昨年末まで大分事業所で働いていた20代の女性は、ある日、画像センサーに圧着するクリスタルプレートを表・裏逆に付けてしまった。どうすればいいか、請負会社のリーダーに相談したところ、「これは古い機種だから検査はゆるい。そのまま流しても大丈夫」とアドバイスされた。「その代わり、オレに相談したって言わないでね」。そう冗談交じりに念を押されたという。
そこには最終製品の品質を気にする姿勢は見られない。現在、大分キヤノンと契約を結ぶ請負会社「日研総業」には、20種類の業務マニュアルがある。「製品品質異常対策ルール」「誤梱包発生時の対応」などと題された各種のルールには、最終項に共通して同じ文言が並んでいる。「付則 この要領は2008年12月1日より施行する」というものだ。
「昨年夏、メイン工程であまりにも不良が多発したため、12月にマニュアルを作った。それまでは日研総業では業務マニュアルはなかった。今(09年2月末時点)でも、クリーンルーム内ではマニュアルはない」。2月末まで製造管理、勤怠管理を行っていたベテラン請負労働者はそう語る。
請負会社が正式な業務マニュアルなしに業務を行っていても、キヤノン側は黙認せざるをえない。
「業務請負の契約上、マニュアルを作るかどうかは請負会社に任せるしかない。品質や納期に関し要求を行うが、たとえばその仕事を9人でやるか、10人でやるかなどは請負会社側の裁量だ」(広報部)。
“裁量”に任せた結果、なぜ品質がおろそかになるのか。現場に混乱を招いている大きな要因が、キヤノンの徹底したコスト管理だ。
キヤノンと請負会社は責任めぐりつねに交渉
「手直し」と呼ばれる、班内でリーダーの補佐役を務めていた30代女性の請負労働者は言う。「いちばん困るのはキヤノンがビス、シールなど工具(部材)をギリギリの数しかくれないこと。現場ではつねに何かしら足りない工具がある」。
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