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help リーダーに追加 RSS 漢字混ぜ書き表記の熟語。「こん身の力作」の「こん身」ってホントはどう書くの?

<<   作成日時 : 2009/05/13 07:15   >>

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★日本語★
問題:常用漢字表が制定され、多くのマスコミが素直に従ったからでしょうか。中途半端な表記を目にする機会が増えています。たとえば「タンパク質」。あるいは「駐とん地」。「同せい」。「ほう助」。「こう配」。「こん身」。「すい星」。「けん引」。「草なぎ剛」などなど。こうした表記は、(かな)漢字混ぜ書き表記などと呼ばれるらしい。
■不自然な表記を平然と許容するのだから、新聞屋・雑誌屋なんて信用しろと言っても無理だ。そんな八つ当たりの声を聞いたこともあります。たしかに新聞社や雑誌社の日本語感覚は低い場合があります。言葉が文化であり、祖先から子孫への申し送りであり、伝統を伝えるものだという感覚に欠けていることがあります。でもそれは記事内容の低級さ、たとえば記事の捏造などとは別個に憂うべき問題ですよね。
■古い人から聞いた話です。かつて新聞が鉛の活字を使っていたころに常用漢字表の前身である当用漢字表が生まれました。昭和21(1946)年のことだそうです。活字の種類を減らせば植字工(活字を組む職人)の熟練度が低くても使える。つまりコストダウンにつながる。そんな理由で、新聞はいっせいに当用漢字で統一することにしたという噂があります。
■もうひとつ。このころ消えたものに新聞の振り仮名があるそうです。古い新聞記事には、振り仮名の振ってあるものが多い。だから難しい漢字が使われていても、庶民でも十分に読めました。使用する漢字を制限し、簡単な漢字ばかりにするのだからと、振り仮名を廃止してしまいます。新聞社にとってはさらなるコストダウンができましたが、読めない人が増えてしまった。そんな指摘があるらしい。この見方が正しいとすれば、新聞社は自らの利益のために日本の文化を破壊したことになります。
■新聞は、よく自らを「社会の木鐸(ホクタク)」と言います。木鐸というのは、「古代中国で、法令などを広く人民に示すときに振り鳴らした、木の舌のついている大きな鈴」のことらしい。転じて、「世の人を教え導く人。社会の指導者」の意味に使われるそうです。これほど誇りを持っている連中が、なぜ自ら文化の破壊者となるのでしょうか。不思議な話ですね。ちなみに「鐸」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。
■本日は、「かな漢字混ぜ書き表記」の熟語の真の表記を問う問題です。次の熟語はホントはどう書くべきなのでしょうか? 正解できなかったときは、新聞社に八つ当たりしてください。
[い]こん身
[ろ]タンパク質
[は]同せい
[に]ほう助
[ほ]こう配
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]こん身は渾身と書く
■「渾身」は、「からだ全体。全身。満身」だそうです。力を振り絞る描写によく使われますね。「5人の園児たちは渾身の力で押しましたが横綱はびくともしません」なんて場面をときどき目にします。
□「渾」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「コン、すべて」という字音・字訓があるそうです。四字熟語に「渾然一体(コンゼンイッタイ)」というのがありますね。「全体が溶けあって一つのものになること」だそうです。
□グーグルを使って「こん身 新聞」を検索すると、毎日新聞や京都新聞が「こん身」を使っているようです。その他、asahi.comやYOMIURI ONLINEにも「こん身」は使われていました。
[ろ]タンパク質は蛋白質と書く
■「蛋白」は、本来は「卵の白身」のことらしい。昔はたんぱく質の代表選手が卵の白身だったのでしょうか。
□「蛋」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「タン、たまご、あま」という字音・字訓があります。南方の海洋族という意味があり、海人(あま)という字訓が当てられているらしい。
□「皮蛋(ピータン)」にも「蛋」という漢字が使われていますね。中華料理の前菜などでおなじみです。独特の匂いの食品です。Wikipediaによると、「石灰や木炭を混ぜた粘土を卵殻に塗りつけ、さらにその上から籾殻をまぶした物を、土中ないし甕の中にいれ、2〜3ヶ月程冷暗所に貯蔵」して作るらしい。けっこうたいへんなんだな。
□中年の男女が健康診断の結果について話をしています。「私は尿に糖が出ていると言われました」。「私は蛋白が出ていたわ」。「なるほど。ではどうです。これからあのメレンゲと呼ばれるお菓子をふたりで作りませんか?」。西洋小噺だそうです。
□「蛋白質」という漢字表記は、大きな新聞ではほとんど使われないらしい。他の場合でもそうなのですが、例外は固有名詞に使われる場合、あるいは寄稿記事で、著者の漢字表記を尊重する場合などのようです。
[は]同せいは同棲と書く
■「同棲」は、「一緒に住むこと」ですね。とくに未婚の男女が一つ屋根の下に住まうことを指す例が多いとのこと。
□1970年代には「同棲時代」という漫画が人気になり、映画化もされました。大信田礼子(おおしだ れいこ)というスタイルのいい女優兼歌手が主題歌を歌っていました。「♪神田川」も同棲の歌でしたし、当時は一種の流行でしたね。
□「同せい」もけっこう多くの新聞などで見られます。毎日新聞の社説には、「同せい選ぶ女性が増える」という見出しがありました。「同棲」なのか「(夫婦)同姓」なのかわかりにくいですね。
[に]ほう助は幇助と書く
■「幇助」は、「手を貸すこと」だそうです。現在では法律関係の記述で目にする例が多いようです。「自殺幇助」、「殺人幇助」などの表現が知られています。
□「幇」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「ホウ、たすける、なかま」という字音・字訓があります。ただし、「字通」に掲載されているのは口絵のような漢字です。「幇」という字形は、部品がひとつ省略された形らしい。
□「幫」という漢字(表示されていなかったらゴメン)は、仲間うちを助けるという意味があるようです。中国の悪漢たちの寄り合いの名前に「青幫/青幇(チンパン)」というのがありましたね。仲間同士で殺人幇助をするのかな。
□「ほう助」も頻繁に使われています。「児童買春児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)ほう助罪」なんて文字列を見つけました。ほう助罪というのは自殺や殺人以外にも多いのかな。
[ほ]こう配は勾配と書く
■「勾配」とは、「水平面に対する傾きの度合い」だそうです。「傾斜、傾き」と似たような意味ですね。
□「勾」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば、「コウ、ク、まがる」という字音・字訓があります。「勾」という漢字を形成している2つの部品、「ム」も「ムを除いた部分」のどちらも、「屈曲するもの」という意味があるとのこと。「屈肢葬(クッシソウ)」の形から生まれた漢字ではないかと推測されているようです。屈肢葬は「屈葬(クッソウ)」とも呼ばれ、「死体の腰や手足を折り曲げて埋める葬法」らしい。
□「勾玉(まがたま)」という熟語を作ります。弥生・古墳時代の装飾用の玉ですね。カンマ(記号)の形に似ています。三種の神器のひとつ、「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)も一種の勾玉らしい。
□「こう配」という表記も、ほとんどの新聞で使われています。「勾」はとても単純な漢字です。なぜ使わないのでしょうか。いまや「勾玉」も「まが玉」と表記する例があるようです。なにか間違っているような気がします。
□なお、いくつかの新聞では、常用漢字表にない漢字を使う場合、「同棲(どうせい)」、「渾身(こんしん)」のように、漢字で表記し、読みを添えているようです。すべての新聞にこの方法を採用してもらいたいですね。
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林
◇HP「常用漢字表」
http://www.bunka.go.jp/kokugo/main.asp?fl=list&id=1000003929&clc=1000000068

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