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相撲八百長疑惑の記事に4290万円。しかしまだ戦える――『週刊現代』加藤晴之前編集長

2009年05月21日08時30分 / 提供:Business Media 誠

Business Media 誠
相撲八百長疑惑の記事に4290万円。しかしまだ戦える――『週刊現代』加藤晴之前編集長
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 あなたは『週刊現代』について、どのようなイメージを持っているだろうか。食肉利権や横綱朝青龍の八百長疑惑など、話題になったスクープを浮かべる人も多いのでは。しかしスクープを報じるということはリスクも高く、そのため関係者から訴えられることもしばしば。

 『週刊現代』前編集長の加藤晴之氏が抱える訴訟の数は、70を超えるという。中でも八百長疑惑記事では第一審で「4290万円支払え」という、過去最高の金額に達した。賠償金の高額化傾向が強まる中、訴訟について加藤氏はどのように考えているのだろうか。5月15日に開かれた“週刊誌サミット”での声を紹介する。

●「会社を辞めなくてはいけないな」という気持ちに

元木昌彦(司会):私は編集長時代に50件ほどの訴訟を抱えたことがあり、「お前はとんでもない奴だ」と言われてきた。しかし私をはるかに凌駕(りょうが)し、70件以上の訴訟を抱えているのが、『週刊現代』前編集長の加藤晴之さんだ。訴えられていることが悪いとは思わないが、最近では八百長問題※1で4290万円の支払いを命じられた。この判決を受けるに至った経緯について、話を聞かせてください。

加藤晴之:先ほど元木さんから、(八百長問題で)4290万円の支払いが命じられたというお話があったが、私は“しれっと”しているわけではない。正直、目の前が真っ暗になった。今は現場から離れているが、その判決を聞いたとき「会社を辞めなくてはいけないな」という気持ちに追い込まれた。

 現場の編集長にも「誠に迷惑をかけた、申し訳ない」と謝罪し、本当に居たたまれない気持ちで一杯になった。ちなみに賠償請求総額は24億5000万円……言い訳ではないが、勝訴や勝訴的和解をした件も数多い。例えば新聞やテレビが報じなかった、JR東日本の革マル派の問題※2。この件は今のところ連戦連勝で、40勝ほどしている。

※1 『週刊現代』が朝青龍と30人の力士から提訴されていた一連の八百長疑惑記事で、総額4290万円支払えという超高額賠償金が言い渡された。

※2 『週刊現代』は2006年7月29日号で、JR東日本と革マル派の関係を追及した連載をスタート。その中でJR東日本の東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)が革マル派の支配下にあると報じた。これに対しJR総連とJR東労組は、事実無根として『週刊現代』を提訴。しかし2007年1月、福島地方裁判所はJR東労組に関する記事は信憑性があるとし、請求を棄却した。

●実際は準備段階で終わった

加藤:細木数子さんの件については、ジャーナリストの溝口敦さんが『細木数子――魔女の履歴書』という本を書いている。その溝口さんと一緒に仕事をして、細木さんから6億6000万円の訴訟請求を受けた。6億6000万円という数字はなんだか分からないが、六星占術でいうと1つの星が1億1000万円として……×6かもしれない(笑)。

 細木さんはどういうことになったかというと、(『週刊現代』の)連載の途中で細木さんが『週刊文春』でキャンペーンを始めた。しかし溝口さんは連載中に、広域暴力団の幹部から「細木さんの連載を止めてくれ」と圧力を受けた。このことを(溝口さんが)連載で書いたところ、細木さん側から訴えてきた。

 細木さんは一連のことを法廷で明らかにしようとしていたが、溝口さんを訴えずに講談社を訴えてきた。溝口さんは裁判に補助参加……場外から加わる形で参加していただいた。しかしその後、細木さんは視聴率20%を誇る番組をバタバタと降りられた。「長く番組をやったから」というのが表向きの理由だ。

 実際は公判廷……つまり準備段階で終わってしまった。もし公判が開かれれば、(細木さんは)証言台に立たなければならない。または溝口さんが証言する。しかもその前に、(細木さんが)誰にいつどこでどのようなことをしてきたか、といった資料を法廷に出していた。もしこれが明らかになればどうなるだろうか。この件についてはみなさんもご存じないと思うし、新聞やテレビなども一切報じていない。

※『週刊現代』で2006年5月から、ジャーナリストの溝口敦氏が「魔女の履歴書」と題し、細木数子氏の半生を批判的に書いた。細木氏は『週刊文春』で反論したが、溝口氏は再反論した。溝口氏は、細木氏が暴力団を介し圧力をかけてきたという記事を書いたが、細木氏は「事実無根」として、名誉棄損で損賠賠償を起こした。

●相撲の問題は公益性の高いテーマ

加藤:朝青龍の八百長問題に関してだが、2007年の連載は全24回だった。連載を書いていただいた武田頼政(よりまさ)さんは、佐野眞一さんや田原総一朗さんと同じフリーのジャーナリスト。そのフリージャーナリストと『週刊現代』は全24回のキャンペーンを行ってきた。

 武田さんが連載を始めたときに、時津風部屋の時太山(ときたいざん)リンチ事件※があった。あの事件は『週刊現代』が報じない限り、表沙汰にはならなかっただろう。そして、今のように(関係者が)無念を晴らすようことはできなかったはずだ。

※大相撲時津風部屋の17歳の少年(序ノ口力士)が宿舎で暴行を受け死亡した事件。

 また八百長記事のキャンペーンを行っていたとき、日経新聞のコラムでこう書かれていた。

 「大晦日の夜、高砂部屋で横綱朝青龍を中心に大関3人がそろい、占い師のタレントと600万円の高級食材を使ったちゃんこに舌づつみをうった。和気藹々(わきあいあい)とその光景をにがにがしく思った相撲関係者は多い。横綱栃錦が現存していたら、どんなに嘆くだろう。

 言葉は悪いが、栃若時代の師匠は『相手を殺すつもりで土俵に上がれ』と教えた。一門外とは口もきかず、勝負師として力士は筋金入りだった。殺気立つはずの支度部屋が締まりのない雰囲気では、先達が築いてきた伝統文化を守り切れない」

 僕は何度か被告席に座ったが、あの法廷の様子を公開すれば、みなさんはどのような印象を受けるだろうか? こちら側の質問に対し、朝青龍はニヤニヤしていたのだ。

 (訴訟を起こされた場合)立証責任も大変だが、それ以上に我々には情報源の秘匿という大ハンディキャップがある。どこでどういうことをしたかなど、ディテールを書かなければならない。しかしディテールを詳しく書くと、情報源の秘匿が破られてしまう。そのためギリギリのところで質疑応答をしていった。こういうやりとりを(法廷で)ご覧になれば、みなさんの印象も変わったかもしれない。

 一審の判決が出たとき、私は会社を辞めようと思ったが、今ではちょっと止めようと考えている(笑)。実際、控訴している最中で、どういう戦略で裁判に臨むかということを考えなければならない。現場の方針もあるので、僕自身は声高に言えないが、まだ十分に戦えると思っている。またみなさんは忘れていると思うが、八百長キャンペーンのあと相撲は面白くなった。

 一番重要なのは、つまらない相撲をとることで誰が迷惑してきたか。また財団法人の相撲界の中で集団リンチが行われたり、前近代的な体質がまだ残っている。そこをどういう風に正していき、面白い相撲にしていくか。私は非常に公益性の高いテーマだと思っている。

元木: 判決が出た翌日の朝日新聞には「杜撰な取材に警鐘」などと書かれていた。個人的に八百長問題の取材は決して杜撰ではないと考えている。もちろん抜けている部分もあったかもしれないが、「杜撰な取材に警鐘」と書く、朝日新聞社というのはやはりマヌケなんだなと(笑)。自分たちの取材を振り返ってほしいものだ。
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