2009年5月23日17時0分
新型の豚インフルエンザが国内で発生してから1週間。感染した神戸市の女子高校生(17)は22日夜、家族と1週間ぶりの再会を果たした。発症後、自宅療養していた生徒は自分の部屋から出ないよう病院と保健所から指示された。同じ屋根の下にいながら、家族とのつながりは電話の子機だけ。自宅内で続いた「隔離」生活を父親(46)が振り返った。
「ご飯やから出ておいで」
「はーい」
再会の場は夕食のテーブルだった。顔色もよく、おいしそうにマーボー豆腐を食べる姿は以前と変わらない。話す内容もいつも通り部活動のことばかり。違うのは「こもりきりで、ほんま退屈やった」と繰り返すこと。父親には慌ただしかった1週間がうそのように思えた。
女子生徒は15日夜に38.5度の熱を出し、翌16日、病院でインフルエンザと診断された。検体は遺伝子検査に回され、女子生徒はいったん帰宅。病院と保健所から「家族への感染を避けるため、1週間は自室から出ないように」と指示された。同じ家の中にいながら、顔を見られない「隔離」生活が始まった。
17日、病院から「新型と確認された」と連絡があった。処方されたタミフルを服用し、熱は37度まで下がった。体調も回復し、自室にある電話の子機から親機に明るい声が響く。「ママ、おなかすいた。早くごはん作ってきて」。一緒に食卓を囲むことができず、用意した料理は部屋のドアの前に置かれた。女子生徒は親の姿が見えないことを確認し、食事を部屋に持ち込んで食べた。
6畳の部屋ではテレビを見たり本を読んだりして過ごした。部屋から出られるのはトイレと風呂の時のみ。女子生徒は「もう部屋から出たい。退屈すぎる」と繰り返し訴えるようになった。父親が「この機会に勉強でもしたら?」と言うと、「こんな状況じゃ集中できへん」。