花巻で2次医療圏懇談会 地元首長の不満噴出

地元側から批判を受け、陳謝する県保健福祉部の福島副部長

 岩手県がスタートさせた2次保健医療圏ごとの地域医療懇談会の進め方に、地元から反発が出ている。花巻市で20日夜にあった懇談会では、県側が県立病院の苦境の説明に終始。市長らが「われわれは地域医療の在り方を議論しに来たんだ」と痛烈に批判した。県は平謝りして出直しを約束したが、懇談会は秋までに各圏域で3回ほどしか予定されておらず、「腰を据えた議論が必要」との指摘も出ている。

 「地域医療の議論になっていない」。北上市の伊藤彬市長の声が、花巻保健センターの懇談会会場に響いた。

 岩手中部圏対象の20日夜の懇談会には、県や地元の4市町、医師、住民代表ら約30人が出席した。県側は40ページもの資料などを用意。医師不足など県立病院の状況説明に約1時間も費やしたことに不満が噴出した。

 意見を求められた伊藤市長は「住民の声を反映する会議なのに専門的な説明でさっぱり分からない」と住民感覚とのずれを批判。遠野市の本田敏秋市長も「何を議論してほしいかを説明せずに『意見をくれ』では無理だ」とかみついた。

 市町村や民間病院、福祉施設も含めた包括医療に向けた議論を期待した他の出席者も「県立病院の資料だけで、地域医療は考えられない」と指摘した。

 県保健福祉部の福島寛志副部長が「住民の視点に立って資料や問題点を提示したい」と陳謝し、批判は収まったものの、懇談会への不満は他の圏域でもくすぶっている。

 一関市で20日午後にあった両磐圏の懇談会に出席した医療関係者は「県立病院の実情を知ることは第一歩になるが、3回では少ない。地域医療を守る実践につなげるため、分科会を設けることも必要だ」と強調する。

 「地域や住民が事例を挙げて課題を出し、解決に向けて議論を深める機会にしなければならない」。花巻市での懇談会にオブザーバーとして参加した県議はそう話した。


2009年05月22日金曜日

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