【発明の名称】 |
リニア空燃比センサの劣化検出装置 |
【発明者】 |
【氏名】宮腰 穂 【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内
【氏名】寺田 浩市 【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内
【氏名】宮本 浩二 【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内
【氏名】竹林 広行 【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内
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【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンの排気系に設けられ排気ガス中の酸素濃度に比例する値を出力するリニア空燃比センサと、 上記リニア空燃比センサの検出値に基づいてエンジンに供給される混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバックする空燃比制御手段とを備えたものであって、 空燃比を強制的に変更する空燃比変更手段と、 空燃比変更後におけるリニア空燃比センサの出力値を微分する微分手段と、 上記微分手段により得られた値に基づいてリニア空燃比センサの時定数劣化を判定する劣化判定手段とを備えた リニア空燃比センサの劣化検出装置。 【請求項2】 上記劣化判定手段は、微分手段により得られた出力のピーク値に基づいて時定数劣化を検出する 請求項1記載のリニア空燃比センサの劣化検出装置。 【請求項3】 上記劣化判定手段は、微分手段により得られた出力が変化を初め、ピーク値を示した時点からその後ゼロになるまでの時間に基づいて時定数劣化を検出する 請求項1記載のリニア空燃比センサの劣化検出装置。 【請求項4】 上記劣化判定手段は、微分手段により得られた出力が変化を初め、所定しきい値を超えた時点と、その後、出力が低下して所定しきい値に達した時点との間の時間に基づいて時定数劣化を検出する 請求項1記載のリニア空燃比センサの劣化検出装置。 【請求項5】 上記劣化判定手段は、空燃比を強制的に変更した外乱開始時点から微分手段により得られた出力がピーク値に達するまでの時間に基づいて時定数劣化を検出する 請求項1記載のリニア空燃比センサの劣化検出装置。 【請求項6】 上記劣化判定手段は、微分手段により得られた出力の面積に基づいて時定数劣化を検出する 請求項1記載のリニア空燃比センサの劣化検出装置。 【請求項7】 上記劣化判定手段は、空燃比の変更をリッチからリーンと、リーンからリッチとに切換えるように構成され、 上記劣化判定手段は、微分手段により得られた出力に基づいてリニア空燃比センサの片側時定数劣化を検出する 請求項1〜6の何れか1に記載のリニア空燃比センサの劣化検出装置。 【請求項8】 上記空燃比変更手段は、劣化検出時に空燃比の変更をリッチとリーンとに交互に切換えるように構成した 請求項1〜7の何れか1に記載のリニア空燃比センサの劣化検出装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明は、エンジンの排気系に設けられ排気ガス中の酸素濃度に比例する値を出力するところのリニア空燃比センサの劣化を検出するリニア空燃比センサの劣化検出装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、エンジンの排気系に、排気ガス中の酸素濃度に比例する値を出力するリニア空燃比センサを設け、このリニア空燃比センサで検出した実際の空燃比(実空燃比)が目標空燃比(例えば、A/F=14.7またはリーンバーンエンジンの場合にはリーン側の所定値)になるように、両空燃比の差を把握して、燃料噴射量を制御して、目標空燃比が得られるようにフィードバック制御する空燃比フィードバック制御が知られている。 【0003】 ところで、上述のリニア空燃比センサが経年変化、経時劣化すると、該リニア空燃比センサの応答性が悪化するので、空燃比制御がずれて、エンジンの排気系に介設した触媒コンバータによる排気浄化性能が悪化する。このため上述のリニア空燃比センサの劣化を検出する必要がある。 【0004】 リニア空燃比センサの劣化を検出する装置としては例えば特許文献1に記載の装置がある。 すなわち、エンジンの排気系に設けられたリニア空燃比センサの応答周期の全体を検出するものであって、応答劣化を拡大して検出するために、リニア空燃比センサの出力に対して2つのしきい値を設け、このしきい値を用いてリニア空燃比センサの出力を「H」記号(Hはhighの略)と「L」記号(Lはlowの略)とに変換して、センサ出力の変動を拡大し、センサ劣化度合いが大きい程、応答周期が長くなることに基づいて、リニア空燃比センサの応答劣化を検出するものである。 【0005】 この従来装置においては、リニア空燃比センサの劣化を検出することができる利点がある反面、むだ時間劣化と一次遅れ劣化(時定数劣化)とに分けて検出していない関係上、劣化要因を検知することができない問題点があった。 【特許文献1】特許第3377336号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 そこで、この発明は、リニア空燃比センサの劣化検出時に、空燃比に外乱を与え、空燃比の強制変更後においてリニア空燃比センサの出力値を微分し、この微分値に基づいて時定数劣化を判定することにより、比較的周期が大きいうねりのような空燃比変動(定常変動)の影響を受けることなく、リニア空燃比センサの時定数劣化(一次遅れ劣化)を精度よく検出することができるリニア空燃比センサの劣化検出装置の提供を目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 この発明によるリニア空燃比センサの劣化検出装置は、エンジンの排気系に設けられ排気ガス中の酸素濃度に比例する値を出力するリニア空燃比センサと、上記リニア空燃比センサの検出値に基づいてエンジンに供給される混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバックする空燃比制御手段とを備えたものであって、空燃比を強制的に変更する空燃比変更手段と、空燃比変更後におけるリニア空燃比センサの出力値を微分する微分手段と、上記微分手段により得られた値に基づいてリニア空燃比センサの時定数劣化を判定する劣化判定手段とを備えたものである。 【0008】 上記構成によれば、空燃比変更手段は、リニア空燃比センサの劣化検出時に、エンジンに供給される混合気の空燃比を強制的に変更し、上述の微分手段は、空燃比変更後におけるリニア空燃比センサの出力値を微分し、劣化判定手段は、上記微分手段により得られた値(微分値)に基づいてリニア空燃比センサの時定数劣化を判定する。 【0009】 このように、リニア空燃比センサの劣化検出時に、空燃比に外乱を与え、空燃比の強制変更後においてリニア空燃比センサの出力値を微分して、微分値を求め、この微分値に基づいて時定数劣化を判定するので、比較的周期が大きいうねりのような空燃比変動(定常変動)の影響を受けることがなく、外乱を与えた際には適切な微分値が得られる。このため、リニア空燃比センサの時定数劣化を精度よく検出することができる。要するに、リニア空燃比センサ出力を微分することで、上述のうねりのような空燃比変動の影響を排除すると共に、外乱(急激な変動)に対応した微分値を得ることができるので、時定数劣化を適切に検出することができ、劣化要因の判別が可能となる。 【0010】 この発明の一実施態様においては、上記劣化判定手段は、微分手段により得られた出力(微分値)のピーク値に基づいて時定数劣化を検出するものである。 リニア空燃比センサの出力の微分値のピーク値は、該センサが劣化する程、小さくなる。 【0011】 上記構成によれば、上述のピーク値に基づいて時定数劣化を判定するので、空燃比の定常変動の影響を受けることがなく、外乱を与えた際には劣化度合に対応したピーク値が得られる。このため、リニア空燃比センサの時定数劣化を精度よく検出することができる。 【0012】 この発明の一実施態様においては、上記劣化判定手段は、微分手段により得られた出力(微分値)が変化を初め、ピーク値を示した時点からその後ゼロになるまでの時間に基づいて時定数劣化を検出するものである リニア空燃比センサの出力の微分値が変化を初め、ピーク値を示した時点からその後、ゼロになるまでの時間は、該センサが劣化する程、長くなる。 【0013】 上記構成によれば、上述のゼロになるまでの時間に基づいて時定数劣化を判定するので、空燃比の定常変動の影響を受けることがなく、外乱を与えた際には劣化度合に対応してゼロになるまでの時間が適切に得られる。このため、リニア空燃比センサの時定数劣化を精度よく検出することができる。 【0014】 この発明の一実施態様においては、上記劣化判定手段は、微分手段により得られた出力(微分値)が変化を初め、所定しきい値を超えた時点と、その後、出力が低下して所定しきい値に達した時点との間の時間に基づいて時定数劣化を検出するものである。 リニア空燃比センサの出力の微分値が変化を初め、所定しきい値を越えた時点と、その後、出力が低下して所定しきい値に達した時点との間の時間は、該センサが劣化する程、短くなる。 【0015】 上記構成によれば、上述の時間に基づいて時定数劣化を判定するので、空燃比の定常変動の影響を受けることがなく、外乱を与えた際には劣化度合に対応した時間(微分出力が変化を初め、所定しきい値を超えた時点と、その後、出力が低下して所定しきい値に達した時点との間の時間)が得られる。このため、リニア空燃比センサの時定数劣化を精度よく検出することができる。 【0016】 この発明の一実施態様においては、上記劣化判定手段は、空燃比を強制的に変更した外乱開始時点から微分手段により得られた出力(微分値)がピーク値に達するまでの時間に基づいて時定数劣化を検出するものである。 上述の空燃比を強制的に変更した外乱開始時点から微分値がピーク値に達するまでの時間は、リニア空燃比センサが劣化する程、長くなる。 【0017】 上記構成によれば、上述の時間に基づいて時定数劣化を判定するので、空燃比の定常変動の影響を受けることがなく、外乱を与えた際には劣化度合に対応した時間(外乱開始時点から微分手段により得られた出力つまり微分値がピーク値に達するまでの時間)が得られる。このため、リニア空燃比センサの時定数劣化を精度よく検出することができる。 【0018】 この発明の一実施態様においては、上記劣化判定手段は微分手段により得られた出力(微分値)の面積に基づいて時定数劣化を検出するものである。 リニア空燃比センサの微分値の面積は、該センサが劣化する程、小さくなる。 【0019】 上記構成によれば、上述の微分値の面積に基づいて時定数劣化を判定するので、空燃比の定常変動の影響を受けることがなく、外乱を与えた際には劣化度合に対応した面積が得られる。このため、リニア空燃比センサの時定数劣化を精度よく検出することができる。 【0020】 この発明の一実施態様においては、上記空燃比変更手段は、空燃比の変更をリッチからリーンと、リーンからリッチとに切換えるように構成され、上記劣化判定手段は、微分手段により得られた出力(微分値)に基づいてリニア空燃比センサの片側時定数劣化を検出するものである。 上述の片側とは、リッチ側またはリーン側を意味する。 上記構成によれば、リニア空燃比センサの片側時定数劣化を検出することができる。 【0021】 この発明の一実施態様においては、上記空燃比変更手段は、劣化検出時に空燃比の変更をリッチとリーンとに交互に切換えるように構成したものである。 【0022】 上記構成によれば、空燃比がリッチとリーンとに交互に変更されるので、触媒コンバータ(いわゆるキャタリスト)内の空燃比がリッチ側またはリーン側の一方に片寄ってエミッションの悪化を招くことが防止され、触媒コンバータによる排気ガス浄化性能を維持した状態下において時定数劣化判定を行うことができる。 【発明の効果】 【0023】 この発明によれば、リニア空燃比センサの劣化検出時に、空燃比に外乱を与え、空燃比の強制変更後においてリニア空燃比センサの出力値を微分し、この微分値に基づいて時定数劣化を判定するので、比較的周期が大きいうねりのような空燃比変動(定常変動)の影響を受けることなく、リニア空燃比センサの時定数劣化(一次遅れ劣化)を精度よく検出することができる効果がある。 【発明を実施するための最良の形態】 【0024】 比較的周期が大きいうねりのような空燃比変動(定常変動)の影響を受けることなく、リニア空燃比センサの時定数劣化(一次遅れ劣化)を精度よく検出するという目的を、空燃比を強制的に変更する空燃比変更手段と、空燃比変更後におけるリニア空燃比センサの出力値を微分する微分手段と、上記微分手段により得られた値(微分値)に基づいてリニア空燃比センサの時定数劣化を判定する劣化判定手段とを備えるという構成にて実現した。 【実施例】 【0025】 この発明の、一実施例を以下図面に基づいて詳述する。 図面はリニア空燃比センサの劣化検出装置を示すが、まず図1を参照してエンジンの吸排気系について説明する。 【0026】 図1はリニア空燃比センサを有するエンジンの系統図であって、吸入空気を浄化するエアクリーナ1のエレメント2後位にエアフローセンサ3を接続して、このエアフローセンサ3で吸入空気量Qaを検出すべく構成している。 【0027】 上述のエアフローセンサ3の後位にはスロットルボディ4を接続し、このスロットルボディ4内のスロットルチャンバ5には、吸入空気量を制御するスロットル弁6を配設している。そして、このスロットル弁6の下流の吸気通路には、所定容量を有する拡大室としてのサージタンク7を接続し、このサージタンク7下流に吸気ポート8と連通する吸気マニホルド9を接続すると共に、この吸気マニホルド9にはインジェクタ10(燃料噴射弁)を配設している。 【0028】 一方、エンジン11の燃焼室12と適宜連通する上述の吸気ポート8および排気ポート13には、動弁機構(図示せず)により開閉操作される吸気弁14と排気弁15とをそれぞれ取付け、またシリンダヘッド16にはスパークギャップを上述の燃焼室12に臨ませた点火プラグ(図示せず)を取付けている。 【0029】 上述の排気ポート13と連通する排気通路17には、排気ガス中の酸素濃度に比例する値を出力するリニア空燃比センサ18(以下、単にリニアO2センサと略記する)を配設すると共に、この排気通路17の後位には排気ガスを浄化する触媒コンバータ19いわゆるキャタリストを接続している。 【0030】 上述の触媒コンバータ19としては、例えば、HC,CO,NOXの3成分を同時に浄化し得る三元触媒(いわゆるTWC)を用いることができる。 また、前述のスロットルボディ4にはスロットル開度TVOを検出するスロットルセンサ20を取付けている。 【0031】 図2はリニアO2センサ18の劣化検出装置を示す制御回路ブロック図であって、制御手段としてのCPU30は、エアフローセンサ3からの吸入空気量Qaと、スロットルセンサ20からのスロットル開度TVOと、エンジン回転数を検出する回転センサ21からのエンジン回転数Neと、リニアO2センサ18からの酸素濃度に比例する値などの必要な各種入力に基づいて、ROM22に格納されたプログラムに従って、燃料噴射手段としてのインジェクタ10を駆動し、また記憶手段としてのRAM23はサンプル数の所定値に相当するデータ、並びに、時定数劣化判定用の所定値に相当するデータなどを記憶する。 【0032】 ここで、上述のCPU30は、リニアO2センサ18の検出値に基づいてエンジン11に供給される混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバックする空燃比フィードバック制御手段(CPU30それ自体参照)と、リニアO2センサ18の劣化検出時にのみ、エンジン11に供給される空燃比を強制的に変更させる手段、つまり図4に示す燃料噴射量aを加減算することで、空燃比にリッチ側またはリーン側の外乱を与える空燃比強制変更手段(図3に示すフローチャートのステップQ3,Q4参照)と、空燃比強制変更後におけるリニアO2センサ18の出力b(図4参照)を微分して微分値c(図4参照)を求める微分手段(図3に示すフローチャートのステップQ6参照)と、上述の微分手段(ステップQ6参照)により得られた値に基づいてリニアO2センサ18の時定数劣化を判定する劣化判定手段(図3の各ステップQ9〜Q17からなるルーチンR1参照)と、を兼ねる。 【0033】 図3、図4に示す実施例においては、劣化判定手段(ルーチンR1参照)は、微分手段(ステップQ6参照)により得られた出力(微分値c)のピーク値Pに基づいて時定数劣化を検出するように構成している。 【0034】 また、上述の空燃比強制変更手段(ステップQ3,Q4参照)は、空燃比の変更をリッチからリーンと、リーンからリッチとに切換えるように構成され、上述の劣化判定手段(ルーチンR1参照)は、微分手段(ステップQ6参照)により得られた出力(微分値c)に基づいてリニアO2センサ18の片側(リッチ側またはリーン側)時定数劣化を検出すべく構成している。 【0035】 さらに、上述の空燃比強制変更手段(ステップQ3,Q4参照)は、劣化検出時(診断実行条件の成立時)にインジェクタ10から噴射する燃料噴射量を加減算することで、図5に示すように空燃比の変更をリッチとリーンとに交互に切換えるように構成している。これは、触媒コンバータ19内の空燃比がリッチ側またはリーン側の一方に片寄ってエミッションの悪化を招くのを防止するためであり、リニアO2センサ18の劣化検出時に空燃比の強制変更をリッチとリーンとに交互に切換えることで、触媒コンバータ19による排気ガス浄化性能を維持したままで時定数劣化判定を行なうものである。 【0036】 このように構成したリニアO2センサ18の劣化検出装置の作用を、図3に示すフローチャートおよび図4に示すタイムチャートを参照して以下に詳述する。 【0037】 図3に示すフローチャートのステップQ1で、CPU30はリニアO2センサ18の劣化を検出する診断実行条件が成立したか否かを判定する。すなわち、スロットルセンサ20で検出するスロットル開度TVOの変化量が所定変化量以下で、かつ回転センサ21で検出するエンジン回転数Neの変化量が所定変化量以下で、さらにCE=Qa/Neで求められる充填効率CEの変化量が所定変化量以下の所謂定常時を含むほぼ定常時(YES判定時)にのみ次のステップQ2に移行し、加減速時などの非定常時(NO判定時)にはリターンする。 【0038】 ここで、診断の検出頻度の低下を防止する目的で、上述の診断実行条件にはある程度の許容幅をもたせており、例えば、緩加速等においては診断実行条件が成立するように構成されている。 【0039】 上述のステップQ2で、CPU30は前回の空燃比強制変更時の燃料噴射量加減算(外乱)に基づいて、前回外乱がリーンであったか否かを判定し、NO判定時にはステップQ3に移行する一方、YES判定時には別のステップQ4に移行する。 【0040】 上述のステップQ3で、CPU30は空燃比強制変更開始時点t0(図4参照)において、インジェクタ10を介して燃料噴射量にリーン外乱を加算する。 【0041】 一方、上述のステップQ4で、CPU30は空燃比強制変更開始時点t0(図6参照)において、インジェクタ10を介して燃料噴射量にリッチ外乱を加算する。 【0042】 つまり、上述の各ステップQ2,Q3,Q4の処理により、前回の外乱がリッチであるならば、今回は燃料噴射量aにリーン外乱を加算(燃料噴射量を減算)する一方、前回の外乱がリーンであるならば、今回は燃料噴射量aにリッチ外乱を加算(燃料噴射量を加算)するので、空燃比の強制変更は図5に示すようにリッチとリーンとに交互に切換えられる。 【0043】 次にステップQ5で、CPU30は排気ガス中の酸素濃度に比例する値を出力するリニアO2センサ18の出力bの読込みを実行する。リニアO2センサ18が正常または略正常な場合で、かつりーン外乱の加算時には、その出力bは図4の実線のようになり、リニアO2センサ18の劣化度合が大きくなる程、その出力bは図4に仮想線で示す方向にずれることになる。 【0044】 次にステップQ6で、CPU30はリニアO2センサ18の出力bを微分した値、つまり微分値c(図4参照)を演算により求める。 【0045】 次にステップQ7で、CPU30は上述の微分値cのピーク値Pを演算により求める。図4に示すようにリニアO2センサ18が正常または略正常な場合には上述のピーク値Pは大となり、リニアO2センサ18の劣化度合いが大きくなる程、ピーク値Pは小さくなる。 【0046】 次にステップQ8で、CPU30は、判定の信頼性向上を目的として、リッチ外乱を与えた場合のピーク値Pのサンプル数、並びにリーン外乱を与えた場合のピーク値Pのサンプル数が所定値(例えば5〜10回)よりも大か否かを判定し、NO判定時にはステップQ1にリターンしてフローチャートの繰返し処理を実行する一方、YES判定時には次のステップQ9に移行する。 【0047】 なお、図4に示すタイムチャートにおいてはリーン外乱(燃料噴射量の減算)を与えた場合の微分値cのプラス側のピーク値Pを示したが、リッチ外乱(燃料噴射量の加算)を与えた場合には、微分値cのマイナス側のピーク値(図6参照)を用いて、時定数劣化を検出乃至判定することができる。ここで、プラス側およびマイナス側のピーク値を用いる構成に代えて、ピーク値の絶対値を用いてもよい。 【0048】 上述のステップQ9で、CPU30は所定サンプル数に達した複数のリッチ側のピーク値Pの平均値(平均ピーク値)を演算すると共に、所定サンプル数に達した複数のリーン側のピーク値Pの平均値(平均ピーク値)を演算する。 【0049】 次にステップQ10で、CPU30はリッチ側ピーク値PR(詳しくはリッチ側の平均ピーク値)からリーン側ピーク値PL(詳しくはリーン側の平均ピーク値)を減算した値の絶対値が、所定値より大きいか否かを判定し、NO判定時にはステップQ11に移行し、YES判定時には別のステップQ12に移行する。 【0050】 このステップQ12で、CPU30はリッチ側ピーク値PRが所定値より小か否かを判定し、YES判定時にはステップQ13に移行する一方、NO判定時には別のステップQ14に移行する。 【0051】 上述のステップQ13で、CPU30はPR<所定値に対応して、リッチ側ピーク値PRが劣化つまりリッチ側時定数劣化であると判定する。 一方、ステップQ14で、CPU30はリーン側ピーク値PLが所定値よりも小か否かを判定し、YES判定時にはステップQ15に移行する一方、NO判定時には別のステップQ16に移行する。 【0052】 上述のステップQ15で、CPU30はPL<所定値に対応して、リーン側ピーク値PLが劣化(リーン側時定数劣化)であると判定する。 また、上述のステップQ16では、CPU30はリッチ側ピーク値およびリーン側ピーク値の何れもが正常であると判定する。 【0053】 一方、上述のステップQ11で、CPU30はリッチ側ピーク値PR(詳しくはリッチ側の平均ピーク値)とリーン側ピーク値PL(詳しくはリーン側の平均ピーク値)とを加算した値が、所定値よりも小さいか否かを判定し、NO判定時にはステップQ16に移行する一方、YES判定時には別のステップQ17に移行する。 【0054】 上述のステップQ16で、CPU30はリッチ側ピーク値PRおよびリーン側ピーク値PLの何れもが正常であると判定し、上述のステップQ17では、CPU30はPR+PL<所定値に対応して、リッチ側ピーク値PRおよびリーン側ピーク値PL(換言すれば両側の時定数)の何れもが劣化であると判定する。 【0055】 図7は微分値cに基づいてリニアO2センサ18の時定数劣化を検出する上記実施例を裏付けるために、実車試験を行なった測定結果を示し、エンジン回転数Ne=1200rpm、充填効率CE=0.2の条件下において燃料噴射量aを6%減量するリーン外乱を加えた場合の実測値を示す。 【0056】 図7から明らかなようにリニアO2センサ18の出力bの微分値cの波形はそのピーク値Pが正常なものは高い値を示し、劣化したものは正常なものに対して低い値を示す。 【0057】 このように上記実施例のリニアO2センサ18の劣化検出装置は、エンジン11の排気系に設けられ排気ガス中の酸素濃度に比例する値を出力するリニアO2センサ18と、上記リニアO2センサ18の検出値に基づいてエンジン11に供給される混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバックする空燃比フィードバック制御手段(CPU30参照)とを備えたものであって、空燃比を強制的に変更する空燃比強制変更手段(ステップQ3,Q4参照)と、空燃比強制変更後におけるリニアO2センサ18の出力bを微分する微分手段(ステップQ6参照)と、上記微分手段(ステップQ6参照)により得られた値(微分値c参照)に基づいてリニアO2センサ18の時定数劣化を判定する劣化判定手段(ルーチンR1参照)とを備えたものである。 【0058】 この構成によれば、空燃比強制変更手段(ステップQ3,Q4参照)は、リニアO2センサ18の劣化検出時に、エンジン11に供給される空燃比を強制的に変更し、上述の微分手段(ステップQ6参照)は、空燃比強制変更後におけるリニアO2センサ18の出力bを微分し、劣化判定手段(ルーチンR1参照)は、上記微分手段(ステップQ6参照)により得られた値(微分値c)に基づいてリニアO2センサ18の時定数劣化を判定する。 【0059】 このように、リニアO2センサ18の劣化検出時に、空燃比に外乱を与え、空燃比の強制変更後においてリニアO2センサ18の出力bを微分して、微分値cを求め、この微分値cに基づいて時定数劣化を判定するので、比較的周期が大きいうねりのような空燃比変動(定常変動)の影響を受けることがなく、外乱を与えた際には適切な微分値cが得られる。このため、リニアO2センサ18の時定数劣化を精度よく検出することができる。 【0060】 しかも、上記劣化判定手段(ルーチンR1参照)は、微分手段(ステップQ6参照)により得られた出力(微分値c)のピーク値Pに基づいて時定数劣化を検出するものである。 【0061】 この構成によれば、上述のピーク値Pに基づいて時定数劣化を判定するので、空燃比の定常変動の影響を受けることがなく、外乱を与えた際にはリニアO2センサ18の劣化度合に対応したピーク値Pが得られる。このため、リニアO2センサ18の時定数劣化を精度よく検出することができる。 【0062】 また、上記空燃比強制変更手段(ステップQ3,Q4参照)は空燃比の変更をリッチからリーンと、リーンからリッチとに切換えるように構成され、上記劣化判定手段(ルーチンR1参照)は、微分手段(ステップQ6参照)により得られた出力(微分値c参照)に基づいてリニアO2センサ18の片側時定数劣化を検出するものである。 【0063】 この構成によれば、リニアO2センサ18の片側(この実施例ではリッチ側または/および/リーン側)時定数劣化を検出することができる。 さらに、上記空燃比強制変更手段(ステップQ3,Q4参照)は、劣化検出時に空燃比の変更をリッチとリーンとに交互に切換えるように構成したものである。 【0064】 この構成によれば、空燃比がリッチとリーンとに交互に変更されるので、接触コンバータ19(いわゆるキャタリスト)内の空燃比がリッチ側またはリーン側の一方に片寄ってエミッションの悪化を招くことが防止され、触媒コンバータ19による排気ガス浄化性能を維持した状態下においてリニアO2センサ18の時定数劣化判定を行うことができる。 【0065】 図8、図9はリニアO2センサ18の劣化検出装置の他の実施例を示すフローチャートおよびタイムチャートである。この実施例においても図1、図2で示した回路装置を用いる。 【0066】 また、この実施例においてもCPU30は、リニアO2センサ18の検出値に基づいてエンジン11に供給される混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバックする空燃比フィードバック制御手段(CPUそれ自体参照)と、リニアO2センサ18の劣化検出時にのみ、エンジン11に供給される空燃比を強制的に変更させる手段、つまり図9に示す燃料噴射量aを加減算することで、空燃比にリッチ側またはリーン側の外乱を与える空燃比強制変更手段(図8のステップU3,U4参照)と、空燃比強制変更後におけるリニアO2センサ18の出力b(図9参照)を微分して微分値cを求める微分手段(図8のステップU6参照)と、上述の微分手段(ステップU6参照)に得られた値に基づいてリニアO2センサ18の時定数劣化を判定する劣化判定手段(図8のルーチンR2参照)と、を兼ねる。 【0067】 図8、図9に示す実施例においては、劣化判定手段(ルーチンR2参照)は、微分手段(ステップU6参照)により得られた出力(微分値c参照)が変化を初め、ピーク値を示した時点からその後ゼロになるまでの時間TA(図9参照)に基づいて時定数劣化を検出するように構成している。 【0068】 上述のゼロになるまでの時間TAはリニアO2センサ18が正常または略正常な場合には短く、劣化度合が大きくなるに従って、ゼロになるまでの時間TAは長くなる。 【0069】 この実施例の作用を、図8に示すフローチャートおよび図9に示すタイムチャートを参照して、以下に詳述する。 図8に示すフローチャートのステップU1で、CPU30はリニアO2センサ18の劣化を検出する診断実行条件が成立したか否かを判定する。すなわち、スロットルセンサ20で検出するスロットル開度TVOの変化量が所定変化量以下で、かつ回転センサ21で検出するエンジン回転数Neの変化量が所定変化量以下で、さらにCE=Qa/Neで求められる充填効率CEの変化量が所定変化量以下の所謂定常時を含むほぼ定常時(YES判定時)にのみ次のステップU2に移行し、加減速時などの非定常時(NO判定時)にはリターンする。 【0070】 ここで、診断の検出頻度の低下を防止する目的で、上述の診断実行条件にはある程度の許容幅をもたせており、例えば、緩加速時においては診断実行条件が成立するように構成されている。 【0071】 上述のステップU2で、CPU30は前回の空燃比強制変更時の燃料噴射量加減算(外乱)に基づいて、前回外乱がリーンであったか否かを判定し、NO判定時にはステップU3に移行する一方、YES判定時には別のステップU4に移行する。 【0072】 上述のステップU3で、CPU30は空燃比強制変更開始時点t0(図9参照)において、インジェクタ10を介して燃料噴射量にリーン外乱を加算する。 一方、上述のステップU4で、CPU30は空燃比強制変更開始時点t0において、インジェクタ10を介して燃料噴射量にリッチ外乱を加算する。 【0073】 つまり、上述の各ステップU2,U3,U4の処理により、前回の外乱がリッチであるならば、今回は燃料噴射量aにリーン外乱を加算(燃料噴射量を減算)する一方、前回の外乱がリーンであるならば、今回は燃料噴射量aにリッチ外乱を加算(燃料噴射量を加算)するので、空燃比の強制変更は既に図5で示したようにリッチとリーンとに交互に切換えられる。 【0074】 次にステップU5で、CPU30は排気ガス中の酸素濃度に比例する値を出力するリニアO2センサ18の出力bの読込みを実行する。リニアO2センサ18が正常または略正常な場合で、かつりーン外乱の加算時には、その出力bは図9の実線のようになり、リニアO2センサ18の劣化度合が大きくなる程、その出力bは図9に仮想線で示す方向にずれることになる。 【0075】 次にステップU6で、CPU30はリニアO2センサ18の出力bを微分した値、つまり微分値c(図9参照)を演算により求める。 【0076】 次にステップU7で、CPU30は微分値cが変化を初め、ピーク値を示した時点からその後ゼロになるまでの時間TAを演算により求める。図9に示すようにリニアO2センサ18が正常または略正常な場合には時間TAは小となり、リニアO2センサ18の劣化度合いが大きくなる程、時間TAは大きくなる。 【0077】 次にステップU8で、CPU30は、判定の信頼性向上を目的として、リッチ外乱を与えた場合の時間TAのサンプル数、並びにリーン外乱を与えた場合の時間TAのサンプル数が所定値(例えば5〜10回)よりも大か否かを判定し、NO判定時にはステップU1にリターンしてフローチャートの繰返し処理を実行する一方、YES判定時には次のステップU9に移行する。 【0078】 なお、図9に示すタイムチャートにおいてはリーン外乱(燃料噴射量の減算)を与えた場合の微分値cのプラス側のピーク値Pからその後ゼロになるまでの時間TAを示したが、リッチ外乱(燃料噴射量の加算)を与えた場合には、微分値cのマイナス側のピーク値からその後ゼロになるまでの時間を用いて、時定数劣化を検出乃至判定することができる。 【0079】 上述のステップU9で、CPU30は所定サンプル数に達した複数のリッチ側の時間TAの平均値を演算すると共に、所定サンプル数に達した複数のリーン側の時間TAの平均値を演算する。 【0080】 次にステップU10で、CPU30はリッチ側時間TAR(詳しくはリッチ側時間の平均値)からリーン側時間TAL(詳しくはリーン側時間の平均値)を減算した値の絶対値が、所定値より大きいか否かを判定し、NO判定時にはステップU11に移行し、YES判定時には別のステップU12に移行する。 【0081】 このステップU12で、CPU30はリッチ側時間TARが所定値よりも大か否かを判定し、YES判定時にはステップU13に移行する一方、NO判定時には別のステップU14に移行する。 【0082】 上述のステップU13で、CPU30はTAR>所定値に対応して、リッチ側時間TARが劣化つまりリッチ側時定数劣化であると判定する。 一方、ステップU14で、CPU30はリーン側時間TALが所定値よりも大か否かを判定し、YES判定時にはステップU15に移行する一方、NO判定時には別のステップU16に移行する。 【0083】 上述のステップU15で、CPU30はTAL>所定値に対応して、リーン側時間TALが劣化(リーン側時定数劣化)であると判定する。 また、上述のステップU16では、CPU30はリッチ側時間TARおよびリーン側時間TALの何れもが正常であると判定する。 【0084】 一方、上述のステップU11で、CPU30はリッチ側時間TAR(詳しくはリッチ側時間の平均値)とリーン側時間TAL(詳しくはリーン側時間の平均値)とを加算した値が、所定値より大きいか否かを判定し、NO判定時にはステップU16に移行する一方、YES判定時には別のステップU17に移行する。 【0085】 上述のステップU16で、CPU30はリッチ側時間TARおよびリーン側時間TALの何れもが正常であると判定し、上述のステップU17では、CPU30はTAR+TAL>所定値に対応して、リッチ側時間TARおよびリーン側時間TAL(換言すれば両側の時定数)の何れもが劣化であると判定する。 【0086】 このように、図8、図9で示した実施例においては、上記劣化判定手段(ルーチンR2参照)は、微分手段(ステップU6参照)により得られた出力(微分値c参照)が変化を初め、ピーク値を示した時点からその後ゼロになるまでの時間TAに基づいて時定数劣化を検出するものである。 【0087】 この構成によれば、上述のゼロになるまでの時間TAに基づいて時定数劣化を判定するので、空燃比の定常変動の影響を受けることがなく、外乱を与えた際には劣化度合に対応してゼロになるまでの時間TAが適切に得られる。このため、リニアO2センサ18の時定数劣化を精度よく検出することができる。 なお、図8、図9で示した実施例においても、その他の作用、効果については先の実施例とほぼ同様である。 【0088】 図10、図11はリニアO2センサ18の劣化検出装置のさらに他の実施例を示すフローチャートおよびタイムチャートである。この実施例においても図1、図2で示した回路装置を用いる。 【0089】 また、この実施例においてもCPU30は、リニアO2センサ18の検出値に基づいてエンジン11に供給される混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバックする空燃比フィードバック制御手段(CPUそれ自体参照)と、リニアO2センサ18の劣化検出時にのみ、エンジン11に供給される空燃比を強制的に変更させる手段、つまり図11に示す燃料噴射量aを加減算することで、空燃比にリッチ側またはリーン側の外乱を与える空燃比強制変更手段(図10のステップX3,X4参照)と、空燃比強制変更後におけるリニアO2センサ18の出力b(図11参照)を微分して微分値cを求める微分手段(図10のステップX6参照)と、上述の微分手段(ステップX6参照)に得られた値に基づいてリニアO2センサ18の時定数劣化を判定する劣化判定手段(図10のルーチンR3参照)と、を兼ねる。 【0090】 図10、図11に示すこの実施例においては、上述の劣化判定手段(ルーチンR3参照)は、微分手段(ステップX6参照)により得られた出力(微分値c参照)が図11に示すように変化を初め、所定しきい値thを超えた時点と、その後、出力が低下して所定しきい値thに達した時点との間の時間TBに基づいて時定数劣化を検出するように構成している。 【0091】 換言すれば、外乱が与えられた後に、微分値cが所定値(しきい値th参照)とクロスするポイント間の時間TBに基づいて時定数劣化を検出するように構成したものである。 【0092】 この実施例の作用を、図10に示すフローチャートおよび図11に示すタイムチャートを参照して、以下に詳述する。 図10に示すフローチャートのステップX1で、CPU30はリニアO2センサ18の劣化を検出する診断実行条件が成立したか否かを判定する。すなわち、スロットルセンサ20で検出するスロットル開度TVOの変化量が所定変化量以下で、かつ回転センサ21で検出するエンジン回転数Neの変化量が所定変化量以下で、さらにCE=Qa/Neで求められる充填効率CEの変化量が所定変化量以下の所謂定常時を含むほぼ定常時(YES判定時)にのみ次のステップX2に移行し、加減速時などの非定常時(NO判定時)にはリターンする。 【0093】 ここで、診断の検出頻度の低下を防止する目的で、上述の診断実行条件にはある程度の許容幅をもたせており、例えば、緩加速時においては診断実行条件が成立するように構成されている。 【0094】 上述のステップX2で、CPU30は前回の空燃比強制変更時の燃料噴射量加減算(外乱)に基づいて、前回外乱がリーンであったか否かを判定し、NO判定時にはステップX3に移行する一方、YES判定時には別のステップX4に移行する。 【0095】 上述のステップX3で、CPU30は空燃比強制変更開始時点t0(図11参照)において、インジェクタ10を介して燃料噴射量にリーン外乱を加算する。 【0096】 一方、上述のステップX4で、CPU30は空燃比強制変更開始時点t0において、インジェクタ10を介して燃料噴射量にリッチ外乱を加算する。 【0097】 つまり、上述の各ステップX2,X3,X4の処理により、前回の外乱がリッチであるならば、今回は燃料噴射量aにリーン外乱を加算(燃料噴射量を減算)する一方、前回の外乱がリーンであるならば、今回は燃料噴射量aにリッチ外乱を加算(燃料噴射量を加算)するので、空燃比の強制変更は図5において既に示したようにリッチとリーンとに交互に切換えられる。 【0098】 次にステップX5で、CPU30は排気ガス中の酸素濃度に比例する値を出力するリニアO2センサ18の出力bの読込みを実行する。リニアO2センサ18が正常または略正常な場合で、かつりーン外乱の加算時には、その出力bは図11の実線のようになり、リニアO2センサ18の劣化度合が大きくなる程、その出力bは図11に仮想線で示す方向にずれることになる。 【0099】 次にステップX6で、CPU30はリニアO2センサ18の出力bを微分した値、つまり微分値c(図11参照)を演算により求める。 【0100】 次にステップX7で、CPU30は上述の微分値cが所定値としての所定しきい値thを越えている時間TB、詳しくは、しきい値thを越えた時点と、その後、出力が低下して所定しきい値thを下回った時点との間の時間TBを演算により求める。図11に示すようにリニアO2センサ18が正常または略正常な場合には上述の時間TBは大となり、リニアO2センサ18の劣化度合いが大きくなる程、時間TBは小さくなる。 【0101】 次にステップX8で、CPU30は、判定の信頼性向上を目的として、リッチ外乱を与えた場合の時間TBのサンプル数、並びにリーン外乱を与えた場合の時間TBのサンプル数が所定値(例えば5〜10回)よりも大か否かを判定し、NO判定時にはステップX1にリターンしてフローチャートの繰返し処理を実行する一方、YES判定時には次のステップX9に移行する。 【0102】 なお、図11に示すタイムチャートにおいてはリーン外乱(燃料噴射量の減算)を与えた場合の微分値cのプラス側のしきい値thとクロスするポイント間の時間TBを示したが、リッチ外乱(燃料噴射量の加算)を与えた場合には、微分値cのマイナス側のしきい値thとクロスするポイント間の時間TBを用いて、時定数劣化を検出乃至判定することができる。 【0103】 上述のステップX9で、CPU30は所定サンプル数に達した複数のリッチ側の時間TBの平均値を演算すると共に、所定サンプル数に達した複数のリーン側の時間TBの平均値を演算する。 【0104】 次にステップX10で、CPU30はリッチ側時間TBR(詳しくはリッチ側時間の平均値)からリーン側時間TBL(詳しくはリーン側時間の平均値)を減算した値の絶対値が、所定値より大きいか否かを判定し、NO判定時にはステップX11に移行し、YES判定時には別のステップX12に移行する。 【0105】 このステップX12で、CPU30はリッチ側時間TBRが所定値より小か否かを判定し、YES判定時にはステップX13に移行する一方、NO判定時には別のステップX14に移行する。 【0106】 上述のステップX13で、CPU30はTBR<所定値に対応して、リッチ側時間TBRが劣化つまりリッチ側時定数劣化であると判定する。 一方、ステップX14で、CPU30はリーン側時間TBLが所定値よりも小か否かを判定し、YES判定時にはステップX15に移行する一方、NO判定時には別のステップX16に移行する。 【0107】 上述のステップX15で、CPU30はTBL<所定値に対応して、リーン側時間TBLが劣化(リーン側時定数劣化)であると判定する。 また、上述のステップX16では、CPU30はリッチ側時間TBRおよびリーン側時間TBLの何れもが正常であると判定する。 【0108】 一方、上述のステップX11で、CPU30はリッチ側時間TBR(詳しくはリッチ側時間の平均値)とリーン側時間TBL(詳しくはリーン側時間の平均値)とを加算した値が、所定値よりも小さいか否かを判定し、NO判定時にはステップX16に移行する一方、YES判定時には別のステップX17に移行する。 【0109】 上述のステップX16で、CPU30はリッチ側時間TBRおよびリーン側時間TBLの何れもが正常であると判定し、上述のステップX17では、CPU30はTBR+TBL<所定値に対応して、リッチ側時間TBRおよびリーン側時間TBL(換言すれば両側の時定数)の何れもが劣化であると判定する。 【0110】 このように、図10、図11で示した実施例においては、上記劣化判定手段(ルーチンR3参照)は、微分手段(ステップX6参照)により得られた出力(微分値c参照)が変化を初め、所定しきい値thを超えた時点と、その後、出力が低下して所定しきい値に達した時点との間の時間TBに基づいて時定数劣化を検出するものである。 【0111】 リニアO2センサ18の出力の微分値cが変化を初め、所定しきい値を越えた時点と、その後、出力が低下して所定しきい値に達した時点との間の時間TBは、該センサが劣化する程、短くなる。 【0112】 この構成によれば、上述の時間TBに基づいて時定数劣化を判定するので、空燃比の定常変動の影響を受けることがなく、外乱を与えた際には劣化度合に対応した時間TB(微分出力が変化を初め、所定しきい値を超えた時点と、その後、出力が低下して所定しきい値に達した時点との間の時間TB)が得られる。このため、リニアO2センサ18の時定数劣化を精度よく検出することができる。 なお、図10、図11で示した実施例においても、その他の作用、効果については先の実施例とほぼ同様である。 【0113】 図12、図13はリニアO2センサ18の劣化検出装置のさらに他の実施例を示すフローチャートおよびタイムチャートである。この実施例においても図1、図2で示した回路装置を用いる。 【0114】 また、この実施例においてもCPU30は、リニアO2センサ18の検出値に基づいてエンジン11に供給される混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバックする空燃比フィードバック制御手段(CPUそれ自体参照)と、リニアO2センサ18の劣化検出時にのみ、エンジン11に供給される空燃比を強制的に変更させる手段、つまり図13に示す燃料噴射量aを加減算することで、空燃比にリッチ側またはリーン側の外乱を与える空燃比強制変更手段(図12のステップY3,Y4参照)と、空燃比強制変更後におけるリニアO2センサ18の出力b(図13参照)を微分して微分値cを求める微分手段(図12のステップY6参照)と、上述の微分手段(ステップY6参照)に得られた値に基づいてリニアO2センサ18の時定数劣化を判定する劣化判定手段(図12のルーチンR4参照)と、を兼ねる。 【0115】 図12、図13に示す実施例においては、上述の劣化判定手段(ルーチンR4参照)は、空燃比を強制的に変更した外乱開始時点t0から微分手段(ステップY6参照)により得られた出力(微分値c)がピーク値に達するまでの時間TCに基づいて時定数劣化を検出するように構成している。 【0116】 この実施例の作用を、図12に示すフローチャートおよび図13に示すタイムチャートを参照して、以下に詳述する。 図12に示すフローチャートのステップY1で、CPU30はリニアO2センサ18の劣化を検出する診断実行条件が成立したか否かを判定する。すなわち、スロットルセンサ20で検出するスロットル開度TVOの変化量が所定変化量以下で、かつ回転センサ21で検出するエンジン回転数Neの変化量が所定変化量以下で、さらにCE=Qa/Neで求められる充填効率CEの変化量が所定変化量以下の所謂定常時を含むほぼ定常時(YES判定時)にのみ次のステップY2に移行し、加減速時などの非定常時(NO判定時)にはリターンする。 【0117】 ここで、診断の検出頻度の低下を防止する目的で、上述の診断実行条件にはある程度の許容幅をもたせており、例えば、緩加速時においては診断実行条件が成立するように構成されている。 【0118】 上述のステップY2で、CPU30は前回の空燃比強制変更時の燃料噴射量加減算(外乱)に基づいて、前回外乱がリーンであったか否かを判定し、NO判定時にはステップY3に移行する一方、YES判定時には別のステップY4に移行する。 【0119】 上述のステップY3で、CPU30は外乱開始時点t0(図13参照)において、インジェクタ10を介して燃料噴射量にリーン外乱を加算する。 一方、上述のステップY4で、CPU30は外乱開始時点t0において、インジェクタ10を介して燃料噴射量にリッチ外乱を加算する。 【0120】 つまり、上述の各ステップY2,Y3,Y4の処理により、前回の外乱がリッチであるならば、今回は燃料噴射量aにリーン外乱を加算(燃料噴射量を減算)する一方、前回の外乱がリーンであるならば、今回は燃料噴射量aにリッチ外乱を加算(燃料噴射量を加算)するので、空燃比の強制変更は図5で既に説明したようにリッチとリーンとに交互に切換えられる。 【0121】 次にステップY5で、CPU30は排気ガス中の酸素濃度に比例する値を出力するリニアO2センサ18の出力bの読込みを実行する。リニアO2センサ18が正常または略正常な場合で、かつりーン外乱の加算時には、その出力bは図13の実線のようになり、リニアO2センサ18の劣化度合が大きくなる程、その出力bは図13に仮想線で示す方向にずれることになる。 【0122】 次にステップY6で、CPU30はリニアO2センサ18の出力bを微分した値、つまり微分値c(図13参照)を演算により求める。 【0123】 次にステップY7で、CPU30は外乱開示時点t0から微分値cがピーク値に達するまでの時間TCを演算により求める。図13に示すようにリニアO2センサ18が正常または略正常な場合には上述の時間TCは短くなり、リニアO2センサ18の劣化度合いが大きくなる程、時間TCは長くなる。 【0124】 次にステップY8で、CPU30は、判定の信頼性向上を目的として、リッチ外乱を与えた場合の時間TCのサンプル数、並びにリーン外乱を与えた場合の時間TCのサンプル数が所定値(例えば5〜10回)よりも大か否かを判定し、NO判定時にはステップY1にリターンしてフローチャートの繰返し処理を実行する一方、YES判定時には次のステップY9に移行する。 【0125】 なお、図13に示すタイムチャートにおいては外乱開示時点t0にてリーン外乱(燃料噴射量の減算)を与えた場合に微分値cがプラス側のピーク値に達するまでの時間TCを示したが、リッチ外乱(燃料噴射量の加算)を与えた場合には、微分値cがマイナス側のピーク値に達するまでの時間TCを用いて、時定数劣化を検出乃至判定することができる。 【0126】 上述のステップY9で、CPU30は所定サンプル数に達した複数のリッチ側の時間TCの平均値を演算すると共に、所定サンプル数に達した複数のリーン側の時間TCの平均値を演算する。 【0127】 次にステップY10で、CPU30はリッチ側時間TCR(詳しくはリッチ側時間の平均値)からリーン側時間TCL(詳しくはリーン側時間の平均値)を減算した値の絶対値が、所定値より大きいか否かを判定し、NO判定時にはステップY11に移行し、YES判定時には別のステップY12に移行する。 【0128】 このステップY12で、CPU30はリッチ側時間TCRが所定値より大か否かを判定し、YES判定時にはステップY13に移行する一方、NO判定時には別のステップY14に移行する。 【0129】 上述のステップY13で、CPU30はTCR>所定値に対応して、リッチ側時間TCRが劣化つまりリッチ側時定数劣化であると判定する。 一方、ステップY14で、CPU30はリーン側時間TCLが所定値よりも大か否かを判定し、YES判定時にはステップY15に移行する一方、NO判定時には別のステップY16に移行する。 【0130】 上述のステップY15で、CPU30はTCL>所定値に対応して、リーン側時間TCLが劣化(リーン側時定数劣化)であると判定する。 また、上述のステップY16では、CPU30はリッチ側時間TCRおよびリーン側時間TCLの何れもが正常であると判定する。 【0131】 一方、上述のステップY11で、CPU30はリッチ側時間TCR(詳しくはリッチ側時間の平均値)とリーン側時間TCL(詳しくはリーン側時間の平均値)とを加算した値が、所定値よりも大きいか否かを判定し、NO判定時にはステップY16に移行する一方、YES判定時には別のステップY17に移行する。 【0132】 上述のステップY16で、CPU30はリッチ側時間TCRおよびリーン側時間TCLの何れもが正常であると判定し、上述のステップY17では、CPU30はTCR+TCL>所定値に対応して、リッチ側時間TCRおよびリーン側時間TCL(換言すれば両側の時定数)の何れもが劣化であると判定する。 【0133】 このように、図12、図13で示した実施例においては、上記劣化判定手段(ルーチンR4参照)は、空燃比を強制的に変更した外乱開始時点t0から微分手段(ステップY6参照)により得られた出力(微分値c参照)がピーク値に達するまでの時間TCに基づいて時定数劣化を検出するものである。 【0134】 ここに、上述の空燃比を強制的に変更した外乱開始時点t0から微分値cがピーク値に達するまでの時間TCは、リニアO2センサ18が劣化する程、長くなる。 【0135】 この構成によれば、上述の時間TCに基づいて時定数劣化を判定するので、空燃比の定常変動の影響を受けることがなく、外乱を与えた際には劣化度合に対応した時間TC(外乱開始時点t0から微分手段により得られた出力cがピーク値に達するまでの時間TC)が得られる。このため、リニアO2センサ18の時定数劣化を精度よく検出することができる。 なお、図12、図13で示した実施例においても、その他の作用、効果については先の実施例とほぼ同様である。 【0136】 図14、図15はリニアO2センサ18の劣化検出装置のさらに他の実施例を示すフローチャートおよびタイムチャートである。この実施例においても図1、図2で示した回路装置を用いる。 【0137】 また、この実施例においてもCPU30は、リニアO2センサ18の検出値に基づいてエンジン11に供給される混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバックする空燃比フィードバック制御手段(CPUそれ自体参照)と、リニアO2センサ18の劣化検出時にのみ、エンジン11に供給される空燃比を強制的に変更させる手段、つまり図15に示す燃料噴射量aを加減算することで、空燃比にリッチ側またはリーン側の外乱を与える空燃比強制変更手段(図14のステップZ3,Z4参照)と、空燃比強制変更後におけるリニアO2センサ18の出力b(図15参照)を微分して微分値cを求める微分手段(図14のステップZ6参照)と、上述の微分手段(ステップZ6参照)に得られた値に基づいてリニアO2センサ18の時定数劣化を判定する劣化判定手段(図14のルーチンR5参照)と、を兼ねる。 【0138】 図14、図15に示す実施例においては、上述の劣化判定手段(ルーチンR5参照)は、微分手段(ステップZ6参照)により得られた出力(微分値c参照)の面積に基づいて時定数劣化を検出するように構成している。 【0139】 さらに詳しくは、上述の劣化判定手段は、リニアO2センサ18の出力の微分値cが所定値としてのしきい値th以上の面積S(図15参照)に基づいて時定数劣化を検出すべく構成し、このしきい値thを設けることで、正常品と劣化品との面積Sによる時定数劣化の検出精度の向上を図るように構成している。 リニアO2センサ18の時定数劣化度合が大きくなる程、上述の面積Sは小さくなる。 【0140】 この実施例の作用を、図14に示すフローチャートおよび図15に示すタイムチャートを参照して、以下に詳述する。 図14に示すフローチャートのステップZ1で、CPU30はリニアO2センサ18の劣化を検出する診断実行条件が成立したか否かを判定する。すなわち、スロットルセンサ20で検出するスロットル開度TVOの変化量が所定変化量以下で、かつ回転センサ21で検出するエンジン回転数Neの変化量が所定変化量以下で、さらにCE=Qa/Neで求められる充填効率CEの変化量が所定変化量以下の所謂定常時を含むほぼ定常時(YES判定時)にのみ次のステップZ2に移行し、加減速時などの非定常時(NO判定時)にはリターンする。 【0141】 ここで、診断の検出頻度の低下を防止する目的で、上述の診断実行条件にはある程度の許容幅をもたせており、例えば、緩加速時においては診断実行条件が成立するように構成されている。 【0142】 上述のステップZ2で、CPU30は前回の空燃比強制変更時の燃料噴射量加減算(外乱)に基づいて、前回外乱がリーンであったか否かを判定し、NO判定時にはステップZ3に移行する一方、YES判定時には別のステップZ4に移行する。 【0143】 上述のステップZ3で、CPU30は空燃比強制変更開始時点t0(図15参照)において、インジェクタ10を介して燃料噴射量にリーン外乱を加算する。 【0144】 一方、上述のステップZ4で、CPU30は空燃比強制変更開始時点t0において、インジェクタ10を介して燃料噴射量にリッチ外乱を加算する。 【0145】 つまり、上述の各ステップZ2,Z3,Z4の処理により、前回の外乱がリッチであるならば、今回は燃料噴射量aにリーン外乱を加算(燃料噴射量を減算)する一方、前回の外乱がリーンであるならば、今回は燃料噴射量aにリッチ外乱を加算(燃料噴射量を加算)するので、空燃比の強制変更は図5において既述したようにリッチとリーンとに交互に切換えられる。 【0146】 次にステップZ5で、CPU30は排気ガス中の酸素濃度に比例する値を出力するリニアO2センサ18の出力bの読込みを実行する。リニアO2センサ18が正常または略正常な場合で、かつりーン外乱の加算時には、その出力bは図15の実線のようになり、リニアO2センサ18の劣化度合が大きくなる程、その出力bは図15に仮想線で示す方向にずれることになる。 【0147】 次にステップZ6で、CPU30はリニアO2センサ18の出力bを微分した値、つまり微分値c(図15参照)を演算により求める。 【0148】 次にステップZ7で、CPU30は上述の微分値cにおける所定しきい値th以上の面積Sを演算により求める。図15に示すようにリニアO2センサ18が正常または略正常な場合には上述の面積Sは大となり、リニアO2センサ18の劣化度合いが大きくなる程、面積Sは小さくなる。 【0149】 次にステップZ8で、CPU30は、判定の信頼性向上を目的として、リッチ外乱を与えた場合の面積Sのサンプル数、並びにリーン外乱を与えた場合の面積Sのサンプル数が所定値(例えば5〜10回)よりも大か否かを判定し、NO判定時にはステップZ1にリターンしてフローチャートの繰返し処理を実行する一方、YES判定時には次のステップZ9に移行する。 【0150】 なお、図15に示すタイムチャートにおいてはリーン外乱(燃料噴射量の減算)を与えた場合において微分値cがプラス側のしきい値th以上となる面積Sを示したが、リッチ外乱(燃料噴射量の加算)を与えた場合には、微分値cがマイナス側のしきい値th以下となる面積Sを用いて時定数劣化を検出乃至判定することができる。 【0151】 上述のステップZ9で、CPU30は所定サンプル数に達した複数のリッチ側の面積Sの平均値を演算すると共に、所定サンプル数に達した複数のリーン側の面積Sの平均値を演算する。 【0152】 次にステップZ10で、CPU30はリッチ側面積SR(詳しくはリッチ側面積の平均値)からリーン側面積SL(詳しくはリーン側面積の平均値)を減算した値の絶対値が、所定値より大きいか否かを判定し、NO判定時にはステップZ11に移行し、YES判定時には別のステップZ12に移行する。 【0153】 このステップZ12で、CPU30はリッチ側面積SRが所定値より小か否かを判定し、YES判定時にはステップZ13に移行する一方、NO判定時には別のステップZ14に移行する。 【0154】 上述のステップZ13で、CPU30はSR<所定値に対応して、リッチ側面積SRが劣化つまりリッチ側時定数劣化であると判定する。 一方、ステップZ14で、CPU30はリーン側面積SLが所定値よりも小か否かを判定し、YES判定時にはステップZ15に移行する一方、NO判定時には別のステップZ16に移行する。 【0155】 上述のステップZ15で、CPU30はSL<所定値に対応して、リーン側面積SLが劣化(リーン側時定数劣化)であると判定する。 また、上述のステップZ16では、CPU30はリッチ側面積SRおよびリーン側面積SLの何れもが正常であると判定する。 【0156】 一方、上述のステップZ11で、CPU30はリッチ側面積SR(詳しくはリッチ側面積の平均値)とリーン側面積SL(詳しくはリーン側面積の平均値)とを加算した値が、所定値よりも小さいか否かを判定し、NO判定時にはステップZ16に移行する一方、YES判定時には別のステップZ17に移行する。 【0157】 上述のステップZ16で、CPU30はリッチ側面積SRおよびリーン側面積SLの何れもが正常であると判定し、上述のステップZ17では、CPU30はSR+SL<所定値に対応して、リッチ側面積SRおよびリーン側面積SL(換言すれば両側の時定数)の何れもが劣化であると判定する。 【0158】 このように、図14、図15で示した実施例においては、上記劣化判定手段(ルーチンR5参照)は、微分手段(ステップZ6参照)により得られた出力(微分値c参照)の面積Sに基づいて時定数劣化を検出するものである。 【0159】 ここに、リニアO2センサ18の微分値cの面積Sは、該センサ18が劣化する程、小さくなる。 【0160】 この構成によれば、上述の微分値cの面積Sに基づいて時定数劣化を判定するので、空燃比の定常変動の影響を受けることがなく、外乱を与えた際には劣化度合に対応した面積Sが得られる。このため、リニアO2センサ18の時定数劣化を精度よく検出することができる。 なお、図14、図15で示した実施例においても、その他の作用、効果については先の実施例とほぼ同様である。 【0161】 この発明の構成と、上述の実施例との対応において、 この発明のリニア空燃比センサは、実施例のリニアO2センサ18に対応し、 以下同様に、 空燃比制御手段は、空燃比フィードバック制御手段(CPU30参照)に対応し、 空燃比変更手段は、空燃比強制変更手段(各ステップQ3,Q4,U3,U4,X3,X4,Y3,Y4,Z3,Z4参照)に対応し、 微分手段は、CPU30制御による各ステップQ6,U6,X6,Y6,Z6に対応し、 劣化判定手段は、各ルーチンR1,R2,R3,R4,R5に対応するも、 この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。 【図面の簡単な説明】 【0162】 【図1】リニア空燃比センサを備えたエンジンの系統図。 【図2】リニア空燃比センサの劣化検出装置を示す制御回路ブロック図。 【図3】劣化検出処理を示すフローチャート。 【図4】劣化検出処理を示すタイムチャート。 【図5】外乱の付加状態を示す説明図。 【図6】リッチ外乱付加時のタイムチャート。 【図7】実車によるリーン外乱付加時のリニア空燃比センサ出力およびその微分値の測定結果を示す説明図 【図8】劣化検出処理の他の実施例を示すフローチャート 【図9】劣化検出処理の他の実施例を示すタイムチャート 【図10】劣化検出処理のさらに他の実施例を示すフローチャート 【図11】劣化検出処理のさらに他の実施例を示すタイムチャート 【図12】劣化検出処理のさらに他の実施例を示すフローチャート 【図13】劣化検出処理のさらに他の実施例を示すタイムチャート 【図14】劣化検出処理のさらに他の実施例を示すフローチャート 【図15】劣化検出処理のさらに他の実施例を示すタイムチャート 【符号の説明】 【0163】 11…エンジン 18…リニアO2センサ(リニア空燃比センサ) 30…空燃比フィードバック制御手段(空燃比制御手段) Q3,Q4…空燃比強制変更手段(空燃比変更手段) U3,U4…空燃比強制変更手段(空燃比変更手段) X3,X4…空燃比強制変更手段(空燃比変更手段) Y3,Y4…空燃比強制変更手段(空燃比変更手段) Z3,Z4…空燃比強制変更手段(空燃比変更手段) Q6,U6,X6,Y6,Z6…微分手段 R1,R2,R3,R4,R5…劣化判定手段
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【出願人】 |
【識別番号】000003137 【氏名又は名称】マツダ株式会社 【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号
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【出願日】 |
平成16年9月1日(2004.9.1) |
【代理人】 |
【識別番号】100067747 【弁理士】 【氏名又は名称】永田 良昭
【識別番号】100121603 【弁理士】 【氏名又は名称】永田 元昭
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【公開番号】 |
特開2006−70778(P2006−70778A) |
【公開日】 |
平成18年3月16日(2006.3.16) |
【出願番号】 |
特願2004−254256(P2004−254256) |
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