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未来づくりの主導権の回復

2009年5月23日0時16分

 今年1〜3月期のGDPの実質成長率は年率換算でマイナス15.2%という大幅な落ち込みである。昨年10〜12月期も同14.4%で、いかに急激なブレーキがかかったかが分かる。これは厳しい現実だが、よく見極める必要がある。米国発の世界同時不況に対して日本の企業が機敏に思い切った対応をした結果という面もあるからである。

 政府には期待できず自力で対処するしかなかった前回のバブル崩壊時のことが企業の経験に残っていたと思われるが、今回の対応は大切な選択だった。急激な変化に自力での対応は無理だと、政府の支援に強く依存した米欧とは対照的である。

 日本では今後、米欧と協調した財政の大幅出動の効果が出てくる。不況はまだ続こうが、最悪の局面は脱却しつつあるのではないか。むしろ日本の企業にとっての課題は、世界経済のパワーバランスや需要の構造が大きく変わるのに対して、何に経営資源を集中し、何を開発してゆくかがまだ見えないところにある。

 そのために必要な転換の第一は、短期的な市場の評価で経営のかじ取りをする米国型の発想からの脱却である。ここ数年、中・長期の視野で人を育み、本当に必要な製品やサービスを生み出すという本来業務は弱まっていた。しかし、顧客や社会の本当の痛みや必要に応えてこそ企業は発展する。またその基礎は現場の社員の士気や互いを生かし支える連帯感にある。日本の企業経営にはそこを立て直すための素地がまだ残っていることが重要である。

 当面は財政面、金融面での支援がより確実に実行される必要があるが、企業経営の側でも新たな発想をもって未来づくりの主導権を回復することが急務だと思われる。(瞬)

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