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【社会】

東山動植物園でモノレール車輪脱落 点検作業に不備か

2009年5月5日 朝刊

落下したため新しく取り付けられた振り止め車輪(写真)=東山動植物園で

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 名古屋市千種区の東山動植物園で4日、モノレール「スカイビュートレイン」が振り止め車輪(直径25センチ、重さ6・6キロ)の1個を走行中に脱落、落下させる事故があった。けが人はなかった。

 振り止め車輪は鉄製で、車両が左右に大きく振れるのを抑える。車軸との間に摩擦を減らすための部品(ベアリング)があるが、油を差した形跡がなく、部品が焼き切れて車輪が脱落したとみられる。

 車輪は4月14日に大阪の業者が法定点検をした際に交換した新品で、交換当時から油を差していなかった可能性があるという。

 車輪の脱落は午後1時45分ごろ、入園客の母子が「コアラ舎の前で拾った」と、モノレールの駅に持参したことで分かった。同園が別の駅で停車中の列車の1両目右側の車輪がないことを確認し、この車両の運行を停止。ベアリングは、コアラ舎から約100メートル離れたレールの下で見つかった。

 付近のレールは高さ5メートルで、真下を入園者が歩くことができる。同園によると、モノレールは1列車5両編成で、振り止め車輪は左右に計12個取り付けられている。「車両を支える車輪は別にあるため、振り止め車輪が仮になかったとしても車両が落ちるような危険性はない」と説明している。同園はほかの2列車の運行を続けていたが、この日は予定より30分早く運行を打ち切り、千種署に報告した。安全が確認されるまで、すべての運行を見合わせるという。

 この日は4万2000人が入園し、モノレールは4878人が利用した。

◆事故続発、甘い危機管理

 事故が起きたモノレールは空中を走るレール全長約2キロのうち、約半分は真下が入園者の歩行路。大型連休中のこの日は家族連れらでにぎわっており、惨事になるところだった。2週間前にはモノレール駅のエレベーターが停止して8人が閉じこめられる事故も起きており、名古屋市の危機管理体制が問われている。

 モノレールは動物園と植物園を結んで18分で1周し、入園者の1割が利用している人気の乗り物。市の外郭団体の東山公園協会が運営する。毎日始業前に点検しており、振り止め車輪の油は2カ月に1回程度充てんしていたというが、脱落した車輪にはまったく油がついていなかった。

 原因究明が十分行われていないにもかかわらず、ほかの2列車の運行を続け、中止を決めたのは3時間後だった。同園は「園の判断だけで運行を続けたのは問題があったかもしれない」と説明している。千種署は捜査は行わない方針だが、事故防止策を立てるよう園側に求めた。

 

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