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きょうのコラム「時鐘」 2009年5月23日
殺人事件の容疑者逮捕を伝える記事で「富山初、裁判員制適用へ」の見出しがあった。裁判員制による初公判がある7月まで、事件記事にも従来とは違った視点が注がれる。その一例だった
先日は、新制度の対象となりそうな都道府県別の犯罪件数が示されていた。富山、石川、福井はゼロ。大阪の13件、東京9件などが目立った。大都市は人口が多い分、事件も多く、当然の数字ではある 問題は裁判員に選ばれる確率だ。これまでの種々の統計でも大阪府民が選ばれる確率は高くて、地域間格差が無視できないことを指摘してきた。負担の大きい新制度である。大阪府民の心境は複雑に違いない 一方、犯罪の地方拡散が進み、過去になかった都市型犯罪も起きている。裁判員に選ばれる確率は大都市に比べて低いとはいえ、地方では都会にはない人間関係や、しがらみ、戸惑いが浮き彫りになる恐れはある 知人の事件に裁判員として関わることはないが、糸をたどると遠い親戚や知り合いだったということが起きないとは言い切れない。新制度の課題は、大都市より地方のほうが深刻かもしれない。 |