尾道市立中の男性教諭(25)が女子生徒に対し、わいせつな行為をしたとして懲戒免職となった14日、広島県教委や市教委はあらためて校長らに服務規律の徹底を指導した。だが、過去5年間のわいせつ・セクハラによる懲戒処分は33件に上る。教育の専門家からは、再発防止に対する取り組みや効果に疑問の声も出ている。
「校長自ら校内を巡回して感性を磨き、指導、指示をしてほしい」。この日、広島市中区での県立学校長会議で、榎田好一教育長は約100人の校長を前に力説した。尾道市教委も臨時の小中学校校長会を開き、生徒の心のケアを指示した。
県内では教諭によるわいせつ・セクハラ行為が後を絶たない。昨年5月には、小学校教諭の男性が女子児童への強制わいせつ容疑で逮捕される事件が発生。任命権者の榎田教育長も懲戒処分の戒告となる異例の事態となった。
県教委教職員課の篠田智志課長は、再発防止に向け「あらゆる機会を通じて服務規律の確保を訴え、学校でも過去の具体的な処分の事案を参考に研修をしてきた」と説明する。
しかし、昨年5月以降も女子生徒の太ももをさわったり、卒業した教え子にストーカー行為をしたりするなどの不祥事が相次いで発覚。昨年度のわいせつ・セクハラによる懲戒処分は計6件になった。
広島大大学院教育学研究科の児玉憲一教授(臨床心理学)は「いくら研修しても教員に当事者意識が薄いのではないか」と指摘する。県教委は以前から、教師と生徒が携帯電話で連絡を取り合わないよう研修で指導していきたというが、今回の尾道市の事案でも、男性教諭が女子生徒と携帯電話で連絡をしていた事実が分かっている。
繰り返される不祥事を受け県教委は3月末、全公立学校に対し、体罰やセクハラ専用の相談窓口の設置するよう通知した。ただ、児玉教授は「相談窓口も学校内だけでなく生徒が相談しやすい学校外に充実させるべきだ」と強調する。また、県教委の通知にもかかわらず、10日現在、県立高では15校が対応できていない現状もある。
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