兵庫、大阪で新型インフルエンザ感染者が増加しているのを受け、県内でも18日、初めて休校する学校が出るなど学校現場に影響が出た。また、4月以降、学校行事で既に神戸市を訪れた学校では、登校前の検温などを呼びかけるなどしている。さらに、県は同日から発熱などの相談を受け付けるコールセンターの対応を、平日は夜から翌朝まで、休日は24時間態勢に拡大した。【松井豊、石川勝義、石戸諭】
県教委によると、遠足や修学旅行、震災学習で4月以降、神戸市へ行った公立の小中高校は9校。そのうち倉敷古城池高(倉敷市)では、野球部が今月9日、新型インフルエンザの感染者が確認された兵庫県立神戸高で練習試合を行った。部員、マネジャー計36人に教員2人が同行、神戸高の合宿施設で宿泊した。現在のところ、体調不良を訴える部員はいないという。また、今後神戸市で同様に学校行事を予定していた26校は延期や中止を決めている。
県内では岡山白陵中・高(赤磐市)が唯一、休校措置をとった。全校生徒974人中、317人が大阪、兵庫の両府県から通学しており、同校は両府県で感染者が増えたことを受け、中間考査を予定していた18日午前、休校を決めた。山本隆文校長は「学校が感染源になる可能性があり、もしもの場合に感染を拡大させないため休校を決めた」としている。
小中学校計5校が13~16日に学校行事で神戸市を訪れた岡山、笠岡、真庭市でも対応に追われている。
3市教委によると、岡山市では中学2校(2年生計326人)、笠岡市は中学1校(2年生152人)が校外研修で「人と防災未来センター」(神戸市中央区)などを訪問。修学旅行中だった真庭市の小学校2校では、1校の6年生17人が同センターや同市のショッピングモールを訪れ、別の1校の6年生35人が同市内に宿泊した。
18日までに体調不良を訴えた児童生徒はいないという。各校は約1週間、健康状態の観察を強化。岡山市の2校は登校前の検温を呼びかけており、測らずに登校した場合は学校で検温する。笠岡市の中学では、異常があった場合に学校へ連絡するよう保護者に依頼するプリントを持ち帰らせた。真庭市の2校は登校前の17日、児童全員の健康状態を電話で確認したという。
こうした状況を受けて県教委は18日、季節性インフルエンザによる学級・学年閉鎖に至らない場合でも、インフルエンザ感染が増加傾向にある場合には各市町村教委に情報提供するよう求めた。一方、県は医療機関段階で、簡易キットを使ってA型インフルエンザと診断された場合、海外渡航歴の有無や感染例が確認された地域への外出状況などを考慮したうえで、県環境保健センターで遺伝子検査を実施することにしている。県によると現在該当事例はない。
県警も18日、新型インフルエンザ総合対策本部の第1回会議を開いた。江原伸一本部長が「冷静に適切に対応を」などと訓示。会議は非公開であり、検疫を行っている水島港、岡山空港での警戒継続、感染者が判明した場合の搬送支援などを確認した。
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◆発熱相談センター 連絡先と所管市町村◆
※平日午前8時30分~午後5時15分
【岡山市】
岡山市保健所(086・803・1262)
【倉敷市】
倉敷市保健所(086・434・9810)
【玉野市、瀬戸内市、吉備中央町】
備前保健所(086・272・3934)
【備前市、赤磐市、和気町】
同東備支所(0869・92・5180)
【総社市、早島町】
備中保健所(086・434・7024)
【浅口市、井原市、笠岡市、里庄町、矢掛町】
同井笠支所(0865・69・1675)
【高梁市】
備北保健所(0866・21・2836)
【新見市】
同新見支所(0867・72・5691)
【真庭市、新庄村】
真庭保健所(0867・44・2990)
【津山市、鏡野町、美咲町、久米南町】
美作保健所(0868・23・0163)
【美作市、奈義町、勝央町、西粟倉村】
同勝英支所(0868・73・4054)
※平日午後5時15分~翌午前8時半、休日
【県内全域】
コールセンター(086・273・8092)
毎日新聞 2009年5月19日 地方版