2009年5月20日14時16分
朝の大阪駅の周辺はマスクをして通勤する人の姿が目立った=20日午前、大阪市北区、南部泰博撮影
「マスク・パニック」のような状況が起きている。神戸で新型の豚インフルエンザの国内初感染が確認された16日から、兵庫、大阪を中心に店頭から消え始め、品薄地域は一気に全国に拡大した。入手方法はあるのか。入らなかったらどうすればいいのか。
神戸市東灘区に住む会社員の女性(44)は20日朝、大阪へ向かう通勤電車で肩身の狭い思いをした。乗客の8割ほどがマスクをしていたのに、自分はしていなかったからだ。「非常識と思われているようで。でも、品切れで手に入らない」。大阪府豊中市の会社員の男性(37)は高松市の知人に買って送ってくれるよう頼んだが、「どこも品切れ」との返事。会社からマスク着用の指示が出ているのに「どうしようもない」。
19日現在、大阪、兵庫の都市部の薬局や百円ショップ、大手スーパーなどに尋ねたところ、ほとんどが品切れで、「入荷未定」の店も多い。メーカーの在庫そのものがほとんど底をついているためだ。
医療品メーカー大手の興和(東京)によると、5月上旬だけで例年の5月分の約40倍のマスクを出荷。従業員に残業を頼み、休日返上で生産を続けているが「とても追いつかない」という。
「季節はずれ」であることも事態を悪化させている。マスクは、風邪のはやる秋から花粉症対策の3月まで大量生産し、4、5月は端境期。工場のラインを休ませたり、工員を減らしたりして生産量を4分の1以下に落とす。急に増やそうにも、人も資材も確保しきれないのだ。メーカー41社が加盟する日本衛生材料工業連合会によると、マスクは国内で年間約20億枚消費されている。3月末で在庫が計1億枚あったが、現在はほぼない状態という。