政府が22日、新型インフルエンザに柔軟に対応する新しい方針を発表したが、解散・総選挙を控えた立候補予定者の間には、既に週末の集会など政治活動を一部自粛する動きが広がっている。鳩山新体制発足後初めて週末を迎える民主党の府連関係者は「反転攻勢の場だったが」。主要各党は「感染が広がっては元も子もない」。候補予定者の1人からは政府の新方針について「もう少し早ければ集会を開催できたのに」とうらみ節も出た。
「決起集会のつもりだったが、感染の危険を考えると無理だ」。民主党の元職は19日、大阪府岸和田市内で菅直人代表代行らを招いて23日開催予定だった「民主世直しフェスタ」の中止を決めた。堺市南区でも、民主元職が23日の集会を中止。公明現職は大阪市西成区などで設定した23、24日の集会を延期し、共産地区委員会は市田忠義書記局長らが参加する同府寝屋川市の演説会など24日予定の2演説会を取りやめた。
吹田市では、自民現職の事務所が街宣車の運行を取りやめた。事務所の担当者は「有権者が家でじっと我慢しているこの時期に、街宣車を住宅街に走らせるのは不謹慎ととられかねない」と語る。
こうした自粛ムードに候補予定者の1人は「強毒性でもないのに、感染におびえて『1億総自粛』となるのは危険」。別の予定者は「麻生太郎首相が選挙を引き伸ばす口実にしかねない」と話した。【稲垣淳、田中博子】
毎日新聞 2009年5月22日 大阪夕刊