|
|
きょうのコラム「時鐘」 2009年5月22日
子どものころ、たあいのない言葉遊びがはやった。「大阪城を造ったのは誰や」「豊臣秀吉」「違う、大工や」
子どもが喜ぶ揚げ足取りのような遊びを、つい連想してしまう。競泳の入江陵介選手が出した世界新記録の公認を巡り、ひと騒動起きている。世界新を出したのは誰か。「入江?違う、新しい水着や」という声が出て、記録が公認されないかもしれぬ、と報じられている 北京五輪以来付きまとう厄介な問題である。世界新を量産した高速水着が引き金になって、開発競争に拍車が掛かっている。その騒ぎに巻き込まれ、「努力して良い記録を出しても、水着のせいと言われる」と、選手は嘆く 水着の認可問題には、メーカーの思惑や足の引っ張り合いがあるに違いない。禁止薬物が作った世界新も、散々見せつけられてきた。だからこそ、記録に待ったをかけられて文句を言うのではなく、もう一度世界新を出す、と言い放つ若者のさわやかさがうれしい 優秀な大工がいても、その才能を発揮させる城主がいなければ天下の名城は生まれない。大阪城を造ったのは、大工ではなく秀吉である。 |