア戦3一1】
スペイン3一1、チュニジア破り決勝T進出
試合結果

”無敵艦隊”スペイン、大逆転勝利。決勝トーナメント進出決定。

「チュニジアは後半25分まで先行したが、ガーナに続くアフリカ勢の今大会2勝目はならなかった。」

とあるように、強豪国ひしめくアフリカですら、ワールドカップで”たった1勝”をあげることすら難しいのである。良くて引き分けだ。あの韓国ですら長いワールドカップ参戦の歴史の中で、日韓大会以前では、ドイツに引き分けが最高で全敗だったのである。

だからアフリカの強豪チュニジアでさえ、世界最強のスペインリーグを持つスペインの前では、劣勢につぐ劣勢を強いられる。スペインに勝つ事は難しかった。

ウクライナ一サウジアラビア戦でもそうだが、果たしてどうやったら欧州や南米チームに勝てるようになるのだろうか。今大会は私が「”予想、予想、予想”」で予想していたように、”絶望的な”差があるように見える。

かつてメキシコ・オリンピックで杉山・釜本の名コンビで快進撃を続けたように、単に1、2人の”天才”だけでなく、”名コンビ”というのか、”名ライバル”というのか、”天才どうしの仲間”のようなものを育てる必要があると私は考える。

杉山・釜本の名コンビは、左サイドを杉山がドリブル突破し、それを中央の釜本へ送る。釜本は右45度からは目をつぶってもシュートが入るというほどのキック力があった。今のブラジルのアドリアーノのようなものである。何とかしてこの2人につなげるという戦いで日本はメキシコ・オリンピックで3位に入った。

私は今の日本代表には、この時のような”良い意味での序列がない”、ということが一番の問題ではないかと思う。才能は人によって異なる。それぞれの才能を生かすためには、それなりの役割に徹した順番が必要だ。守って杉山につなぎそれを釜本につなぐ。そして釜本が決める。ここにはいわゆる”民主主義”は無関係だ。与えられたチームの中でベストの選択をしなくてはならない。”必勝パターン”を作り出すとはこういうことだ。今の日本代表にはこれがない。

サッカーは民主主義のスポーツだ。だが、才能は民主主義ではない。才能は歴然足る不公平の世界だ。神様が才能を人々に与えるのであって、人が才能を与えるのではない。日本の”似非民主主義”が日本のサッカーを弱くしているように見えてならない。神様が選んだ真のアスリート、真のエリートに代表を与えるべきで、人が選んだ偽物、単なる人気者に与えるべきではない。

それにしても、日本では、釜本や奥寺のようなストライカーがなかなか育たない。
3時開始の試合、ジーコ監督批判 暑さ「選手が犠牲」

神様ジーコ、ついに”切れる”。私もジーコの意見に全く賛成である。

2試合連続日昼3時キックオフに対して、さすがの紳士ジーコもついに苦言を呈した。

「こんな時間にサッカーをやること自体、間違っている。試合時間を遅くすることを提案したい」
「体力的な準備を整えていても、動けなくなるし、ミスが出る。選手は守られていない。彼らが燃え尽きない日程を考えるべきだ」
「サッカーはビジネスになっており、選手が犠牲を払っている」

ちなみに、この記事で「午後3時、6時、9時のキックオフ時間が設定」とあるが、これはすでに欧米はいわゆる”サマータイム”に変わっているので、日本的に言えば、「午後2時、5時、8時のキックオフ時間が設定」という意味である。

日昼2時キックオフのゲームは、もっとも暑い時刻のゲームとなるために、本当にたいへんだ。私もこの1年半高専サッカー指導をしたから分かるが、真夏の2時の試合がどれほど大変かはベンチに座っているコーチや監督ですら”熱中症”になるほどである。高原は血がどろどろになりやすいので下手をすれば突然死しかねない暑さなのである。

”自分のチームは自分が守る。”

ジーコ監督の意見はもっともなことだ。

それにしても、昨今、テレビ・芸能界の”にわかサッカー通”が跋扈(ばっこ)して困る。ちょっとサッカーしたとか、サッカーを知っているとか、高校サッカーで全国大会に出たとかで、”サッカー通の芸能人”を演出する者どもが増えて来て困るという意味だ。

特に、吉本、ナベプロ、ジャニーズなどの芸能人・タレント、あるいは、放送局の”女子アナ”や司会者が、自分の出演料欲しさに日本サッカー代表やワールドカップを自分達の”食い物”にしている観あり、である。本当に見苦しい。

これが嵩じて、

”豪州戦とクロアチア戦は、昨年12月の組み合わせ抽選後に、日本のテレビ局の要望もあり開始時間が変更された。”

のであろう。が、この試合はNHKで放送ができなかった試合、民放(たぶん朝日放送)が”独占”した試合である。

これでは、国内の日本人がサッカー選手の活躍を妨害しているということになる。日本の放送局が、自分たちのメリットを得たいがために、放送時間をずらし、選手に過酷な条件を科し、それでいて選手に好成績を求めるという身勝手なことを行っていることになる。日本の放送局のやっていることは、ホリエモンや村上ファンドのやっていたことと大差なく、同じ穴のむじなである。あなた方にホリエモンや村上ファンドを批判できない。日本の放送局は、本当に選手達の活躍、好成績を見たいのであれば、選手達にとって有利な条件を与えるべきだ。

サッカーは、”にわかサッカー通”が思う程単純なスポーツではない。実に”奥行きが広く深い”ものである。Jリーグの”百年構想”。”スポーツ育成クラブシステム”。”長期的な指導体系”。などなどすべてが順調に育って初めてワールドカップで好成績があげられる。そういうものなのである。

”サッカーを食い物にするものは去れ!”
”サッカーを自分の単なる飯の種にするものは去れ!”

なぜならこうした者どもは本当にはサッカーを愛していないからである。

日本の試合が例え早朝の眠い時間帯にあったとしても、起きて声援を送る。これが本当のサッカーファンである。
【スイス一トーゴ戦2一0】
スイス、3大会ぶりの16強に前進 大声援が後押し
トーゴ、1点も奪えず敗退 ごたごた続きで力出せず
試合結果

”サッカーはバカではできない”

という言葉がある通り、お”バカ”なトーゴは、スイスの組織的サッカーに圧倒されて敗退した。

圧倒的にすぐれた身体能力を持ち、10人の”ペレ”がいるようなチームがアフリカのチームの特徴である。だから、トーゴは個人技や個人的能力においてはさすがのスイスをも上回っていた。瞬発力、長身、ダッシュ力、あらゆる面で個人対個人ではスイスを上回っていた。しかし、再三再四のチャンスも単純なプレーに終始し、次の展開が”予測できる”プレーでは、スイスには勝てない。

それと比べると、スイスは堅守と組織的展開力でトーゴを圧倒し、最後は決定力でも上回り、難敵トーゴを退けた。まるで蛇の髪を持つメドゥーサと戦って最後の最後にその首をはねたヘラクレスのようであった。

サッカーの質で言えば、トーゴのサッカーは中学生レベルで、スイスのサッカーは大人のレベルという感じである。つまり、トーゴの選手が、パスをもらう、パスを出す、パスをもらってから出す場所を考える、という感じであったとすれば、スイスはパスをもらう前にどこにパスを出すかを考えながらプレーしているという差があるということである。

トーゴのレベルなら、今のアルゼンチンと試合したら10一0くらいになってしまうかも知れない。その位にサッカーの質が低かった。

アフリカの選手は”戦術”を身につけたら世界一になれる、とこの10数年間ずっと言われて来た。いったいいつになったら戦術を理解できるようになるのか。やはりアフリカ人はバカなのか。同じ人間そういうことはないだろうが、文化的な面の問題がトーゴにはあるようだ。トーゴもはやくガーナのような大人のプレーするチームに変わってもらたいものだ。

いずれにせよ、ワールドカップ大会中に監督と選手が喧嘩したり、まだ勝ちもしないのに報奨金がどうのこうのといって揉めているようでは試合に勝つ事は難しい。”心掛け”の悪いチームが敗退するからだ。この意味では日本代表ももっと心がけを良くしないといけないだろう。
2006/06/19のBlog
【フランス一韓国戦1一1】
「格下」の韓国相手にリード守れず 仏に勇姿なし
フランス、韓国と1一1で分け サッカーW杯
試合結果

この一戦、何と言っても凄かったのは、

”大韓民国(テーハミンゴ)”、”大韓民国(テーハミンゴ)”

という、韓国サポーターの”声援”、”応援”であった。

この大声援に守られて、守りに守ったのが、韓国代表だった。比較的早い時間に1点をアンリに決められ、何点取られるのか、とびくびくしていると、粘りに粘り、最後には、かつてのアトランタ・オリンピックの日本代表の”マイアミの奇跡”のように、ラッキーゴールまで決めて同点にしてしまった。

ここに、私は今の韓国人と日本人の”精神性の違い”を見る。要するに、現在の韓国人の方が我々日本人よりずっと真面目で献身的で純粋なのだ。

韓国選手のプレーは、世界レベルで見れば決して上手とはいえない。しかし、見る者を感動させるに足る”一生懸命さ”がある。必死で身体を張って守り、精根尽きるまで走り回る。そして勝敗に無関係にサッカーを愛する気持ちがそこにある。プレーできる喜び、代表に選ばれたことへの感謝。ファンのサポートへの感謝など、サッカーで恵まれた自分たちへの忠実な献身がある。要するに、一言で言えば、韓国選手の方が日本選手たちより”心掛けがよろしい”のである。

これが日本のサッカーとの違いである。私はそう考える。

ブラジルのロナウジーニョもプレーを楽しんでいる。まさに”ロナウジーニョの唄”のように。

日本選手に足りないのは、”良いプレーをして楽しむ気持ち”である。サッカーとは本来、楽しい遊びが進化したものである。ボール遊びを楽しむ。これが本当のサッカーなのだ。韓国にはそれがあった。

日本選手よ、フィールドでサッカーを楽しめ!
【ブラジル一オーストラリア戦2一0】
16強入りにも爆発力なし、ロナウド不振のブラジル
中盤の圧力と体格生かす ブラジル苦しめた豪州
試合結果

いやー、ブラジルは強い。これが私の率直な感想。おそらく、私の受け取った印象は日本の記者たちのものとは正反対だろう。

ロナウドが”絶不調”なのは、太った体格からスピードのなさ、運動量のなさなどから誰にも明らか。実質的には、10人で戦っていたようなものだ。しかし、そこは”セレソン”の友情、これまでの貢献者のロナウドに最多得点記録更新を目指して一致協力しようという団結姿勢が見て取れた。それに応じるように、ロナウドも絶不調ながらそれなりの活躍を見せた。そういう感じのゲームであった。

そんな中でもロナウジーニョは、少しも無理せず、怪我をしないように、ゲームをコントロールしていた。言わば、”省エネ”戦法。けっして手を抜いているわけではないだろうが、回りの選手を引き立てる役に徹していたようだ。

私がいつも不思議に思うのは、ブラジルがボールを取ると、相手チームもブラジル化するというのか、動きのスピードがブラジルのように”ゆっくり”してしまうことだ。日本代表が比較的ブラジルに相性が良いのは、ブラジルのこの特徴がスピードのない日本に合っているからである。この試合のオーストラリアも日本戦の時のようなスピード感はなかった。

実は、ここにブラジルの強さの秘密がある。これが、”ブラジルの緩急の変化”という戦術である。ある時は歩いているくらいのスピードでパス回しして休み、そこそこ体力が回復すると裏へ速攻を狙う。オーストラリアも知らないうちにそのペースにはまり、いつの間にかやられてしまった。オーストラリアの速攻、パワープレーもスピードがあってこそだが、それを消されたらおしまいである。

確かに、一見オーストラリアにもチャンスがたくさんあったように見えるが、だいたいは、遠目から”打った”のではなく、”打たされた”のである。ブラジルの注文通りの試合にされてしまったのである。この意味では、ブラジルの”完勝”だった。特に、ロナウドが引っ込み、ロビーニョが出た頃から、”カルテット・マジコ”が復活。あっという間に攻勢に転じ、2点目をゲットした。

だから、もちろん、なぜ最初からロビーニョを使わないのか、という考えもあるだろう。しかし、この辺は、監督がちゃんと考えてのことだろうと私は想像している。つまり、あまりにブラジルが強いと思わせるとまずいので、ブラジルはそこそこの調子だとライバル国に思わせ油断させるためのものだろうということである。

次の日本戦では、メンバーを落として主力を休ませて来るだろう。しかし、若い補欠選手の方がずっとうまいというのが、ブラジルの層の厚さなのである。
【日本一クロアチア戦0一0】
日本、痛い引き分け 決勝T進出厳しく
98年大会より力量落ちる、決定力欠いたクロアチア
試合結果

試合終了。緑の芝生に仰向けに大の字に横たわり、ドイツの青い空を見る中田英寿。”中田の夏は終わった”。

いやー、なんと言ったら良いのかなー。”日本サッカーというものはなかった”というのが、私の正直な感想。結局、この試合で

”中田英寿のワールドカップ人生は終わった。”

これが真実だろう。

まだ可能性がある、最終戦のブラジル戦で勝てば良い、なんて言うのはサッカーの”いろは”も知らない”にわかサッカーファン”の言う事であり、実質的には、クロアチアと日本が敗退した、ということになる。クロアチアは最初のPKをはずしてしまったために敗退が決まったというべきだろう。あれは、川口の好セーブという面もあるが、はずした選手が悪い。

クロアチアは、エースのクラスニッチがフランスのアンリ並みに出来が悪かった。これが日本に幸いした。この試合の柳沢やクラスニッチのような選手を”厄病神”と呼ぶわけだ。両方にお互いに自チームの足を引っ張る厄病神がいたので、引き分けたのだ。もしかつてのシュケルのような選手がクロアチアにいれば、日本は3一0で負けただろう。

柳沢はボールが足につかず、ドリブル突破もボールキープもできず、サンキュウゴールも決められず、なんでこんな選手を使うのか、ジーコの見識を疑う。それほどひどい出来であった。見ていて気の毒になる程、”足に来ていた”。

ここで言う、”足に来ていた”というのは、野球の選手が初めての打席で”緊張のあまり”足ががくがく震えるというように、緊張のあまり足がすくんでうまくボールコントロール出来ない状態のことを意味する。

こういう状態になると、かつてのオフト監督の”ドーハの悲劇”の時の福田(今回、テレビ番組レポーターで参加)のように、自分で自分の足につまずいて転ぶというようなことが起こる。柳沢のプレーは見る者を落胆させるプレーだった。我が家の息子たちもなんでこんな柳沢を使うのか、日本にもっと良い選手いないの?と不思議がっていた。もっともな指摘である。

柳沢の”痛恨のシュートミス”はおそらく性格にもよるが、基本技術をおろそかにしていることの結果だろうと私は見ている。
柳沢:「インサイドでければ違っていたかもしれない。うまくいかなかった」
ふざけるな!と私は言いたい。

あるいは、”私生活の乱れ”のせいだろう。つまり、私生活で”飲酒”しているのだろうという意味である。柳沢の”べたっとした”口元や”でれっとした”目つきには、酒のみの典型的な仕種が出ていて私はまったく好きではない。というのは、そういう習慣は神経系を麻痺させ運動神経を鈍らせるからだ。だから、サッカー選手(やボクサー)は「現役の間は”禁酒禁煙”が必須条件」とされているのである。こうした選手はすぐに老ける。プレーが老けるのが早い。まず、すぐに走れなくなる。そしてボールコントロールが甘くなる。筋力が落ちる。

しかし、柳沢、高原、大久保、小笠原(かつて夜遊び事件を起こした連中や女優やタレント遊びを覚えた連中)は、どうもいつも(毎日)酒を飲んでいるような雰囲気がある。これは早急に禁止すべきことだろうが、こういったことはサッカー以前の問題だが、日本のサッカー選手に欠けているのが、技術うんうん、戦術うんぬんする以前のこういった問題なのである。これは、最近の日本のスポーツマン全体に関わる問題で、サッカーに限らず野球でも何でもそうである。実際、ここ最近の高校野球不祥事の最大の問題は飲酒喫煙なのである。もちろん、”女遊び”もだ。

さて、今後の選手起用の問題は結構面白い問題があるので、ここで議論しておこう。というのは、こういうふうに、未来がだいたい95%が決まってしまった、という場面で、つまり、5%程度の他力本願の予選突破の可能性があるという場合に、最終戦をどうすれば良いのか、という問題である。

こういう場合には、よく高校野球でやるように、白旗を上げあっさり予選敗退を受け入れ、将来のためにこれまで使わなかった選手を使ってみるという方法が1つ。もう1つは、いわゆる”玉砕戦法”で最後まで勝ちにこだわって行くという方法である。

後者は、
「もてる力のすべてをブラジルに」 意気込む日本FW陣
を見れば分かるように、非常に”日本人的メンタリティー”的であり、日本人の心情に合う。

この期に及んでも、柳沢や高原はまだこんなことを言っている。

高原:「持てる力すべてをブラジルにぶつけたい」
柳沢:「もちろん得点も狙うが、ゴールでも反則を受けることでも、チームのためなら何でもやる」

私は、私のいわゆる日本人特有のメンタリティーとは異質の私固有のメンタリティーから、最終戦はまったく別のチームで戦い、将来につなげて欲しいと思っている。それは、中田英寿、中村俊輔を引っ込め、小野を中心としたチームで戦ってみることである。せっかく連れて来た選手全員に良い経験を積ませるべきだと私は考える。フランス大会の時の二の舞いをすべきではない。この時も小野は何分か出場しただけだった。将来に生きるチーム編成すべきである。

そこで私は先発は以下のようにすべきだと思う。

FW:大黒将志(玉田圭司と交代) 巻誠一郎
MF:小野伸二
MF:三都主アレサンドロ(福西崇史と交代) 遠藤保仁 稲本潤一 小笠原満男
DF:中田浩二 坪井慶介 中沢佑二
GK:楢崎正剛(前半)、土肥洋一(後半)

私はワールドユースで準優勝した”小野伸二のチーム”がどこまで通用するかみたいのだ。中田英寿のチームはもう限界だからだ。かつて私が
【301】 中田時代から小野時代到来? 2004/06/02(Wed)
に書いたように、現状では、中田抜きの小野、稲本の中盤がベストであると私は考えている。しかし、ジーコは中田に信頼を置き過ぎた。

果たして最終戦はどうなるか?

おそらく最後まで、「”目先”の勝ちにこだわり将来への”大損”をこく」、のだろう。
2006/06/18のBlog
【ガーナ一チェコ戦2一0】
同僚同士でユニホーム交換 ガーナとチェコの2人
試合結果

いやはや、”死のリーグ”はアルゼンチン、オランダのいるグループCかと思い気や、このグループEの方が大混戦の本当の”死のリーグ”となってきた。大激戦グループになった。

世界ランク2位のチェコをガーナが2一0で危な気なく一蹴してしまったから、さあ大変。チェコは、持ち前の組織力と正確なプレーでガーナを苦しめたが、身体能力の高いガーナの選手の”潜在能力”の前に散ったという観あり。1対1の強さ、ドリブルのスピード、トラップからシュートへのスピードの差が試合に出た。


しばらく前(2001年)にガーナはワールドユースで準優勝したことがある。それより前には、U17国際大会で2度の優勝がある。私の記憶では、確かこのうちのどちらかのU17で中田英寿の日本と対戦し、引き分けだったと思う。この世代が順調に成長して現在のガーナ代表の基礎となっている。しかし、このガーナにしても、ワールドカップ初出場なのである。

こういった選手たちの中でMFの背番号8のミカエル・エシアンは、”50億円プレーヤー”であるという。その他ほとんどの選手がヨーロッパで活躍している。したがって、国の英雄であると同時に金銭面でも億万長者となり、自信を持っている。この自信がこのゲームのプレーにも出ていたと私は思う。

ガーナ恐るべし!

今大会のもっとも面白いチームである。


【イタリア一アメリカ戦1一1】
イタリアと米国は1一1の引き分け W杯1次リーグE組
試合結果

この第2試合も激しい”死闘”となった。1次リーグ突破を目指すアメリカと本命イタリアの一騎討ちであった。警告者多数、退場者3人の壮絶な戦いだった。1対1の戦いは、頭突きあり、肘打ちあり、蹴りありのまるでK1のような戦いであった。

イタリアとアメリカってそんなに仲悪かったの?

と思いたくなる程の激しい戦闘、削りあい、であった。

中でも”光っていた”のは、後半途中から出て来たデルピエーロ。セクシー度ナンバー3の男である。しかし、この日はスウェーデンのユングベリ同様のシェイヴドヘッド(坊主頭)。よほどドイツ女性は精力絶倫の”禿げ男”が好きらしい。このデルピエーロのシュートが決まれば、イタリアの勝ちだっただろうがアメリカのゴールキーパーが超ファインセーブ。

一方、アメリカで”光っていた”のはMFのドノバン。テニスの元女王のヒンギスに似た顔である。このドノバンの運動量は物凄かった。

こうしてみると、どうしてアメリカは初戦のチェコ戦でああもふがいなく負けてしまったのか、良く分からない。チェコ戦でも今日のように戦っていればきっとかなりの良いゲームになったはずである。

いずれにせよ、このグループEの最終第3戦目は目が離せない。ガーナ一アメリカ、チェコ一イタリア。負ければ敗退という分かりやすい状況だけに、壮絶な歴史的死闘がくり返されるだろう。

私の個人的想像では、これもドイツが非常に楽なリーグにいることから、最初から用意周到にライバルを消耗させる作戦として組み込まれていたのだろうと思う。

果たして今夜のグループFでは、日本がクロアチアに勝ち、オーストラリアがブラジルに勝ち、混戦に持っていけるだろうか。オーストラリア一ブラジル戦では勝った方が一抜けになるので、3チームの混戦という状況だが、最終戦まで楽しみが残るか、お引き取りいただくことになるか、今夜の試合で決まることになる。

日本チームには、日本サッカー史上歴史に残る”死にものぐるい”の戦いをして欲しいところである。