大赤字続出だった決算発表のピークが無事過ぎた。監査法人が決算を承認しない事態が相次ぐ「5月危機」の心配もなくなった。しかし新たな不安が株式マーケットを襲っている。
「不安材料は2つあります。ひとつは、新型インフルエンザの悪影響がどこまで広がるか。もうひとつは企業に対する格付け動向です。今後、格下げラッシュが起きるのではという懸念が広がっています」(市場関係者)
新型インフルの猛威による業績悪化は、今さら指摘するまでもないが、「格下げラッシュ」とは、どういうことか。
「09年3月期決算で赤字だった会社の格付け見直しは間違いないでしょう。格下げされた会社は、ただでさえ資金調達に苦しんでいるのに、信用収縮で一段と厳しくなります」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏)
すでに2970億円の最終赤字を出したNECは19日に「Baa1」(ムーディーズ)から「Baa2」に格下げされた。シャープも「AA」(R&I)から「AAマイナス」に格下げ、東芝も「BBB」(S&P)から格下げ方向で検討されている。
トヨタ自動車も続きそうだ。決算発表前の2月に最上級の「AAA」(S&P)から1ランク下の「AAプラス」に下げられ、5月上旬にはもうひとつ下の「AA」になっている。決算発表を受けてさらに下がる恐れは強いのだ。
そのほか5月だけで格下げされたり、格下げ検討に入った主な会社は別表の通り。
社債発行に適した格付けは「A」以上といわれ、「B」クラス以下では社債発行が難しい。
信用不安が多少改善した「BBB」(JCR)のソフトバンクは約2年ぶりとなる個人向け社債発行(500億円)にこぎつけたが……。
「ソフトバンクが6月に発行する社債の利率は5%近くになるといわれます。今年2月に個人向け社債で評判を呼んだ三菱東京UFJ銀行の劣後債ですら年利2.75%ですから、ソフトバンクは相当な負担を強いられます。それでも起債できるだけマシという見方もできます」(経済ジャーナリスト)
この先、格下げされ、信用が低下し、市場からの資金調達が困難になる企業が続出しかねない。金融機関からの借り入れがかなわなければ資金ショートし、最悪のケースも考えられる。「格下げ破綻」の恐怖が高まってきた。
◇社名/格付け/内容
◆トヨタ自動車/AA(S&P)/格下げ
◆NEC/Baa2(MDY)/格下げ
◆シャープ/AA−(R&I)/格下げ
◆東芝/BBB(S&P)/格下げ検討継続
◆パイオニア/B+/格下げ
◆日立製作所/A−(S&P)/格下げ検討継続
◆パナソニック/AA−(S&P)/格下げ検討継続
◆オリンパス/A+(R&I)/格下げ検討
◆ブリヂストン/AA−(R&I)/方向性を安定的→ネガティブ
◆三井化学/A(R&I)/方向性を安定的→ネガティブ
◆朝日生命/BB(S&P)/格下げ検討
◆みずほFG/A(R&I)/方向性を安定的→ネガティブ
◆アコム/A2(MDY)/見通しをポジティブ→安定的
◆三菱UFJニコス/A1(MDY)/格下げ検討
◆プロミス/A3(MDY)/見通しを安定的→ネガティブ
(MDYはムーディーズ)
(日刊ゲンダイ2009年5月20日掲載)