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2009年5月19日

性的暴行ゲーム/法改正による規制が必要だ

 わが国の“児童ポルノ”への対応が、また国際的な非難を浴びている。少女らへの性的暴行を疑似体験するゲームソフトがインターネットを通じて海外に流出し、漫画やアニメなどの仮想画像の制作、販売を許す政府の対応に怒りの声が海外から上がっている。

米英から抗議の声

 わが国の児童買春・ポルノ処罰法の欠陥については、国際会議などでたびたび指摘されてきたが、ネットによって反社会的内容のゲームソフトが世界に拡散する事態を放置するのでは国家としての責任が問われる。同処罰法を早急に改正して、たとえ仮想画像であっても、わいせつであれば「児童ポルノ」と定義し、その制作、販売を禁止すべきである。

 抗議の声は米国の国際的な人権団体や英国の国会から上がった。問題となったのは横浜市のゲームソフトメーカーの「レイプレイ」。未成年とみられる少女とその母親らを強姦して妊娠、中絶させるという、悪質極まりない内容のゲームだ。

 海外から非難が巻き起こったことで、業者は既に販売の中止に追い込まれたが、レイプレイは氷山の一角にすぎない。わが国では、児童ポルノ撲滅の国際基準からみて、悪質な「児童ポルノ」との烙印を押されて当然のソフトが多く制作、販売されている実態があるからだ。

 恥ずべきソフトが流通する問題の根は、わが国の法律にある。十年前に制定した同処罰法は、仮想画像を規制の対象にしていないばかりか、たとえ実写でも個人が趣味で所有する「単純所持」を禁じていない。所持を認めているのは主要八カ国(G8)の中では日本とロシアだけだ。

 さらに、仮想画像であっても禁止する国が少なくない。米国や英国、カナダなどがそうだ。フィリピンでも所持や漫画も含めて禁止する法律が年内に成立する見込みだという。

 そもそも同処罰法は「日本は児童ポルノの供給国」との国際的な非難に押されて、ようやく成立した経緯があり、児童ポルノに対する日本政府の対応の甘さは世界に知られている。ネットが普及し、あらゆる情報が世界に拡散しやすくなっている現在、わが国の法律の欠陥は児童ポルノを撲滅する国際的な努力に水を差す格好になっており、これ以上、わいせつな仮想画像の制作、販売を放置することは許されない。

 単純所持については、与党がこれを禁止するための改正法案を国会に提出しているが、民主党が捜査権の濫用につながるとして反対、成立のめどが立っていない。仮想画像の規制は「表現の自由」への配慮から、あくまで業界の自主規制に任せるべきだとの声がある。

国際基準に合わせよ

 レイプレイのような反社会的内容でも、業界の自主審査機関「コンピュータソフトウェア倫理機構」の審査を通過しているのは明らかにおかしい。利益を優先する業界の自主規制に任せていては、この手のゲームソフトはなくならないだろう。所持や仮想画像にも厳しく対処する国際基準に合わせて、同処罰法を改正するのはわが国の国際的な責務である。


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