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【外信コラム】赤の広場で 領土と報道対策
このニュースのトピックス:領土問題
今月12日に東京で行われた日露首脳会談はロシアのメディアでも大きく取り上げられ、話題となった。プーチン首相が不承不承ながら領土問題に触れたからだ。7月のイタリアでの主要国首脳会議(サミット)に際して「(“3・5島返還”を含む)あらゆる案が話し合われるだろう」と。
残念なのは、いつものことながら、ロシアのメディアがどれ一つとして、北方領土問題の歴史的経緯に触れなかったことである。定評あるラジオ局、エホ・モスクブイですら、聴取者参加の番組でこの問題を取り上げたのはよいが、司会者自らが「なぜ先祖が戦い取りロシア人が住む領土を日本にやるのか」といった趣旨の感情論に走っていた。
どの新聞を開いても、旧ソ連が日ソ中立条約を破って参戦し、日本の降伏宣言後に日本固有の領土を占拠したことなどひと言も書かれていない。読者には、日本がただ駄々をこね、理不尽な要求をしているようにしか映らないのである。
言論の自由度が世界最低水準とされるロシアだから、指導者の意向で「世論」はかなり変わりうるし、従来の日本外交も指導者の「トップダウン」に期待してきた。だが、今は「世論の反発」が問題の解決を先延ばしにする口実とされており、ロシアの指導部が本当に世論を恐れている面もある。時間はかかるだろうが、日本の外交官にはぜひ、ロシアのメディアに懇々と日本の立場を説明する地道な努力を続けてほしい。(遠藤良介)
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