市民が行政・議会・一部のネット族を監視するための辛口情報紙・東村山市民新聞

記事2

 【FORUM21 2004年1月15日号 P16〜19】

特集 検証―新事実が明らかになった「東村山事件」
「怪死」事件との関連性を窺わせる「二つの報道」と「一つの投書」 
                                  (本誌編集部)

 朝木明代東村山市議が転落死してから3ヵ月ほど後の同年12月以降、国会である「密会ビデオ」の噂が囁かれはじめた。その内容が、現在、発売中の「月刊現代」2月号に掲載されたジャーナリスト魚住昭氏執筆の「野中広務と創価学会」と題するレポートで取り上げられている。

 自・公連立体制成立にいたる経緯と、創価学会と野中広務元自民党幹事長との関係を詳細に検証したこの魚住レポートは、創価学会問題に関心を持つ人のみならず、多くの人々に読んでいただきたい力作である。ここではそのほんのさわりと、同レポートで取り上げられた「密会ビデオ」について触れていると思われる「国会タイムズ」平成9年5月5日号掲載の「噂のコラム」と題する報道記事、そして平成11年5月に複数の出版社に送られてきた「2001年5月6日」付の「創価学会員より」と題する投書を紹介する。このうち3番目の「創価学会員より」と題する文書は発信元不明で匿名の〃怪文書"であることを前もってお断りしておく。
 
@「月刊現代」平成旭年2月号「野中広務と創価学会」   魚住昭

「住専国会で新進党切り崩しの材料になった『密会ビデオ』。その存在が永田町の一部で密かに取りざたされるようになったのは、これより三カ月前の九五年十二月ごろのことである。

 当時、自民党の組織広報本部長として反学会キャンペーンの先頭に立っていた亀井が『命を狙われている」という噂が流れた。まもなくその噂を裏付けるように亀井付きのSPが増員され、亀井の車はつねに警視庁の警備車両二台にはさまれて移動する騒ぎになった。村上正邦の元側近が語る。

 『騒ぎの発端は、藤井さんと後藤組長の密会ビデオでした。亀井さんが入手したそのビデオのなかで、藤井さんは反学会活動をしている亀井さんら四人の名前を挙げ「この人たちはためにならない」という意味のことを言ったというんです。受け取りようでは後藤組長に四人への襲撃を依頼したという意味にもとれる。それで亀井さんと村上、警察関係者、弁護士、私も加わって対策会議が開かれたんです」
 会議にはビデオの実物は出されなかったが、登場人物二人のやりとりを筆記した書面があった。その場の話ではビデオの映像はかなり画質が悪いうえに雑音が混じっていて声が聞き取りにくかったが、専門家に鑑定してもらった結果、登場人物は藤井と後藤にほぼ間違いないと分かったという」

 ここに登場する「藤井さん」とは、当時、公明代表だった藤井富雄現公明党都議。そして「後藤組長」とは静岡県富士宮市に本部を置く山口組系後藤組の後藤忠正組長のこと。また「村上正邦」とは、当時参議院自民党幹事長だった村上正邦氏である。後に藤井氏は「週刊現代」の取材に対し後藤組長とは懇意である旨、答えている。

 A「国会タイムズ」平成9年5月5日号「噂のコラム」

 「とんでもない情報が飛び込んで来た。名称は敢えて伏せるが、某団体幹部のF氏と"親密な関係"にあるA組組長との密会であった。
 その内容とは、某団体を漂傍(誹謗の誤記か=引用者注)する『五人の暗殺計画」を、この組長に依頼していたとのことである。
 暗殺者名はK、S、S氏の国会議員三人と、フリーライターのO氏。残り一人はすでに死亡 自殺?)しているA氏。一人20億円、計100億円を支払うとのことだった。
 金額はともかく、約束のお金を団体幹部のF氏が支払わないため、怒った組長は、密会のとき隠しビデオで撮影していたテープを、公開するといってこの幹部を脅し続けたというのだ。
 
 このため、某団体側は別のB組長に『五十億円支払うから話をつけてくれ』と泣きを入れたとされている。
 これに腹を立てたA組長は、国会議員のK氏にこのテープを差し出してしまったという。
 テープは隠し撮りのため極めて不鮮明だが、音声だけはハッキリしていた。驚いたK氏は真偽を確認するため、団体幹部F氏と親交があるY氏に確認してもらったとされる。
 このテープを警察庁に渡し鑑定を依頼した結果、音声からは、会話する二人がF幹部とA組長の『声紋が一致している』との結果が得られたと伝えられている。
 真偽は不明だが、何とも恐ろしい話だ。(1)」

B「2001年5月6日 創価学会員より」と題する複数の出版社に対する匿名投書

  この匿名の投書は、平成V年の5月に複数の週刊誌や月刊誌の編集部に郵送されてきたもので、朝木明代東村山市議の転落死事件と、転落死に先立って朝木明代市議にかけられていた万引き被疑事件に言及している。
 内容は、自らを東村山市の近県で活動していた創価学会の青年部員であるとした上で、朝木明代市議に対する万引き被疑事件が起こった平成7年6月19日に、朝木明代市議によく似た女性を東村山の現場付近でピックアップしたというもので、事件は朝木明代市議に似た替え玉によるデッチ上げ事件だと書いている。
  投書は、東村山に行く経緯から事件後の経過や心情の変化まで、詳細に記述されているが、以下、替え玉を迎えた部分のみ紹介しよう。

  「6月19日の当日の朝11時頃、小池と16号沿いで待ち合わせると車が停車していて運転手は加代後半位の女性だった。小池は『あとは彼女が案内してくれるから、しっかりいうことを聞いて勉強してくるように』と結局自分は乗らないで別れてしまった。

  若かったわたしも、小池よりも女性と二人で東村山まで行けるのだからラッキーぐらいに思って、助手席に乗ったのである。木村と称する女性はしきりと時間を気にしていて、昼食は東村山に着いてからということになった。東村山市に入ったのは14時位で ラーメン屋で食事をとると『もう一人勉強会に参加する部員がいるので迎えに行く」といい、イトーヨーカドー付近の花屋の前でハザードを出してしばらく待っていた。
 20分も待たされただろうか15時を10分以上まわっていたと思うが、突然中年のおばさんがものすごい勢いで後ろの座席に乗り込んできたので びっくりした私は思わず『うわ!」と声をあげると、木村は急ハンドルを切って猛スピードで走り出したのである。
 おばさんは息切れしていたが、唖然とした私はわけのわからないままでしばらく走り続け、二人とも一言も口をきかず実にいやな雰囲気だった。そのときの私はパニック状態で勉強会のことなど頭にはなかった。
 新座に入って停車すると、木村は『私はここで降りるので彼女を流山まで送って行って欲しい』と言うし、名前も知らないおばさんは『道は私が教えるから、同じ学会員だからいいでしょ』と半ば笑いながら言う。
 流山は帰り道の途中だし、同じ学会員だからといわれると不思議と抵抗感もなかったので引き受けた。こうしておばさんを後部座席に乗せたまま、南流山駅に着いた。そこでびっくりしたのは、あの小池が待っていたからだ。『勉強会なんかやらなかったけど?』ときくと、小池は『向こうの都合が悪くなって急に中止になった。すまんが君はここから電車で帰ってくれ、車は私が預かる。ご苦労さん』と言う。勉強会というから月曜日なのにわざわざ会社を休んで一日つぶされて納得がいかなかったので「どうも意味がわからない。あちこち振り回されて・・・』といいかけると、小池は「すまん、これ以上何も聞くな、いいな』と大きい声を出したので、相手は中央の役員だし、何だか少し不安になった私は急いで帰ることにした。例のおばさんと小池は車のそばでなにやら話していたが、その後この三人(小池、木村、おばさん)とは二度と会うことはなかった」

 投書では、このおばさんは朝木市議にとてもよく似ていたとしている。もとより、この投書は、冒頭に記したように発信元も名前も不明の「怪文書」であり、本当に創価学会員であるのかどうも含めて、内容の真偽は不明である。ただ、創価学会の外郭出版社である潮出版社に対する朝木直子さんらの名誉毀損に基づく損害賠償請求訴訟の審理の過程で、万引き被害を訴えている洋品店の店主が供述している万引き犯人の服装と、当日、朝木明代さんが着ていた服装が異なることが明らかになっており、遺族・関係者の間には、以前から替え玉による犯行なのではないかとの見方がある。
 一方、「月刊現代」の記事は、藤井富雄公明党都議と後藤組長とされる人物の「密会ビデオ」があり、その中で藤井氏は反創価学会の立場にある人物らに対する襲撃依頼ともとれる発言をしていると報じている。そして「月刊現代」と同じ内容を匿名で報じていると思われる「国会タイムズ」では、具体的に襲撃対象者のイニシャルを「K、S、S氏の国会議員三人と、フリーライターのO氏。残り一人はすでに死亡(自殺?)しているA氏」と伝えている。
「月刊現代」によれば当時、反創価学会の急先鋒だった国会議員の亀井静香氏は、「命を狙われている」として警護を厳重にしたとのこと。当時、同じく反創価学会で名をはせていた国会議員には島村宜伸氏と白川勝彦氏がいた。
 反創価学会の立場にある「フリーライターのO氏」が誰のことを意味するのかは分からない。あるいは本誌発行人の乙骨正生を指すのかもしれないが、平成7年12月以降で「すでに死亡(自殺?)しているA氏」との表記に、平成7年9月に転落死し、自殺を取りざたされているイニシャルAである朝木明代市議が当てはまることは明らかである。
 司法解剖の「鑑定書」によって「他殺」であることが確実になった朝木明代東村山市議転落死事件の真相解明は、まだ端緒についたばかりである。


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