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新型インフルエンザ:発熱外来に直行急増 対応手いっぱい、応援要請 /奈良

 ◇「まず電話相談を」

 新型インフルエンザの感染拡大を受けて、県内の3医療機関に設置された発熱外来に、発熱やのどの痛みなどを訴える患者が殺到している。対応しきれず、内科の初診外来を一時的に取りやめたり、他の病院に医師らの応援を求めるところもでてきた。感染の不安が高まる中、相談窓口を経ないで直接、発熱外来を訪れる患者が急増しており、医療機関は「まずは発熱相談センターに電話してほしい」と呼びかけている。【岡奈津希】

 ある病院の発熱外来は、病棟の外に建てた四つの仮設診察室で受診する。トイレや駐車場も専用で、一般の患者と接触することはない。窓口ではマスクや防護服をつけた看護師らとインターホンを通して話す。診察室はカーテンが引かれ、入り口にアルコール消毒液が置かれている。

 訪れるのは、発熱で顔を赤くした子供連れの母親が多い。診察は鼻の粘膜を綿棒で採取するなど、わずか5分程度で終わる。簡易検査の結果が出るのは10分から15分後。患者同士の接触を避けるため、駐車場の車内で待つよう指示され、携帯電話で呼び出される。

 保育園から娘(1)が37度9分の熱を出したと連絡を受けた父親(33)は、慌てて発熱相談センターに電話し、発熱外来を受診した。防護服姿の医師に驚いて泣き出した女児は熱が39度まで上がっていた。父親は「自営業なのでまだ融通がきくが、妻も働いていて長期間になると大変」と不安をのぞかせた。

 38度3分の熱を出した小学1年の息子(6)を連れた母親(40)は、約40分かけて来院。学校では、発熱などの症状がある子供が数人いるという。「遠方から小さい子を連れて来るのは大変。新型インフルエンザは怖いから仕方がないけど」と、ため息をついた。

 訪れる人たちは不安そうな表情だったが、検査結果で風邪と診断されると、「よかった」と笑顔をみせた。

 この病院では、発熱外来の受診が1日2、3件だったが、神戸市で高校生の感染が見つかった翌日の17日、約30件に急増し、その後増え続けている。患者の多くは保育園児や幼稚園児、小学生で、同病院幹部は「患者から問い合わせの電話がひっきりなしにかかる。医師も看護師もとにかく人手が足りない」と話す。

 同病院は、内科の初診外来のほか、外科の外来も一時取りやめを検討している。病院側によると、「診療制限をしてでも発熱外来を強化しないと現場は回らない」という。19、20日は、民間病院の医師らが急きょ応援に入った。同病院幹部は「これから感染が疑われる人はさらに増える」とみており、今後も県に応援要請を続ける。

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 ◇相談窓口

・県発熱相談センター(24時間、0742・27・8658)

・奈良市発熱相談センター(土日含む午前9時~午後9時、0742・23・6173)

・生駒市相談窓口(土日含む午前9時~午後5時、0743・74・1111)

毎日新聞 2009年5月21日 地方版

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