ケンタッキー州パデューカ(CNN) イラク中部マフムディヤで2006年3月、イラク人の14歳の少女が駐留米兵らにレイプされ、家族とともに殺害された事件で、主犯格の元陸軍兵士スティーブン・グリーン被告に仮釈放なしの終身刑が言い渡される見通しとなった。検察は死刑を求刑していた。
当地の連邦地裁の陪審は同被告に有罪の評決を下し、先週から量刑審理に入っていたが、21日、死刑評決に必要な全員一致には至らなかったことを明らかにした。審理開始時に陪審が受けた説明によれば、これにより被告は自動的に終身刑となる。
法廷で陪審の結論を聞いたグリーン被告は安どのため息を漏らし、かすかな笑みを浮かべた。弁護団は陪審の選択に「満足」を表明する一方、「被告は残る人生を獄中で送ることになり、事件は多くの人の人生を永遠に変えてしまった。(死刑が回避されたことを)祝うつもりはない」と述べた。
起訴状などによると、グリーン被告は同じ部隊の兵士らと共謀して民家に侵入し、少女の両親と妹を殺害。その後、集団で少女をレイプし、殺害したうえ、証拠隠滅のため遺体を焼却した。事件への関与が指摘された兵士4人は軍法会議で禁固2年3カ月から110年の刑を言い渡され受刑中だが、同被告は事件発覚前に「人格障害」を理由に除隊となったため、通常の司法手続きで裁判にかけられていた。元米兵が民間法廷で死刑を言い渡された前例はない。
弁護側は20日の最終弁論で、同被告が当時、上官らの死に直面して心理的トラブルを抱えていたことは軍も認識していたと指摘。配置転換や精神的ケアなどの対応を取らなかった軍の責任を追及した。これに対し検察側は、仲間の死を殺人の言い訳にするのは死者への仕打ちになると反論。同被告らは仲間のために復しゅうするという意識から犯行に及んだのではないと主張した。