お父さんのための「定額給付金」講座
公明新聞:2009年1月26日
「不景気時の財政出動、減税は経済学の基本」 専門家
今年度第2次補正予算案に盛り込まれている総額2兆円の定額給付金は、明確な実施根拠がある一方で、政策の意義が正しく理解されず誤ったイメージが広がっている感があります。ちょっとニュースに敏感なお父さんと子どもたちの会話を通して、その狙いや疑問について改めてお答えします。題して「お父さんのための『定額給付金講座』」。
日銀調査
1年前に比べ物価は10%上昇、 91%が「困ったこと」と受け止め → 国民の不安に応えるのが政治
父 定額給付金について世論調査では反対の声が強い。
娘 ちょっと待って。そもそも、この政策を何のために実施するのかは、あまり話題になっていない気がするわ。
息子 そこが大事なところだ。狙いは、(1)急激な物価高騰に対応するための中低所得層支援(2)GDP(国内総生産)の約6割を占める個人消費の下支え――にある。これは当初から変わっていない。
娘 専門家だって「不景気時に政府が財政出動や減税により景気を刺激するのは経済学の基本」(ワクワク経済研究所LLP代表の保田隆明氏)と指摘しているわ。緊急事態に対応した手を打つのはまっとうなことよ。
父 じゃあ、なぜ評判が悪い。
息子 メディアや野党の定額給付金批判について、ジャーナリストの田原総一朗さんは週刊誌のコラムで、自身の講演会での聴衆の反応との違いを挙げ、「違和感」があると書いている。今の批判には庶民の生活実感とズレがあるよ。
娘 今月中旬に日銀が発表した「生活意識に関するアンケート調査」によると、1年前に比べ物価は何%程度変わったかとの問いに、平均値で10・2%上がったと回答している。1年前と比べ支出が増えた、減ったは半々だったが、増えた理由で一番多かったのは物価の上昇、減った理由で一番多いのは収入減だった。物価上昇を「どちらかといえば困ったこと」とみているのは91・8%もいた。個々の家計では深刻な問題なのよ。
父 確かに、戦後最長の景気拡大局面とされた昨年までをみても、私の給料は上がらなかった【グラフ参照】。それに急激な物価高騰が追い打ちを掛けた。外的要因で生活が圧迫されているようなもので、これでは自助努力も限界がある。
世界各国が同様の政策
台湾の「消費券」実施前と後で空気一変
娘 昨年11月の金融サミットも踏まえ、米国、豪州、韓国をはじめ世界各国で暮らしを支えるための緊急支援策を相次ぎ実施しているわ。台湾では今月18日から全住民に1万円分の消費券(商品券)を配布。計画発表当初は効果に疑問を示す声もあったようだけど、やってみたら全土で大賑わい。世論調査では「消費券が経済振興に役立つ」との回答が75%に上った。実施の前と後では空気が一変したみたいね。
父 そういえば、日本の定額給付金は一人につき1万2000円、65歳以上と18歳以下には2万円だったかな。
息子 正解! はじめは定額減税としてやろうとしたけど、これでは所得税や住民税を納めていない人は対象にならないし、所得税や住民税の減税時期にバラツキが出て効果が分散してしまう。そこで、納税していない人も漏れなくすべて対象にし、一気に効果が期待できる給付金方式で実施することになった。
娘 全国に一定額を、生活弱者とされる高齢者と子どもに手厚く配分することで、財政力が弱い地域への所得再分配効果も見込めるわ。実際、65歳以上の高齢者と18歳以下の子どもが一番多いのは島根県で45・3%。最も少ないのは東京都よ。
父 定額給付金の2兆円は別の予算に使うべきとの指摘があるぞ。
娘 もともと政府・与党は、今年度の第1次補正予算、第2次補正予算案、来年度予算案を通じて今大きな問題になっている雇用対策や中小企業の資金繰り支援をはじめ総額75兆円規模の経済対策を進めているわ。このうち、物価上昇にあえぐ家計に対する唯一の支援策が定額給付金なのよ。
父 定額給付金は将来の消費税率引き上げとセットではないのか。
息子 とんでもない言い掛かりだね。定額給付金と消費税はまったく関係ない話だ。
娘 20日の参院予算委員会で公明党の山口那津男政務調査会長は、「物価の急激な上昇、国民の皆さんの不安に政治が敏感に対応せずして政治の役割はない」と訴えていたわ。現場第一主義の公明党が生活者の窮状に応える観点から一刻も早い実施を訴えているのが定額給付金なのよ。
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