2009年5月21日0時40分
政府の追加経済対策には、世間の注目を集めるエコポイント制度などのほか、目立たないが「スクール・ニューディール」と呼ばれる政策も盛り込まれている。
これは、全国に約3万5千校ある公立の小中学校に対し、今後3年程度で、耐震化工事や太陽光発電システム設置、地上波デジタルテレビの導入、IT環境の整備などを進めていこうというものだ。
一般的に学校は、災害時には地域の避難場所になることが多い。耐震化に加え、太陽光システムを置くことで非常用電源も備えることになり、災害対策としても有効である。
こうしたハード面での巨額投資を、教育改革というソフト面での効果に、より積極的に結びつける考え方はできないであろうか。
例えば、太陽光システムを活用し、低炭素化社会の実現へ向けた個人の努力の大切さを教える環境教育を実施する。また、発電の仕組みをわかりやすく解説することで理科への興味を喚起する。
さらに、黒板の代わりに、パソコンと接続されたプロジェクターとスクリーンを活用した授業のIT化などで、より多角的な教育ができる。
英国や韓国など教育のIT先進国では、すでにパソコンとプロジェクターを使った授業が普及。教師は様々なソフトで授業を進めているという。インターネットで海外の学校と連携した語学、国際化教育を実施することなども考えられる。
こうした改革には、教える側の意識やスキル面をはじめとして、多くの課題があることは事実だ。しかし、せっかくの巨額投資を、単なる箱物投資で終わらせないためにも、一考の価値があると思う。(H)