2009年5月21日7時23分
尿から作った水を飲む宇宙飛行士の若田光一さん(左端)ら=NASAテレビから、JAXA提供
【ワシントン=勝田敏彦】国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士を6人に倍増させるのに備えて米東部時間20日(日本時間21日)、尿から飲料水を再生する装置の利用が始まった。地上の管制室とISSをテレビ回線で結んだ乾杯のセレモニーが行われ、ISSに長期滞在中の若田光一さん(45)も参加した。
再生水が飲用に適するかどうかを調べていた米航空宇宙局(NASA)が同日、ISSの乗組員に「飲用可」の指示を出した。セレモニーで若田さんは、ISSのパダルカ司令官、バラット飛行士と一緒にストローのついた容器から再生水を飲んだ。ジョンソン宇宙センターの職員も一緒に、地上の同じ装置で作った再生水を飲んだ。
乾杯後、若田さんから水の味についてのコメントはなかったが、若田さんはこれまで「試飲が楽しみ」と話していた。
ISSではこれまで、地上から運んだ飲料水などを使っていたが、滞在する飛行士の数が増えると飲料水が足りなくなることも想定される。尿を再生した飲料水を使うのは初めて。尿を加熱したり遠心分離したりして再生する装置は昨年11月、スペースシャトル・エンデバーでISSに運ばれたが、当初は故障が続いていた。
NASAシャトル計画部のケイン副部長は同日の会見で装置の運用について「(飛行士6人体制を控えた)とても画期的なことだ」と話した。
ISSは、26日に打ち上げられる予定のロシア・ソユーズ宇宙船で3人の飛行士が到着すると6人滞在体制に移行する。
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一方、ハッブル宇宙望遠鏡の修理は18日まで5日連続5回の船外活動で予定通りの作業が終わり、乗組員7人を乗せたシャトル・アトランティスは22日に地上に帰還する予定だ。