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「あしたのジョー」の出崎監督、大人向け新作アニメに挑む (1/2ページ)
『となりのトトロ』の宮崎駿監督に『攻殻機動隊』の押井守監督と、アニメーション監督にも一般に名前が知られた人が出てきた。そんな2人に負けない実績と人気を持つのが出崎統(でざき・おさむ)監督だ。『あしたのジョー』『エースをねらえ!』といった大ヒット作を手がけた大御所。その彼が、7月1日からCS向けアニメ専門チャンネル「アニマックス」で新作『ウルトラヴァイオレット コード044』で久々の大人向けアクションに挑む。(谷口隆一)
集団での自殺が流行し、無関係の人を巻き込んだ殺傷事件も相次いだ。「今は、若い人も含めて、人が簡単に死んでしまう時代。それは世の中がつまらないと思っているから。未来が見えないと結論を出してしまう」。手塚治虫が創設した虫プロダクションが作った『鉄腕アトム』に刺激を受け、高卒で就職した東芝を辞めてアニメ界に入り45年。人々を楽しませ続けてきた出崎監督にとって現状は嘆かわしいものに映る。
「毎年3万人も自殺者が出るなんて大変なことだよね」。そんな時代を許しておけないと、エンターテインメントのクリエーターとしての血が騒ぎ、『ウルトラヴァイオレット コード044』の制作を引き受けた。
米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントが2006年に公開した映画『ウルトラヴァイオレット』の世界観を使ったオリジナルストーリー。日本のソニー・ピクチャーズや、グループ会社のアニマックスブロードキャスト・ジャパンが、他社の作品を流すだけでなく、オリジナル作品を蓄積していく狙いから企画した。制作には、老舗のアニメ制作会社で海外にも名を知られたマッドハウスが当たる。
遺伝子操作で最強の戦闘能力を手に入れた女性が、それと引き換えに残りわずかとなった寿命のなか、敵にも味方にも追われながら戦いを繰り広げるストーリー。「悲惨な状況に置かれた主人公が、温かい心を持った人たちの出会いを経て、死ぬときまで生き抜こうとする姿に救いが見える」と出崎監督。「家族でも何でも執着しよう。生きていれば楽しいと思えることが何かある。それを簡単に捨ててしまうのは間違っている」と訴える。