2009年05月21日(木)
新型インフル「県内で感染者」風評出回る 不安訴える相談が殺到
「富士吉田市内で感染者が出たらしい」。新型インフルエンザの感染が国内で広がる中、山梨県内でデマ情報が出回っている。保健所には不安を訴える相談が殺到していて、特定の学校名を挙げた問い合わせもあるという。県などは「正確な情報に基づき冷静に行動してほしい」と打ち消しに躍起だ。
県健康増進課によると、情報は19日ごろから同市内を中心に「まん延」。富士・東部保健所の発熱相談センターには同日に40件、20日に31件の相談があり、ほとんどが「市内で感染者が出たと聞いたが大丈夫か」との内容だった。医師から情報の真偽を確認する電話もあった。
同市にも19、20の両日に計8件の照会があった。市内の中学校が今月、修学旅行で感染者が確認されている神戸市を訪れており、特定の学校名を挙げ「生徒が感染したと聞いた」とする情報も。実際に修学旅行を実施した学校には、3件の問い合わせがあったという。
同課は「感染拡大を防止する観点から、県内発生した場合は積極的に公表する」と説明。同市の担当者は「何日もうわさが続くと市民生活にも影響が出る」と困惑していて、20日には市ホームページで正しい情報に基づいた行動を呼び掛けた。
山梨学院大の仲尾唯治教授(社会学・社会病理学)は「特定の学校や生徒の差別につながる内容だ」と指摘。「新型肺炎(SARS)など感染症が話題になると、こうした風評が出回ってきた。今回も『いつか来る』という不安に思う意識が表に出て、まことしやかに広まったのではないか」と分析している。
|
|
|