G大阪の至宝が、まばゆいばかりの輝きを放った。クラブ史上最年少で踏んだ初舞台で、ACL日本人最年少ゴールだ。
「最初は緊張した。DF裏に抜けたときに両足がつったけど、それで緊張がなくなってよかったです」
手負いで決めた衝撃デビュー弾に苦笑いだ。左MFで先発し、中央寄りにポジションを変えた後半19分。MF倉田からの縦パスを受け、冷静に右足で左隅に流し込んだ。つった両足を伸ばしながら、満面の笑みで初ゴールを喜んだ。
元日本代表主将のDF宮本(神戸)、MF稲本(フランクフルト)らを輩出したG大阪ユースから、今季史上最年少の当時16歳でトップ昇格を果たした。『ガンバユースの最高傑作』と称される生え抜き期待の新星。1メートル78、68キロの体いっぱいに、“青黒”の血が流れている。
ヨチヨチ歩きの1歳で初観戦し、ガンバ愛に目覚めた。3歳で父・和彦さん(46)に「G大阪でプロになる」と宣言。38度超の発熱があっても練習に向かい、長岡中時代は修学旅行より合宿を優先させた。試合で納得がいかなければ、実家のすぐ裏にある神足小のグラウンドでボールをけった。すべては「夢みたいな感じ」と振り返ったこの日のためだった。
チームはACLで20戦ぶりの黒星を喫したが、それを忘れさせる一撃に西野監督は「力を持っている。大事なガンバの宝だ」と大絶賛。「リーグ戦など、高いステージに入っていかせたい」と24日の鹿島戦(万博)のベンチ入りを示唆した。
「やっていけるな、と感じた」
Jを席けんするFW大迫(鹿島)ら10代ルーキーにも負けない浪速の神童の能力は、まだこんなものではない。(川端亮平)