日曜日に会社に行った俺。誰一人として出勤していなかった。
閑散としている会社。
日曜日とはいえ、こんなにも社員がいないことなど、雑誌の編集社ではありえない。でも今日は違う。社長の娘が結婚式を挙げるならば、作業が残ってたって出席せざるをえないだろう。
俺は1人、デスクに座った。妙な違和感。机がいつもと違う？しかし、それを確認する前に、あいつがやってきた。
「今日誰も・・・いないっすね」
「・・・Q太郎」
Q太郎とは、編集部のカメラマンとして、多くの仕事を共にこなしてきた。
「どうも」
「どうも。」
「・・・僕ね、松田さんに言わなきゃいけないことがあります。実は・・・リョウコちゃんのこと好きだったんですよ」
「・・・マジ？？」
「でもね、僕カメラマンだから、あんまり編集部の女性とも交流できず、松田さんと付き合ってるの知らなくて、いつ告白しようかな～なんて思ってたら、 屋上で松田さんと抱き合ってるの見ちゃって。諦めたんですよ。リョウコちゃんって・・・ホントにいい子ですよね。キレイだし。優しいし。うらやましいな～～～。松田さん。あんな子と付き合ってて！ホントいいですよ。絶対にね。幸せにしてあげてくださいよ。」
「・・・いや、それは俺にはもう無理なんだ。あいつ結婚するんだ。」
「・・・え！？マジ！？また情報遅れてる！？いやいや～～、僕だけ置いてけぼりかよ～～。」
「だいぶね。。。」
「やっぱりぃ。そうなっちゃいますぅ？？でも、、、、いいんですか？？」
「・・・え？」
「だから・・・追いかけないんですか？だって。忘れられないでしょ？好きでしょ？違う？ウソだ～！僕わかります～～。だって松田さんすごく悲しそうだもん。早く！追いかけないと。」
「追いかけないよ。あのさ・・・。ほっといてくれよ！！どうでもいいんだよもう！！ほっといてくれって！！」
「松田さん・・・・。でもね・・・待ってると思いますよ。リョウコちゃん。」
「待ってないよ・・・」
「待ってますって！」
「何が分かるんだよ・・・」
「僕は・・・正直よくわかりませんよ。けど、松田さんなら分かるんじゃないですか？・・・・リョウコちゃんが、今だって待ってるって。ずっと一緒にいたんでしょ？」
「・・・」
「僕って妄想ばっかだし、マジで、よく分かってないっすけど・・・。幸せってのは・・・金とか、仕事とか、家族とか・・・。そういうまどろっこしいもんじゃなくて、お互い好き同士。一緒にいられること！！それだけじゃないっすか？
こないだ僕、河原で逆ナンされたんですけどね。ただ女子高生が罰ゲームで声をかけてきただけでした。好き同士なだけ幸せですよ。じゃ。僕は、仕事に戻ります。」
見透かされた俺の想い。
こないだ飲み友達の眞悠とみずきにリョウコの話をしていたら「時間が解決してくれるなんて嘘だと思います！今を大切にしないで、未来の幸せなんてないって思うから…人生って我慢と選択ってよく言うケド、この我慢で、誰が幸せになるんですか？」ってガツッと言われた。みずきにも「松田さんがつけた傷は、松田さんでしか癒すことができません。早く迎えに言ってください！」って。
こんな俺、ほんといやだ。
松田の本心
やっぱり俺はあいつを忘れられない。でもな、もう・・・。どうしようもないんだ。なんだこの感じ？？『私は待ってます』？？？
デスクに、鉛筆で書かれた薄い文字。何度も見たことのある字。置手紙をいつも残していくリョウコの字。間違いない。誰もいない会社の中で、俺は今まで出したことのないような大声で叫んだ。
そして俺は、走り出した。
「俺はとにかく失ったものを取り戻すために走る！手遅れかもしれないけど、これ以上後悔したくないから。みんなは失ったものを取り戻した経験ある？？」
（
みなさん!!コメント欄に、この質問の回答をくださいね。採用されたコメントは次のお話に登場するよ!!）
チュートリアルコメント
徳井義実
Q太郎ええ奴やん。ほんま気持ち悪いだけあるわ。単純に好きってだけで突っ走れたらほんま幸せやと思うわ。
福田充徳
Q太郎は単純でええな。そして、結婚式に行くんか！？どうにかなるような状況には一足遅い気もするが、いてもたってもいられなくなって行動してしまうのが、人なのである。
松田・第9話に続く
4人それぞれの第9話[最終回]は、4月30日に同時更新
一気にクライマックスを迎えます
さらに
本日のフジテレビ系「はねるのトびら」番組枠内ＴＶＣＭにて、本日更新した第8話の「切り取られた重要なワンシーン」を、リアル実写ムービーにてＯＮＡＩＲ お見逃しなく
※一部地域を除きます
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