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社説
11月16日付  空自幹部セクハラ  事態を重く受け止めよ  
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 また防衛省の不祥事である。今度は、静岡県にある航空自衛隊第一術科学校の校長だった宮下今朝芳(けさよし)空将補が部下の女性にセクハラ(性的嫌がらせ)をして、更迭された。

 国の安全を守る組織の教育を担う人物が、倫理にもとる行為をするとはあきれるばかりだ。

 問題はセクハラだけにとどまらない。空将補を更迭したのは九月中旬だったのに、防衛省は二カ月近くも公表していなかった。通常、一佐以上の幹部人事異動は報道機関に発表しているのにである。

 防衛省航空幕僚監部は「女性の意向に配慮し、公表しなかった」と釈明したが、浜田靖一防衛相に報告したのも今月十三日になってからだ。大臣への報告も怠るとは、文民統制上も重大な問題だ。

 都合の悪い情報を隠そうとする防衛省の隠ぺい体質は、直ちに改めなければならない。

 自衛隊でのセクハラの多さは、これまでも指摘されてきた。空自では、北海道内の女性自衛官が「同僚からわいせつ行為を受け、相談した上司にも退職を強要された」として国に損害賠償を求めている。陸上自衛隊でも、熊本市内の元女性隊員が上官を訴え、勝訴した。

 セクハラは陰湿、卑劣というだけではなく、女性の人格を否定する行為である。性差別の意識が根底にあるとされ、人権感覚が厳しく問われる犯罪だ。自衛隊でなぜセクハラが続発するのか、原因を徹底的に究明し、根絶する必要がある。

 麻生太郎首相は、田母神(たもがみ)俊雄前空幕長の論文問題を受けて行われた参院外交防衛委員会の集中審議で、自衛隊員の再教育に万全を期すと表明した。だが、校長がセクハラをするようでは、再教育もおぼつかない。

 防衛省は事態を重く受け止め、厳しい姿勢で組織の立て直しに臨むべきだ。

徳島新聞社