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米司法当局、太平洋軍幹部をスパイ共謀容疑で逮捕 中国に情報提供見返りにラスベガスで豪遊
【ワシントン=山本秀也】米司法省は13日、中国軍高官の訪米や米中海軍の合同演習に関する機密文書を中国のスパイに提供したとして、米太平洋軍ワシントン連絡事務所のジェームズ・フォンドレン所長代理(62)をスパイ共謀容疑で逮捕、起訴した。情報提供の見返りとして、所長代理は文書1件あたり数百ドルの報酬を繰り返し受け取ったほか、ラスベガスで豪遊するなどの供応を受けていた。
事件は、連邦捜査局(FBI)が昨年、国防総省を舞台とした別の中国スパイ事件で、中国情報機関の代理人として逮捕した台湾系米国人、クオ・タイシェン服役囚(禁固15年8月)の供述から明るみに出た。
司法省の発表によると、フォンドレン氏は、2004年11月から08年2月ごろにかけ、クオ服役囚に対し、国防総省の公電や同僚に依頼して収集した機密文書多数を提供。内容に応じて、1件あたり最高800ドル(約7万6000円)の報酬を受け取った。
文書は訪米した中国軍高官に関する国防総省の内部分析など。フォンドレン氏は、集めた文書を電子メールや自宅での面会を通じてクオ服役囚に提供していた。
フォンドレン氏は、空軍除隊後にバージニア州内でコンサルタント事務所を開業し、顧客として知り合ったクオ服役囚から情報収集を依頼されるようになった。現金報酬のほか、クオ服役囚は贈答品や会食、旅行など豪華な供応を欠かさず、フォンドレン氏は「早く文書入手を」といった具体的な指示にも応じていた。
クオ服役囚は台湾当局のスパイを装っており、フォンドレン氏のほか、昨年逮捕された別の国防総省職員(服役中)も、台湾に情報が流れていると思い込まされていた。
FBIの内偵が進んだことで、フォンドレン氏は自ら出頭して逮捕された。公判で有罪が確定すれば、同氏には禁固5年、罰金25万ドル(約2400万円)などの量刑が見込まれる。