東大よりハーバードを目指すエリート高校生たち(前編)
2009年05月20日14時57分 / 提供:YUCASEE MEDIA (ゆかしメディア)
■トップレベルの高校生が海外の大学を目指し始めた
今、東大合格レベルのトップの高校生の間で、「国内より海外のトップ大学に進学したい」という動きが加速しています。難関大学受験生のための模試「プロシードテスト」は、2008年2月から、志望校として海外の大学も指定できるようになりました。その結果、高校1年生の6%、2年生の4%が第1志望に海外の大学を指定したそうです。またアメリカの大学入試に必要なSAT(適性試験)の模試も、2008年11月から国内で始まりました。
東大・京大など国内最難関大学に合格できるレベルにあるのに、なぜ彼らは海外を目指すのでしょうか? また海外に進学するにはいつからどのような準備が必要なのでしょうか? 海外大学進学塾「ルートH」のエグゼクティブ・ディレクターであり、『東大よりハーバードに行こう!?』『5歳からはじめるハーバード留学準備』(アルク)などの著書を持つ森田正康さんにお話を伺いました。
森田さんは12歳でカリフォルニアに移住。カリフォルニア大学バークレー校卒業後、ハーバード大学、ケンブリッジ大学、コロンビア大学の大学院に在籍。コロンビア大学博士課程在学中に日本に帰国し、現在は東京大学博士課程に在籍しつつ、京都情報大学院大学で教授を務めています。経験に裏打ちされたグローバルな視点から日本の教育の発展に尽力する、教育と海外留学のスペシャリストです。
■実は50%の確率でハーバードに合格している日本人
―ハーバード大学は難関とされますが、日本人にとって実際どうなのでしょうか?
「ハーバードは知名度のわりに、毎年どのくらいの日本人が学部に入学するのか知られていません。ハーバードの教員から聞きましたが、毎年学部を受ける日本人は10人前後、入学するのは5人くらいだそうです。そう考えると約5割の人は受かっているわけで、確率としては高いですよね。日本人は大学院でハーバードに行く人は多いですが、学部で入学する人は稀で、しかもそういう人たちは日本に帰国しないことが多いです。そのため、この事実はあまり知られていません。」
―ハーバードの合格率はどうなのですか?
「今年度の合格率は7.9%でした。例年より下がっていますが、これはこの不況のせいで、奨学金制度がしっかりしているハーバードの受験者が増えたからです。ハーバードやイェールなど海外の一流大学は、奨学金制度もしっかりしています。例えばイェール大学の場合、世帯年収が6万ドル以下ならば0%の負担、6〜12万ドル以下なら1〜10%の負担、12万ドル以上なら平均10%の負担と決まっています。日本の大学に行くより、実は安くすんだりするのですが、この事実も知らない方が多いですね。ハーバードの合格率は低いですが、しかしコミュニケーション力さえあれば、日本人にとっては決して難しい試験ではありません。日本人はどんな評価基準なのかを知らなくて、語学ができないだけなのです。」
■ハーバードでも大学院と学部は全くの別物
―大学院からではなく、学部からハーバードに行くメリットは何でしょう? 大学院からでいいのでは、という人もいますが。
「そこは個人の問題ですが、しっかり専門分野が定まっていない状態の学部から入って足場を作れるというのは、将来の大きなアドバンテージなのではないでしょうか。また大学院と学部は全くの別物です。ハーバードの大学院の中でも、ハーバードビジネススクール(HBC)はさらに別物ですし。日本人には、社会人になってからHBSに留学した人も多いですよね。」
―HBSを出て日本の会社に就職しても上手く適応できない人や、会社で評価されなくてハーバードに行く意味を疑問視する人もいます。その点はどのようにお考えですか?
「それは日本に戻ってきたのが間違いだったんじゃないでしょうか。特にHBSは研究機関じゃなくて、ビジネススクールです。欧米企業ではハーバードのMBAは高く評価されて年収やボーナスがすごいけれど、日本はそれを評価する土壌がない。そのため海外で働くよりずっと給料が安い。それを評価されないと言っても無駄です。自分を最大限に評価してくれるところに行くのがビジネスの鉄則。だから他の学問の大学院とは違うと思いますよ。」
■魅力は世界トップの人脈とグローバルな視点
―ハーバードなど海外の一流大学に行くメリットは何でしょうか?
「世界レベルの経験ができ、グローバルな視点が身につくことですね。文化的背景が異なる人とコミュニケーションするという経験は大きいです。ハーバードなどでは世界の5%、3%のトップと話すことができ、人脈ができます。勉強もスポーツも何でもできる真のエリートの彼らと、世界戦のスパーリングができるわけです(笑)。それに日本を外から見ると、日本人としてのアイデンティティもはっきりしてきますよ。
でも、僕はむやみに海外に行くことを薦めているわけではありません。東大でやりたい学問が決まっているならば、東大に行けばいいと思います。グローバル感があるかないか、それだけです。所詮は学問の場で、終着点ではないのですから。そこで何を得るかということが大事で、これが正しいということはない。逆に言えば、海外に行って一回失敗したからって死ぬわけではないし、どんどん挑戦すればいいのです。また、そういう思考の切り替えができる子じゃないとだめだと思いますね。」
■SATは難しくない、大切なのは英語でのコミュニケーション力
―日本の入試システムとの大きな違いはなんでしょうか。
「日本の大学のように大学ごとの試験はなく、願書(推薦状、エッセイ、SAT、TOEFLなどを含む)で判断されます。それが日本との大きな違いです。この願書の準備の仕方がわからないために、日本人にとって海外大学はハードルが高くなっています。実際SATは語学ができればそれ程難しくはありません。むしろ、なぜ自分はその大学に行きたいのかをエッセイで表現できることが大切です。」
―願書にはボランティア活動やチャリティー活動を書くと評価されるといいますが、日本人は社会貢献についての認識が、欧米ほどではないと思います。
「それについては、心配は要りません。日本の子供たちは結構大したことを高校時代にまでにやっています。ただ、本人が気づいていないだけなんです。僕たちの役目はそれを引き出してあげること。願書のために何か社会貢献しなくちゃ、と焦ることはありません。それより英語でのコミュニケーション力を高め、自己分析をしっかりすること。手遅れの原因は、ほとんど英語力の問題か、自分の殻を破れないことです。
日本人は英語ができないですが、それは能力がないのではなく、英語ができるようになるカリキュラムが日本で行われていないだけ。日本の英語教育は、海外に行かせることを前提としていません。そのため海外と併願する際は、試験とは異なるコミュニケーションとしての英語を別に学ばなくてはいけないので、大変なのです。」
東大よりハーバードを目指すエリート高校生たち(後編)
森田正康(もりた・まさやす)
1975年、愛知県生まれ。12歳でアメリカ・カリフォルニアに移住。カリフォルニア大学バークレー校卒業後、ハーバード大学教育大学院でEd.M.取得、ケンブリッジ大学でM.Phil取得。現在コロンビア大学博士課程休学中、東京大学博士課程在学。京都情報大学院大学教授として教鞭をとるほか、株式会社ヒトメディア代表取締役社長、株式会社アルク取締役など複数の組織の役員や顧問を務める。著書に『東大よりハーバードに行こう!?』『5歳からはじめるハーバード留学準備』(アルク)など。
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東大・京大など国内最難関大学に合格できるレベルにあるのに、なぜ彼らは海外を目指すのでしょうか? また海外に進学するにはいつからどのような準備が必要なのでしょうか? 海外大学進学塾「ルートH」のエグゼクティブ・ディレクターであり、『東大よりハーバードに行こう!?』『5歳からはじめるハーバード留学準備』(アルク)などの著書を持つ森田正康さんにお話を伺いました。
森田さんは12歳でカリフォルニアに移住。カリフォルニア大学バークレー校卒業後、ハーバード大学、ケンブリッジ大学、コロンビア大学の大学院に在籍。コロンビア大学博士課程在学中に日本に帰国し、現在は東京大学博士課程に在籍しつつ、京都情報大学院大学で教授を務めています。経験に裏打ちされたグローバルな視点から日本の教育の発展に尽力する、教育と海外留学のスペシャリストです。
■実は50%の確率でハーバードに合格している日本人
―ハーバード大学は難関とされますが、日本人にとって実際どうなのでしょうか?
「ハーバードは知名度のわりに、毎年どのくらいの日本人が学部に入学するのか知られていません。ハーバードの教員から聞きましたが、毎年学部を受ける日本人は10人前後、入学するのは5人くらいだそうです。そう考えると約5割の人は受かっているわけで、確率としては高いですよね。日本人は大学院でハーバードに行く人は多いですが、学部で入学する人は稀で、しかもそういう人たちは日本に帰国しないことが多いです。そのため、この事実はあまり知られていません。」
―ハーバードの合格率はどうなのですか?
「今年度の合格率は7.9%でした。例年より下がっていますが、これはこの不況のせいで、奨学金制度がしっかりしているハーバードの受験者が増えたからです。ハーバードやイェールなど海外の一流大学は、奨学金制度もしっかりしています。例えばイェール大学の場合、世帯年収が6万ドル以下ならば0%の負担、6〜12万ドル以下なら1〜10%の負担、12万ドル以上なら平均10%の負担と決まっています。日本の大学に行くより、実は安くすんだりするのですが、この事実も知らない方が多いですね。ハーバードの合格率は低いですが、しかしコミュニケーション力さえあれば、日本人にとっては決して難しい試験ではありません。日本人はどんな評価基準なのかを知らなくて、語学ができないだけなのです。」
■ハーバードでも大学院と学部は全くの別物
―大学院からではなく、学部からハーバードに行くメリットは何でしょう? 大学院からでいいのでは、という人もいますが。
「そこは個人の問題ですが、しっかり専門分野が定まっていない状態の学部から入って足場を作れるというのは、将来の大きなアドバンテージなのではないでしょうか。また大学院と学部は全くの別物です。ハーバードの大学院の中でも、ハーバードビジネススクール(HBC)はさらに別物ですし。日本人には、社会人になってからHBSに留学した人も多いですよね。」
―HBSを出て日本の会社に就職しても上手く適応できない人や、会社で評価されなくてハーバードに行く意味を疑問視する人もいます。その点はどのようにお考えですか?
「それは日本に戻ってきたのが間違いだったんじゃないでしょうか。特にHBSは研究機関じゃなくて、ビジネススクールです。欧米企業ではハーバードのMBAは高く評価されて年収やボーナスがすごいけれど、日本はそれを評価する土壌がない。そのため海外で働くよりずっと給料が安い。それを評価されないと言っても無駄です。自分を最大限に評価してくれるところに行くのがビジネスの鉄則。だから他の学問の大学院とは違うと思いますよ。」
■魅力は世界トップの人脈とグローバルな視点
―ハーバードなど海外の一流大学に行くメリットは何でしょうか?
「世界レベルの経験ができ、グローバルな視点が身につくことですね。文化的背景が異なる人とコミュニケーションするという経験は大きいです。ハーバードなどでは世界の5%、3%のトップと話すことができ、人脈ができます。勉強もスポーツも何でもできる真のエリートの彼らと、世界戦のスパーリングができるわけです(笑)。それに日本を外から見ると、日本人としてのアイデンティティもはっきりしてきますよ。
でも、僕はむやみに海外に行くことを薦めているわけではありません。東大でやりたい学問が決まっているならば、東大に行けばいいと思います。グローバル感があるかないか、それだけです。所詮は学問の場で、終着点ではないのですから。そこで何を得るかということが大事で、これが正しいということはない。逆に言えば、海外に行って一回失敗したからって死ぬわけではないし、どんどん挑戦すればいいのです。また、そういう思考の切り替えができる子じゃないとだめだと思いますね。」
■SATは難しくない、大切なのは英語でのコミュニケーション力
―日本の入試システムとの大きな違いはなんでしょうか。
「日本の大学のように大学ごとの試験はなく、願書(推薦状、エッセイ、SAT、TOEFLなどを含む)で判断されます。それが日本との大きな違いです。この願書の準備の仕方がわからないために、日本人にとって海外大学はハードルが高くなっています。実際SATは語学ができればそれ程難しくはありません。むしろ、なぜ自分はその大学に行きたいのかをエッセイで表現できることが大切です。」
―願書にはボランティア活動やチャリティー活動を書くと評価されるといいますが、日本人は社会貢献についての認識が、欧米ほどではないと思います。
「それについては、心配は要りません。日本の子供たちは結構大したことを高校時代にまでにやっています。ただ、本人が気づいていないだけなんです。僕たちの役目はそれを引き出してあげること。願書のために何か社会貢献しなくちゃ、と焦ることはありません。それより英語でのコミュニケーション力を高め、自己分析をしっかりすること。手遅れの原因は、ほとんど英語力の問題か、自分の殻を破れないことです。
日本人は英語ができないですが、それは能力がないのではなく、英語ができるようになるカリキュラムが日本で行われていないだけ。日本の英語教育は、海外に行かせることを前提としていません。そのため海外と併願する際は、試験とは異なるコミュニケーションとしての英語を別に学ばなくてはいけないので、大変なのです。」
東大よりハーバードを目指すエリート高校生たち(後編)
森田正康(もりた・まさやす)
1975年、愛知県生まれ。12歳でアメリカ・カリフォルニアに移住。カリフォルニア大学バークレー校卒業後、ハーバード大学教育大学院でEd.M.取得、ケンブリッジ大学でM.Phil取得。現在コロンビア大学博士課程休学中、東京大学博士課程在学。京都情報大学院大学教授として教鞭をとるほか、株式会社ヒトメディア代表取締役社長、株式会社アルク取締役など複数の組織の役員や顧問を務める。著書に『東大よりハーバードに行こう!?』『5歳からはじめるハーバード留学準備』(アルク)など。
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