和歌山のカレー毒物混入事件で、死刑判決を受けた林真須美被告。最高裁は20日、被告側からの判決訂正の申し立てを棄却。これにより死刑が確定しました。林被告は今、拘置所の中で何を思い、どんな日々を過ごしているのでしょうか。
今月初旬、林真須美被告はJNNの記者の面会に応じました。面会室には、ラッキカラーだというピンクのジャージーを着て現れ、最高裁の判決を改めて批判しました。
「私は殺人の犯人ではない。死刑なんてとんでもない。国に殺される理由はない」(林真須美被告)
冒頭から常軌した表情でまくし立てる真須美被告。だが、話が死刑に及ぶとその表情は一変しました。
「私は死刑制度には賛成、それは私がやってないから。人殺しと一緒にされたくはない」
「(Q.死刑は怖いですか?)死刑は恐ろしい。1月くらいから死刑台に連行される夢を見るようになった。朝起きたら5〜6人の刑務官に呼ばれて、死刑台に連れていかれる。私は『やってない』と泣きじゃくりながら連行されるんよ」(林真須美被告)
目を潤ませながら真須美被告は弱気な一面を見せました。大阪拘置所の元刑務官、藤田公彦さんは、真須美被告の内面をこう推察します。
「死刑判決があって、いよいよ確定するとなると(死刑が)現実のものとなってきますので、そのフラストレーションというか、その心の葛藤というのはすごいものがある」(元刑務官 藤田公彦氏)
大阪拘置所の一角には、死刑囚や重要な刑事被告人を収容する舎房があります。通称、「五舎」。この建物の2階に、真須美被告は収容されています。
3畳一間の独居房は「第2種独居」と呼ばれる特殊な部屋で、真須美被告が処遇されている可能性が高いといいます。自殺防止に主眼が置かれているため、首をひもでつることがないように突起物は排除されています。
朝・昼・晩と、規則正しい生活を送る真須美被告ですが、「自殺して死んでしまいそう」とも漏らしています。
実際に、大阪拘置所で死刑執行に立ち会った藤田さん。死刑囚にとっては、「毎日が極度の緊張の繰り返しだ」といいます。
「想像を絶する心境に陥ると。本人の意に反しての“死”がいつくるかというのが恐怖。職員の靴の足音一つにも、神経を研ぎ澄ませている」(元刑務官 藤田公彦氏)
去年12月、大阪拘置所で実際に死刑が執行されたとき、当時、真須美被告はこう詠んでいます。
「五舎の人 吊るし殺され ヘリが舞う」(林真須美被告)
事件から11年。死刑判決は確定しましたが、真須美被告は「再審請求で最後まで戦う」と話しています。(20日18:55)