きょうのコラム「時鐘」 2009年5月20日

 大相撲の東関(あずまぜき)親方(元関脇高見山)が今場所で定年を迎える。外国人力士の先駆者として、相撲人気を高めた人である

現役時代、北陸巡業の折に、ファンが設けた会合に出たことがある。巨漢力士は身をすくめるようにして現れ、一通りあいさつした後、「明日もけいこがあるので」と、早々と席を立った

当時評判になったCMのように、愛きょうを振りまく一幕を期待していたファンから「案外まじめだな」と、ため息が漏れたのを覚えている。飛び込んだ相撲界の日々は「我慢の連続」だった、と親方は折にふれて語っている。流した涙を「目から出た汗」と言いつくろい、「無理へんに、げんこつ」という兄弟子のしごきに耐えた人である

いまの相撲界では通用しないような「無理へん」が、新型インフルエンザ騒ぎにはまかり通っている。事なかれ主義が働いて、学校が軒並み門を閉じた。閉め出された生徒たちの中には、繁華街に繰り出してカラオケに興じている者もいるという

最初のボタンの掛け違いに、とっくに気付いてもいいはずではないか。情けなくて、「目から汗」が出てくる。