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2009年5月19日 (火)

アニメビジネスがわかる本138

『アニメソング ヒットはこうしてつくられた』(木村英俊/角川書店:絶版)その2

名門コロムビア

アニメが音楽のショーウィンドウとなっていたという意味では1930年代から既にその発芽があった。ワーナーは自社の音楽出版が抱える楽曲を「Looney Tune」の中でつかうように指示しており、アニメを「musical vehicles(音楽の宣伝媒体)」としながらしつこい売り込みを繰り広げていた。

木村さんがコロムビアを退職されてつくられたジーベック音楽出版(アニメ制作のジーベックとは関係ない)のHPにある「TVアニメ・ソング25年史」も一度目にして欲しい(結構複雑な設立経緯がわかる)。本書の続編、あるいは増補版といった内容であるが、「名門コロムビアの崩壊」といった内部事情を伝える文章もあり興味深い。

名門コロムビアといっても今の人たちにはピンと来ないかも知れないが、かつてはビクターと並ぶ日本の二大名門レコードメーカーであった。ちなみに、私が一番最初に買ったレコードは、アンディ・ウィリアムの『知りたくないの』であり(その昔、「アンディ・ウィリアム・ショー」とい番組があった)、そのレーベルは忘れもしない、アメリカのCBSからライセンスを受けた日本コロムビアの「CBSコロムビア」であった。

今思うと小学生の割にオッサンくさいレコードを買ったものだと思うが、CBSはその後ソニーと契約し1968年CBSがソニー誕生、日本の音楽界に新風を吹き込んだ。サイモンとガーファンクルやサンタナ、ブラッド・スエット&ティアーズなどCBSソニーの洋楽アーティストの名前は今でも忘れがたい。

ハードのソニーがソフトに手を出すきっかけになったこの出来事は当時としてはかなり衝撃的であった(既に東芝EMIなどもあったがインパクトが格段に上であった)。さらに、20年後、ソニーがCBSを買収しソニーレコードが誕生した時は正直たまげた(どういうことかと言えば、マイケル・ジャクソンが市ヶ谷に表敬訪問しに来るということなのだ)。

おそらくコロムビアがCBSとの契約を継続できていれば演歌中心のイメージももう少し変わっていたのではないかと思う(1979年にキティレコードに入社した当時、失礼ながらコロムビアの路線は古くさく感じたのは事実である)。そう思うと、既にCBSを失った時点で早くもコロムビアが時代をキャッチできなくなりつつあったということなのかも知れない。

Yさん(ビクターの友人)、最後の名門ビクターは大丈夫ですか?

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