May
21
記憶の中のあなたは伏し目がちな表情ばかりする
俯いている間は目が合わないから、安心して眺めていられた
伏せたまぶたのラインが海岸線に似ていた
波打ち際をふちどる細いまつ毛が、
まばたきで微かに震える
それをみるたびに、遠くで砂が崩れた
あなたの似顔絵を描くなら、
目には深海の色を塗ろう
私は深海に潜ったことも、
あなたの目をきちんとみたことも無いけれど
きっとそれに届きたい
何処かにあなたがいるということ
それが世界の価値だと断言するから
少しも脆くない私の独りよがりを、
心強く思って欲しい