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positive gamma -ヘッジファンド、RVトレード+雑感
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2007/12/21のBlog
[ 22:43 ] [ 雑談・四方山話 ]
ふー、やっとこさ一段落。
年末は為替などの取引をするときの決済日がヘンテコリンになるし、来週になったらみんな休みをとって市場が閑散とするので今のうちに年内のトレードや年越えのポジションをヘッジしてしまえということで為替ディーラーにはとても忙しい1日だったんじゃないかとおもう。筆者もまとまった量をやったのでちょい疲れました(^^;。

それにしても5カ国協調で中央銀行が資金供給してくれたおかげで、為替フォワードのインプライド金利差が大分落ち着いたのには筆者は助かった(^^)。LIBOR水準がほんとはどこにあるのか良く分からない状態ではフォワード市場のビッドオファーも開いちゃうし、金利が全般には低下したので輸出企業などのフォワードでのドルやユーロ売りのひとたちは支払いコストの絶対値が低下したんでほっと一息ついたんじゃないかな(まあ輸入サイドのひとは欧州で資金供給がされる前にポジションテイクすべきだったと悔やんでるひとがいるかもね)。

それにしても今日あたりから恒例の(?)年末株式ラリーらしきものがちらりとみえてるし、円が売られているのでキャリートレード復活かと見紛うばかりだね。為替が国の相対価値の尺度なのだとしたら、今の円安は残念ながらとても得心のいくものだけどね(^^;。

11月、12月は決して楽ではないし、市場のボラティリティーやイベントも半端じゃなくあったのだけれど、総じていえば今年は筆者にはわるくない年だった。そして来年に向けてすでに投資機会はいくつか見え始めている。

まだ一週間あるのだけれど、皆様よいクリスマス休暇を過ごし、良い新年をお迎え下さい。
2007/12/19のBlog
大陸中国のSWF(ソヴリン・ウェルス・ファンド)である中国投資公司でオフショア株運用のファンドマネージャ(境外投資管理人)を現在募集中(^^)。

詳細はこちらをクリックしてもらうとして、応募したい人はあまり時間がないけど12月20日までに応募書類を出さないといけないみたいだね。とりあえずは株マネージャの募集だけとなっていて、債券や絶対リターン(ヘッジファンド)マネージャは募集されてないみたい(残念??)。

資格に該当する人で興味のある方は応募してみれば如何?

2007/12/15のBlog
[ 04:44 ] [ ヘッジファンド全般・マクロ環境 ]
忘年会続きで人間奈良漬状態です(^^)。
さて、今週もいろんなニュースがあったけど、FEDが25bpsしか下げられなかった(市場は明らかに50bpsを期待してたけど)のは昨日の卸売物価指数(PPI)に続いて今日の消費者物価指数(CPI)がこんだけ(対前月比+0.8%、コンセンサスは+0.6%くらい)上昇基調にあるからだったわけね。

ま、巷に溢れる解説記事の言うとおりバナンキ議長は難しい舵取りをせまられることになっている。一方にインフレの芽、他方に流動性の危機+経済スローダウン(リセッション?)懸念、一方で米国金融機関を中心とする貸し渋りの懸念、他方に高止まりしてきた原油価格などの恩恵を受けた大量のリスクマネー(SWF:Sovereign Wealth Fundもそのひとつだ)の存在。世界には2極の構造があってお互いがお互いを牽制している。双方が何らかの形で収斂(convergence)していくときのいわば端境期(transition period)に捕まってしまうと、相場を張る立場としてはとても苦しいことになるね。。

筆者が今週唯一?いいニュースだと思ったのはCitiがAa3に格下げはされたもののSIVを連結すると新CEOが腹をくくったことだ。これでもう共同救済(傷を舐めあう)スキームのM-LECは実質お役御免ということで結構なことだ。

まあ、投資銀行業界において、あたらしい責任者(CEOでもヘッドトレーダーでもいいけど)が任命されて一番最初にやることは、前任者の所為にしてなるべく多くの損失を処理してしまうこと。そこでどれだけ損が出たってそれは前任者が悪いのであって自分の所為ではないもんね。それからV字回復を狙って勝負して上手くいけばヒーローになれるし、報酬もぐっと増える。あ、これって日産の救済でゴーンさんがやったことと同じだよね(^^)。

こういうダイナミズムが期待できるという点では、確かに外部から人を連れてきてヘッドをすげ替える(他の血をいれる)というのはすぐれた対処法だ。残念ながら日本企業の場合は余程のことがない限り、後任が同じ会社から選ばれてしまうようにみえる。そうするとしがらみはあるし、そんな簡単に自浄作用が働かないのは世の常だ。。。

ともかくこれで各行連結の動きが本格化するだろう。そうするとリスク資産が増えていくことになるので、追加的に新規貸し出しをするのは当然に厳しくなるし、銀行が要求するスプレッドも高止まりすることになるね。最悪は日本が2000年に入って経験した貸し渋り・貸し剥がしになるわけだけど、そうすると経済がデフレになって大変なことになるのでそれは政策当局としても絶対に避けるはず。しかしたとえばバナンキ議長が今回打った各国協調での年末資金繰りへの資金供給コミットメントのアナウンスメントは必ずしも目論見どおりに成功はしていない(この5カ国協調流動性供給についてはEURO SELLERさんがきわめて示唆に富むエントリー(→こちら)をされているので一読されたし)。多少はインターバンク金利が下がったとはいえ高止まりしたままだ。先月1ヶ月で米国2年債の利回りは0.95%も下がっているが、一方で3ヶ月LIBORは相変わらずのままだ。

銀行はオンバランスのリスク資産が増えて自己資本が一定であればBISで要求されている自己資本比率が低下する。とりわけこれから損失が拡大していけばTierIと呼ばれる中核資本が毀損するということなのでこれはほっとけない。インターバンク市場はそれをお互い見透かして相互に資金を出すのを躊躇している。だからこそ流動性クランチがおきてるわけだけど、これを解決するのはただひとつ、自己資本の増強(エクイティーファイナンス)しかない。

ここ最近話題にしたモノライン保険会社も事情は同じ。モノラインの一角SCAはFitchという格付け会社から、6週間以内に20億ドルは資本増強しないとAAAじゃなくなるかんねと警告状を突きつけられた(^^;。

誰の目にも明らかだけどこれから来年にかけてはとりわけ金融セクターのエクイティーファイナンスのオンパレードになると思う。一方企業は業績わるくないのに銀行からおカネを十全に引けないかもしれないわけだから、こちらは資本市場で債券発行(デットファイナンス)に走る企業が増えるだろう。

サブプライム、CDO問題のあおりを食って今年のボーナスはないかもなとがっかりしてる投資銀行の皆さん、とりわけDCM,ECMなどの引き受け部門のひとは来年は忙しくて笑いが止まんないかもよ(^^)。

これらは単純には株価には悪材料(発行株数が増える)だが、どれくらいこれで問題は終わりというのを演出できるかと、ファイナンスのストラクチャーによって人気の有無がかわるとおもう。convertible preferredやCBなどのちょっとひねったファイナンスで投資家に買ってもらう努力は当然にするよね。

アービトラージと古典的ボラティリティープレーで儲けられる時代が久しぶりに来るかなと思うと楽しい。ま、酔っ払ったアタマで考えてることだけどね(^^)。
2007/11/22のBlog
[関連したBlog]

モノラインについてメモ書きする幕間に。

CPDO(Constant Proportionate Debt Obligation)について書いたのは今年の始めだった。小泉元首相じゃないが、「まさか」っていう坂はあるんですな(^^;。

CPDOがどんなものだったか思い出したい読者は上のエントリーでもさっととばし読みしてもらうとして、Bloombergの記事によると、昨日UBS組成による47.5 million ユーロ($70 million) 相当のSeries 103 Financial Basket Tyger Notesという名前のCPDOがムーディーズによってAaaからBa2に格下げになったとのこと。

Structured Credit Investors(以下“SCI”)っていう業界専門誌のレポートによると(→記事はこちら)、もともとこの債券は80Mil.ユーロの発行だったが、8月の混乱で価格が40セントくらいまで下がっちゃったので、強制退場事由(キャッシュアウトイベント)に引っかかって永久に立ち直れなくなる可能性を嫌って、一部の投資家はより緩く分散のきいたレバレッジの商品に作り直してもらった、という話が書かれている(記事の日付は2007年9月17日)。ってことはこの47.5百万ユーロの投資家はそのとき我慢した(というか手足が痺れて動けなかった(^^;)投資家ということなのだろう。。。

もともとのCPDOは10年のCDSを投資元本の10倍くっつけたもの。10年債のデュレーションが8(信用スプレッドが0.01%上昇すると、価格は0.08%下落する)として、くっついてるCDSのレバレッジ10倍だから、この債券の信用スプレッドに対する価格感応度(クレジットdv01)は1ベーシスポイント辺り80倍の80ベーシス。。。はい、皆さん思い出していただけましたか、恐怖のローラーコースターMTM商品であるCPDOの特徴を(^^)。

SCIの記事を読んでると、「進化した」(笑)CPDOである同商品は、もとのCDX-IGとi-Traxx Europeに半分ずつ連動するのではなくて、ファイナンシャルセクターだけを拠り出して作られた模様。実際MarkItのウェブサイトに行って(→こちら)、インデックスのセクターのところでFinancialを選べば5年ものや10年ものの金融クレジット指数が毎日根付けされている(iTraxx Europe Senior Financial指数など)のを見ることが出来るだろう。

SCIによれば入ってるネームにはAmbac, CIT, Radiant, MGIC and PMIなどの錚々たるモノライン保険屋の顔ぶれも揃っているらしい(^^;。Bloombergが引用しているCreditSightというこれまた業界情報誌の推測では、4月に組成した段階でのスプレッドが25bps、現在が141bps。(25-141)x80=-9280bps、エーと数字が大きいので-92.80%の損失といったほうが分かりやすいかな。もっとも実際はクレジットスプレッドの拡大と債券価格は直線的に(線形)比例しているわけではなく、価格変化は徐々に緩やかになるので、実際は10セント以下にはまだなっていなくて、29セントくらいの理論価格のようだ(この効果を債券価格の利回り変化に対する凸性コンヴェクシティ convexity)と呼ぶこともどこかで説明した。関心のある読者は“債券 コンヴェクシティー”あたりでググって見てほしい)。

いづれにしてもAAA格の債券が29円、迫力あるでしょ(^^;。ちなみにクレジットスプレッドが更に171bpsまで拡大すると、この債券の元本の90%は毀損し、10%の現在価値しか残らないことになるそうで、そうすると、債券を0円以下には出来ないので、残り10%の余裕があるところで、裏についているCDS(10年もの10倍)を解消のため買戻しに出すことになる。

ムーディーズはこの債券が一部リストラされた9月17日にコメントを発表していて、
“CPDO's net asset value was critically important,' because the so-called cash-out event would cause potentially 100 percent losses to investors.”とはっきりいうべきことは言っている。そう、この強制終了事由(キャッシュアウトイベント)に抵触すれば、解約のインパクトで債券価値が0%になることは十分考えられるのだ。


たとえば参照債券にはいっているとされる金融保証専門会社(モノライン・インシュアラー)Radiant(RND)の株価、クレジットスプレッドの推移をここに貼り付けておくと、この債券をUBSが組成したときは5年ものCDSは50bpsに満たない価格で取引されていたが、半年しかたたないうちに、スプレッドは884bpsにまで拡大している。

おそらく早期のデフォルトに備えて、売り手側は買い手に対しアップフロントのプレミアム+As You Pay Goの形式の契約を要求し始めてるだろうね。そうすると元手がまさに手元にあんまりないこの債券発行SPV(Special Purpose Vehicle債券発行のための特別なハコ(乗り物)という意味)は、売ったCDSを買い戻すに買い戻せない状態に陥る可能性が高い。。。モノラインのショックの酷いやつはこれから出てくる可能性も十分あるから、そうなったら気の毒だけど、この債券は0になる可能性が高い。

AAA格の債券が残存価値0になるのは史上はじめてではあるまいか(いきなりデフォルトに逝った例はニュージーランドのquasi-sovereignの例などがあったとおもうが、リカバリーは多少あったし、なにほどか返ってきた記憶がある)。メザニンABS-CDOのAAA格と並んで、あんまり嬉しくはないが、AAAが0でもどってくるという歴史的瞬間に立ち会うことになるのかも。。。

筆者は立派に中年なので(^^;、ルーマニアのコマネチという女子体操選手が歴史上はじめて10点満点をもらったときのことをなんだか思い出してしまう。電光掲示板は10点を表示できずいきなり1点を表示した(残存価値10%??)。。。全くもってばかげた連想なんだけど、脳というのはときに事物にかんしてこういうばかげたつなぎ方をするものなのだろう。
2007/11/17のBlog
東京滞在のいそがしい一週間が終わった。GS主催の東京カンファランスは例年この時期に行われるが、2年続けて東京市場に元気のない状態で開催とあいなった(^^;。金融商品取引法の施行直後とあってペーパーもほとんど回収されるケースが多く(あとで海外のオフィスから筆者のような海外居住のオフィスに送る)、人気があるのもアジアのマネージャ中心で、一体これで東京でやる意味があったのか…、東京開催は今年が最後かもしれないねーと冗談を交わした欧州の投資家の言葉がさびしく胸に残った。。
あわせてUBSなどの1Dayセミナーも開かれてたので投資家もマネージャも忙しい一週間だったとおもう。ともあれ関係者の皆様、お疲れ様でした。

東京株式市場は解約とおぼしき売買が市場を席捲しており、バリューファクターは崩壊、為替などのマクロ指標に大きく振らされていることもあって、なかなか手が出ない状態。ハイ・オクタン・ファンドでローラーコースターのようなパフォーマンスだった日本株B社ファンドがついにゲート条項(注)発令に動かざるを得なかったとか、団塊世代のホープといわれたF社がついにロングショートファンドをクローズしたとか(ロングオンリー戦略は残る模様)、数百億円を超えて運用残高を持っていた日本株ヘッジファンドの多くがパフォーマンス不振を受けて、次々と解散やクロージングに追い込まれている。K部長のファンドやシンガポールの最古参ファンドなどの第一世代はしぶとく踏みとどまっているが、2005年にヒーローとなった第二世代日本株HFマネージャの苦戦は続いている。

(注)ゲート条項(gate provision):投資家からの解約請求がファンドの資産の流動性プロファイルを越えて、多く来た場合にマネージャ側の裁量で発動される解約制限オプション。門(gate)のように、出口を自由にでることを制限することからこの名前がついている。ただし、通常一旦ゲートを引くと、償還請求しようとおもっていなかった投資家まで逃げ遅れまいと全額解約通知を次回に出すのが普通。火事だ!と叫ばれたら、とりあえず全員が出口に殺到するのと理屈は同じだよね(^^;。まあ結局のところ、ゲートを引く≒そのファンドは解散に追い込まれるに等しい。筆者の経験でも、ゲートを引いて存続できたマネージャは過去に1~2例しかない。

では投資家の受け皿となるファンドはないのかというと、確かに頑張ってる第三世代ファンドもいるんだけど、いかんせんマクロ環境がこういう状況なのでAUM増大に苦労しているのが現状。ネットで円建て二桁のリターンを出してるファンドもいくつかあるんだけどね。。筆者もいくつかには目をつけているんだが、投資家と話しても、自分の投資可能な最低AUMのバーが以前は5千万ドルだったのが今は1億ドルちかくまで上がっている(最低投資ロットとモニタリングコスト見合いであまり少額の投資が出来なくなっている)連中も、巷間言われてる通り増えてるなーという印象。

逆に言えばこの逆境を生き延びてプラスで凌げるひとたちは、将来の投資家の投資候補となる可能性が高い。筆者自身が安心して投資できる日本株ファンドさがしに四苦八苦しているので、他の投資家も事情は同じはず。夜明け前が一番昏いのは世の常だし、非合理がおもったより長く続くのも世の常。あるプライムブローカと話していたら、こんな状況になってもプロフィットの絶対金額という意味では日本市場から上がる収益のほうがアジア市場よりもかなり多いのだとか。もちろん、アジアはロングバイアスであることを割り引かなければいけないが(プライムブローカーの主な収益源は貸し株のチャージと、レバレッジに対するファイナンスの提供)、まだまだ日本でプレーしているおカネは残っている証左だとおもう。

日本株市場でたたかっているマネージャ諸氏にはエールを送りたい。
ここが正念場、きっちり凌いでプラスリターンを出してね!