三木さん告別式、欽ちゃん流“絶交”
下咽頭(いんとう)がんのため11日に64歳で亡くなった作曲家・三木たかし(本名・渡辺匡=わたなべ・ただし)さんの葬儀・告別式が20日、東京・増上寺で営まれた。歌手・五木ひろし(61)や、恩師でもある船村徹氏(76)らの作曲家仲間、約700人が参列。かつて「スター誕生!」で三木さんと共演したタレントの萩本欽一(68)は友人代表として弔辞に立ち「今日で友達、やめます。三木先生、ずっとありがとうございました」と“欽ちゃん流”の別れの言葉を告げた。
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「三木さんとは、きょうで友達、やめます」-。
友人代表の萩本の口から飛び出したまさかの“絶交宣言”。しかしそれは、三木さんへの最高の敬意を込めた、萩本流の贈る言葉だった。
2人は、三木さんが審査員、萩本が司会を務めた「スター誕生!」での共演以来の仲。萩本が人気番組となる「欽ちゃんのどこまでやるの!?」をスタートさせる際は、三木さんに作曲を依頼。完成した企画ユニット・わらべの「めだかの兄妹」は88万枚を売り上げる大ヒットとなった。
三木さんを「先生」と仰ぐ萩本をよそに、萩本を「友」と慕った三木さんは05年に紫綬褒章を受章した際「パーティーがあるから、絶対来てね。絶対だから」と萩本を誘った。「一番に知らせに飛んで来て。友達と思ってくれてるんだと思った」と話し、自身もこの時から三木さんを友達と意識し始めたという。
しかし、この日会場で弦楽四重奏が生演奏した「時の流れに身をまかせ」や「夜桜お七」など、三木さんの残した数々の名曲に耳を傾けると「やっぱり友達じゃない。だめだよ、偉大すぎて」と謙そんし、ほほ笑んだ。
三木さんの遺影に向かい「やっぱり、前のような気持ちに戻りたいと思います。三木『先生』。ずっとありがとうございました」と語りかけた萩本。それは、偉大な友へ最大の愛と敬意を込めた、別れの言葉だった。