月周回衛星「かぐや」

2007年9月14日打ち上げ > 運用中

プロジェクトトピックス


2009年5月21日 更新

「かぐや」観測を終え、6月11日月面へ制御落下

約10カ月間の定常運用及び約8ヶ月半の後期運用を行ってきた月周回衛星「かぐや」は、6月11日3:30頃(日本標準時)に月の表側のGILLクレータ付近(東経80度、南緯63度付近)へ落下させることになりました。
「かぐや」の落下予測位置が月面の日影部分であり、衝突閃光を観測できる可能性が僅かにあると見込んでおり、落下予測日時と位置情報を国内外の関係機関に連絡しているところです。
※落下予測時刻と位置情報については、今後のさらなる軌道解析、衛星の状況を踏まえて見直す可能性があります。

プロジェクトマネージャから


月探査機「かぐや」(セレーネ)は、14の科学観測機器と41万人余りの方からのメッセージを乗せて2007年9月に月に向けて飛び立ちました。
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プロジェクト概要


プリント

月探査の未来を拓く月周回衛星「かぐや」

SELENE

2007年9月14日、日本初の大型月探査機がH-IIAロケットによって打ち上げられました。この計画は「SELENE(セレーネ:SELenological and ENgineering Explorer)」と呼ばれ、アポロ計画以来最大規模の本格的な月の探査として、各国からも注目されています。
主な目的としては、月の起源と進化を解明するためと、将来の月の利用のためのさまざまな観測です。これまでの探査計画でも月に関する多くの知識を得てきましたが、月の起源と進化に関しては、依然として深い謎のままです。
「かぐや」は月表面の元素組成、鉱物組成、地形、表面付近の地下構造、磁気異常、重力場の観測を全域にわたって行います。これらの観測によって、総合的に月の起源・進化の解明に迫ると期待されています。同時に周回衛星に搭載された観測機器で、プラズマ、電磁場、高エネルギー粒子など月周辺の環境計測を行います。これら計測データは、科学的に高い価値を持つと同時に、将来月の利用の可能性を調査するためにも重要な情報となります。


「かぐや」の構成と具体的なミッション内容

「かぐや」は主衛星(月周回衛星)と、2機の副衛星「おきな」(リレー衛星)・「おうな」(VRAD(ブイラド)衛星)から構成されています。主衛星は月付近に到達します。月に到達すると、高度100キロメートルの極周回円軌道に投入されます。「おきな」は、その途中の遠月点高度2400キロメートルの楕円軌道に乗り、月の裏側の重力場計測のため、地上局と主衛星との間の通信を中継します。さらに、「おうな」が、遠月点高度800キロメートルの楕円軌道に投入されます。「おうな」は、電波を送信することで、月の周りの重力場を測る役割を担います。主衛星は約1年間運用され、その間に月の全球観測を行います。


主要諸元

国際識別番号 2007-039A(主衛星)
打ち上げ日時 2007(平成19)年9月14日 10:31
打ち上げロケット H-IIAロケット13号機
打ち上げ場所 種子島宇宙センター
主衛星形状 上部モジュール:2.1m×2.1m×2.8m
下部モジュール:2.1m×2.1m×1.4m
アダプラトラス:φ2.2m八角柱×0.6m(暫定)
質量 約2,900kg(打ち上げ時)
軌道 月周回円軌道
軌道高度 約100km
軌道傾斜角 90度
姿勢制御方式 三軸姿勢制御方式
おきな
(リレー衛星)
形状 八角柱状形状(1m×1m×0.65m)
質量 約50kg
軌道 月周回楕円軌道
軌道高度 約100km×2400km
軌道傾斜角 90度
姿勢制御方式 スピン安定
おうな
(VRAD衛星)
形状 八角柱状形状(1m×1m×0.65m)
質量 約50kg
軌道 月周回楕円軌道
軌道高度 約100km×800km
軌道傾斜角 90度
姿勢制御方式 スピン安定

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