2009年5月21日15時1分
厚生労働省は21日、強毒性の鳥インフルエンザを想定してつくった現在の政府の対策の運用を、今回の新型の豚インフルエンザ向けに見直す案について、感染の広がり具合によって国内を三つの地域に分け、それぞれの状況に応じた対策を取る方向で検討に入った。政府の対策が社会活動に与える影響を考慮し、発生状況によって対策を柔軟に変える狙いがある。
厚労省の検討案によると、国内を「蔓延(まんえん)地域」「確認地域」「未発生地域」に区分する。現在の行動計画には、こうした地域分けの考え方は盛り込まれていない。
「蔓延地域」は神戸や大阪のように、地域内で人から人への新型インフル感染が確認されている地域。「確認地域」は東京都や神奈川県のように、患者は発生しているものの、人から人への感染が確認されていない地域を想定している。
厚労省は、国立感染症研究所などの調査で神戸市の患者の症状が「季節性インフルエンザと類似している」とされたことなどを受け、政府の対策の緩和策を検討。大阪や神戸の発生地域の分析からわかった現行の対策の問題点を解決するために検討していた。
検討作業の中では、学校・保育所、福祉施設などの休業の範囲をどう決めるかや、感染の疑いのある患者の急増で一般医療機関も診療を担う必要がある場合の受診ルール、ウイルス検査の優先順位などが焦点になる見通しだ。
舛添厚労相は20日の参院予算委員会で、政府のガイドラインなどについて「今週いっぱいに方針転換を明らかにしたい」と答弁していた。